大和型戦艦、異世界に転移する。

焼飯学生

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第九章〜世界大戦〜

第141話 終戦

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G作戦完了から3日後、セレーネ公国の連邦国会議事堂。
そこでセレーネ連盟国に所属する各国の代表と、竹田首相、アルシャー大統領、メルザス大統領が集まり、連盟会談を開いていた。議題は勿論、大帝国の今後についてだ。

「それではまず、日丸国の竹田首相、お願いします」

司会進行を務めているトムヤードから呼ばれた光成は、席を立ち上がり、皆の視線が集まる前方の台へと上がった。

『では単刀直入に申し上げますと、我々日丸国としては、大帝国に求める損害賠償は、アーガス大陸全土をアーガス共和国に讓渡、そして賠償金の8割をアーガス共和国の発展に使用し、残りの2割を我々で分割すると言った内容にするべきだと考えます』

マイクを通して光成が出した提案に、議事堂内に居る者達は騒然とする。

「我々は大帝国に搾取され続けていたのだぞ!」

「その怒りを、その程度に沈めようとするのでは無い!!」

「その通りだ! これは皇帝、いや皇族を全て処刑しなければ、収まらん!!」

光成の提案に、連邦国に所属する国の各代表は、次々と大きな声で文句を述べて野次を飛ばす。

『皆さんの怒りは最もです。ですが、その怒りがまた新たな戦火を呼ぶことになるのです。もし仮に、大帝国の皇帝を処刑しますと、大帝国内部で大規模な反乱が起きると思われます。何しろ、現皇帝は帝国内部で壮絶な人気があると聞き及んでおります。捕虜曰く、腐敗政治を改善しようと奮闘していたと…更にこの度の戦争を回避しようと、我々と手を組もうとしていたと、大帝国の幹部から直接聞きております』

「そんな話信じるわけが無いだろう!」

誰かがそう叫ぶと、光成はボイスレコーダーを取りだした。

『ここに、皇帝近衛師団ロイヤルガーディアンズの近衛師団長、ミカエル・アークエル殿の尋問した際のデータが入っております。嘘だと思われるなら、これを確認されるがよろしい』

「近衛師団長だと…!?」

「しかも、あのミカエルか…」

思わぬ者の名前が上がり、再び会場は騒然とする。

『故に、日丸国としての意見としては、大帝国に求めるのはアーガス大陸の解放、使い方を明確にした膨大では無い損害賠償金、そして連盟への加入であります』

「巫山戯るな!」

「貴様ら漂流者共に我々の辛さが分かるまい!」

「奴らを連盟に入れる理由なぞないぞ! 皇帝を処刑し、分割統治するべきだ!!」

連邦国所属の各国代表は、光成の提案に怒り狂い、挙句の果てには物を投げる物まで出てくるが、光成は臆することなく堂々と構えていた。

『……いい加減にしたまえ!!』

今まで黙って聞いていたトムヤードが、光成の案を否定し続ける各国代表に対して、怒鳴りつける。

『黙って聞いていれば、好き放題言いよって…それでもセレーネ連盟国の者か!? 貴様ら、南北戦争時の講和会議の時、何も学ばなかったのか!? 貴様らの私欲を満たすための条件を突きつければ、復讐者という新たな敵を生むだけだぞ!? それが何故わからん!!』

「だが、南北戦争の時と違い、もう敵がいないではないか! 態々奴らと手を組むなぞ有り得ん!!」

『それは私がお答え致しましょう…』

怒りを爆発させているトムヤードに変わり、光成が質問に答えるために口を開いた。

『良いですか皆さん。この度の戦争で、我々は平和を手に入れたと言ってもいいでしょう。ですが、我々は常に未知の危険に晒されております』

「どいうことかね?」

『未知の危険、それは漂流者です。これまで、別世界の者は善の者が多いです。ですが、中には悪の者も居ます。実際、我々日丸国は一度、その者達に襲われました。その際は、敵が対処できる程度の力だったため、何とかなりましたが、物によっては、我々の以上の技術や力を持った敵が出てくる可能性があります。そうなった際、世界中が協力しなければ、我々はあっという間にその者に敗れることになるでしょう。そうなれば、大帝国時代よりもっと酷いことになってしまいます。ここは未来を生きる者達のためにも、過去の因縁を断ち切るべきではないでしょうか? 難しい決断とは思われますが、今一度未来のために考えて貰えないでしょうか…!』

光成の説明を含めた説得に、多くの者達が両腕を組んで無言で考え始める。

『……それでは、竹田首相の意見に反対、もしくは別の意見がある方は、挙手してください』

落ち着いたトムヤードは、頃合いを見て他に意見がないか、辺りを見渡した。
あれだけ光成を責めていた者達だったが、光成の説得と合理的な意見に何も言えず、手を挙げる者はいなかった。なお、このことは事前に光成、トムヤード、ウルフ、バエルラの4名はこのことを話し合っていたため、3名は光成の意見を素直に受け入れた。
確して、世界共栄連盟がソラリス大帝国に望む講和の内容が決定された。





戦艦大和艦内の空き部屋。その部屋にローレンスは軟禁されていた。

「……それで、我への処罰が決まったのか?」

部屋の中央にて、正座をして座っていたローレンスは、入ってきた光太郎に、そう尋ねた。

「ええ…我々が貴方々へ求む物は以下の通りです」

光太郎は紙に書いた電報をローレンスに渡した。

「…………本当にこれだけで良いのか…?」

電報の内容を読んだローレンスは、あまり厳しくない講和内容に驚愕した。

「無論です。大帝国からの完全独立を果たした我々が、次に戦うことになろう敵は、異世界という未知の世界に住んでいた敵になります。そのような者が来るのに、我々が争っていたら、あっという間にやられてしまいます。それ故に、歴史が長い貴国の知識は是非とも欲しいのですよ」

「なるほど…良かろう。我が帝国は、連盟側の要望を全て受け入れ、我々が隠していたこの世界のも公開しよう」

「……ありがとうございます。それでは、貴方の身柄を解放致します。これまでの無礼、お許しください」

「構わん。元敵国だからな…こればかりは仕方あるまい」

光太郎はローレンスの世界の秘密という言葉が気になりつつ、ローレンスを本土に返すため、内火艇まで案内することにした。

「そう言えば、貴殿の名を聞いていなかったな。まぁ、役職は予想ができるが…」

「申し遅れました。私は、この桜花艦隊旗艦戦艦大和の艦長兼、桜花艦隊司令長官の山本光太郎であります」

「山本光太郎か…覚えておこう」

内火艇に乗り込む直前、光太郎の自己紹介を聞いたローレンスは、満足気に微笑み内火艇へと乗り込んだ。
その後、大帝国に戻ったローレンスは、大帝国が占領地域全土に向けて自らラジオ放送を行い、そのラジオで大帝国の敗北と、連盟が提示した要望を受け入れることを発表した。
これにより、アーガス戦争から続いた連盟と大帝国の因縁は無くなり、この世界で初となる世界大戦が幕を閉じたのであった。
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