大和型戦艦、異世界に転移する。

焼飯学生

文字の大きさ
73 / 150
第七章~日丸国建国祭~

第68話 ハレンブル事変

しおりを挟む
日丸国建国祭二日前、シュヴァルツ共和国首都ベリアンの隣の地区、ハレンブル。そこに敷かれてある線路の上に、不審な動きをする者達が居た。

「おい!さっさとしろ!」

「そう急かすな!」

シュヴァルツ陸軍軍人の格好している彼らは、線路の枕木に爆弾を何個か設置し始める。
彼らはウルフが、不穏分子として懸念していた戦争強行派で、今は港町に向かうウルフ達を、列車事屠るための準備を続けているのだ。

「コイツらの死体はどうします?」

また別の軍人が持ってきたのは、セレーネ連邦国の住民だ。住民達もまた、シュヴァルツを今でも敵視する戦争強行派だったのだが、シュヴァルツ陸軍軍人達に騙されて集められ、殺されたのだ。

「爆発に巻き込まれそうな場所に置いとけ!」

「はっ!」

指示役からそう言われ、陸軍軍人達は遺体を爆弾を設置している線路の真隣に起き始める。

「これで準備は完了だ。後は、遠方から俺らは爆弾を起爆させ、同士の警察達が俺らがやったという証拠を隠蔽、そのまま犯人をセレーネ連邦国の者とでっち上げる。そうすれば、数日後には戦争だ!俺らが活躍できる戦争が始まる!」

指示役の軍人はこの事件で起こるだろう戦争を待ち遠しく思う。
そんな彼らの耳に、列車の汽笛が聞こえてくる。

「もう来たのか、おい!さっさとずらかるぞ!」

汽笛が聞こえてきたため、指示役は他の者と共に離れた場所に移動を始める。
彼らが移動している間も、何も知らないウルフ達を乗せた機関車が、彼らが仕掛けた爆弾の場所に迫ってくる。

「今だ爆破!!」

ドガガァーーン!!

指示役の合図で爆弾は起爆し、その真上を通過しようとしていた列車は、盛大に吹き飛んだ。

「さっさとズラかるぞ!」

「はっ!」

爆破で列車が吹き飛んだのを確認し、軍人達は現場から離れていく。
その後、彼らの手筈通りに同じ戦争強行派の警察が到着。証拠の隠蔽並びに偽装を行い、犯行はセレーネ連邦国の者と発表した。







同時刻、トムヤード達セレーネ連邦国一行の姿は、アルカーヤ公国の港町カルヤルドにあった。

「ほう…これが魔導帆船ホエールの改良型、ニューホエールか……」

トムヤードはこれから乗り込む船、大型魔導帆船ニューホエールを見て感心する。

「その通りでございます。これこそが、大型魔導帆船ホエールに、日丸国との共同研究で開発した魔導炉を搭載し、生まれ変わったホエール号…大型魔導帆船ニューホエール号でございます。試験的な技術が多くありますが、ゆくゆくは一般の者でも使えるようにと考えており、もしそれが実現すれば、日丸国への行き来が格段に楽になります」

ニューホエールについて、船長のユーノーがトムヤード達に、自慢げに説明する。
ユーノーは、南北戦争時にシュヴァルツに襲われた際、咄嗟の判断で危機から脱し、技術者達を守ったという功績を称えられ、ホエールの無償改装、更に重鎮達の送迎するという大任を任せられたのだ。

「君の腕は確かだと聞いている…船の運転は頼んだぞ…?」

「はい!お任せ下さい!!」

トムヤードはユーノーの肩に手を置き、ユーノーの元気の良い返事を聞いたのち、船へと乗り込んで行く。

「さて、この後は確か…見送りがあったな?」

船の甲板に上がったトムヤードは、連れであるフォルトにこれからの予定を確認することにした。

「その通りです。ですが、まだ到着されていない方が居るので、もう暫くかかるかと」

「なら、珈琲でも飲んで、ゆっくりするか」

「いいですねーそれ!」

トムヤードとフォルトがそんな会話をしていると、

「ローべラル首相!ローべラル首相!!」

部下の一人が慌てた様子で駆け寄ってきた。

「どうした?」

息切れして呼吸を整えている部下に、トムヤードは要件を尋ねた。

「た、大変なことになりました…!さ、先程!アルシャー大統領を乗せた列車が…何者かに爆破されました!!」

「なんだと!?」

部下から衝撃的なことを聞き、トムヤードは声を大にして驚いた。

「それは確かなのかね?」

信じきれないフォルトは、部下に真偽を尋ねる。

「間違いありません!それどころか…調査を行ったシュヴァルツの警察が、我々が犯人だと仕立ててきました!」

「してやられた!!」

部下から更なる情報を聞いたトムヤードは、再び声を出した。
これは明らか、セレーネ連邦国を恨む一部者達の企みで、このままでは再び戦争が起きてしまう。

「今すぐに外交官を送れ!私は所属国に戦争を始めないよう説得を試みる!」

緊急事態に、トムヤードは日丸国に向かうことをやめようとしたが、

「ローべラル首相、それと同時に、シュヴァルツからこのような物が…ローべラル首相宛だったため、内容は確認しておりません」

そう言って、部下は未開封の手紙をトムヤードに手渡した。

「なんだ…?」

手紙を受け取ったトムヤードは封を開け、中にあった手紙の内容を読み始める。

「……………」

「…首相、手紙にはなんと……?」

手紙を熟読しているトムヤードに、外交官として内容が気になったフォルトが声をかける。だが、トムヤードは質問に答えることなく読み進めそして、

「……我々は早急に日丸国に向かわなければならないようだ…船長に伝え!今すぐ船を日丸国に向けて出せと!!予定は全て無視だ!無論、まだ来ていない者達もな!」

「で、ですが…今首相が居なくなれば、最悪の場合罪を認めていると捉えかねません」

「このことはまだ公になっていないはずだ!我々は沖合でこのことを知ったということにしろ。船を早く出した理由としては、適当な理由で誤魔化せ!とにかく今すぐに船を出すんだ!!」

「了解しました!船長にそのよう伝えます!」

手紙を読み終えたトムヤードの命で、ニューホエールは予定より早く港から出港することになった。それから数時間後、この暗殺事件はセレーネ連邦国全体が知ることになる。
しおりを挟む
感想 19

あなたにおすすめの小説

天日ノ艦隊 〜こちら大和型戦艦、異世界にて出陣ス!〜 

八風ゆず
ファンタジー
時は1950年。 第一次世界大戦にあった「もう一つの可能性」が実現した世界線。1950年4月7日、合同演習をする為航行中、大和型戦艦三隻が同時に左舷に転覆した。 大和型三隻は沈没した……、と思われた。 だが、目覚めた先には我々が居た世界とは違った。 大海原が広がり、見たことのない数多の国が支配者する世界だった。 祖国へ帰るため、大海原が広がる異世界を旅する大和型三隻と別世界の艦船達との異世界戦記。 ※異世界転移が何番煎じか分からないですが、書きたいのでかいています! 面白いと思ったらブックマーク、感想、評価お願いします!!※ ※戦艦など知らない人も楽しめるため、解説などを出し努力しております。是非是非「知識がなく、楽しんで読めるかな……」っと思ってる方も読んでみてください!※

祝・定年退職!? 10歳からの異世界生活

空の雲
ファンタジー
中田 祐一郎(なかたゆういちろう)60歳。長年勤めた会社を退職。 最後の勤めを終え、通い慣れた電車で帰宅途中、突然の衝撃をうける。 ――気付けば、幼い子供の姿で見覚えのない森の中に…… どうすればいいのか困惑する中、冒険者バルトジャンと出会う。 顔はいかついが気のいいバルトジャンは、行き場のない子供――中田祐一郎(ユーチ)の保護を申し出る。 魔法や魔物の存在する、この世界の知識がないユーチは、迷いながらもその言葉に甘えることにした。 こうして始まったユーチの異世界生活は、愛用の腕時計から、なぜか地球の道具が取り出せたり、彼の使う魔法が他人とちょっと違っていたりと、出会った人たちを驚かせつつ、ゆっくり動き出す―― ※2月25日、書籍部分がレンタルになりました。

スキルはコピーして上書き最強でいいですか~改造初級魔法で便利に異世界ライフ~

深田くれと
ファンタジー
【文庫版2が4月8日に発売されます! ありがとうございます!】 異世界に飛ばされたものの、何の能力も得られなかった青年サナト。街で清掃係として働くかたわら、雑魚モンスターを狩る日々が続いていた。しかしある日、突然仕事を首になり、生きる糧を失ってしまう――。 そこで、サナトの人生を変える大事件が発生する!途方に暮れて挑んだダンジョンにて、ダンジョンを支配するドラゴンと遭遇し、自らを破壊するよう頼まれたのだ。その願いを聞きつつも、ダンジョンの後継者にはならず、能力だけを受け継いだサナト。新たな力――ダンジョンコアとともに、スキルを駆使して異世界で成り上がる!

【しっかり書き換え版】『異世界でたった1人の日本人』~ 異世界で日本の神の加護を持つたった1人の男~

石のやっさん
ファンタジー
12/17 13時20分 HOT男性部門1位 ファンタジー日間 1位 でした。 ありがとうございます 主人公の神代理人(かみしろ りひと)はクラスの異世界転移に巻き込まれた。 転移前に白い空間にて女神イシュタスがジョブやスキルを与えていたのだが、理人の番が来た時にイシュタスの顔色が変わる。「貴方神臭いわね」そう言うと理人にだけジョブやスキルも与えずに異世界に転移をさせた。 ジョブやスキルの無い事から早々と城から追い出される事が決まった、理人の前に天照の分体、眷属のアマ=テラス事『テラスちゃん』が現れた。 『異世界の女神は誘拐犯なんだ』とリヒトに話し、神社の宮司の孫の理人に異世界でも生きられるように日本人ならではの力を授けてくれた。 ここから『異世界でたった1人の日本人、理人の物語』がスタートする 「『異世界でたった1人の日本人』 私達を蔑ろにしチート貰ったのだから返して貰いますね」が好評だったのですが...昔に書いて小説らしくないのでしっかり書き始めました。

異世界召喚に条件を付けたのに、女神様に呼ばれた

りゅう
ファンタジー
 異世界召喚。サラリーマンだって、そんな空想をする。  いや、さすがに大人なので空想する内容も大人だ。少年の心が残っていても、現実社会でもまれた人間はまた別の空想をするのだ。  その日の神岡龍二も、日々の生活から離れ異世界を想像して遊んでいるだけのハズだった。そこには何の問題もないハズだった。だが、そんなお気楽な日々は、この日が最後となってしまった。

「キヅイセ。」 ~気づいたら異世界にいた。おまけに目の前にはATMがあった。異世界転移、通算一万人目の冒険者~

あめの みかな
ファンタジー
秋月レンジ。高校2年生。 彼は気づいたら異世界にいた。 その世界は、彼が元いた世界とのゲート開通から100周年を迎え、彼は通算一万人目の冒険者だった。 科学ではなく魔法が発達した、もうひとつの地球を舞台に、秋月レンジとふたりの巫女ステラ・リヴァイアサンとピノア・カーバンクルの冒険が今始まる。

キャンピングカーで走ってるだけで異世界が平和になるそうです~万物生成系チートスキルを添えて~

サメのおでこ
ファンタジー
手違いだったのだ。もしくは事故。 ヒトと魔族が今日もドンパチやっている世界。行方不明の勇者を捜す使命を帯びて……訂正、押しつけられて召喚された俺は、スキル≪物質変換≫の使い手だ。 木を鉄に、紙を鋼に、雪をオムライスに――あらゆる物質を望むがままに変換してのけるこのスキルは、しかし何故か召喚師から「役立たずのド三流」と罵られる。その挙げ句、人界の果てへと魔法で追放される有り様。 そんな俺は、≪物質変換≫でもって生き延びるための武器を生み出そうとして――キャンピングカーを創ってしまう。 もう一度言う。 手違いだったのだ。もしくは事故。 出来てしまったキャンピングカーで、渋々出発する俺。だが、実はこの平和なクルマには俺自身も知らない途方もない力が隠されていた! そんな俺とキャンピングカーに、ある願いを託す人々が現れて―― ※本作は他サイトでも掲載しています

平凡冒険者のスローライフ

上田なごむ
ファンタジー
26歳独身、動物好きの主人公大和希は、神様によって魔物や魔法、獣人等が当たり前に存在する異世界に転移させられる。 彼が送るのは、時に命がけの戦いもあり、時に仲間との穏やかな日常もある、そんな『冒険者』ならではのスローライフ。 果たして、彼を待ち受ける出会いや試練とは如何なるものか。 ファンタジー世界に向き合う、平凡な冒険者の物語。

処理中です...