大和型戦艦、異世界に転移する。

焼飯学生

文字の大きさ
87 / 150
第八章〜統一戦争〜

第81話 統一戦争開戦

しおりを挟む
臨時首都ミルバルに桜花艦隊が到着してから8日後、巨人族ジャイアントや獣人の活躍もあり、日丸国陸軍が考えたミルバル防衛線の形成は、八割程完成していた。
その一方で、アルハバト社会主義国は、ロレック王国陸軍と帝国陸軍ロイヤルグランドにより、北部まで追い詰められていた。アルハバト社会主義国の国家最高指導者ロドポフ・ウラミールは、幹部と共に山岳部の都市に立てこもることにしたのだが、猛攻撃を受けて戦死。ロドポフ並びに幹部達が戦死したことにより、アルハバト社会主義国は瓦解。そのまま降伏することになった。





「我々の勝利に乾杯!」
カンパイ!!!!

ロレック王国首都バーンイル。そこにある大帝国大使館では、戦勝パーティが行われていた。

「閣下!我々の次なる目標はなんでしょうか?」

酒を飲んでいる軍人の1人が、今回のアルハバト戦争で軍の指揮を執った帝国陸軍ロイヤルグランド第六師団師団長ヨーク・シャールスに次の目標を尋ねた。

「そう慌てるな…既に次なる目標のために、第五艦隊に出撃を要請した。次の我々の目標は、アーガス共和国だ」
オォ~~~~

ヨークから次の目標を聞いた第六混成師団の者達は、声出しながら高揚感に駆られた。

「小癪なことにも連中は、セレーネ大陸の輩と手を組み、塹壕と鉄条網で都市部を要塞化しているようだからな…先にこちらを叩く。参謀長、作戦は考えてあるのだな?」

シャンパンを片手に持ちながら、ヨークは第六師団の参謀長マッテン・バエニラスに、アーガス共和国攻略作戦の内容を聞くことにした。

「はっ!アーガス共和国内部に潜り込ませたスパイによると、連中は必死に要塞化しているようですが、対空砲などは設置していないとのことなので、まずは我々がそのまま敵の要塞に突撃、戦車にて貧弱な防衛線を破壊!その間に、帝国空軍ロイヤルエセリアルが、旧アルハバトの大型飛行場から、新開発の大型爆撃機「ヴィーヴル」でミヤーデルを超えて爆撃を敢行、その後空挺部隊が都市に降下、外と内で要塞を破壊するというものです」

「素晴らしい。セレーネ大陸の国々は複葉機と聞いているからな、爆撃機所か対空砲なぞ知らないだろう、実に素晴らしい作戦だ!」

「お褒めに預かり光栄です」

作戦内容を聞いたヨークは、マッテンを褒め称え、他の者達も拍手を送る。
褒め称えられたマッテンはもう1つ報告しないといけないことを話すことにした。

「それと…敵はミルバル周辺海域に、艦隊を展開しているとのことなので、艦砲射撃による援護がされないよう、第五艦隊の出撃を帝国海軍ロイヤルマリンに要請すると、王国海軍と合流次第出撃するとのことでした。どうやら大和に警戒しているようです」

次いでにマッテンが話したことに笑いが起きる。

「たかが1隻に、何を警戒しているのやら…同じ帝国軍人として恥ずかしいな!」

ヨークも他の者同様、海軍の警戒心を嘲笑う。
メルバルが帰還した時、報告内容を聞いた帝国海軍ロイヤルマリン元帥のドラスと、帝国空軍ロイヤルエセリアル航空参謀総長のサリスは、それぞれの軍に大和型戦艦の脅威をしっかりと共有した一方、帝国陸軍ロイヤルグランド参謀総長のバルトは一部の者にしか伝えて居らず、帝国陸軍ロイヤルグランド全体に、大和型戦艦の脅威は浸透して居らず、更に何年もアーガス大陸で戦闘を行っていた第六混成師団の者達は、大和は極東国の戦艦ということしか知らないのである。そのため、第五艦隊の警戒心をおかしいと思っているのだ。

「それで参謀長、作戦決行日はいつ頃にするつもりなのだ…?」

「出来るだけ早く始めたいので……一週間後くらいですかね?明後日には作戦実行に向けて、用意を始めたいと思っております」

ヨークからの質問に、マッテンは少し考えた後、凡その作戦実行日を伝えた。

「了解だ。だが今夜は、1番厄介だった社会主義共をに勝利したことを祝おう!」

その後、大使館で行われた第六混成師団の戦勝パーティーは夜遅くまで続いた。
彼らが余韻に浸っている間も、ミルバルは更に強固な要塞化しているとは知らずに………





アーガス共和国臨時首都ミルバルに桜花艦隊が到着してから16日後、日丸国陸軍が提案したミルバル防衛網は完成していた。
横幅2m程の鉄条網が海岸からミヤーデル麓の崖まで延び、深さ2.5m横幅1.5mの塹壕があちらこちらに作られ、ミヤーデルの激しい崖には対空砲が隠されるように設置、更に鉄条網の外側には深夜に設置された対物地雷が埋められている。

「万全だな……」

強固な防衛網を光太郎は大和の第一艦橋にて、望遠鏡を通して見ていた。
そんなことをしていると、

『信濃から緊急入電!数日前から集まり始めていた敵軍が侵攻を開始!!無数の戦車が進軍中とのこと!』

SH-60Kで国境付近に居た敵軍を監視していた信濃から、大和の第一艦橋に情報が入る。

「……ついにか、全艦第一種戦闘態勢!合図があり次第、敵軍へ砲撃を行う!!」

通信を通して報告を受けた光太郎は、桜花艦隊に全艦に命令を下した。
こうして、アーガス大陸の戦争の火蓋が切って落とされた。
しおりを挟む
感想 19

あなたにおすすめの小説

天日ノ艦隊 〜こちら大和型戦艦、異世界にて出陣ス!〜 

八風ゆず
ファンタジー
時は1950年。 第一次世界大戦にあった「もう一つの可能性」が実現した世界線。1950年4月7日、合同演習をする為航行中、大和型戦艦三隻が同時に左舷に転覆した。 大和型三隻は沈没した……、と思われた。 だが、目覚めた先には我々が居た世界とは違った。 大海原が広がり、見たことのない数多の国が支配者する世界だった。 祖国へ帰るため、大海原が広がる異世界を旅する大和型三隻と別世界の艦船達との異世界戦記。 ※異世界転移が何番煎じか分からないですが、書きたいのでかいています! 面白いと思ったらブックマーク、感想、評価お願いします!!※ ※戦艦など知らない人も楽しめるため、解説などを出し努力しております。是非是非「知識がなく、楽しんで読めるかな……」っと思ってる方も読んでみてください!※

間違い召喚! 追い出されたけど上位互換スキルでらくらく生活

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
僕は20歳独身、名は小日向 連(こひなた れん)うだつの上がらないダメ男だ ひょんなことから異世界に召喚されてしまいました。 間違いで召喚された為にステータスは最初見えない状態だったけどネットのネタバレ防止のように背景をぼかせば見えるようになりました。 多分不具合だとおもう。 召喚した女と王様っぽいのは何も持っていないと言って僕をポイ捨て、なんて世界だ。それも元の世界には戻せないらしい、というか戻さないみたいだ。 そんな僕はこの世界で苦労すると思ったら大間違い、王シリーズのスキルでウハウハ、製作で人助け生活していきます ◇ 四巻が販売されました! 今日から四巻の範囲がレンタルとなります 書籍化に伴い一部ウェブ版と違う箇所がございます 追加場面もあります よろしくお願いします! 一応191話で終わりとなります 最後まで見ていただきありがとうございました コミカライズもスタートしています 毎月最初の金曜日に更新です お楽しみください!

ユーヤのお気楽異世界転移

暇野無学
ファンタジー
 死因は神様の当て逃げです!  地震による事故で死亡したのだが、原因は神社の扁額が当たっての即死。問題の神様は気まずさから俺を輪廻の輪から外し、異世界の神に俺をゆだねた。異世界への移住を渋る俺に、神様特典付きで異世界へ招待されたが・・・ この神様が超適当な健忘症タイプときた。

【しっかり書き換え版】『異世界でたった1人の日本人』~ 異世界で日本の神の加護を持つたった1人の男~

石のやっさん
ファンタジー
12/17 13時20分 HOT男性部門1位 ファンタジー日間 1位 でした。 ありがとうございます 主人公の神代理人(かみしろ りひと)はクラスの異世界転移に巻き込まれた。 転移前に白い空間にて女神イシュタスがジョブやスキルを与えていたのだが、理人の番が来た時にイシュタスの顔色が変わる。「貴方神臭いわね」そう言うと理人にだけジョブやスキルも与えずに異世界に転移をさせた。 ジョブやスキルの無い事から早々と城から追い出される事が決まった、理人の前に天照の分体、眷属のアマ=テラス事『テラスちゃん』が現れた。 『異世界の女神は誘拐犯なんだ』とリヒトに話し、神社の宮司の孫の理人に異世界でも生きられるように日本人ならではの力を授けてくれた。 ここから『異世界でたった1人の日本人、理人の物語』がスタートする 「『異世界でたった1人の日本人』 私達を蔑ろにしチート貰ったのだから返して貰いますね」が好評だったのですが...昔に書いて小説らしくないのでしっかり書き始めました。

掘鑿王(くっさくおう)~ボクしか知らない隠しダンジョンでSSRアイテムばかり掘り出し大金持ち~

テツみン
ファンタジー
『掘削士』エリオットは、ダンジョンの鉱脈から鉱石を掘り出すのが仕事。 しかし、非戦闘職の彼は冒険者仲間から不遇な扱いを受けていた。 ある日、ダンジョンに入ると天災級モンスター、イフリートに遭遇。エリオットは仲間が逃げ出すための囮(おとり)にされてしまう。 「生きて帰るんだ――妹が待つ家へ!」 彼は岩の割れ目につるはしを打ち込み、崩落を誘発させ―― 目が覚めると未知の洞窟にいた。 貴重な鉱脈ばかりに興奮するエリオットだったが、特に不思議な形をしたクリスタルが気になり、それを掘り出す。 その中から現れたモノは…… 「えっ? 女の子???」 これは、不遇な扱いを受けていた少年が大陸一の大富豪へと成り上がっていく――そんな物語である。

駆け落ち男女の気ままな異世界スローライフ

壬黎ハルキ
ファンタジー
それは、少年が高校を卒業した直後のことだった。 幼なじみでお嬢様な少女から、夕暮れの公園のど真ん中で叫ばれた。 「知らない御曹司と結婚するなんて絶対イヤ! このまま世界の果てまで逃げたいわ!」 泣きじゃくる彼女に、彼は言った。 「俺、これから異世界に移住するんだけど、良かったら一緒に来る?」 「行くわ! ついでに私の全部をアンタにあげる! 一生大事にしなさいよね!」 そんな感じで駆け落ちした二人が、異世界でのんびりと暮らしていく物語。 ※2019年10月、完結しました。 ※小説家になろう、カクヨムにも公開しています。

異世界で快適な生活するのに自重なんかしてられないだろ?

お子様
ファンタジー
机の引き出しから過去未来ではなく異世界へ。 飛ばされた世界で日本のような快適な生活を過ごすにはどうしたらいい? 自重して目立たないようにする? 無理無理。快適な生活を送るにはお金が必要なんだよ! お金を稼ぎ目立っても、問題無く暮らす方法は? 主人公の考えた手段は、ドン引きされるような内容だった。 (実践出来るかどうかは別だけど)

帰って来た勇者、現代の世界を引っ掻きまわす

黄昏人
ファンタジー
ハヤトは15歳、中学3年生の時に異世界に召喚され、7年の苦労の後、22歳にて魔族と魔王を滅ぼして日本に帰還した。帰還の際には、莫大な財宝を持たされ、さらに身につけた魔法を始めとする能力も保持できたが、マナの濃度の低い地球における能力は限定的なものであった。しかし、それでも圧倒的な体力と戦闘能力、限定的とは言え魔法能力は現代日本を、いや世界を大きく動かすのであった。 4年前に書いたものをリライトして載せてみます。

処理中です...