31 / 116
〈フレドリクサス編〉
14『臭くて危ない怪物は、すぐお帰りください!』②
しおりを挟む
ルドルフの号令とともに、三十を超える猫どもが、
一斉に黒猫カーの中へ避難をはじめました。
ヨシもこれには腰をぬかしたのか、
脇目もふらずに猫どものあとに続きます――が、
「ああっ!」
ヨシは小石にけっつまずいて、転倒してしまいました。
「小野寺!」
レンは小野寺のもとへ駆けつけようとしますが、
その前に巨大イカの足が伸びてきて、レンを捕えてしまいます。
「逃げろ、小野寺ー!」
(あいつ、今……)
ぼくに手を差しのべようとした? 呆然としてそう思っていると、
もう一本の足が伸びてきて、たちどころにヨシを捕まえてしまいました。
「うわ~~~っ!」「放せよー、コノヤロー!」
ジュンとタクも、イカ足のえじきになっていました。
このままでは、子どもたち四人とも、巨大イカに連れ去られてしまいます!
「フリーナ、ぼくを手伝って!」
フラップは巨大化してから、巨大イカの頭にむかってしゅうっと飛んでいくと、
その先端をつかんで、巨大イカを逃がすまいと引っぱりました。
フリーナも、なんとなく意図を察して、
フラップのもとに駆けつけると、いっしょにその頭を引っぱります。
臭いうえに、ヌルヌルした身体が気持ち悪い! フリーナにはこたえました。
フレディはただひとり、空中で立ちすくんでいました。
瞳に涙を浮かべながら、呆然となりゆきを見つめています。
(無理だ。こんなやつ相手に、ぼくらがかないっこない)
もしもこの場に、ぼくがあの時に会った『彼』が駆けつけてくれれば、
状況はまるで違うだろうに。
(ああ何か、この状況を一発で逆転できる方法があれば……)
逆転、する? 逆転させる?
フレディの頭に、砂時計がそっくりひっくり返るような、名案が浮かびました!
「みんな! 少しの間だけねばっててくれ!!」
フレディは、ぐいっと涙をぬぐうと、身体に力をこめて巨大化し、
湖にむかって飛びこんでいきました。
ザッパァァン!
水鳥のように水中へと消えていったフレディ。
フラップとフリーナには、フレディの行動の意図がまったく読めません。
「フレディは何するつもりなのーっ!?」
「分からないよっ! ……とにかくこいつをっ、足止めするんだっ!」
巨大イカとの攻防が続き、ドラギィたちの引く力にも、限界が近づいてきました。
「あーん! おたがいっ、元気ドリンクもっ、全部飲み干しちゃったしっ。
このままじゃっ、ホントになんにもっ、できなくなっちゃうヨ~ッ!」
その時でした。
湖の中心が、ザァーザァーと妙に騒がしくなってきたのです。
フラップが目をこらしてみると、とんでもないものが瞳に映りました。
「ああ~っ、なんだあれ!」
渦潮です! ものすごく大きな!
逆巻くような白波を立てて、
湖に満ちた海水が、湖底へと吸いこまれているように見えます。
ザアアァァァァァァーー!!
渦潮はみるみる大きく、深くまでうねって落ちこんでいき、
視界いっぱいに広がる湖の水が、恐ろしい勢いでなくなっていくのです。
まるで、水底をふさいでいた巨岩のようなコルク栓が、スポンとぬけたよう!
ぐごごおおぉぉぉーー!?
巨大イカが、出しぬけに声を張り上げたかと思うと、
その巨体がゴムのようにブルブルとふるえはじめました。
やがて、頭のてっぺんから何かに引きよせられるような具合になり、
巨大イカの図体が、ぼんやりと半透明に薄れながら、宙に浮かび上がります。
その拍子に、四人の子どもたちの身体が足からずり落ち、
水面に落下していきました。
「フリーナ!!」
フラップの叫びとともに、フリーナは金色の光の矢になって、
次々と子どもたちをキャッチ。見事、岸の上へと着地しました。
フラップたちの手を離れ、空中へ引っ張られていった巨大イカは、
まるで穴が開いて空気がぬけていく風船のように、
ぐるぐると高速で渦を描きながら、液体よろしく、渦潮の中心へと消えていきます。
湖の水深が徐々に浅くなっていき、渦潮も水かさを減っていくように見えます……。
ゴッポン!
トイレの水が流れ落ちるような、深くにぶい水音。
完全に海水がなくなり、本当の湖底があらわになりました。
水深は、ほんの二十メートル前後でしょうか。こんなにも浅かったとは。
その湖底の中心に、あのテニスコートサイズの扉と、
フレディの姿がありました。
遠いフレディの姿は、握りしめた両手を腰のあたりまで引いたかと思うと、
思いきり、万歳のポーズをしました。
その瞬間、穴の底から――
ドドドォォォォォーー!!
地中から飛びだす温泉のごとく、輝くような淡水が湧き出しました。
水は、信じられない速さで、くぼ地に満ちわたってきます。
湖が一秒でも早く、元の姿を取り戻そうとしているのでしょう。
*
「さあ! これで何もかも解決だ!」
フレディが悠々と両手を広げながら、こちらへと戻って来ました。
全身がすっかりびしょ濡れですが、かえって活気づいているように見えます。
「フレディ! キミいったい、何をしたの?」と、タクが聞きます。
「いやなに、湖の底にあった異界穴を使って、逆向きに召喚しただけだよ。
あの扉は、裏世界から例の怪物と、そいつの生息していた環境を呼び出して、
こっち側に留める役割をしていた。なら、その逆もありだと思ってね」
「ドラギィは、そんなことまでできるんだね!」と、レンは感心しました。
「まあ、普通に異界穴を開くよりも高度な技術だから、
この中ではまだ、ぼくにしかできないだろうけどね。
ついでに、あの異界穴をぼくの術で『施錠』しておいた。
これでもうあの猫たちは、ここの異界穴から、例の怪物を呼び出せない。
ぼくの力なしでは、ね――」
といって、フレディは、ヨシのほうを見ました。
ヨシは、完璧にしてやられたような悔やみ顔をして、
ドラギィたちと、レン、ジュンとタクを順々ににらみました。
「小野寺。まだ彼らと続ける気はある?」と、レンは言いました。
「くそっ!」ヨシは吐き捨てるように言います。
「ぼくは、あきらめないからな。覚えてろ!」
ヨシは、後方の黒猫カーへ退却しました。
レンと、フレディの顔をふり返り見ながら。
彼が二台のドアをくぐって閉めたのと同時に、
黒猫カーはけたたましいタイヤの音をうならせながら、
バック走で森の中へと走り去っていくのでした。
「やっと休めます~~」
「ああ~~~。おわったあ~~~」
フラップとフリーナは、すっかり緊張がほぐれて、
みるみる仔犬サイズになっていきました。
「ぼくも、今回はさすがにこたえたな。いろんな意味で……」
フレディも、同じくらいに縮んでいきました。
それから、レンの両腕の中に飛んできて、こう言うのです。
「でも、同じみなしごとして、負けられなかった。
ぼくなら、ヨシくんのように、あんな仕打ちはしない。
一度仲よくなった友達には、ね……でも辛かったあ~! えぇ~ん!」
こらえていた感情が解き放たれたのか、
フレディはやっと声を上げて泣き出すのでした。
「キミにも、お父さんとお母さんがいないんだね」レンは言いました。
「なのに、キミはすっごく立派だよ! 小野寺とは大違い。
あいつは少し、フレディを見習えばいいんだ。フラップと、フリーナのことも」
レンの顔の近くまで飛んできた、フラップとフリーナは、
照れくさそうなしぐさをしながら、ブンブンとしっぽを振っていました。
レンには、お父さんもお母さんもいます。
だから、フレディやヨシの気持ちが、はっきり分かるとは言い切れません。
だからこそ、もっといろんなものを知りたい……その思いが胸にあるのです。
「みんな。お疲れ様」タクは、この場にいる全員を労います。
「なんとか巨大イカの写真も撮れたし、これで依頼はクリア、だね」
「おれたち人間も、なかなか頑張ったんじゃねえ? すげー大冒険だったし。
あれ? でも、なーんか一つ忘れてるような……」
子どもたち三人は、頭をひねりました。
そういえば、今回この場には、ユカはいませんでした。
それもそのはずです。彼女は今、自分の家で友達と誕生会をしていて――
「「「ああぁ~~~っ! ユカちゃんの誕生会!!」」」
時刻は、もうすぐ二時半。あと三十分ではじまってしまいます!
「早く、早く! うさみ町に戻って、ユカちゃんちに!」
レンがあたふたしながら、ドラギィたちに飛行をせがむと、
「あのう、それが……」
フラップ、フリーナ、フレディは、何やらもじもじしながら、
気まずそうにチラチラとこちらを見ています。
「ぼくたち三にんとも、もう元気ドリンクを飲み尽くしちゃって、
食べ物がないと、もう大きくなれないんですよう」
「マジかよ……。おれ、食い物持ってねーって」
「ぼくも。最近、お菓子の食べすぎだって、母さんに止められてさ」
「オレも、ないや。ちっちゃい水筒のお茶しか」
ということは、ドラギィたちは大きな姿で空を飛ぶことはできません。
小さい姿で飛ぶとなると、うさみ町まで、行きより数倍も時間がかかります。
「もう一つ、重大な問題があるじゃないか」
もう泣き止んでいたフレディが、こう言いました。
「キミたち三人とも、その、ユカという子にあげるプレゼント、
まだなんにも用意できてないだろ? それで会いに行けるのか?」
「あー……」子どもたちは、肩をすくめました。
「プレゼントは、大事!」フリーナが言いました。
「祝ってあげる気持ちが一番だケド、ちゃんと形にして贈ってあげないと」
「さすが、毎年親友たちからもらっている女の子は、言うねぇ……」
と、フラップが皮肉をこめて言いました。
「あーあ! せっかくカメラで巨大イカを激写したってのによー、
これじゃあ、ぜーんぜん、めでたしめでたしじゃねーって」
ジュンが自分のスマホを上空へ捧げ持ちながら嘆いていると、
レンがそれを見て、ピンとひらめきました。
「あ、あのさ……カメラで思いついたんだけど、こんなのどうかな?」
一斉に黒猫カーの中へ避難をはじめました。
ヨシもこれには腰をぬかしたのか、
脇目もふらずに猫どものあとに続きます――が、
「ああっ!」
ヨシは小石にけっつまずいて、転倒してしまいました。
「小野寺!」
レンは小野寺のもとへ駆けつけようとしますが、
その前に巨大イカの足が伸びてきて、レンを捕えてしまいます。
「逃げろ、小野寺ー!」
(あいつ、今……)
ぼくに手を差しのべようとした? 呆然としてそう思っていると、
もう一本の足が伸びてきて、たちどころにヨシを捕まえてしまいました。
「うわ~~~っ!」「放せよー、コノヤロー!」
ジュンとタクも、イカ足のえじきになっていました。
このままでは、子どもたち四人とも、巨大イカに連れ去られてしまいます!
「フリーナ、ぼくを手伝って!」
フラップは巨大化してから、巨大イカの頭にむかってしゅうっと飛んでいくと、
その先端をつかんで、巨大イカを逃がすまいと引っぱりました。
フリーナも、なんとなく意図を察して、
フラップのもとに駆けつけると、いっしょにその頭を引っぱります。
臭いうえに、ヌルヌルした身体が気持ち悪い! フリーナにはこたえました。
フレディはただひとり、空中で立ちすくんでいました。
瞳に涙を浮かべながら、呆然となりゆきを見つめています。
(無理だ。こんなやつ相手に、ぼくらがかないっこない)
もしもこの場に、ぼくがあの時に会った『彼』が駆けつけてくれれば、
状況はまるで違うだろうに。
(ああ何か、この状況を一発で逆転できる方法があれば……)
逆転、する? 逆転させる?
フレディの頭に、砂時計がそっくりひっくり返るような、名案が浮かびました!
「みんな! 少しの間だけねばっててくれ!!」
フレディは、ぐいっと涙をぬぐうと、身体に力をこめて巨大化し、
湖にむかって飛びこんでいきました。
ザッパァァン!
水鳥のように水中へと消えていったフレディ。
フラップとフリーナには、フレディの行動の意図がまったく読めません。
「フレディは何するつもりなのーっ!?」
「分からないよっ! ……とにかくこいつをっ、足止めするんだっ!」
巨大イカとの攻防が続き、ドラギィたちの引く力にも、限界が近づいてきました。
「あーん! おたがいっ、元気ドリンクもっ、全部飲み干しちゃったしっ。
このままじゃっ、ホントになんにもっ、できなくなっちゃうヨ~ッ!」
その時でした。
湖の中心が、ザァーザァーと妙に騒がしくなってきたのです。
フラップが目をこらしてみると、とんでもないものが瞳に映りました。
「ああ~っ、なんだあれ!」
渦潮です! ものすごく大きな!
逆巻くような白波を立てて、
湖に満ちた海水が、湖底へと吸いこまれているように見えます。
ザアアァァァァァァーー!!
渦潮はみるみる大きく、深くまでうねって落ちこんでいき、
視界いっぱいに広がる湖の水が、恐ろしい勢いでなくなっていくのです。
まるで、水底をふさいでいた巨岩のようなコルク栓が、スポンとぬけたよう!
ぐごごおおぉぉぉーー!?
巨大イカが、出しぬけに声を張り上げたかと思うと、
その巨体がゴムのようにブルブルとふるえはじめました。
やがて、頭のてっぺんから何かに引きよせられるような具合になり、
巨大イカの図体が、ぼんやりと半透明に薄れながら、宙に浮かび上がります。
その拍子に、四人の子どもたちの身体が足からずり落ち、
水面に落下していきました。
「フリーナ!!」
フラップの叫びとともに、フリーナは金色の光の矢になって、
次々と子どもたちをキャッチ。見事、岸の上へと着地しました。
フラップたちの手を離れ、空中へ引っ張られていった巨大イカは、
まるで穴が開いて空気がぬけていく風船のように、
ぐるぐると高速で渦を描きながら、液体よろしく、渦潮の中心へと消えていきます。
湖の水深が徐々に浅くなっていき、渦潮も水かさを減っていくように見えます……。
ゴッポン!
トイレの水が流れ落ちるような、深くにぶい水音。
完全に海水がなくなり、本当の湖底があらわになりました。
水深は、ほんの二十メートル前後でしょうか。こんなにも浅かったとは。
その湖底の中心に、あのテニスコートサイズの扉と、
フレディの姿がありました。
遠いフレディの姿は、握りしめた両手を腰のあたりまで引いたかと思うと、
思いきり、万歳のポーズをしました。
その瞬間、穴の底から――
ドドドォォォォォーー!!
地中から飛びだす温泉のごとく、輝くような淡水が湧き出しました。
水は、信じられない速さで、くぼ地に満ちわたってきます。
湖が一秒でも早く、元の姿を取り戻そうとしているのでしょう。
*
「さあ! これで何もかも解決だ!」
フレディが悠々と両手を広げながら、こちらへと戻って来ました。
全身がすっかりびしょ濡れですが、かえって活気づいているように見えます。
「フレディ! キミいったい、何をしたの?」と、タクが聞きます。
「いやなに、湖の底にあった異界穴を使って、逆向きに召喚しただけだよ。
あの扉は、裏世界から例の怪物と、そいつの生息していた環境を呼び出して、
こっち側に留める役割をしていた。なら、その逆もありだと思ってね」
「ドラギィは、そんなことまでできるんだね!」と、レンは感心しました。
「まあ、普通に異界穴を開くよりも高度な技術だから、
この中ではまだ、ぼくにしかできないだろうけどね。
ついでに、あの異界穴をぼくの術で『施錠』しておいた。
これでもうあの猫たちは、ここの異界穴から、例の怪物を呼び出せない。
ぼくの力なしでは、ね――」
といって、フレディは、ヨシのほうを見ました。
ヨシは、完璧にしてやられたような悔やみ顔をして、
ドラギィたちと、レン、ジュンとタクを順々ににらみました。
「小野寺。まだ彼らと続ける気はある?」と、レンは言いました。
「くそっ!」ヨシは吐き捨てるように言います。
「ぼくは、あきらめないからな。覚えてろ!」
ヨシは、後方の黒猫カーへ退却しました。
レンと、フレディの顔をふり返り見ながら。
彼が二台のドアをくぐって閉めたのと同時に、
黒猫カーはけたたましいタイヤの音をうならせながら、
バック走で森の中へと走り去っていくのでした。
「やっと休めます~~」
「ああ~~~。おわったあ~~~」
フラップとフリーナは、すっかり緊張がほぐれて、
みるみる仔犬サイズになっていきました。
「ぼくも、今回はさすがにこたえたな。いろんな意味で……」
フレディも、同じくらいに縮んでいきました。
それから、レンの両腕の中に飛んできて、こう言うのです。
「でも、同じみなしごとして、負けられなかった。
ぼくなら、ヨシくんのように、あんな仕打ちはしない。
一度仲よくなった友達には、ね……でも辛かったあ~! えぇ~ん!」
こらえていた感情が解き放たれたのか、
フレディはやっと声を上げて泣き出すのでした。
「キミにも、お父さんとお母さんがいないんだね」レンは言いました。
「なのに、キミはすっごく立派だよ! 小野寺とは大違い。
あいつは少し、フレディを見習えばいいんだ。フラップと、フリーナのことも」
レンの顔の近くまで飛んできた、フラップとフリーナは、
照れくさそうなしぐさをしながら、ブンブンとしっぽを振っていました。
レンには、お父さんもお母さんもいます。
だから、フレディやヨシの気持ちが、はっきり分かるとは言い切れません。
だからこそ、もっといろんなものを知りたい……その思いが胸にあるのです。
「みんな。お疲れ様」タクは、この場にいる全員を労います。
「なんとか巨大イカの写真も撮れたし、これで依頼はクリア、だね」
「おれたち人間も、なかなか頑張ったんじゃねえ? すげー大冒険だったし。
あれ? でも、なーんか一つ忘れてるような……」
子どもたち三人は、頭をひねりました。
そういえば、今回この場には、ユカはいませんでした。
それもそのはずです。彼女は今、自分の家で友達と誕生会をしていて――
「「「ああぁ~~~っ! ユカちゃんの誕生会!!」」」
時刻は、もうすぐ二時半。あと三十分ではじまってしまいます!
「早く、早く! うさみ町に戻って、ユカちゃんちに!」
レンがあたふたしながら、ドラギィたちに飛行をせがむと、
「あのう、それが……」
フラップ、フリーナ、フレディは、何やらもじもじしながら、
気まずそうにチラチラとこちらを見ています。
「ぼくたち三にんとも、もう元気ドリンクを飲み尽くしちゃって、
食べ物がないと、もう大きくなれないんですよう」
「マジかよ……。おれ、食い物持ってねーって」
「ぼくも。最近、お菓子の食べすぎだって、母さんに止められてさ」
「オレも、ないや。ちっちゃい水筒のお茶しか」
ということは、ドラギィたちは大きな姿で空を飛ぶことはできません。
小さい姿で飛ぶとなると、うさみ町まで、行きより数倍も時間がかかります。
「もう一つ、重大な問題があるじゃないか」
もう泣き止んでいたフレディが、こう言いました。
「キミたち三人とも、その、ユカという子にあげるプレゼント、
まだなんにも用意できてないだろ? それで会いに行けるのか?」
「あー……」子どもたちは、肩をすくめました。
「プレゼントは、大事!」フリーナが言いました。
「祝ってあげる気持ちが一番だケド、ちゃんと形にして贈ってあげないと」
「さすが、毎年親友たちからもらっている女の子は、言うねぇ……」
と、フラップが皮肉をこめて言いました。
「あーあ! せっかくカメラで巨大イカを激写したってのによー、
これじゃあ、ぜーんぜん、めでたしめでたしじゃねーって」
ジュンが自分のスマホを上空へ捧げ持ちながら嘆いていると、
レンがそれを見て、ピンとひらめきました。
「あ、あのさ……カメラで思いついたんだけど、こんなのどうかな?」
1
あなたにおすすめの小説
14歳で定年ってマジ!? 世界を変えた少年漫画家、再起のノート
谷川 雅
児童書・童話
この世界、子どもがエリート。
“スーパーチャイルド制度”によって、能力のピークは12歳。
そして14歳で、まさかの《定年》。
6歳の星野幸弘は、将来の夢「世界を笑顔にする漫画家」を目指して全力疾走する。
だけど、定年まで残された時間はわずか8年……!
――そして14歳。夢は叶わぬまま、制度に押し流されるように“退場”を迎える。
だが、そんな幸弘の前に現れたのは、
「まちがえた人間」のノートが集まる、不思議な図書室だった。
これは、間違えたままじゃ終われなかった少年たちの“再スタート”の物語。
描けなかった物語の“つづき”は、きっと君の手の中にある。
異世界転移が決まってる僕、あと十年で生き抜く力を全部そろえる
谷川 雅
児童書・童話
【第3回きずな児童書大賞 読者賞受賞作品】
「君は25歳の誕生日に異世界へ飛ばされる――準備、しておけよ」
そんなリアルすぎる夢を見たのは、中学3年・15歳の誕生日。
しかも、転移先は「魔法もあるけど生活水準は中世並み」、しかも「チート能力一切なし」!?
死ぬ気で学べ。鍛えろ。生き抜け。
目指すのは、剣道×農業×経営×工学を修めた“自己完結型万能人間”!
剣道部に転部、進学先は国立農業高校。大学では、園芸、畜産・農業経営・バイオエネルギーまで学び、最終的には油が採れるジャガイモを発見して学内ベンチャーの社長に――
そう、全部は「異世界で生きるため」!
そしてついに25歳の誕生日。目を覚ますと、そこは剣と魔法の異世界。
武器は竹刀、知識はリアル、金は……時計を売った。
ここから始まるのは、“計画された異世界成り上がり”!
「魔法がなくても、俺には農業と剣がある――」
未来を知る少年が、10年かけて“最強の一般人”になり、異世界を生き抜く!
※「準備型転移」×「ノンチートリアル系」×「農業×剣術×起業」異色の成長譚!
星降る夜に落ちた子
千東風子
児童書・童話
あたしは、いらなかった?
ねえ、お父さん、お母さん。
ずっと心で泣いている女の子がいました。
名前は世羅。
いつもいつも弟ばかり。
何か買うのも出かけるのも、弟の言うことを聞いて。
ハイキングなんて、来たくなかった!
世羅が怒りながら歩いていると、急に体が浮きました。足を滑らせたのです。その先は、とても急な坂。
世羅は滑るように落ち、気を失いました。
そして、目が覚めたらそこは。
住んでいた所とはまるで違う、見知らぬ世界だったのです。
気が強いけれど寂しがり屋の女の子と、ワケ有りでいつも諦めることに慣れてしまった綺麗な男の子。
二人がお互いの心に寄り添い、成長するお話です。
全年齢ですが、けがをしたり、命を狙われたりする描写と「死」の表現があります。
苦手な方は回れ右をお願いいたします。
よろしくお願いいたします。
私が子どもの頃から温めてきたお話のひとつで、小説家になろうの冬の童話際2022に参加した作品です。
石河 翠さまが開催されている個人アワード『石河翠プレゼンツ勝手に冬童話大賞2022』で大賞をいただきまして、イラストはその副賞に相内 充希さまよりいただいたファンアートです。ありがとうございます(^-^)!
こちらは他サイトにも掲載しています。
豆腐メンタルな私を、おバカな私が励ますよ(*´ー`*)
やまくる実
絵本
私の頭の中のネガティブな部分をポジティブな私が励ます、エッセイ? 小話?
ただの落書き帳です(*´ー`*)
過去作品です。
内容的には本当に短い文章で、詩というかリズムで読む読み物。
見方によっては大人の絵本という感じです。
私と同じで創作する事が好きな方や生きる事に不器用な方の止まり木みたいな場所になれたらな......なんて思い、こちらにも掲載してみました。
カクヨムにも掲載しています。
表紙画像は chat gptに作成してもらいました(*'▽'*)
魔法使いアルル
かのん
児童書・童話
今年で10歳になるアルルは、月夜の晩、自分の誕生日に納屋の中でこっそりとパンを食べながら歌を歌っていた。
これまで自分以外に誰にも祝われる事のなかった日。
だが、偉大な大魔法使いに出会うことでアルルの世界は色を変えていく。
孤独な少女アルルが、魔法使いになって奮闘する物語。
ありがたいことに書籍化が進行中です!ありがとうございます。
『異世界庭付き一戸建て』を相続した仲良し兄妹は今までの不幸にサヨナラしてスローライフを満喫できる、はず?
釈 余白(しやく)
児童書・童話
毒親の父が不慮の事故で死亡したことで最後の肉親を失い、残された高校生の小村雷人(こむら らいと)と小学生の真琴(まこと)の兄妹が聞かされたのは、父が家を担保に金を借りていたという絶望の事実だった。慣れ親しんだ自宅から早々の退去が必要となった二人は家の中で金目の物を探す。
その結果見つかったのは、僅かな現金に空の預金通帳といくつかの宝飾品、そして家の権利書と見知らぬ文字で書かれた書類くらいだった。謎の書類には祖父のサインが記されていたが内容は読めず、頼みの綱は挟まれていた弁護士の名刺だけだ。
最後の希望とも言える名刺の電話番号へ連絡した二人は、やってきた弁護士から契約書の内容を聞かされ唖然とする。それは祖父が遺産として残した『異世界トラス』にある土地と建物を孫へ渡すというものだった。もちろん現地へ行かなければ遺産は受け取れないが。兄妹には他に頼れるものがなく、思い切って異世界へと赴き新生活をスタートさせるのだった。
連載時、HOT 1位ありがとうございました!
その他、多数投稿しています。
こちらもよろしくお願いします!
https://www.alphapolis.co.jp/author/detail/398438394
生まれたばかりですが、早速赤ちゃんセラピー?始めます!
mabu
児童書・童話
超ラッキーな環境での転生と思っていたのにママさんの体調が危ないんじゃぁないの?
ママさんが大好きそうなパパさんを闇落ちさせない様に赤ちゃんセラピーで頑張ります。
力を使って魔力を増やして大きくなったらチートになる!
ちょっと赤ちゃん系に挑戦してみたくてチャレンジしてみました。
読みにくいかもしれませんが宜しくお願いします。
誤字や意味がわからない時は皆様の感性で受け捉えてもらえると助かります。
流れでどうなるかは未定なので一応R15にしております。
現在投稿中の作品と共に地道にマイペースで進めていきますので宜しくお願いします🙇
此方でも感想やご指摘等への返答は致しませんので宜しくお願いします。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる