【完結】亡くなった婚約者の弟と婚約させられたけど⋯⋯【正しい婚約破棄計画】

との

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26.得意技は、誘導尋問

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「ウ、ウェイン・マーシャルって会計の?」

 呆然としていたジェラルドはライラと目があった瞬間『全てを知ってる』んだと気が付いた。

(そうか、ライラがさっき言っていた『学園に入れない人』はウェインで、奴があの日学園に来たことも知っているんだ。さっきライラが言っていたのは⋯⋯まさか、奴に見られていたのか!?)



 目撃者がいるなら逃げ道なんてない、罪を認めるしかないと観念したジェラルドだったが、ふと⋯⋯ウェインも横領の共犯だし、元々ウェインの妹が強欲だったからやらざるを得なかったんじゃないか⋯⋯と思いついた。

(俺はやりたくてはじめたわけじゃない。ルシンダに脅されなければあんな事しなかった! それに、ウェインが見たとしてもそれ以外にいないなら⋯⋯証拠だってないんだし、横領の大半はウェインでハーヴィーの事もウェインだと言えば王宮勤めの伯爵家なんかよりメイヨー公爵家嫡男の方が信用がある。
我が家は王家とも繋がっているんだから)



「そう、前年の生徒会会計で突然退学したあのウェイン・マーシャル」

(ウェインの名前を出した途端ジェラルドが元気を取り戻したわ。考えてることが丸わかりで吐き気がしそう)


「い、いや。それは知らなかった⋯⋯ライラは随分と情報が早いんだな」

「たまたまかな? 彼は生徒会の経費を横領していて、その罪から逃げるために退学したって」

「それじゃあもうじき学園から連絡が来るかもしれないな。ハーヴィーがいない今私が会長代理だったからね。しかし、彼は⋯⋯証拠とか、その。そういうものは見つかっているのかな?」



「横領額なんだけど、かなりの金額で会計だけの決済では通らない金額だって。ジェラルドのサインがあったんだよね」

「横領に加担していた事は認めるよ。ウェインがやっているのを見つけた後、俺もいくらか融通してもらったからね。
その分はキチンと返済して学園に謝罪する」


「どちらがどれだけのお金を使ったかなんて、一年間の行動を調べてみればきっとわかるでしょうね」

「⋯⋯ああ、そうだね」

「ジェラルドがルシンダや女優と浮気していた事、他から聞く前にちゃんと話したほうが良いと思うわ」

「そんな! それは内密にしてもらえるよう話をするつもりだからライラも言わないでくれ。わざわざミリセントを傷つける必要なんてないだろう?」

「浮気をした事で既に傷つけてるわ! このまま黙って結婚する気なの? その後でミリセントが知ったらどんな気持ちになるか考えたことがあるの!?」

「だから、傷つけない⋯⋯ルシンダの言いなりにプレゼントしたのだってミリセントを守るためだったんだ」

「本当に呆れた人ね。さっきはハーヴィーが首席で生徒会長になったせいで、次はルシンダが強欲なせい。
そして、今度はミリセントを守るため? 何もかも人のせいにしないで!!」

「だって」

「ルシンダはジェラルドを脅しに来ないって断言できるの? ミリセントに話に行かないって言える? とっくの昔に誰かに話してるかもって思わない?
お気に入りだった女優にだって同じことが言えるでしょう!?」

「それは⋯⋯」

「そうなる前に手を下すのかしら、ハーヴィーみたいに⋯⋯事故に見せかける?」

「あれは俺じゃない! ウェインがやったんだ。間違いないよ」

「何故そう思うのか理解できないわ」


「簡単な事じゃないか。さっきライラが話したハーヴィーの最後、ウェインが喋ったんだろ? 自分がしでかした事だから話せたんだよ。しかもそれを俺のせいにしようとするなんて悪質すぎる」

「ジェラルドは学園に行ってないし何もしていないの?」

「ああ、勿論だとも」


「ならあの日の行動を調べられても問題はないわね。用事があったんだったかしら? 何時に屋敷を出て何をしてたのか念入りに詳しく詳細な調査をお願いしなくてはね。
高位貴族の犯罪だから、警ら隊ではなくて第二騎士団が担当してくれるのは安心ね。第二なら公爵家であろうと容赦しないって評判ですもの」

「⋯⋯ターニャ王女なら知ってるから俺の話を理解してくれるはずだよ。ライラにはわからないだろうが⋯⋯メイヨー公爵家は王族とも繋がりのある家系だからね、醜聞に巻き込まれるのは良くないんだ」

 暗にプリンストン侯爵家なんかとは違うと言いたいらしい。

 確かに、プリンストン侯爵家は強引な取引で資産を増やし侯爵家になった新興の成り上がり貴族。裏取引や詐欺まがいの取引の噂もあり評判も悪く由緒正しい貴族からは嫌われている。



「色々お話を聞けたし、後は司法に任せるわね。今朝の襲撃犯は直接の依頼人も含めて捕縛してあるんだけど、彼等はこの箱を狙っていたって証言してるの。今朝の時点でこの箱の存在を知っていて、私がこの箱を持ち出す事を知っていたのは誰だったかしら?
ねえ、ジェラルド以外にそんな人いた?」

「⋯⋯」

 立場が逆転し余裕を見せていたジェラルドがまた顔色を悪くしたが作戦を思いついたのか開き直ったのか、ライラの顔を見て話しはじめた。


「その箱には横領に関する資料が入っていてそれを奪って隠蔽したかったのかもしれないな。だけど、それが俺だなんて証拠はないだろう? 誰かが行動を陰から見ていた可能性だってあるし、箱の存在は生徒会役員なら全員知っていたしね」

「確かに横領の証拠は入ってたわ。架空の商会の調査資料から全て」

「開けて中をみたのか!? 鍵は持ってないって言ったじゃないか!」

鍵を持ってないって言ったの。中身を確認していないなんて一言も言ってない」

「くそ! でも、だからって俺の仕業とは言えん!!」

「生徒会室をいくら探しても何もなかったでしょう? それにね、この箱には他にも入っていたし⋯⋯。
それに、私はジェラルドがやったって確信を持ってるわ」


 ライラお得意の曖昧な言い方。箱には確かに他にも⋯⋯貿易会社とターンブリー侯爵家の不正資料が⋯⋯入っていた。

 ライラがジェラルドの犯行だと確信しているのは箱の中身とは関係ないが、中身を見て確信を持ったとも言っていない。

(勝手に勘違いしてボロを出してくれるだけだもの。法には触れてないわよね)



「なんでそんな大切な箱をここに持ってきたんだ? 不正の資料が本当に入っているなら、それをここに持ってくるなんて⋯⋯それに、他に入っているのはなんだ?」

 ジェラルドはギラつく目で箱を見つめた。

(箱⋯⋯まさかハーヴィーの血がついていたのか?
くそっ! これさえなければまだ誤魔化せる、その後で必要があればライラの口を封じてしまえば⋯⋯ノアはいないし。
父上も母上も出かけておられるから使用人だけならなんとでも誤魔化せる。
女がひとりで証拠を抱えてやってくるとか、馬鹿すぎて笑える)



「この後そのまま騎士団に出向くつもりだし、その前にジェラルドと本気で話し合いたかったから持ってきたの。ずっと気になっていたんでしょう? 横領と殺人がいつバレるのか怯えて。中には⋯⋯」

 言葉を切って大きなため息をついたライラは腰を浮かせて箱に手を伸ばした。

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