DRAGGY!ードラギィ!ー【フラップ編(リライト)2/18連載開始!】

Sirocos(シロコス)

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〈フレデリック/しろさん編〉

第四話 2

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    『「思い出しませんか? この白いぜんまいネズミによくにた、
        いやーなネズミ博士がいたはずでしょう?」』

**************************************

 壇上だんじょう招待しょうたいされたビオラ博士。
たしかに彼女かのじょは、ネズミのわしでも分かるほど、うつくしさと色気いろけがあった。
わしもはじめて見たとき、一瞬いっしゅんだが、彼女の姿すがたにまどわされそうになった。

「ルドルフ様。ここ最近さいきん、わたしへのメカ開発かいはつ発注はっちゅうが多いのでは?
こちらもきであなた方の活動かつどう協力きょうりょくしているわけではありませんの」

「そないれないこと言うなて~。ワイとお前のふたりがそろってるから、
次々とナイスなメカが誕生たんじょうしとるんや」

 ルドルフはわざとらしくうで天井てんじょうへ広げ、
まるで舞台上ぶたいじょう演技えんぎしているようなそぶりを見せた。

「ワイが珍生物捕獲用ちんせいぶつほかくようのナイスなメカを発案はつあんし、お前がそれを開発する。
この二人三脚ににんさんきゃくは、野良猫のらねこの世界に高らかにとどろくビッグパワーや。
ほかのだれにも、ゆずる気はあらへんでえ!」

「――本当にそうなのですか? ここ最近、
あなた以外いがいのだれかの発案はつあんもまじっているように思いますけども。
まあ、先頭せんとうに黒猫の顔がついたあの巨大トラックより何十倍もマシですが。
その方の発案はつあんは、どれも実用性じつようせいがあって、知性ちせいの高さがうかがえますもの」

 ビオラ博士は、やりきれないような調子ちょうしで両手を広げた。

「――と、そんなことを話すためにたんじゃありませんでしたわ。
わたしがここへ来たのは、ルドルフ様にお伝えしたいことがあるからですの」

「ほう、なんやなんや? ついにワイのプロポーズにこたえてくれるんか?」

「それだけはひゃくパーセントありません。今後こんごもいっさい。
何が言いたいかと言いますと――」

 ビオラ博士は、片耳かたみみをぴくりとさせた。

「――それをおつたえする前に、
まずは、あそこのカベにはりついている小さな機械きかいつかまえなくては」


 ビオラ博士がゆびをさすと、猫たちがいっせいに後ろをふりかえった。


「あぁーっ! あんなところに!」

「なんや、あのちっこいネズミみたいなの!」

背中せなかについとんの、なにあれ、ぜんまい?」


 しまった。とうとう気づかれてしまった! はやげなければ――


 なあんてな。わしのぜんまいネズミは、逃げもかくれもしない。
必要ひつよう情報じょうほうはもう手に入れてしまったからだ。

 ニャー! ニャー! ニャゴ! ウニャアー!

 部屋が一時いちじそうぞうしくなった。
子分猫こぶんねこたちが、われ先にとびかかってきたのだ。
わしのぜんまいネズミは、その拍子ひょうしにカベからびょーんとふっとび、
動かずにじっとしていた一匹のデブ猫にキャッチされてしまった。
だが、ぜんまいネズミはわしのプログラムどおり、あばれはしなかった。

 ぜんまいネズミをうけとったルドルフは、こちらを苦々にがにがしくにらみつけた。

「こいつ、目玉めだまがカメラになっとんぞ。どこのがねやねん」

 いっぽう、ビオラ博士は、無抵抗むていこうなわしのメカを見て、
少しのあいだ考えこんでいたが、ふと、何かをさとったように顔をあげた。

「なるほど。ふうん、なるほどねえ……戻ってきていたとは」

「どないしたんや、博士?」

「このこだわりある白色。先進的せんしんてきなフォルム。走行音を消す特殊とくしゅなタイヤ。
それでいて、無駄むだなものを取りつけられるほど余裕よゆうのある設計せっけい
そして、おのれの暗躍あんやくをあえて明示めいじするかのような、ネズミのデザイン」

「はぁ?」

「思い出しませんか? この白いぜんまいネズミによくにた、
いやーなネズミ博士がいたはずでしょう?」

「ま、まさかぁ……!」

 ルドルフは、わなわなと口元くちもとをふるわせた。
そうだ、彼らは知っているのだ。このわしのことを。わすれたとは言わせまい。

「ふっふふふふ……」

 突然とつぜん不気味ぶきみな声でほくそんだではないか。

「そういうことかいな。やっと分かったでえ。
あのレン少年たちが使うてた、体ちぢめるへんなバンドも、
ドラギィたちが突然姿を消すために首にいとった、あのみょうな首輪くびわも、
これでみーんな説明せつめいがつくで。
しっかし、最後さいごうたのはいつやったかなあ。
もうちょいのところで捕まえそこなった、あのいけかない――。
ふふっ、おもろなってきたやないか」

うれしそうですわね。まあ、それはわたしも同じですが」

 子分の猫たちは、ふたりがどうしてあやしげなほほ笑みをうかべているのか、
まったく分かっていないらしい。全員ぜんいんがポカンとした表情ひょうじょうをしていた。

「ところで、そのぜんまいネズミはどうなさるおつもりですの?」

「もちろん、こわすに決まっとるやろ!
けどなあ、あいつが生でワイらの会話かいわを聞いとるっちゅうことなら、
もう少しこのまま何もせんでいてやろうやないか」

挑発ちょうはつ、ですのね。ふふっ、ルドルフ様らしいですわ。
でしたらここで、わたしから一つ、とっておきの情報を」

「ほう、そらなんやねん?」

「その白ネズミの博士ですが、近々ドラギィと子どもたちとともに、
行動を起こすことが分かりましたわ。
部下ぶかのチャビまるさんに、わたしからレン少年の見張みはりをお願いしていましたので。
そうですね、チャビ丸さん?」

「あ、はい!」チャビ丸とばれたブチ猫が立ち上がった。

昨日きのう午後四時ごごよじごろのことやったんですけど、
レン少年とそのお友だち三人があつまって、
なんかスマホでだれかと交信こうしんしながら、話しおうてるのを聞きました。
その内容ないようは、えーっと、ブリなんとかいうやつのために、
強い生物がいる裏世界うらせかいを見つけてやろうっちゅうハナシでした」

「ブリ? 強い生物?」

 ルドルフは、ちょっと引っかかったような複雑ふくざつな表情をした。

「ブリっちゅうと、あのでかい魚しか思いうかばんわな。
もうずいぶんと食ってへんわぁ、ブリ。はぁ~、ひさびさにかぶりつきたい」

 やれやれ――。ビオラ博士がまたもや首を横にふる。

「そのブリではないと思いますわ。
おそらく、新しいドラギィが仲間になったのでしょう」

「なんやて!? あいつら、いつのえよったんや。
そういうことなら、ますます捕まえがいがあるわな」

 ルドルフは、あらためて子分たちのほうをむいて、こう言いはなった。

「よっしゃ! なんや知らんが、あいつらが強い生物をさがしとるっちゅうなら、
ワイらが先に見つけて、横取よこどりしたろやないか!
幸い、こっちにはビオラ博士が最近発明さいきんはつめいしてくれた、
異界穴いかいあなをこじ開けるごっついメカがあるさかいな」

「ふふふっ、何度なんども言いましたけど、苦労くろうしましたのよ。あれを開発するのは」

 今後こんごのプランが決まったおかげか、
子分の猫たちが、にわかに興奮こうふんしはじめた。

 そしてルドルフは、子分から鋼鉄製こうてつせいのハンマーをうけとると、
ゆかろしたぜんまいネズミに、いや、わしにむかってこう言った。

「そういうこっちゃ、このいけ好かないネズミ博士。
お前のドラギィたちは、ワイが今度こそこそぎいただいたるさかい、
せいぜいワイにふみつけにされんよういのっとくんやな!」


 ガ――ン! ビビビ、ガガガッ!


 ハンマーがふり下ろされた直後、映像えいぞう暗転あんてんした。
 
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