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2.売り込み先は
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「どうやって売るの? キャンベル伯爵に見つかったらヤバくない?」
「アーリントン公爵夫人に売り込みに行くわ」
「マジ? 確かにあの方は社交界でもファッションリーダーとして有名だけど、失敗したらそれで終わりよ。
誰も見向きしてくれなくなるわ」
「その代わり、売り込みに成功したらその後確実にやっていける。
他の人に気に入られても、アーリントン公爵夫人に駄目出しされたら終わりだもの。それなら初めから公爵夫人にアタックするわ」
クロエがスケッチブックをパラパラと捲りながら、感心したように溜め息をついた。
「シエナってさ、見た目と違って勝負師よね」
「?」
「キャンベル伯爵達も騙されてるんじゃないかしら。あの女なら大人しいから、放っておいても大丈夫って」
「うーん、そうかも。定期的に弁護士と会計士がやって来て監査するだけだもの。言われてみれば、舐められてるわね」
クロエは布とスケッチブックを持ち、仕立て屋の元へ向かった。
シエナが商会に戻り、ダートマス侯爵のウエストコートのデザインをしていると、営業担当のルカ・ワトソンが帰ってきた。
「えーっと、クロエは?」
「外出してる。商会の仕事じゃないんだけど、ちょっと用事を頼んだの」
ルカがシエナの顔を覗き込んできた。
「⋯⋯何か俺に隠してることない? ここんとこ二人とも妙にコソコソしてる」
「クロエが帰ってきたら話すわ。とっても大事な話だから、ルカには聞いてもらわなくちゃと思ってたの」
「今まで仲間外れにしてた癖に」
「そんなんじゃないの。ある程度形になってから話したいと思っただけ。
ルカは客先でキャンベル伯爵に遭遇する事があるって言ってたから、知らせるのは出来る限りギリギリにしたかったの」
「つまり、それ関係なんだ」
「ええ、そういう事」
「俺がチクるとか?」
「違うわ、隠し事があると余計な神経を使わせるかもって思っただけ。ねえ、ダートマス侯爵のウエストコートだけど、こんな感じで良いかしら?」
話を終わらせようとしたシエナは、ルカにスケッチブックを押し付けた。
「良いんじゃない? ダートマス侯爵はシエナのデザインなら何でもOKするからね」
「ルカ、それ良い加減すぎるんじゃない?
営業として、侯爵と打ち合わせしてきたんでしょ? その時の希望が、ちゃんと反映されてるか確認してくれなくちゃ」
「いつも通り、グリーンを基調にしてくれるかな? 妻の目の色と同じで」
ルカが手を擦り合わせながら、ダートマス侯爵の物真似をした。
「ぷっ、ねぇダートマス侯爵ってほんとにそんな話し方なの? 揶揄ってるの?」
「マジだって、今度一緒に行ってみる? 侯爵は会いたがってるから喜ぶと思うよ」
「私がデザインしてるってバレるのは困るの。それも後で一緒に説明するわ」
二時間後クロエが帰ってきた。
「アーリントン公爵夫人に売り込みに行くわ」
「マジ? 確かにあの方は社交界でもファッションリーダーとして有名だけど、失敗したらそれで終わりよ。
誰も見向きしてくれなくなるわ」
「その代わり、売り込みに成功したらその後確実にやっていける。
他の人に気に入られても、アーリントン公爵夫人に駄目出しされたら終わりだもの。それなら初めから公爵夫人にアタックするわ」
クロエがスケッチブックをパラパラと捲りながら、感心したように溜め息をついた。
「シエナってさ、見た目と違って勝負師よね」
「?」
「キャンベル伯爵達も騙されてるんじゃないかしら。あの女なら大人しいから、放っておいても大丈夫って」
「うーん、そうかも。定期的に弁護士と会計士がやって来て監査するだけだもの。言われてみれば、舐められてるわね」
クロエは布とスケッチブックを持ち、仕立て屋の元へ向かった。
シエナが商会に戻り、ダートマス侯爵のウエストコートのデザインをしていると、営業担当のルカ・ワトソンが帰ってきた。
「えーっと、クロエは?」
「外出してる。商会の仕事じゃないんだけど、ちょっと用事を頼んだの」
ルカがシエナの顔を覗き込んできた。
「⋯⋯何か俺に隠してることない? ここんとこ二人とも妙にコソコソしてる」
「クロエが帰ってきたら話すわ。とっても大事な話だから、ルカには聞いてもらわなくちゃと思ってたの」
「今まで仲間外れにしてた癖に」
「そんなんじゃないの。ある程度形になってから話したいと思っただけ。
ルカは客先でキャンベル伯爵に遭遇する事があるって言ってたから、知らせるのは出来る限りギリギリにしたかったの」
「つまり、それ関係なんだ」
「ええ、そういう事」
「俺がチクるとか?」
「違うわ、隠し事があると余計な神経を使わせるかもって思っただけ。ねえ、ダートマス侯爵のウエストコートだけど、こんな感じで良いかしら?」
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「良いんじゃない? ダートマス侯爵はシエナのデザインなら何でもOKするからね」
「ルカ、それ良い加減すぎるんじゃない?
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「いつも通り、グリーンを基調にしてくれるかな? 妻の目の色と同じで」
ルカが手を擦り合わせながら、ダートマス侯爵の物真似をした。
「ぷっ、ねぇダートマス侯爵ってほんとにそんな話し方なの? 揶揄ってるの?」
「マジだって、今度一緒に行ってみる? 侯爵は会いたがってるから喜ぶと思うよ」
「私がデザインしてるってバレるのは困るの。それも後で一緒に説明するわ」
二時間後クロエが帰ってきた。
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