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92.そもそも、お仕置きってなんではじまったの?
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「忘れてないよね~、お膝でプニプニとなでなでトントンのお仕置きに、ぬくぬくも追加したはず。翌日繰越は利息をつけるけど、どうする?」
「ぜ、全部は無理ぃぃ」
ベッドの上に座り込んだまま見上げるロクサーナの顔が真っ赤になっている。
(可愛いんだけど⋯⋯うーん、このシチュエーションはどうしよう。狭い部屋とベッドは、教会とか開放的な島の雰囲気と違いすぎて⋯⋯俺の理性が持たなそうで失敗かも)
そもそも、お仕置きのはじまりは⋯⋯。
出会った頃、人の気配がしただけで怯えて飛び上がっていた、ロクサーナの恐怖心を消すのが目的だった。
魔法や座学の理解が進んだ時に褒めると困ったように笑い、上手く出来なかった時や覚えられなかった時には、真っ青になって謝りだす。
食事の時正面に座っているジルベルトの顔を見ることもできず、オロオロと目を泳がせて話もできない。それどころか、声をかけただけで少ない食欲が消え失せているように見えた。
ジルベルトと2人きりなのに、大皿に乗った料理に手を出せず、目の前のピッチャーからコップに水を注ぐ事もできなかった。
物を手渡しする事など言語道断といった様子で硬直し、正面に立った時はジリジリと部屋の壁まで後退りして行く。
(このままじゃ聖王様との謁見どころか、仕事なんて出来ない。虐待され続けて怯える小動物は、どう扱えばいいのか)
苦肉の策ではじめたのが、このおかしなスキンシップ。
失敗した時のお仕置きが痛くないし怖くないと思えたら、この怯えをなんとかできるかも。少しでも人との触れ合いが怖くなくなれば⋯⋯。
そこには、ジルベルト個人の趣味(小動物を愛でたい)も多分に含まれているが⋯⋯ジルベルト本人は気付いてもいなかった。
上手くいった時は『流石だね』と笑顔で頭を撫で、失敗した時には『お仕置き、なでなでだね~』と笑いながら言い、座学の途中で理解できないことがあった時にも頭を撫でる。
大皿に乗ったパンに手を伸ばせなかった時は、『ここからじゃ手が届かないなあ』と笑いながら、風魔法でロクサーナの髪を揺らす。
ビクビクしていたロクサーナが恥ずかしそうに笑いながら、首をすくめるようになるまで数ヶ月かかった。
聖王との謁見や聖女任命式の参加要請をジルベルトの独断で断りながら、少しずつロクサーナの恐怖心を取り除いていく。
(次のステップは手に触れられるようになる事か、並んで立てるようになる事かな?)
ロクサーナの使う魔法は非常に独特で、一般的に中級魔法や上級魔法と呼ばれるものが簡単に使えるのに、初級魔法でも使えないものがある。詠唱破棄は勿論の事、魔力そのものを打ち出して具現化⋯⋯眼の前に壁を作る事ができる。
(多分、イメージの問題なんだよね。こんな風にやってみたいとかこんな結果にしたいとか⋯⋯それを明確にイメージさせる事ができればいいはず。やりたいと思っていないから、攻撃系は何度説明しても覚えられない)
ロクサーナを連れて夜が明けたばかりの果樹園に行き⋯⋯。
『あの高いところにある林檎を見てて』
ジルベルトが《ウィンドカッター》で林檎のなった枝を切り、ポトンと落ちてきた林檎を見たロクサーナの目が輝いた。
『余分な枝を落としてしまうと木が可哀想だから、風を上手くコントロールしないといけないんだ』
言い訳をしながらロクサーナの後ろに立って狙いの定め方を説明するが、失敗を恐れたロクサーナは木を狙えない。
『ほら、こうやるんだよ。人差し指を伸ばして、指の先から凄く細い風が枝に当たるようにイメージして⋯⋯』
『僕が風を出すから、その魔力の量とか方向を感じてごらん』
話をしながら背後から自然に手を支えて風魔法を放った。
果物を齧る害虫を見つけて《ウィンドランス》を教え、薬草園を荒らすモグラを捕まえる為に《セイバーストリングス》を教えた。
セイバーストリングスは、光剣を極細の糸状に発生させる鞭のように扱う初級の光属性魔法。
頭なでなでから進化した『お仕置き』は、年を重ねるごとに豊富なラインナップになっていき、指導教官の立場でいたジルベルトの気持ちに邪な思いが重なりはじめた。
(いやいやいやいや! 上司が部下に手を出すとかあり得ないから!! 11歳も違うのよ。兄より父親の方が近いくらいだもの、精々親戚の叔父さんポジだわ。成長する姪を愛でるくらい良いじゃない!
そりゃ、いずれは叔父さんから友達に進化したいとは思ってるけど⋯⋯)
海に落ちて意識がなくなったロクサーナを前に、自分の気持ちを誤魔化しきれなくなる⋯⋯この頃のジルベルトは想像もしていなかった。
「お仕置きは一個だけにしてあげるわ。今回だけのサービスだから、好きなのを選んで」
一つだけなら理性が保てるはず⋯⋯保ててないからオネエ言葉になっているが。
「じゃ、じゃあ⋯⋯ト、トントンでお願いしまひゅ」
(ほっぺぷにぷにより背中をトントンされる方が恥ずかしさは少ないし、ぬくぬくは⋯⋯添い寝してガッツリ抱え込むぬくぬく攻撃はもう無理だもん! あ、あれは冬の寒い時にベッドで寝ない時のお仕置きだったんだもん。今は春! 夏が近いくらいの季節ですからぁぁ)
膝に乗せられて背中をトントンされるだけで許されたロクサーナは、巣作りの終わったソファに飛び込んだ。
「ソ、ソファは私の寝床ですからね! ジルベルト司祭の身長じゃあ、ソファでは寝られまへんかな」
見事に噛んだロクサーナは毛布を頭から被って目を瞑った。
翌朝、全員で朝食をとっている時にカーニスとシーミアがやって来た。
「熊は?」
「玄関の外にいるぜ。パーヴォを朝から泣かせるわけにはいかねえからな」
無類の小動物好きのウルサはパーヴォが可愛くて堪らないが、顔を見ただけで泣き出し、たまにお漏らしまで追加になるパーヴォのそばには寄らないと決めている。
「3歳のパーヴォ君にはグラップラーベアは怖すぎるよね~、お漏らししても仕方ないよ」
「流石のウルサも5メートルはないがな」
話が理解できていないパーヴォはスプーンを握り口の端にパンクズをつけたまま、キョトンとロクサーナやカーニスの顔を見ている。
(くっ! 可愛すぎる⋯⋯島に帰ったらパーヴォ君人形を作ってジルベルト人形と並べて飾ろう。アラクネが喜びそう)
「ウルサには申し訳ないけど、パーヴォがもう少し大きくなったら大丈夫だと思うの」
キコーニアが申し訳なさそうにしながら、パーヴォの口元を拭った。
「ウルたん? とーた、ウルたんにこのパンあでてね~」
パーヴォが食べかけのパンをアンセルの前に置いて、新しいパンに手を伸ばした。
「ウ、ウルサに食べかけで、涎つきのパン?」
「おにやでなの~。パーヴォはぁ、ちゅじのおっちなパン!」
「パーヴォからのお土産なんて貰ったら、町中を走り回りそうだわ」
「ちげえねえ。カビが生えるまで家に飾ったり?」
アンセルの家から大きな笑い声が鳴り響いた。
(くそぉ! みんなで楽しそうにしやがって。ちびなら俺を小さくする魔法とか出来んじゃね? 後で聞いてみるか⋯⋯パーヴォ、可愛いもんなぁ)
「急に来たのに朝食までいただいてしまって。ありがとうございます」
「おねぇた、またあとびにくゆ?」
「うん、次はいっぱい遊ぼうね!」
キコーニアと手を繋いでいたパーヴォがロクサーナに飛びついてきた、そのジャンプ力にジルベルトが目を丸くした。
(もしかしてこの子は⋯⋯後でアンセルに聞いてみよう。魔力の流れからして、無意識に身体強化している可能性がある)
「んじゃ、サクッと悪者を退治して⋯⋯思いっきり遊ぶぞぉぉ!」
パーヴォに抱きつかれたままのロクサーナが右手を突き上げた。
「ぜ、全部は無理ぃぃ」
ベッドの上に座り込んだまま見上げるロクサーナの顔が真っ赤になっている。
(可愛いんだけど⋯⋯うーん、このシチュエーションはどうしよう。狭い部屋とベッドは、教会とか開放的な島の雰囲気と違いすぎて⋯⋯俺の理性が持たなそうで失敗かも)
そもそも、お仕置きのはじまりは⋯⋯。
出会った頃、人の気配がしただけで怯えて飛び上がっていた、ロクサーナの恐怖心を消すのが目的だった。
魔法や座学の理解が進んだ時に褒めると困ったように笑い、上手く出来なかった時や覚えられなかった時には、真っ青になって謝りだす。
食事の時正面に座っているジルベルトの顔を見ることもできず、オロオロと目を泳がせて話もできない。それどころか、声をかけただけで少ない食欲が消え失せているように見えた。
ジルベルトと2人きりなのに、大皿に乗った料理に手を出せず、目の前のピッチャーからコップに水を注ぐ事もできなかった。
物を手渡しする事など言語道断といった様子で硬直し、正面に立った時はジリジリと部屋の壁まで後退りして行く。
(このままじゃ聖王様との謁見どころか、仕事なんて出来ない。虐待され続けて怯える小動物は、どう扱えばいいのか)
苦肉の策ではじめたのが、このおかしなスキンシップ。
失敗した時のお仕置きが痛くないし怖くないと思えたら、この怯えをなんとかできるかも。少しでも人との触れ合いが怖くなくなれば⋯⋯。
そこには、ジルベルト個人の趣味(小動物を愛でたい)も多分に含まれているが⋯⋯ジルベルト本人は気付いてもいなかった。
上手くいった時は『流石だね』と笑顔で頭を撫で、失敗した時には『お仕置き、なでなでだね~』と笑いながら言い、座学の途中で理解できないことがあった時にも頭を撫でる。
大皿に乗ったパンに手を伸ばせなかった時は、『ここからじゃ手が届かないなあ』と笑いながら、風魔法でロクサーナの髪を揺らす。
ビクビクしていたロクサーナが恥ずかしそうに笑いながら、首をすくめるようになるまで数ヶ月かかった。
聖王との謁見や聖女任命式の参加要請をジルベルトの独断で断りながら、少しずつロクサーナの恐怖心を取り除いていく。
(次のステップは手に触れられるようになる事か、並んで立てるようになる事かな?)
ロクサーナの使う魔法は非常に独特で、一般的に中級魔法や上級魔法と呼ばれるものが簡単に使えるのに、初級魔法でも使えないものがある。詠唱破棄は勿論の事、魔力そのものを打ち出して具現化⋯⋯眼の前に壁を作る事ができる。
(多分、イメージの問題なんだよね。こんな風にやってみたいとかこんな結果にしたいとか⋯⋯それを明確にイメージさせる事ができればいいはず。やりたいと思っていないから、攻撃系は何度説明しても覚えられない)
ロクサーナを連れて夜が明けたばかりの果樹園に行き⋯⋯。
『あの高いところにある林檎を見てて』
ジルベルトが《ウィンドカッター》で林檎のなった枝を切り、ポトンと落ちてきた林檎を見たロクサーナの目が輝いた。
『余分な枝を落としてしまうと木が可哀想だから、風を上手くコントロールしないといけないんだ』
言い訳をしながらロクサーナの後ろに立って狙いの定め方を説明するが、失敗を恐れたロクサーナは木を狙えない。
『ほら、こうやるんだよ。人差し指を伸ばして、指の先から凄く細い風が枝に当たるようにイメージして⋯⋯』
『僕が風を出すから、その魔力の量とか方向を感じてごらん』
話をしながら背後から自然に手を支えて風魔法を放った。
果物を齧る害虫を見つけて《ウィンドランス》を教え、薬草園を荒らすモグラを捕まえる為に《セイバーストリングス》を教えた。
セイバーストリングスは、光剣を極細の糸状に発生させる鞭のように扱う初級の光属性魔法。
頭なでなでから進化した『お仕置き』は、年を重ねるごとに豊富なラインナップになっていき、指導教官の立場でいたジルベルトの気持ちに邪な思いが重なりはじめた。
(いやいやいやいや! 上司が部下に手を出すとかあり得ないから!! 11歳も違うのよ。兄より父親の方が近いくらいだもの、精々親戚の叔父さんポジだわ。成長する姪を愛でるくらい良いじゃない!
そりゃ、いずれは叔父さんから友達に進化したいとは思ってるけど⋯⋯)
海に落ちて意識がなくなったロクサーナを前に、自分の気持ちを誤魔化しきれなくなる⋯⋯この頃のジルベルトは想像もしていなかった。
「お仕置きは一個だけにしてあげるわ。今回だけのサービスだから、好きなのを選んで」
一つだけなら理性が保てるはず⋯⋯保ててないからオネエ言葉になっているが。
「じゃ、じゃあ⋯⋯ト、トントンでお願いしまひゅ」
(ほっぺぷにぷにより背中をトントンされる方が恥ずかしさは少ないし、ぬくぬくは⋯⋯添い寝してガッツリ抱え込むぬくぬく攻撃はもう無理だもん! あ、あれは冬の寒い時にベッドで寝ない時のお仕置きだったんだもん。今は春! 夏が近いくらいの季節ですからぁぁ)
膝に乗せられて背中をトントンされるだけで許されたロクサーナは、巣作りの終わったソファに飛び込んだ。
「ソ、ソファは私の寝床ですからね! ジルベルト司祭の身長じゃあ、ソファでは寝られまへんかな」
見事に噛んだロクサーナは毛布を頭から被って目を瞑った。
翌朝、全員で朝食をとっている時にカーニスとシーミアがやって来た。
「熊は?」
「玄関の外にいるぜ。パーヴォを朝から泣かせるわけにはいかねえからな」
無類の小動物好きのウルサはパーヴォが可愛くて堪らないが、顔を見ただけで泣き出し、たまにお漏らしまで追加になるパーヴォのそばには寄らないと決めている。
「3歳のパーヴォ君にはグラップラーベアは怖すぎるよね~、お漏らししても仕方ないよ」
「流石のウルサも5メートルはないがな」
話が理解できていないパーヴォはスプーンを握り口の端にパンクズをつけたまま、キョトンとロクサーナやカーニスの顔を見ている。
(くっ! 可愛すぎる⋯⋯島に帰ったらパーヴォ君人形を作ってジルベルト人形と並べて飾ろう。アラクネが喜びそう)
「ウルサには申し訳ないけど、パーヴォがもう少し大きくなったら大丈夫だと思うの」
キコーニアが申し訳なさそうにしながら、パーヴォの口元を拭った。
「ウルたん? とーた、ウルたんにこのパンあでてね~」
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「ウ、ウルサに食べかけで、涎つきのパン?」
「おにやでなの~。パーヴォはぁ、ちゅじのおっちなパン!」
「パーヴォからのお土産なんて貰ったら、町中を走り回りそうだわ」
「ちげえねえ。カビが生えるまで家に飾ったり?」
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「急に来たのに朝食までいただいてしまって。ありがとうございます」
「おねぇた、またあとびにくゆ?」
「うん、次はいっぱい遊ぼうね!」
キコーニアと手を繋いでいたパーヴォがロクサーナに飛びついてきた、そのジャンプ力にジルベルトが目を丸くした。
(もしかしてこの子は⋯⋯後でアンセルに聞いてみよう。魔力の流れからして、無意識に身体強化している可能性がある)
「んじゃ、サクッと悪者を退治して⋯⋯思いっきり遊ぶぞぉぉ!」
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