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まず、これまで大人しく用意されたレール歩んできたが、これからは別の生き方を考えていかなければならない。
どうしよう……。
サクラが現れることは避けられない未来なのだとしても、国外追放されてのたれ死ぬことだけは免れたい。
やはり私は、皇太子から少しずつ、不自然じゃない程度に距離を取るのがいいのだろう。
だって私が反逆罪にされた最大の要因は、サクラの嫉妬によるものだったのだから。
そう決意したものの、なかなか皇太子と距離を置くのは、これまで親しくさせてもらっていただけに簡単なことではなかった。
「マリエッタ、今日は来てくれてありがとう」
「いえ、殿下。呼んでいただけて光栄です」
今日は、殿下に呼ばれて皇宮に来ていたが、驚くことに、殿下に呼ばれたのは私だけのようだ。
「あの、他の方は……?」
「ああ。今日呼んだのは君だけだ。君と、もっとゆっくり話したいと思ってね」
夢の中で見てきた未来では、自分が言うのも何だが少なくともサクラが来るまで、殿下は私に想いを寄せていた。
もちろん夢の中で見た私も、そのときは満更でもない心境であったが、あれが全てこれから起こることだと考えると、浮わついた気持ちになんてなれない。
殿下を距離を取るなんて、簡単なようで、簡単じゃない。
これが単なる幼なじみや、身分が同等の者であれば、まだ何とかなるものの……。
「マリエッタ……?」
「あ、すみません」
「いいんだ。それより、どうした? 顔色が良くないようだが……」
「そんなことないですよ。私は元気です」
自分でも泣きたくなるような返しだ。
けれど私の言うことに対して訝しそうに眉を下げた殿下は、驚くことに次の瞬間、私の額に自らの額をくっつけてきたのだ。
「熱はないようだな……?」
ガタッ。
何も知らなかったら、殿下にときめいていただろう。
けれど、夢で片づけられない一度目の人生の記憶を持つ私は、思わず殿下から距離を取るように席を立っていた。
「マリエッタ? どうした?」
殿下が戸惑ったような、そして少し傷ついたように私を見る。
「す、すみません。ビックリしてしまって……」
いやに動悸が速い。
このままでは、殿下に怪しまれてしまう。
むしろ、殿下に嫌われて距離を取る方がいいのかもしれない。
けれど、相手は殿下だ。
下手をすれば、私と殿下だけの問題に留まらないかもしれない。
「そうか。驚かせてしまってすまない」
殿下は、私の言い分になぜか少しホッとしたような笑みを浮かべると、申し訳なさそうに眉を下げた。
このまま、ここにいると、余計にボロが出てしまうだろう。
「わ、私、やはり体調が優れないので、本当に申し訳ないないのですが、今日はこれにて失礼してもよろしいでしょうか?」
私は最後、何とか殿下に挨拶をすると、内心逃げるようにその場をあとにしたのだった。
どうしよう……。
サクラが現れることは避けられない未来なのだとしても、国外追放されてのたれ死ぬことだけは免れたい。
やはり私は、皇太子から少しずつ、不自然じゃない程度に距離を取るのがいいのだろう。
だって私が反逆罪にされた最大の要因は、サクラの嫉妬によるものだったのだから。
そう決意したものの、なかなか皇太子と距離を置くのは、これまで親しくさせてもらっていただけに簡単なことではなかった。
「マリエッタ、今日は来てくれてありがとう」
「いえ、殿下。呼んでいただけて光栄です」
今日は、殿下に呼ばれて皇宮に来ていたが、驚くことに、殿下に呼ばれたのは私だけのようだ。
「あの、他の方は……?」
「ああ。今日呼んだのは君だけだ。君と、もっとゆっくり話したいと思ってね」
夢の中で見てきた未来では、自分が言うのも何だが少なくともサクラが来るまで、殿下は私に想いを寄せていた。
もちろん夢の中で見た私も、そのときは満更でもない心境であったが、あれが全てこれから起こることだと考えると、浮わついた気持ちになんてなれない。
殿下を距離を取るなんて、簡単なようで、簡単じゃない。
これが単なる幼なじみや、身分が同等の者であれば、まだ何とかなるものの……。
「マリエッタ……?」
「あ、すみません」
「いいんだ。それより、どうした? 顔色が良くないようだが……」
「そんなことないですよ。私は元気です」
自分でも泣きたくなるような返しだ。
けれど私の言うことに対して訝しそうに眉を下げた殿下は、驚くことに次の瞬間、私の額に自らの額をくっつけてきたのだ。
「熱はないようだな……?」
ガタッ。
何も知らなかったら、殿下にときめいていただろう。
けれど、夢で片づけられない一度目の人生の記憶を持つ私は、思わず殿下から距離を取るように席を立っていた。
「マリエッタ? どうした?」
殿下が戸惑ったような、そして少し傷ついたように私を見る。
「す、すみません。ビックリしてしまって……」
いやに動悸が速い。
このままでは、殿下に怪しまれてしまう。
むしろ、殿下に嫌われて距離を取る方がいいのかもしれない。
けれど、相手は殿下だ。
下手をすれば、私と殿下だけの問題に留まらないかもしれない。
「そうか。驚かせてしまってすまない」
殿下は、私の言い分になぜか少しホッとしたような笑みを浮かべると、申し訳なさそうに眉を下げた。
このまま、ここにいると、余計にボロが出てしまうだろう。
「わ、私、やはり体調が優れないので、本当に申し訳ないないのですが、今日はこれにて失礼してもよろしいでしょうか?」
私は最後、何とか殿下に挨拶をすると、内心逃げるようにその場をあとにしたのだった。
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