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75.人誑しで最強の詐欺師
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仕切りがなく端まで見渡せる地下室は奥に大小の錬金釜が並び、広い作業机や素材が片付けられた大きな棚が明かり取りの窓から入る光の中で輝いて見えた。
反対側にはいくつもの保冷庫が置かれ、扉には丁寧な文字の書かれたメモが貼り付けてある。
(でも、1階ができてないから、この半地下には屋根が半分しかないんだよね。だから動物も魔物も入り放題だし⋯⋯雨が降ったらどうするつもりなのか)
オールマイティで活躍している気がする少し広めのソファとコーヒーテーブルは、勉強にお茶に食事に睡眠に⋯⋯。
(間違いなくこのソファかテントで寝てる⋯⋯相変わらずベッドは苦手みたいだな)
安全と言いつつ、この島の森には魔物も生息しているし、いつ何があるかわからない。
(野生化してる、冒険者やり過ぎたかな?)
「せめて小屋を先に作ろう。後で物置小屋とかにしても良いやつ。で、テーブルや椅子と⋯⋯ベッドくらいは置こう。テント泊と野宿は禁止だからね」
「え~! ここなら安全だし、満天の星空を見ながらうとうとするの最高だし~。波の音がして、時々怪しげな鳥の声とか聞こえたり、影が見えたりで『なんの鳥かな~魔鳥かなぁ』とか、すっごく楽しいのに⋯⋯あ、いや、そんな感じかなぁとか想像してるだけで」
ロクサーナの肩をガシッと捕まえて、額を突き合わせたジルベルト司祭の口元がピクピクと痙攣している。
「食われちゃうから! パクっておやつにされちゃうの! ロクサーナはちっちゃくて食べやすそうだから、食後のデザートかも」
「大丈夫だって。ここはドラゴンのいる島だから誰もなんにも近付かないからね。ミュウ達もずっとそばにいるし、なんなら結界張るし」
浅い眠りがほんの数時間あれば御の字のロクサーナは、どこででもウトウトできる代わりに、ベッドに入ると目が冴えたり夢に魘されたりしていた。
「今でもベッドに入ると夢を見る?」
「⋯⋯えーっと、建物の中より外の方がすぐに動けて楽ちんとか?」
ロクサーナの唯一のストレス発散が魔物討伐なのは分かっていたが、冒険者生活で味を占めたのだろうか。
「どちらかと言うと、ロクサーナ自身は薬師が一番好きだと勘違いしてた」
「薬草をゴリゴリするの大好き! 出来上がる瞬間にパッと色が変わるのが堪らないんだよね~。
教会に預けっぱなしの薬草の株も運ばなくちゃ」
「そう言えばさ、もし教会を辞めたら住むとこなくて、ちょっと不安なんだよね」
「へ?」
「ほら、実家は除籍されてるから他人だし、ずっと教会に住んでたから家がないんだ」
ロクサーナはついさっき聞いたばかりの話を思い出した。ほんの少しの情報しかないが、ジルベルト司祭の実家の人達は、あまり感じのいい人には思えない。
(ジルベルト司祭には申し訳ないけどね)
「そうかぁ、予定が決まるまでに準備しなくちゃなんだ。住みやすそうなとこが見つかると良いね」
「うん、それがね。場所だけは見つかったんだ。でも、土地の持ち主とまだ交渉できてなくて⋯⋯オーケーが出たら小さな家を建てたいんだけど、上手くいく自信がなくてね」
ドワーフ達が起きはじめたらしく、あちこちから元気な声が聞こえてきた。ふと窓の外を見ると、今日も快晴を約束しているような朝靄が消えはじめている。
「それは大丈夫! ジルベルト司祭みたいな人のことを、人誑しって言うんだってクロちゃん達が教えてくれたんだ。だから、土地の持ち主もオーケーするの間違いなし」
憂い顔で頬に手を当てていたジルベルト司祭が、チラッとロクサーナを見て溜め息をついた。
「そうかなぁ。教会の元神官で訳ありだから⋯⋯例えばだけど⋯⋯いや、違うな⋯⋯『近くに住んでいいか』って聞いたら、ロクサーナならなんて答える?」
「喜んでとか、楽しみですって答えるに決まってますね。ジルベルト司祭はすっごく親切だもん。地主さんもそう言うと思うよ~」
ニヤリと笑ったジルベルト司祭が顔を近づけてきた。
「どんな家にするか相談に乗ってくれるかな?(場所とか)間取りとか」
「⋯⋯えーっと、間取り?」
「そう、これからよろしく」
むにょんと両頬を引っ張られたロクサーナが眉間に皺を寄せた。
「いひゃい⋯⋯ひゆへうほひひゃいいひゃいひょ」
「(地主さんに)挨拶も済んだし、さて(家を建てる場所とか)外の様子とか見に行こうか」
ロクサーナの両脇に手を入れてヒョイっと立たせた後、パッと立ち上がったジルベルト司祭が右手を差し出し、誰よりも悪辣な顔で笑った。
「お腹も空いたしね」
「なんか⋯⋯なんか、胸がゾワゾワして⋯⋯失敗した気がするのは気のせい?」
「うん(俺はワクワクだし、失敗じゃないから)気のせいだね」
部屋を片付けて帰る前に挨拶をしようとカジャおばさんを探すと、おばさん仲間と一緒に川の下流で洗濯中なのを発見。
(いい洗濯日和だもんね~⋯⋯で、なんでいまだに手を繋いでるのか、子供じゃないし迷子にもならんし?)
「カジャおばさ~ん、何日もありがとう~」
少し遠くから声をかけると、眩しそうに目を細めたカジャおばさんが振り返り、にっこりと笑いながら立ち上がった。
「元気になったんじゃね~。司祭さんに、あんまり心配させたらいけんのんよ」
「うん、気をつける。ごめんなさい」
座っているロクサーナに手を差し伸べてくれたジルベルト司祭は、カジャおばさんの前でも当たり前のように、手を繋いだままで頭を下げている。
優しいお小言をいただいてから広場に戻り、常設の竈門に火を入れて鍋に水を入れ、卵やベーコンを出し⋯⋯。
「人参終わったよ。で、次は⋯⋯それはどうするの?」
意外にも手慣れた様子で人参を刻んだジルベルト司祭が、ロクサーナが皮を剥いていたコーンラビを見て首を傾げた。
「あ、えっと⋯⋯炒める予定で、その」
(えーっと、なんで並んで料理してるんだっけ? しかも手慣れてない?)
緑がかってコロンとしたコーンラビは、クセのない淡泊な風味で歯ごたえがある。生でも食べられるが、加熱するとほのかにカブのような甘味が増すので、今日は薄く切ってベーコンと一緒に炒める予定。
「そんなに丸っこいのに茎なんだ。初めて見た⋯⋯」
「サ、サラダとかも⋯⋯この間作ったピクルス⋯⋯ゴニョゴニョ⋯⋯スープに入れてもいける」
「(ロクサーナの手作りの)ピクルスかあ、食べてみたいかも」
ドワーフのゼフィンおじさん作のテーブルに運んだ料理を、ジルベルト司祭が並べ直し⋯⋯ベンチシートに並んで朝食を食べている。
因みに、ゼフィンおじさんは大工の師匠。
(解せぬ⋯⋯広いテーブルで、なんで並ぶ? 高位貴族のルール⋯⋯朝食はフレンドリーに~とか?)
「どうしたの? スープが辛かったとかかな」
怪しい行動を繰り返すジルベルト司祭を、スプーンを持ったまま横目で見ていたロクサーナが飛び上がった。
「いや! 美味しいっす、はい」
「それなら良かった。ロクサーナの味の好みが分からなかったからね、ちょっとドキドキしてたんだ」
ロクサーナが炒め物をする横で、スープを担当しつつパンにチーズを乗せて、お茶の準備をして⋯⋯と、大活躍だったジルベルト司祭の満面の笑みに、ロクサーナ撃沈。
(イケメンは無表情キープが必須だよお。それか、いつもの窶れ果てた顔とかさ。オネエ言葉で叫んでもいいし~)
「チーズはパンに乗せた後、少し焼いてみたんだ。どう?」
「コーンラビのピクルス⋯⋯うん、凄く美味しい。これもパンに乗せてみたら⋯⋯はい、ロクサーナの分ね」
「冷製のチキンにかかってるこれも美味しいね。はい、ロクサーナの分」
ジルベルト司祭にせっせとお世話されたロクサーナは、混乱しまくりでオロオロしているうちに、普段の倍近く食べていた⋯⋯食べさせられていた。
(げふぅ⋯⋯お、お腹が裂ける~)
「毎日たくさん食べたら、成長促進だね」
「うっ!」
反対側にはいくつもの保冷庫が置かれ、扉には丁寧な文字の書かれたメモが貼り付けてある。
(でも、1階ができてないから、この半地下には屋根が半分しかないんだよね。だから動物も魔物も入り放題だし⋯⋯雨が降ったらどうするつもりなのか)
オールマイティで活躍している気がする少し広めのソファとコーヒーテーブルは、勉強にお茶に食事に睡眠に⋯⋯。
(間違いなくこのソファかテントで寝てる⋯⋯相変わらずベッドは苦手みたいだな)
安全と言いつつ、この島の森には魔物も生息しているし、いつ何があるかわからない。
(野生化してる、冒険者やり過ぎたかな?)
「せめて小屋を先に作ろう。後で物置小屋とかにしても良いやつ。で、テーブルや椅子と⋯⋯ベッドくらいは置こう。テント泊と野宿は禁止だからね」
「え~! ここなら安全だし、満天の星空を見ながらうとうとするの最高だし~。波の音がして、時々怪しげな鳥の声とか聞こえたり、影が見えたりで『なんの鳥かな~魔鳥かなぁ』とか、すっごく楽しいのに⋯⋯あ、いや、そんな感じかなぁとか想像してるだけで」
ロクサーナの肩をガシッと捕まえて、額を突き合わせたジルベルト司祭の口元がピクピクと痙攣している。
「食われちゃうから! パクっておやつにされちゃうの! ロクサーナはちっちゃくて食べやすそうだから、食後のデザートかも」
「大丈夫だって。ここはドラゴンのいる島だから誰もなんにも近付かないからね。ミュウ達もずっとそばにいるし、なんなら結界張るし」
浅い眠りがほんの数時間あれば御の字のロクサーナは、どこででもウトウトできる代わりに、ベッドに入ると目が冴えたり夢に魘されたりしていた。
「今でもベッドに入ると夢を見る?」
「⋯⋯えーっと、建物の中より外の方がすぐに動けて楽ちんとか?」
ロクサーナの唯一のストレス発散が魔物討伐なのは分かっていたが、冒険者生活で味を占めたのだろうか。
「どちらかと言うと、ロクサーナ自身は薬師が一番好きだと勘違いしてた」
「薬草をゴリゴリするの大好き! 出来上がる瞬間にパッと色が変わるのが堪らないんだよね~。
教会に預けっぱなしの薬草の株も運ばなくちゃ」
「そう言えばさ、もし教会を辞めたら住むとこなくて、ちょっと不安なんだよね」
「へ?」
「ほら、実家は除籍されてるから他人だし、ずっと教会に住んでたから家がないんだ」
ロクサーナはついさっき聞いたばかりの話を思い出した。ほんの少しの情報しかないが、ジルベルト司祭の実家の人達は、あまり感じのいい人には思えない。
(ジルベルト司祭には申し訳ないけどね)
「そうかぁ、予定が決まるまでに準備しなくちゃなんだ。住みやすそうなとこが見つかると良いね」
「うん、それがね。場所だけは見つかったんだ。でも、土地の持ち主とまだ交渉できてなくて⋯⋯オーケーが出たら小さな家を建てたいんだけど、上手くいく自信がなくてね」
ドワーフ達が起きはじめたらしく、あちこちから元気な声が聞こえてきた。ふと窓の外を見ると、今日も快晴を約束しているような朝靄が消えはじめている。
「それは大丈夫! ジルベルト司祭みたいな人のことを、人誑しって言うんだってクロちゃん達が教えてくれたんだ。だから、土地の持ち主もオーケーするの間違いなし」
憂い顔で頬に手を当てていたジルベルト司祭が、チラッとロクサーナを見て溜め息をついた。
「そうかなぁ。教会の元神官で訳ありだから⋯⋯例えばだけど⋯⋯いや、違うな⋯⋯『近くに住んでいいか』って聞いたら、ロクサーナならなんて答える?」
「喜んでとか、楽しみですって答えるに決まってますね。ジルベルト司祭はすっごく親切だもん。地主さんもそう言うと思うよ~」
ニヤリと笑ったジルベルト司祭が顔を近づけてきた。
「どんな家にするか相談に乗ってくれるかな?(場所とか)間取りとか」
「⋯⋯えーっと、間取り?」
「そう、これからよろしく」
むにょんと両頬を引っ張られたロクサーナが眉間に皺を寄せた。
「いひゃい⋯⋯ひゆへうほひひゃいいひゃいひょ」
「(地主さんに)挨拶も済んだし、さて(家を建てる場所とか)外の様子とか見に行こうか」
ロクサーナの両脇に手を入れてヒョイっと立たせた後、パッと立ち上がったジルベルト司祭が右手を差し出し、誰よりも悪辣な顔で笑った。
「お腹も空いたしね」
「なんか⋯⋯なんか、胸がゾワゾワして⋯⋯失敗した気がするのは気のせい?」
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部屋を片付けて帰る前に挨拶をしようとカジャおばさんを探すと、おばさん仲間と一緒に川の下流で洗濯中なのを発見。
(いい洗濯日和だもんね~⋯⋯で、なんでいまだに手を繋いでるのか、子供じゃないし迷子にもならんし?)
「カジャおばさ~ん、何日もありがとう~」
少し遠くから声をかけると、眩しそうに目を細めたカジャおばさんが振り返り、にっこりと笑いながら立ち上がった。
「元気になったんじゃね~。司祭さんに、あんまり心配させたらいけんのんよ」
「うん、気をつける。ごめんなさい」
座っているロクサーナに手を差し伸べてくれたジルベルト司祭は、カジャおばさんの前でも当たり前のように、手を繋いだままで頭を下げている。
優しいお小言をいただいてから広場に戻り、常設の竈門に火を入れて鍋に水を入れ、卵やベーコンを出し⋯⋯。
「人参終わったよ。で、次は⋯⋯それはどうするの?」
意外にも手慣れた様子で人参を刻んだジルベルト司祭が、ロクサーナが皮を剥いていたコーンラビを見て首を傾げた。
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緑がかってコロンとしたコーンラビは、クセのない淡泊な風味で歯ごたえがある。生でも食べられるが、加熱するとほのかにカブのような甘味が増すので、今日は薄く切ってベーコンと一緒に炒める予定。
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「サ、サラダとかも⋯⋯この間作ったピクルス⋯⋯ゴニョゴニョ⋯⋯スープに入れてもいける」
「(ロクサーナの手作りの)ピクルスかあ、食べてみたいかも」
ドワーフのゼフィンおじさん作のテーブルに運んだ料理を、ジルベルト司祭が並べ直し⋯⋯ベンチシートに並んで朝食を食べている。
因みに、ゼフィンおじさんは大工の師匠。
(解せぬ⋯⋯広いテーブルで、なんで並ぶ? 高位貴族のルール⋯⋯朝食はフレンドリーに~とか?)
「どうしたの? スープが辛かったとかかな」
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「いや! 美味しいっす、はい」
「それなら良かった。ロクサーナの味の好みが分からなかったからね、ちょっとドキドキしてたんだ」
ロクサーナが炒め物をする横で、スープを担当しつつパンにチーズを乗せて、お茶の準備をして⋯⋯と、大活躍だったジルベルト司祭の満面の笑みに、ロクサーナ撃沈。
(イケメンは無表情キープが必須だよお。それか、いつもの窶れ果てた顔とかさ。オネエ言葉で叫んでもいいし~)
「チーズはパンに乗せた後、少し焼いてみたんだ。どう?」
「コーンラビのピクルス⋯⋯うん、凄く美味しい。これもパンに乗せてみたら⋯⋯はい、ロクサーナの分ね」
「冷製のチキンにかかってるこれも美味しいね。はい、ロクサーナの分」
ジルベルト司祭にせっせとお世話されたロクサーナは、混乱しまくりでオロオロしているうちに、普段の倍近く食べていた⋯⋯食べさせられていた。
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