騎士様も異世界人

キマイラ

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 キスも習慣になった。まず手を取られて指先に口付けられる。それから指を甘嚙みして舌を這わせて掌から手首へと唇が移動していく。そのまま手を引かれて腕の中に閉じ込められて唇同士が触れ合う。それがいつものパターンだった。今日もそうだった。パーシヴァルさんの腕の中で口付けに夢中になる。

「ん、はぁ……あ」

 絡めた舌を優しく噛まれて体が震えてしまう。パーシヴァルさんはそんな私の背中を宥めるように撫でて口付けを続ける。まるで食べられている気分だ。ああ、でも、この人になら食べられてしまってもいいかもしれない。ぼんやりと熱を持ち始めた思考回路にそんな言葉が浮かんでくる。縋り付くようにその背に腕を回した。

「ミナーヴァ、どうしてほしいですか」

 唇が離れて吐息がぶつかる距離で問われた。私は熱に浮かされた思考そのままに口を開いた。頭なんて回ってない。思考回路はとっくに蕩けているのだから。だから自分がなにを言おうとしているのかだって分かっていなかった。

「ぜんぶ、たべてください」

「あなたがそう望むなら遠慮なく」

 抱き上げられてどこかへ運ばれる。向かう先はどうやらパーシヴァルさんの部屋のようだ。優しくベッドの上に下ろされて大きな体が覆いかぶさって唇同士が触れ合う。

「はあ、ん……」

 絡めた舌を優しく吸われてびくりと体が跳ねる。宥めるように頬を撫でられてそのまま口付けに没頭した。不埒な手がブラウスのボタンを外して素肌に触れた。腹を撫でられてブラジャーも取り払われた。柔らかな膨らみの感触を確かめるように触れる手に思わず熱い吐息を漏らす。

 口付けはなおも続けられていて少しばかり残った理性が羞恥心を煽って、やめてほしいと言う代わりにパーシヴァルさんの舌を軽く噛んだ。それは私が初めてした抵抗だった。これまでパーシヴァルさんのすることで私が受け入れないことなどなかったけれど、今度ばかりは恥ずかしくて耐えられなかった。

 唇が離れていく。自分でそう仕向けたのにそれを寂しいと思うのはなぜだろう。

「ミナーヴァ、嫌ですか?」

「……嫌じゃないけど、恥ずかしいんです。灯り、消してください」

 今さら嫌だなんて言わないけど、せめて部屋の灯りを消してほしかった。体を見られなければ恥ずかしさが軽減されるような気がした。

 パーシヴァルさんはすぐに灯りを消してくれた。カーテンの隙間から漏れる街灯の僅かな光だけが部屋を照らしていて、私にはなにも見えなかった。だというのにパーシヴァルさんには見えているのかもしれないと思わせる正確さで私の体に触れる。胸の先端を摘まんで転がして、むしゃぶりついて舌で転がして吸われた。

「あ、んん……」

 私に触れる力加減はあくまで優しいのに、どうしてこんなにも追い詰められたような心地になるのだろう。逃げ出したいような感情に苛まれてパーシヴァルさんの下で一人身を捩る。

「ミナーヴァ?」

「なんだかとっても逃げ出したい気分です」

 パーシヴァルさんがフッと笑ったのが気配で分かった。

「諦めて俺に食べられてください」

 そう言うと再び唇を塞がれた。

「ん、ふぅ……はあん」

 体に触れる手がだんだん下がっていってとうとう下着越しに秘部に触れた。びくりと体が震える。最後にぢゅ、と舌を吸ってパーシヴァルさんは離れていった。指先が擽るように秘裂をなぞって、その刺激に身悶えする私に気付いているのかいないのかそのまま何度もその動きを繰り返す。

「あ……」

 指が陰核に触れた時思わず声を出した。

「気持ちいいですか?」

 そう問うてきたものの答えは初めから分かっているのか執拗にそこばかり触れられてあっという間にわけが分からなくなった。時折唇が肌に触れて強く吸われるのもよかった。チリっとした痛みも快楽に変わるのだ。

「あ、ああ……!」

 びくびくと体が痙攣するように動く。自分の意思なんてそこにはなかった。あるのは初めての絶頂への戸惑い。そしてこの感覚をまた味わいたいという欲望だけだった。そしてそんな欲を抱いた自分に驚いた。

 下着を脱がされて指が一本、なにも受け入れたことのない場所へと侵入してくる。ゆっくりとしたその動きに気遣われていると感じてきゅんとした。

 少しずつ慣らされて隘路は開拓されていく。

「あん」

 指がある一点を掠めた時思わず声を出した。

「ここですか?」

「あ……」

 返事なんてできなかった。そこに触れられるとただ喘ぐことしかできなかったから。パーシヴァルさんは何度もそこに触れてきた。そうしているうちに指を増やされていつの間にか三本の指を飲み込んで私は喘いでいた。

「ああん!」

 ぐりぐりと親指で陰核を押し潰されて指を締め付けながら果てた。私はすっかりパーシヴァルさんに与えられる快楽というものに夢中になって溺れていた。体はもう脱力しきっていてされるがままだった。

 女の部分の中心に熱いものが触れて思わず唾を飲み込む。

「いいですか?」

 そこで質問するなんてずるいと思う。嫌だなんて言えるわけがない。私はパーシヴァルさんが好きなのだから。なんにも聞かずに貫いてほしかった。けれどすりすりと擦りつけるばかりで入ってはこないものだから私が答えないとこの先はないのだと分かった。

「ぜんぶたべてと、いったじゃないですか」

 どこか非難するような口調になってしまったのは羞恥ゆえだった。顔が熱い。真っ赤になっているのが自分でも分かる。

「では遠慮なく」

 そう言ってパーシヴァルさんは私の中へと入ってきた。

「あ、はあ、ああ……」

 初めて受け入れた男というものは熱かった。すぐに痛みが追いかけてきたけれどとにかく熱を感じた。動かれる度に少しばかり苦しそうな嬌声を上げる。痛みに喘いでいるのか快楽に喘いでいるのか自分でも分からなかった。きっとその両方だといっぱいいっぱいの頭で考える。私に余裕があると悟ったパーシヴァルさんは腰の動きを少しずつ大きく大胆にしていったから考え事をする余裕なんてすぐになくなってしまった。

「あ、あん、ああ」

 そうされるともう喘ぐことしかできなくて、頭の中も全てパーシヴァルさんに占拠されて彼のことしか考えられなくなる。私はただその背に腕を回して縋り付いていた。熱い、痛い、でもこの上なく気持ちがいい。理性なんてもうどこかへ消えてしまっていた。目の前のこの男が堪らなく愛おしい。それしかなかった。それが全てだった。

「ああ……!」

 腹の中の男をきゅうきゅうと締め付けて果てた。熱い飛沫を注ぎ込まれて堪らなく充足感を得た。それはきっと満たされた独占欲だ。この人は私の、私だけのものなのだという実感でもあった。
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