3 / 14
お父様たちの帰還
しおりを挟む
卒業間近の今、学園から帰ると意外と暇を持て余してしまいます。今までなら予習復習課題の提出等々、それに加えて淑女教育もありましたし。
淑女教育は普通、15歳位までには終わらせるものと言われております。我が家では、
「慌てなくても良いのでは? のんびりやりましょう」
と言う、お母様の教えの元、学園卒業に間に合えば良いので割と気楽でした。それも最近漸く終わりましたの。
妹はなぜか、10歳のころには淑女教育を終わらせていましたの。その理由が、
「私はとっても忙しいの」
だそうで、本当によくわからない妹です。貴族の令嬢が、なぜそんなに忙しいのか不思議でなりません。
刺繍は苦手ですし、本を読むと言うのもあまり好きではありません。兎に角暇です。
私の得意は楽器全般と声楽です。いつもなら音楽室でピアノを・・と思いますが、今は妹に会わないよう大人しくしている事にしましょう。お父様達とのお話が終わるまでは、何がなんでも妹回避です。妹? 大好きですよ、勿論。
結婚? 全然夢を描いたことはございませんでした。
だって、どうせどこかの貴族から、政略結婚の申し込みが来るのですから。今でも勿論、いろいろな方からのお申し込みは頂いておりましたけれど。
お父様達は、
「ゆっくり考えて、自分で決めれば良いからね」
と仰ってくださいますが、やっぱり自由恋愛というわけにはいかないと、思っておりましたの。
ところが、仲良くしていただいていたリオンから、まさかの結婚の申し込み。すっかり舞い上がってしまいました。
お父様達は中々お戻りになられません。
こんな事なら、学園から王宮へ直接行った方が良かったかしらと、溜息をつき始めた頃、
「ご主人様奥方様、お戻りになられました」
と、メイドが知らせてくれました。
「お召し変えを済まされたら、談話室の方へいらっしゃるとのことです」
「わかったわ。では、少ししたら私も参ります」
さあ、お父様お母様をびっくりさせて差し上げますわ。
ドキドキしながら談話室へ参ります。お父様達からどんなお言葉をいただけるのか、とても楽しみです。
談話室はお母様の好みが強く反映されています。
淡いベージュを基調に、薄いピンクのカーテン。観葉植物が窓際や壁沿いに、沢山置かれています。白と金を基調にした暖炉には、ほんの1ヶ月前までは赤々と火が灯されており、毎日家族でお喋りを楽しんでおりました。
メイドに談話室のドアを開けてもらい、一歩足を踏み入れたのですが、
「げっ!」
思わず王女らしからぬ声が出てしまいました。
だって、並んで座るお父様とお母様の前に、妹がゆったりと座りお茶を飲んでいるのですもの。
一気に緊張してまいりました。
淑女教育は普通、15歳位までには終わらせるものと言われております。我が家では、
「慌てなくても良いのでは? のんびりやりましょう」
と言う、お母様の教えの元、学園卒業に間に合えば良いので割と気楽でした。それも最近漸く終わりましたの。
妹はなぜか、10歳のころには淑女教育を終わらせていましたの。その理由が、
「私はとっても忙しいの」
だそうで、本当によくわからない妹です。貴族の令嬢が、なぜそんなに忙しいのか不思議でなりません。
刺繍は苦手ですし、本を読むと言うのもあまり好きではありません。兎に角暇です。
私の得意は楽器全般と声楽です。いつもなら音楽室でピアノを・・と思いますが、今は妹に会わないよう大人しくしている事にしましょう。お父様達とのお話が終わるまでは、何がなんでも妹回避です。妹? 大好きですよ、勿論。
結婚? 全然夢を描いたことはございませんでした。
だって、どうせどこかの貴族から、政略結婚の申し込みが来るのですから。今でも勿論、いろいろな方からのお申し込みは頂いておりましたけれど。
お父様達は、
「ゆっくり考えて、自分で決めれば良いからね」
と仰ってくださいますが、やっぱり自由恋愛というわけにはいかないと、思っておりましたの。
ところが、仲良くしていただいていたリオンから、まさかの結婚の申し込み。すっかり舞い上がってしまいました。
お父様達は中々お戻りになられません。
こんな事なら、学園から王宮へ直接行った方が良かったかしらと、溜息をつき始めた頃、
「ご主人様奥方様、お戻りになられました」
と、メイドが知らせてくれました。
「お召し変えを済まされたら、談話室の方へいらっしゃるとのことです」
「わかったわ。では、少ししたら私も参ります」
さあ、お父様お母様をびっくりさせて差し上げますわ。
ドキドキしながら談話室へ参ります。お父様達からどんなお言葉をいただけるのか、とても楽しみです。
談話室はお母様の好みが強く反映されています。
淡いベージュを基調に、薄いピンクのカーテン。観葉植物が窓際や壁沿いに、沢山置かれています。白と金を基調にした暖炉には、ほんの1ヶ月前までは赤々と火が灯されており、毎日家族でお喋りを楽しんでおりました。
メイドに談話室のドアを開けてもらい、一歩足を踏み入れたのですが、
「げっ!」
思わず王女らしからぬ声が出てしまいました。
だって、並んで座るお父様とお母様の前に、妹がゆったりと座りお茶を飲んでいるのですもの。
一気に緊張してまいりました。
42
あなたにおすすめの小説
婚約者に「愛することはない」と言われたその日にたまたま出会った隣国の皇帝から溺愛されることになります。~捨てる王あれば拾う王ありですわ。
松ノ木るな
恋愛
純真無垢な侯爵令嬢レヴィーナは、国の次期王であるフィリベールと固い絆で結ばれる未来を夢みていた。しかし王太子はそのような意思を持つ彼女を生意気だと疎み、気まぐれに婚約破棄を言い渡す。
伴侶と寄り添う幸せな未来を諦めた彼女は悲観し、井戸に身を投げたのだった。
あの世だと思って辿りついた先は、小さな貴族の家の、こじんまりとした食堂。そこには呑めもしないのに酒を舐め、身分社会に恨み節を唱える美しい青年がいた。
どこの家の出の、どの立場とも知らぬふたりが、一目で恋に落ちたなら。
たまたま出会って離れていてもその存在を支えとする、そんなふたりが再会して結ばれる初恋ストーリーです。
婚約破棄されたはずなのに、元婚約者が溺愛してくるのですが
ルイス
恋愛
「シルヴィア、私が好きなのは幼馴染のライナだ! お前とは婚約破棄をする!」
「そんな! アルヴィド様、酷過ぎます……!」
伯爵令嬢のシルヴィアは、侯爵のアルヴィドに一方的に婚約破棄をされてしまった。
一生を仕える心構えを一蹴されたシルヴィアは、精神的に大きなダメージを負ってしまった。
しかし、時が流れたある日、アルヴィドは180度態度を変え、シルヴィアを溺愛し再び婚約をして欲しいと言ってくるのだった。
シルヴィアはその時、侯爵以上の権力を持つ辺境伯のバルクと良い関係になっていた。今更もう遅いと、彼女の示した行動は……。
【完結】悪役令嬢の本命は最初からあなたでした
花草青依
恋愛
舞踏会の夜、王太子レオポルドから一方的に婚約破棄を言い渡されたキャロライン。しかし、それは彼女の予想の範疇だった。"本命の彼"のために、キャロラインはレオポルドの恋人であるレオニーの罠すらも利用する。 ■王道の恋愛物(テンプレの中のテンプレ)です。 ■三人称視点にチャレンジしています。 ■画像は生成AI(ChatGPT)
姉に婚約破棄されるのは時間の問題のように言われ、私は大好きな婚約者と幼なじみの応援をしようとしたのですが、覚悟しきれませんでした
珠宮さくら
恋愛
リュシエンヌ・サヴィニーは、伯爵家に生まれ、幼い頃から愛らしい少女だった。男の子の初恋を軒並み奪うような罪作りな一面もあったが、本人にその自覚は全くなかった。
それを目撃してばかりいたのは、リュシエンヌの幼なじみだったが、彼女とは親友だとリュシエンヌは思っていた。
そんな彼女を疎ましく思って嫌っていたのが、リュシエンヌの姉だったが、妹は姉を嫌うことはなかったのだが……。
婚約破棄された令嬢は、それでも幸せな未来を描く
瑞紀
恋愛
伯爵の愛人の連れ子であるアイリスは、名ばかりの伯爵令嬢の地位を与えられていたが、長年冷遇され続けていた。ある日の夜会で身に覚えのない婚約破棄を受けた彼女。婚約者が横に連れているのは義妹のヒーリーヌだった。
しかし、物語はここから急速に動き始める……?
ざまぁ有の婚約破棄もの。初挑戦ですが、お楽しみいただけると幸いです。
予定通り10/18に完結しました。
※HOTランキング9位、恋愛15位、小説16位、24hポイント10万↑、お気に入り1000↑、感想などなどありがとうございます。初めて見る数字に戸惑いつつ喜んでおります。
※続編?後日談?が完成しましたのでお知らせ致します。
婚約破棄された令嬢は、隣国の皇女になりました。(https://www.alphapolis.co.jp/novel/737101674/301558993)
残念ですが、その婚約破棄宣言は失敗です
結城芙由奈@コミカライズ3巻7/30発売
恋愛
【婚約破棄宣言は、計画的に】
今夜は伯爵令息ブライアンと、同じく伯爵令嬢キャサリンの婚約お披露目パーティーだった。しかしブライアンが伴ってきた女性は、かねてより噂のあった子爵家令嬢だった。ブライアンはキャサリンに声高く婚約破棄宣言を突きつけたのだが、思わぬ事態に直面することになる――
* あっさり終わります
* 他サイトでも投稿中
【完結】華麗に婚約破棄されましょう。~卒業式典の出来事が小さな国の価値観を変えました~
ゆうぎり
恋愛
幼い頃姉の卒業式典で見た婚約破棄。
「かしこまりました」
と綺麗なカーテシーを披露して去って行った女性。
その出来事は私だけではなくこの小さな国の価値観を変えた。
※ゆるゆる設定です。
※頭空っぽにして、軽い感じで読み流して下さい。
※Wヒロイン、オムニバス風
皇太子殿下の御心のままに~悪役は誰なのか~
桜木弥生
恋愛
「この場にいる皆に証人となって欲しい。私、ウルグスタ皇太子、アーサー・ウルグスタは、レスガンティ公爵令嬢、ロベリア・レスガンティに婚約者の座を降りて貰おうと思う」
ウルグスタ皇国の立太子式典の最中、皇太子になったアーサーは婚約者のロベリアへの急な婚約破棄宣言?
◆本編◆
婚約破棄を回避しようとしたけれど物語の強制力に巻き込まれた公爵令嬢ロベリア。
物語の通りに進めようとして画策したヒロインエリー。
そして攻略者達の後日談の三部作です。
◆番外編◆
番外編を随時更新しています。
全てタイトルの人物が主役となっています。
ありがちな設定なので、もしかしたら同じようなお話があるかもしれません。もし似たような作品があったら大変申し訳ありません。
なろう様にも掲載中です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる