72 / 150
第七章~日丸国建国祭~
第67話 建国祭準備
しおりを挟む
時は進み、日丸国建国祭一週間前。
日丸島では露店の設置や飾り付けなどが進んでいた。木造やレンガ造りの家が立ち並んでいる日丸国の首都日京では、焼きそばや唐揚げ、焼き串、フランクフルト、わたあめ、チョコバナナ、クレープなどの様々な料理の露店が設置され、日和街と名付けられた和風街では、たこ焼きや寿司、飴細工、リンゴ飴、甘酒など日本料理の露店が設置されていた。
一方の観光施設が集中している千尋島では、高級旅館が完成しており、ホテルや民宿などの建造が完成マジかなど、宿が増えていた。
日丸国建国祭の準備は着々と進んでいた。とある問題を除いて…
〇
鋼鉄島の大型工房。
そこでワルフ、三助、京介が花火を製作を行っていた。
上から花火玉製作を頼まれた三人は、試行錯誤の末、日丸国特製の花火玉を完成させ、更に魔法を使用することで、乾燥時間を短縮、短い期間で大量に作れる生産過程を確立させた。
そして今、その三人は一つの花火玉を囲って見つめていた。
「後は発射装置ですな」
「ですね~」
「うむ」
花火玉を完成させ、部下達に量産させている彼らは、肝心の発射装置について考え始める。
「花火が炎色反応で作られているのは分かっていたが…どうやって打ち出していたんだろうな…」
「砲弾と同じように打ち出してもいいのか~?」
「う~む…分からんな」
京介がテレビで炎色反応や花火の作り方を知っていたため、花火玉を作ることができたのだが、肝心の発射方法が分からないのだ。
「……よし!魔法でなんとかしよう!」
「だな」
「それがいい」
日本の発射装置が作れないと判断した京介は、二人に魔法で打ち出すこの世界ならではの発射装置を作り出すことにした。
〇
「この玉を打ち出す発射装置ですか…」
魔法で発射装置を作るということで、アーミヤが呼ばれた。
「お願いします。神様、仏様、アーミヤ様」
京介は両手を合わせ、頭を下げてアーミヤに頼み込んだ。
「日本という国では、あんな風に頼み込むのが普通なのか?」
「さぁ…?」
京介の頼み方を見たワルフは、三助に日本では普通なのかと聞き、三助は只々困惑していた。
「分かりました。考えてみます」
アーミヤは少し照れながら、共に発射装置を作ることを許可した。
「……まず考えている物としては、筒の底に爆発系の魔法を刻印するという物なのですが…」
「なるほど…試してみましょうか」
四人は初期として考えてあった発射装置の製作に掛かった。
製作時間は構造がシンプルだったのと、金属の筒は事前に作っていたため、すぐにできた。
「それでは打ち上げます」
試作の発射装置に花火玉を装填し、アーミヤが少し離れた場所から魔力を送り、刻印魔法を発動させた。
ドカーーン!!
アーミヤが魔力を送ってすぐ、威力が高かったのか筒ごと花火玉が大爆発を引き起こした。
「……調整が必要ですね」
「ですね…」
無惨にも吹き飛んだ筒をアーミヤが咄嗟に張った防御魔法の結界の内側から見ながら、4人は改良を加えることにした。
しかしながら、発射装置の開発はそう簡単に行かなかった。火力を弱めても盛大に飛ばないし、逆強め過ぎたら先程同様装置ごと花火玉が消し飛ぶ。何十回にも及ぶ試行錯誤の結果、彼らが編み出したのは
「装置に爆破魔法と防御魔法を刻印しました。あとはこれに防御魔法を施した花火玉を詰め込めば、上手い具合に打ち上がるはずです」
3人はアーミヤが刻印魔法を施した発射装置と、花火玉をセットし始める。
彼らが最終的に編み出しのは、花火玉と発射装置に薄い膜になるように防御魔法を張るという物だった。これならば、一発程度なら爆破魔法の爆発に耐えれるという予想が立てられたのだ。更に装置には刻印しておくことで、何度でも張り直し使うことができるようにされている。
「準備完了だ」
ワルフは花火玉を発射装置に装填し、OKサインを出しながら離れた。
「それでは行きます…」
そう言って、アーミヤは魔力を流す。
ボンッ!ヒュ~~~…
花火玉は綺麗に打ち上がり、無事に着火出来ているかどうか、全員が夜空を見上げて待ち望む。
ドォーーン!
爆発音と共に空に綺麗な花火が現れて散っていく。
「「「よっしゃぁ!!」」」
発射装置が完成したことにより、三助、京介、ワルフの3人は、全員で抱き合って喜び合う。
「綺麗…」
むさ苦しい男三人が抱き合って喜び合う中、夜空に上がった花火を見たアーミヤは、その美しさに見とれていた。
「そりゃあ、何度も試行錯誤したからな!」
「ああ…」
「大変だったが、見れた時は達成感があって良かった」
花火を見とれているアーミヤに、三人は自慢げに自分たちの花火について語る。
それと同時に、アーミヤはあることに気がついた。
「待ってください、それならどうやって花火を打ち上げたのですか?」
ふと思った疑問をアーミヤは三人に問い、尋ねられた三人はその場に固まった。
「……誰にも言わない?」
「?はい…」
アーミヤはハテナマークを浮かべながら、京介に他言無用という約束をした。
「…花火玉を搭載した砲弾を作って、それを鳴門司令長官に武蔵で打ち出して貰っていた……」
「…」
三助から花火制作のため、武蔵の主砲を使っていたと聞いたアーミヤは絶句する。
「山本司令長官にバレたら、怒られるから絶対に言わないでくれ!」
信介だから許してもらえたのだが、その事が光太郎にバレたら確実に怒られるため、京介は他には言わないようにアーミヤに頼んだ。
なお、このことを光太郎は既に知っており、信介は武蔵を私的活用したとして、一週間の残業という罰が下ったのだが、三人は一から花火を作ってくれているという理由で今回は目をつぶっているのだ。無論三人はそのことを知らないため、今でもバレないか怯えている。
「は~…分かりましたよ。誰にも言いません」
「ありがてぇ!」
ため息をついて呆れつつ、アーミヤは他人には言わないと約束した。
こうして、日丸国特製の花火と発射装置は、建国祭の4日前に完成することが出来たのであった。
日丸島では露店の設置や飾り付けなどが進んでいた。木造やレンガ造りの家が立ち並んでいる日丸国の首都日京では、焼きそばや唐揚げ、焼き串、フランクフルト、わたあめ、チョコバナナ、クレープなどの様々な料理の露店が設置され、日和街と名付けられた和風街では、たこ焼きや寿司、飴細工、リンゴ飴、甘酒など日本料理の露店が設置されていた。
一方の観光施設が集中している千尋島では、高級旅館が完成しており、ホテルや民宿などの建造が完成マジかなど、宿が増えていた。
日丸国建国祭の準備は着々と進んでいた。とある問題を除いて…
〇
鋼鉄島の大型工房。
そこでワルフ、三助、京介が花火を製作を行っていた。
上から花火玉製作を頼まれた三人は、試行錯誤の末、日丸国特製の花火玉を完成させ、更に魔法を使用することで、乾燥時間を短縮、短い期間で大量に作れる生産過程を確立させた。
そして今、その三人は一つの花火玉を囲って見つめていた。
「後は発射装置ですな」
「ですね~」
「うむ」
花火玉を完成させ、部下達に量産させている彼らは、肝心の発射装置について考え始める。
「花火が炎色反応で作られているのは分かっていたが…どうやって打ち出していたんだろうな…」
「砲弾と同じように打ち出してもいいのか~?」
「う~む…分からんな」
京介がテレビで炎色反応や花火の作り方を知っていたため、花火玉を作ることができたのだが、肝心の発射方法が分からないのだ。
「……よし!魔法でなんとかしよう!」
「だな」
「それがいい」
日本の発射装置が作れないと判断した京介は、二人に魔法で打ち出すこの世界ならではの発射装置を作り出すことにした。
〇
「この玉を打ち出す発射装置ですか…」
魔法で発射装置を作るということで、アーミヤが呼ばれた。
「お願いします。神様、仏様、アーミヤ様」
京介は両手を合わせ、頭を下げてアーミヤに頼み込んだ。
「日本という国では、あんな風に頼み込むのが普通なのか?」
「さぁ…?」
京介の頼み方を見たワルフは、三助に日本では普通なのかと聞き、三助は只々困惑していた。
「分かりました。考えてみます」
アーミヤは少し照れながら、共に発射装置を作ることを許可した。
「……まず考えている物としては、筒の底に爆発系の魔法を刻印するという物なのですが…」
「なるほど…試してみましょうか」
四人は初期として考えてあった発射装置の製作に掛かった。
製作時間は構造がシンプルだったのと、金属の筒は事前に作っていたため、すぐにできた。
「それでは打ち上げます」
試作の発射装置に花火玉を装填し、アーミヤが少し離れた場所から魔力を送り、刻印魔法を発動させた。
ドカーーン!!
アーミヤが魔力を送ってすぐ、威力が高かったのか筒ごと花火玉が大爆発を引き起こした。
「……調整が必要ですね」
「ですね…」
無惨にも吹き飛んだ筒をアーミヤが咄嗟に張った防御魔法の結界の内側から見ながら、4人は改良を加えることにした。
しかしながら、発射装置の開発はそう簡単に行かなかった。火力を弱めても盛大に飛ばないし、逆強め過ぎたら先程同様装置ごと花火玉が消し飛ぶ。何十回にも及ぶ試行錯誤の結果、彼らが編み出したのは
「装置に爆破魔法と防御魔法を刻印しました。あとはこれに防御魔法を施した花火玉を詰め込めば、上手い具合に打ち上がるはずです」
3人はアーミヤが刻印魔法を施した発射装置と、花火玉をセットし始める。
彼らが最終的に編み出しのは、花火玉と発射装置に薄い膜になるように防御魔法を張るという物だった。これならば、一発程度なら爆破魔法の爆発に耐えれるという予想が立てられたのだ。更に装置には刻印しておくことで、何度でも張り直し使うことができるようにされている。
「準備完了だ」
ワルフは花火玉を発射装置に装填し、OKサインを出しながら離れた。
「それでは行きます…」
そう言って、アーミヤは魔力を流す。
ボンッ!ヒュ~~~…
花火玉は綺麗に打ち上がり、無事に着火出来ているかどうか、全員が夜空を見上げて待ち望む。
ドォーーン!
爆発音と共に空に綺麗な花火が現れて散っていく。
「「「よっしゃぁ!!」」」
発射装置が完成したことにより、三助、京介、ワルフの3人は、全員で抱き合って喜び合う。
「綺麗…」
むさ苦しい男三人が抱き合って喜び合う中、夜空に上がった花火を見たアーミヤは、その美しさに見とれていた。
「そりゃあ、何度も試行錯誤したからな!」
「ああ…」
「大変だったが、見れた時は達成感があって良かった」
花火を見とれているアーミヤに、三人は自慢げに自分たちの花火について語る。
それと同時に、アーミヤはあることに気がついた。
「待ってください、それならどうやって花火を打ち上げたのですか?」
ふと思った疑問をアーミヤは三人に問い、尋ねられた三人はその場に固まった。
「……誰にも言わない?」
「?はい…」
アーミヤはハテナマークを浮かべながら、京介に他言無用という約束をした。
「…花火玉を搭載した砲弾を作って、それを鳴門司令長官に武蔵で打ち出して貰っていた……」
「…」
三助から花火制作のため、武蔵の主砲を使っていたと聞いたアーミヤは絶句する。
「山本司令長官にバレたら、怒られるから絶対に言わないでくれ!」
信介だから許してもらえたのだが、その事が光太郎にバレたら確実に怒られるため、京介は他には言わないようにアーミヤに頼んだ。
なお、このことを光太郎は既に知っており、信介は武蔵を私的活用したとして、一週間の残業という罰が下ったのだが、三人は一から花火を作ってくれているという理由で今回は目をつぶっているのだ。無論三人はそのことを知らないため、今でもバレないか怯えている。
「は~…分かりましたよ。誰にも言いません」
「ありがてぇ!」
ため息をついて呆れつつ、アーミヤは他人には言わないと約束した。
こうして、日丸国特製の花火と発射装置は、建国祭の4日前に完成することが出来たのであった。
160
あなたにおすすめの小説
天日ノ艦隊 〜こちら大和型戦艦、異世界にて出陣ス!〜
八風ゆず
ファンタジー
時は1950年。
第一次世界大戦にあった「もう一つの可能性」が実現した世界線。1950年4月7日、合同演習をする為航行中、大和型戦艦三隻が同時に左舷に転覆した。
大和型三隻は沈没した……、と思われた。
だが、目覚めた先には我々が居た世界とは違った。
大海原が広がり、見たことのない数多の国が支配者する世界だった。
祖国へ帰るため、大海原が広がる異世界を旅する大和型三隻と別世界の艦船達との異世界戦記。
※異世界転移が何番煎じか分からないですが、書きたいのでかいています!
面白いと思ったらブックマーク、感想、評価お願いします!!※
※戦艦など知らない人も楽しめるため、解説などを出し努力しております。是非是非「知識がなく、楽しんで読めるかな……」っと思ってる方も読んでみてください!※
間違い召喚! 追い出されたけど上位互換スキルでらくらく生活
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
僕は20歳独身、名は小日向 連(こひなた れん)うだつの上がらないダメ男だ
ひょんなことから異世界に召喚されてしまいました。
間違いで召喚された為にステータスは最初見えない状態だったけどネットのネタバレ防止のように背景をぼかせば見えるようになりました。
多分不具合だとおもう。
召喚した女と王様っぽいのは何も持っていないと言って僕をポイ捨て、なんて世界だ。それも元の世界には戻せないらしい、というか戻さないみたいだ。
そんな僕はこの世界で苦労すると思ったら大間違い、王シリーズのスキルでウハウハ、製作で人助け生活していきます
◇
四巻が販売されました!
今日から四巻の範囲がレンタルとなります
書籍化に伴い一部ウェブ版と違う箇所がございます
追加場面もあります
よろしくお願いします!
一応191話で終わりとなります
最後まで見ていただきありがとうございました
コミカライズもスタートしています
毎月最初の金曜日に更新です
お楽しみください!
【しっかり書き換え版】『異世界でたった1人の日本人』~ 異世界で日本の神の加護を持つたった1人の男~
石のやっさん
ファンタジー
12/17 13時20分 HOT男性部門1位 ファンタジー日間 1位 でした。
ありがとうございます
主人公の神代理人(かみしろ りひと)はクラスの異世界転移に巻き込まれた。
転移前に白い空間にて女神イシュタスがジョブやスキルを与えていたのだが、理人の番が来た時にイシュタスの顔色が変わる。「貴方神臭いわね」そう言うと理人にだけジョブやスキルも与えずに異世界に転移をさせた。
ジョブやスキルの無い事から早々と城から追い出される事が決まった、理人の前に天照の分体、眷属のアマ=テラス事『テラスちゃん』が現れた。
『異世界の女神は誘拐犯なんだ』とリヒトに話し、神社の宮司の孫の理人に異世界でも生きられるように日本人ならではの力を授けてくれた。
ここから『異世界でたった1人の日本人、理人の物語』がスタートする
「『異世界でたった1人の日本人』 私達を蔑ろにしチート貰ったのだから返して貰いますね」が好評だったのですが...昔に書いて小説らしくないのでしっかり書き始めました。
狼の子 ~教えてもらった常識はかなり古い!?~
一片
ファンタジー
バイト帰りに何かに引っ張られた俺は、次の瞬間突然山の中に放り出された。
しかも体をピクリとも動かせない様な瀕死の状態でだ。
流石に諦めかけていたのだけど、そんな俺を白い狼が救ってくれた。
その狼は天狼という神獣で、今俺がいるのは今までいた世界とは異なる世界だという。
右も左も分からないどころか、右も左も向けなかった俺は天狼さんに魔法で癒され、ついでに色々な知識を教えてもらう。
この世界の事、生き延び方、戦う術、そして魔法。
数年後、俺は天狼さんの庇護下から離れ新しい世界へと飛び出した。
元の世界に戻ることは無理かもしれない……でも両親に連絡くらいはしておきたい。
根拠は特にないけど、魔法がある世界なんだし……連絡くらいは出来るよね?
そんな些細な目標と、天狼さん以外の神獣様へとお使いを頼まれた俺はこの世界を東奔西走することになる。
色々な仲間に出会い、ダンジョンや遺跡を探索したり、何故か謎の組織の陰謀を防いだり……。
……これは、現代では失われた強大な魔法を使い、小さな目標とお使いの為に大陸をまたにかける小市民の冒険譚!
ユーヤのお気楽異世界転移
暇野無学
ファンタジー
死因は神様の当て逃げです! 地震による事故で死亡したのだが、原因は神社の扁額が当たっての即死。問題の神様は気まずさから俺を輪廻の輪から外し、異世界の神に俺をゆだねた。異世界への移住を渋る俺に、神様特典付きで異世界へ招待されたが・・・ この神様が超適当な健忘症タイプときた。
はずれスキル『本日一粒万倍日』で金も魔法も作物もなんでも一万倍 ~はぐれサラリーマンのスキル頼みな異世界満喫日記~
緋色優希
ファンタジー
勇者召喚に巻き込まれて異世界へやってきたサラリーマン麦野一穂(むぎのかずほ)。得たスキルは屑(ランクレス)スキルの『本日一粒万倍日』。あまりの内容に爆笑され、同じように召喚に巻き込まれてきた連中にも馬鹿にされ、一人だけ何一つ持たされず荒城にそのまま置き去りにされた。ある物と言えば、水の樽といくらかの焼き締めパン。どうする事もできずに途方に暮れたが、スキルを唱えたら水樽が一万個に増えてしまった。また城で見つけた、たった一枚の銀貨も、なんと銀貨一万枚になった。どうやら、あれこれと一万倍にしてくれる不思議なスキルらしい。こんな世界で王様の助けもなく、たった一人どうやって生きたらいいのか。だが開き直った彼は『住めば都』とばかりに、スキル頼みでこの異世界での生活を思いっきり楽しむ事に決めたのだった。
『異世界庭付き一戸建て』を相続した仲良し兄妹は今までの不幸にサヨナラしてスローライフを満喫できる、はず?
釈 余白(しやく)
ファンタジー
毒親の父が不慮の事故で死亡したことで最後の肉親を失い、残された高校生の小村雷人(こむら らいと)と小学生の真琴(まこと)の兄妹が聞かされたのは、父が家を担保に金を借りていたという絶望の事実だった。慣れ親しんだ自宅から早々の退去が必要となった二人は家の中で金目の物を探す。
その結果見つかったのは、僅かな現金に空の預金通帳といくつかの宝飾品、そして家の権利書と見知らぬ文字で書かれた書類くらいだった。謎の書類には祖父のサインが記されていたが内容は読めず、頼みの綱は挟まれていた弁護士の名刺だけだ。
最後の希望とも言える名刺の電話番号へ連絡した二人は、やってきた弁護士から契約書の内容を聞かされ唖然とする。それは祖父が遺産として残した『異世界トラス』にある土地と建物を孫へ渡すというものだった。もちろん現地へ行かなければ遺産は受け取れないが。兄妹には他に頼れるものがなく、思い切って異世界へと赴き新生活をスタートさせるのだった。
連載時、HOT 1位ありがとうございました!
その他、多数投稿しています。
こちらもよろしくお願いします!
https://www.alphapolis.co.jp/author/detail/398438394
異世界へ行って帰って来た
バルサック
ファンタジー
ダンジョンの出現した日本で、じいさんの形見となった指輪で異世界へ行ってしまった。
そして帰って来た。2つの世界を往来できる力で様々な体験をする神須勇だった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる