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15.ポーション作りは楽しすぎる
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「では、噂の留学生のロクサーナ・バーラム。君の意見は?」
「皆さんの前で魔法を使ってポーションを作り、試験では魔法なしでポーションを作ると言うのはどうでしょうか。そして、魔法を使わずに作ったポーションを採点していただきます。
それなら違いが分かっていただけるとか?」
「うん、それはいいね。皆もそれでいいかな?」
隣の生徒と顔を見合わせて、渋々頷く生徒達。
(うーん、みんなは何がしたかったんだろう。授業から追い出すとか? まあ、その時はセシルかサブリナと同じ専攻に変えるから、どうでも良いけど⋯⋯それより、無詠唱がバレないようにしないとね)
「よし、それではデモンストレーションとして、魔法を使ったポーション作りを見せてもらおう。私としても魔法を使ってポーションを作るところを見てみたいと思っていたんだ」
不満そうな顔や腹立たしそうな顔の生徒達を無視したチェンバー先生が、子供のように目を輝かせてロクサーナを見つめた。
教卓に並べられた薬草の中から2種類選んで錬金釜に向かう。
使うのはフェアリーウイングスとグルティノース。まず初めに、水と器具を浄化していく。
《 ピュリフィケーション》
浄化した水で薬草をきれいに洗い、乾燥させる。
《 キャリダムウインド》
乾燥したフェアリーウイングスとグルティノースは2対3の比率で正確に計り、すり鉢で細かく粉砕して錬金釜に入れた。浄化済みの水を計り、魔力を練り込みながら温めていく。
《ファイア》
濃い緑色から透き通った薄い緑になるまでゆっくりと混ぜながら魔力を調節していると、蒸留され瓶に集まったポーションがうっすらと光を放った。
「できました」
楽しすぎて気付かなかったが、教室は静まり返り教師も生徒も息をするのを忘れているかのよう。
「あの⋯⋯できました」
「凄い⋯⋯なんか手慣れてる?」
「動きに無駄がない」
「す、素晴らしい! えっと、聞きたい事は山のようにあるんだが、まずは鑑定しても良いだろうか?」
ロクサーナに手渡された瓶を捧げ持ち、教卓の上にそっと置いたチェンバー先生は、少し震える手で鑑定の魔導具を持ち上げた。
「ゴホン! さ、さて⋯⋯⋯⋯⋯⋯んん? 上級ポーションだと!? ここにある薬草と水で⋯⋯確か魔法を使うと通常よりワンランク上のポーションになるはず。
バーラム! 理由、理由を教えてくれないか!?」
「えっと、薬草の保管状態がとても良かったのとか、フェアリーウイングスの茎も使った事とか⋯⋯」
「そうだ、フェアリーウイングスは通常若い葉と花だけを使うはず! そうか、茎か茎なのか!」
「はい、苦味が多く出やすいので前処理に注意が必要ですが、茎も使えば薬効は高くなります」
「すり鉢を使ったわけは? 魔法なら粉砕も簡単に出来るんだろう?」
「出来ますけど、魔法で粉砕した方が味に雑味が出て飲みにくくなるので、急ぎの時くらいしかしません。普段はすり鉢を使います」
「他にも理由が?」
「ありますけど⋯⋯試験の時間が減っていますが、大丈夫ですか?」
夢中で質問していたチェンバー先生が『はっ!』と我に返った。
「そうだった! みな、試験をはじめるぞ。薬草を選んで錬金釜の前に立って、全員が揃ったら開始の合図をするからな」
わらわらと教卓の前に集まった生徒達が、悩みながら薬草を選んで錬金釜の前に立った。
「落ち着いてやれば大丈夫だ。手順を正確に⋯⋯それでは、はじめ!」
薬草を洗い布で拭き⋯⋯。
ひとつずつ丁寧な作業をする者の横で、緊張してすり鉢をひっくり返す者がいたり。
騒ぎを横目に見ながら作り終わったポーションを教卓に持っていくと、チェンバーはまだ上級ポーションを見つめていた。
「先生⋯⋯先生? できましたけど」
「あ、ええっ? もうできたのか。そうか、そうだよな。では、鑑定を⋯⋯⋯⋯う、中級ポーション。合格だ」
「凄い、もう終わったの?」
「くそぉ、こっちはまた失敗だあ」
悲喜交々の生徒達の悲鳴を聞きながら、ロクサーナが退出しかけるとチェンバーが声をかけた。
「この上級ポーションなんだが、研究用に貰ってもいいかな? それと明日の午後、時間があればなんだが、質問したい事が色々あって⋯⋯」
「はい、大丈夫です。昼食後ここに来ます」
「ああ、よろしく頼む」
教室を出てサブリナやセシルと約束した訓練場に向かった。
【上級ポーション、美味しかったよ~】
(味見したの?)
【当然! ロクサーナのポーションだからね~。ロクサーナの魔力がた~っぷり】
(そうか、ミュウ達は魔力大好きだもんね)
【ロクサーナのは格別!】
(ありがとう。あ、戦ってる声がする。思ったより遅くなったけど、まだやってて良かった~)
訓練場の中央では一対一で戦う男子生徒が5組もいて、その他の生徒は少し離れた場所で待機している。
殆どは男子生徒だが隅の方にセシルを含めた女子生徒が3人いる。
(この感じだとひとり1回じゃなさそうだから、セシルは喜んでるね)
邪魔にならないように遠くから観戦する事にしたが、他に観戦中の生徒がいないのでひどく目立ちそう。
(あれこれケチをつけられたら面倒だから、弱めの認識阻害でもかけとこうかな)
ちょうどいい木陰を見つけて木にもたれながら見ていると、脳筋のビクトールが戦いの準備をはじめた。
ビクトールが他の人より太く長い木剣を構えたが、相手は頭ひとつ小さくて明らかに勝負にならなそう。
(うーん、リーチの違いってかなりのハンデになるんだよね)
教師の合図で打ち合いをはじめたが、予想通り全然勝負にならない。ビクトールが上から木剣を振り下ろすと『ひっ!』と言う悲鳴が聞こえ、対戦相手がしゃがみ込んだ。
「おいおい、真面目にやれよ。そんなんじゃ試合になんねえ」
(いやいや、あの角度だと脳天カチ割られるじゃん。試験だって言っても頭を狙うのはなしじゃないの? 先生は⋯⋯あ~、Aクラスの担任か。じゃあダメだな)
昨日の朝会で、王族賛美とバリバリの贔屓と留学生のディスり方を見て、既に担任は見切りをつけた。
(でも、錬金術の先生は真面だったな~。オタクっぽいけど差別意識がなくてやりやすかった。Aクラスが悲惨だから、唯一の息抜きになりそう)
【気に入った?】
(まだ分かんない。何回か会ってみないとね)
【ロクサーナは人嫌いだもんね~】
(人って自分の利益しか考えてない人が多いんだもん。気を付けないと、利用されるか足を引っ張られるかの2択になる)
【たまに面白いのがいるけどね~。オネエなジルベルトとか、エロガッパのガンツとかみたいに】
(まあね、たまには⋯⋯)
のんびりおしゃべりを楽しんでいるとセシルが中央に出てきたが、対戦相手はビクトールに似た体格の男子生徒でニヤけた顔が気持ち悪い。
「先生、怪我させたら傷物ってやつですよねえ。そん時って、責任取らないとですかあ?」
明らかに、ちょこっと傷をつければ『天使のような美少女と結婚できる』未来が手に入ると言う荒唐無稽な妄想している気がする。
【みてみて、セシルの顔! マジで怒ってる】
「皆さんの前で魔法を使ってポーションを作り、試験では魔法なしでポーションを作ると言うのはどうでしょうか。そして、魔法を使わずに作ったポーションを採点していただきます。
それなら違いが分かっていただけるとか?」
「うん、それはいいね。皆もそれでいいかな?」
隣の生徒と顔を見合わせて、渋々頷く生徒達。
(うーん、みんなは何がしたかったんだろう。授業から追い出すとか? まあ、その時はセシルかサブリナと同じ専攻に変えるから、どうでも良いけど⋯⋯それより、無詠唱がバレないようにしないとね)
「よし、それではデモンストレーションとして、魔法を使ったポーション作りを見せてもらおう。私としても魔法を使ってポーションを作るところを見てみたいと思っていたんだ」
不満そうな顔や腹立たしそうな顔の生徒達を無視したチェンバー先生が、子供のように目を輝かせてロクサーナを見つめた。
教卓に並べられた薬草の中から2種類選んで錬金釜に向かう。
使うのはフェアリーウイングスとグルティノース。まず初めに、水と器具を浄化していく。
《 ピュリフィケーション》
浄化した水で薬草をきれいに洗い、乾燥させる。
《 キャリダムウインド》
乾燥したフェアリーウイングスとグルティノースは2対3の比率で正確に計り、すり鉢で細かく粉砕して錬金釜に入れた。浄化済みの水を計り、魔力を練り込みながら温めていく。
《ファイア》
濃い緑色から透き通った薄い緑になるまでゆっくりと混ぜながら魔力を調節していると、蒸留され瓶に集まったポーションがうっすらと光を放った。
「できました」
楽しすぎて気付かなかったが、教室は静まり返り教師も生徒も息をするのを忘れているかのよう。
「あの⋯⋯できました」
「凄い⋯⋯なんか手慣れてる?」
「動きに無駄がない」
「す、素晴らしい! えっと、聞きたい事は山のようにあるんだが、まずは鑑定しても良いだろうか?」
ロクサーナに手渡された瓶を捧げ持ち、教卓の上にそっと置いたチェンバー先生は、少し震える手で鑑定の魔導具を持ち上げた。
「ゴホン! さ、さて⋯⋯⋯⋯⋯⋯んん? 上級ポーションだと!? ここにある薬草と水で⋯⋯確か魔法を使うと通常よりワンランク上のポーションになるはず。
バーラム! 理由、理由を教えてくれないか!?」
「えっと、薬草の保管状態がとても良かったのとか、フェアリーウイングスの茎も使った事とか⋯⋯」
「そうだ、フェアリーウイングスは通常若い葉と花だけを使うはず! そうか、茎か茎なのか!」
「はい、苦味が多く出やすいので前処理に注意が必要ですが、茎も使えば薬効は高くなります」
「すり鉢を使ったわけは? 魔法なら粉砕も簡単に出来るんだろう?」
「出来ますけど、魔法で粉砕した方が味に雑味が出て飲みにくくなるので、急ぎの時くらいしかしません。普段はすり鉢を使います」
「他にも理由が?」
「ありますけど⋯⋯試験の時間が減っていますが、大丈夫ですか?」
夢中で質問していたチェンバー先生が『はっ!』と我に返った。
「そうだった! みな、試験をはじめるぞ。薬草を選んで錬金釜の前に立って、全員が揃ったら開始の合図をするからな」
わらわらと教卓の前に集まった生徒達が、悩みながら薬草を選んで錬金釜の前に立った。
「落ち着いてやれば大丈夫だ。手順を正確に⋯⋯それでは、はじめ!」
薬草を洗い布で拭き⋯⋯。
ひとつずつ丁寧な作業をする者の横で、緊張してすり鉢をひっくり返す者がいたり。
騒ぎを横目に見ながら作り終わったポーションを教卓に持っていくと、チェンバーはまだ上級ポーションを見つめていた。
「先生⋯⋯先生? できましたけど」
「あ、ええっ? もうできたのか。そうか、そうだよな。では、鑑定を⋯⋯⋯⋯う、中級ポーション。合格だ」
「凄い、もう終わったの?」
「くそぉ、こっちはまた失敗だあ」
悲喜交々の生徒達の悲鳴を聞きながら、ロクサーナが退出しかけるとチェンバーが声をかけた。
「この上級ポーションなんだが、研究用に貰ってもいいかな? それと明日の午後、時間があればなんだが、質問したい事が色々あって⋯⋯」
「はい、大丈夫です。昼食後ここに来ます」
「ああ、よろしく頼む」
教室を出てサブリナやセシルと約束した訓練場に向かった。
【上級ポーション、美味しかったよ~】
(味見したの?)
【当然! ロクサーナのポーションだからね~。ロクサーナの魔力がた~っぷり】
(そうか、ミュウ達は魔力大好きだもんね)
【ロクサーナのは格別!】
(ありがとう。あ、戦ってる声がする。思ったより遅くなったけど、まだやってて良かった~)
訓練場の中央では一対一で戦う男子生徒が5組もいて、その他の生徒は少し離れた場所で待機している。
殆どは男子生徒だが隅の方にセシルを含めた女子生徒が3人いる。
(この感じだとひとり1回じゃなさそうだから、セシルは喜んでるね)
邪魔にならないように遠くから観戦する事にしたが、他に観戦中の生徒がいないのでひどく目立ちそう。
(あれこれケチをつけられたら面倒だから、弱めの認識阻害でもかけとこうかな)
ちょうどいい木陰を見つけて木にもたれながら見ていると、脳筋のビクトールが戦いの準備をはじめた。
ビクトールが他の人より太く長い木剣を構えたが、相手は頭ひとつ小さくて明らかに勝負にならなそう。
(うーん、リーチの違いってかなりのハンデになるんだよね)
教師の合図で打ち合いをはじめたが、予想通り全然勝負にならない。ビクトールが上から木剣を振り下ろすと『ひっ!』と言う悲鳴が聞こえ、対戦相手がしゃがみ込んだ。
「おいおい、真面目にやれよ。そんなんじゃ試合になんねえ」
(いやいや、あの角度だと脳天カチ割られるじゃん。試験だって言っても頭を狙うのはなしじゃないの? 先生は⋯⋯あ~、Aクラスの担任か。じゃあダメだな)
昨日の朝会で、王族賛美とバリバリの贔屓と留学生のディスり方を見て、既に担任は見切りをつけた。
(でも、錬金術の先生は真面だったな~。オタクっぽいけど差別意識がなくてやりやすかった。Aクラスが悲惨だから、唯一の息抜きになりそう)
【気に入った?】
(まだ分かんない。何回か会ってみないとね)
【ロクサーナは人嫌いだもんね~】
(人って自分の利益しか考えてない人が多いんだもん。気を付けないと、利用されるか足を引っ張られるかの2択になる)
【たまに面白いのがいるけどね~。オネエなジルベルトとか、エロガッパのガンツとかみたいに】
(まあね、たまには⋯⋯)
のんびりおしゃべりを楽しんでいるとセシルが中央に出てきたが、対戦相手はビクトールに似た体格の男子生徒でニヤけた顔が気持ち悪い。
「先生、怪我させたら傷物ってやつですよねえ。そん時って、責任取らないとですかあ?」
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