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14~17 Side 秋斗 03話
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さっきから右手で胸を押さえたままの彼女。
家に着き、「着いたよ」と声をかけるとすでに待っていた蒼樹がドアを開けた。
「おかえり」と、彼女を見やる表情はとても穏やかだ。
自分の目が届く場所、手の届く場所に妹が帰ってきて落ち着いた、そんなところかな。
「ただいま」と答える彼女も、身体の緊張を解くのが見て取れた。
「かなりつらそうだな」
「……うん」
蒼樹が手を貸すと彼女はゆっくりと起きあがり、表に出れば横抱きにされて玄関へ入っていった。
俺も車のエンジンを切り、そのあとに続く。リビングに入ると、
「秋斗先輩、今日はありがとうございました」
蒼樹が頭を下げる。翠葉ちゃんは部屋で制服を着替えているらしく、彼女の部屋のドアは閉められていた。
「蒼樹から連絡入るかと思ってたけど、かけてこなかったな」
蒼樹にしては珍しいと思う。すっ飛んできてもおかしくはない状態だったのに……。
「いえ……実は俺から電話をする前に湊さんから連絡が来たんです。点滴を打ちに行く前と行ったあと。だからかける必要がなかったというか……」
蒼樹は決まり悪そうに笑う。
「なるほどね。湊ちゃんも意外と気が回る人だったか」
そんな俺たちの後ろで栞ちゃんが夕飯の準備をしていた。その様子を見て、
「ね、栞ちゃん。そっちだと翠葉ちゃん座れないよね」
ダイニングに並ぶお皿を見て口にすると、
「あ……そうね。秋斗くん、悪いんだけどリビングテーブルにお皿を移してもらっていいかしら?」
「了解」
蒼樹が彼女の部屋をノックし声をかけると、ドアの向こうから「うん、今行くよ」と返事があった。
蒼樹は躊躇なくドアを開け彼女のもとへ行く。そうして、実の兄に差し出された手を彼女は迷いなく取り、ふたり一緒に出てくる。
その動作があまりにも自然すぎて王子様とお姫様のようだ。
……これは妬けるな。
彼女はリビングに用意された食卓を見て、「え?」と声をあげた。
「翠葉ちゃん、椅子はきついでしょう? だから、みんなでこっちで食べようって話になったの」
栞ちゃんがにこりと笑って言えば――あれ? 彼女の表情は見事に固まっていた。
嬉しく、ない……?
何やら動揺しているのが見て取れるわけだけど、理由がわからない。
蒼樹に付き添われて俺の対面に座った彼女はちっとも顔を上げてくれなかった。視線は蒼樹か床だ。
「ソファに寄りかかってもいいし、俺の方にもたれてもいいから」
蒼樹の言葉にコクリと頷く。
「スープだけ飲む?」
栞ちゃんが訊くと、先ほどと同じようにコクリと頷いた。
まるで首振り人形のようだ。
栞ちゃんが持ってきた小さなカップを受け取っては、そのカップをじーっと見て湯気に手をかざす。
「あたたかい?」
俺が訊くと、
「……はい。……あの、ケーキ……ありがとうございます」
やっとこっちを見てくれた。
「食べられるだけでいいから、食べて」
またコクリと頷いてフォークを手にする。しかし、ケーキには手を付けず、隣の蒼樹の顔を見た。
どこからどう見ても挙動不審そのもの……。
「……どうした?」
蒼樹もそんな彼女に気づいているのか不思議そうな顔をしている。
「……精神安定剤?」
それは彼女が首を傾げながら口にした言葉。
クエスチョンマークに頭が占拠されたのは俺だけじゃなかったらしい。蒼樹もたいそう間抜けな顔で、「は?」と訊き返す。
「あ……えと、違う。あのね、薬を増やすの来週からにしてもらったの」
何かをごまかしたのは明白。しかし、それが何か見えないうちに話題をすり替えられた。
「それで大丈夫なのか?」
蒼樹の顔が不安に歪む。
「大丈夫かはあまり自信ない。でも、今から飲んだら一、二週間は今日みたいな日が続いちゃう。そしたら全国模試は切り抜けられないから」
「……テストよりも自分の身体じゃ――」
俺もそう思ったよ……。
「それじゃだめなの。今身体を優先させると歯車がどんどん狂っちゃう。全国模試さえクリアできればそのあと一、二週間休んでもかまわない。その間に体調を立て直せれば、七月の期末考査もなんとかできる気がするの」
俺の隣に座る栞ちゃんは、
「……そういうこと。湊はOK出したのね?」
冷静に尋ねる。
「栞ちゃん、これ、湊ちゃんから預かってきた薬」
預かってきた薬を渡すとメモを見て、
「痛み止め、一段階で飲む薬を二種類に増やしたのね」
小さく呟いた直後、
「がんばって模試、切り抜けようね!」
栞ちゃんが満面の笑みを彼女に向けると、彼女も笑顔で応えた。
難しそうな顔をしているかと思えばどこか宙を見ていたり――君はその頭で何を考えているのかな。
食事中、彼女は蒼樹の携帯をえらく気にしていた。携帯を見ては蒼樹の顔を見る始末。
何があるのか、と携帯をテーブル下で操作し、脈拍が振動でわかるように設定する。それをジャケットの内ポケットへ入れて知らん顔。
彼女はずっと蒼樹を気にしているため俺の動作には気づいていない。
苺タルトを食べているというのに頬が緩むことはなく、気もそぞろ。こんなことは初めてだ。
いったい何を気にしている?
「珍しいね? 苺タルト食べてるのに頬が緩まないなんて」
俺が声をかけるとびっくりしたのか、鼓動が若干速くなる。
「そんなことないです……」
彼女は言いながら頬をつねるという奇行に走った。
フォークを置いてカップを持つと、少しずつそれを飲む。すると、少し落ち着いたのか脈拍を伝える振動に変化があった。
必死に自分を落ち着けようとしているのが丸見え……。
「ごめんなさい。ケーキ、またあとで食べます」
彼女はゆっくりと席を立った。
「ケーキなら私が冷蔵庫に入れてくるわ」
すぐさま栞ちゃんがケーキプレートを引き受ける。
「部屋で横になるか?」
蒼樹に訊かれて、彼女は「うん」と頷いた。
「じゃ、僕が連れていくよ」
だって、蒼樹ばかりが彼女をエスコートするのはずるいから。
有無を言わさず横から腕を支えると、脈拍を知らせる振動が途端に速くなる。
あまりにも改良を重ねて壊れたか……?
そう思ったのは一瞬のこと。すぐにそうではないことに気づく。
彼女のきれいな髪の合間から見えた首筋が真っ赤だった。
――これは俺、喜んでもいいのかな……?
さっきから蒼樹の携帯を気にしていたのは頻脈が気になるからで、さらにはそれを蒼樹に悟られるのが嫌だったとしたら……? しかも、その頻脈の原因が俺だったら……?
部屋の突きあたりまで来ると、彼女はベッドに腰をかけそのままコロンと横になった。
横になってもなお髪で顔を隠そうとする。首筋があれじゃ、顔はさらに赤いのだろう。
そんな彼女と目線を合わせるようにベッドサイドにしゃがみこむ。
「そんなに意識されると嬉しい反面、こっちにもドキドキが伝染する」
「……なんのことでしょう?」
真っ赤な顔して否定ときましたか……。
思わずクスリと笑みが漏れる。
本当にかわいいな……。
「じゃ、そういうことにしておいてあげる」
彼女の頭をふわりと撫で部屋から出た。
リビングに戻っても俺の笑いはおさまらない。
「先輩、超絶笑顔ですが……」
怪訝な顔をした蒼樹から突っ込まれる。
「いや、なんでもないよ」
とは返すものの、なんでもないわけがない。
これはさ、俺、ちょっと彼女の心に入り込めたんじゃないか?
そんなことが嬉しくて仕方がない。
今までだって赤面されたことなら何度もある。が、それはからかうつもりでやった行動がゆえの結果で、こんなにも自分が何もせずに赤面してくれることなど一度もなかった。
それはつまり、俺を意識し始めてくれたと取ってもいいんじゃないだろうか。
彼女の鼓動は依然早足のまま。それを蒼樹も気にして見ているようで、ご飯を食べ終えると「はぁ」と深いため息をついて彼女のもとへ向かった。
あの兄妹が今どんな会話をしているのかが気になる。
俺もご飯を食べ終えたら行ってみよう。
「秋斗くん、なんだかご機嫌ねぇ?」
隣の栞ちゃんから指摘される。
「それはもう」
「ご機嫌のもとは何かしら?」
訊かれたけれど、とくに答えは必要なかったらしい。
食事を終え彼女の部屋に入ると、
「ま、とりあえずはおめでとう、かな?」
「なんの話?」と会話に加わると、
「……なんでもないです。ね? 蒼兄?」
彼女は引きつり笑いで蒼樹に同意を求める。が、蒼樹は「くっ」と腹を抱えて突っ伏した。
「ま、いいや」
今はかなりご機嫌なので、秘密のひとつやふたつは目を瞑る。
「で、翠葉ちゃんが危険な科目ってなんなの?」
「え……?」
「模試」
「あ……英語と古典です」
丸っきり蒼樹と同じじゃないか……。
「見事に文系か。英語と古典……今は海斗が持ってるのかな?」
「あぁ、先輩のマウンテンノートですか?」
「そうそう」
彼女の「何それ?」って顔がかわいい。
「先輩の試験の山は当たるんだよ。そのノートに救われた人間は数知れず。俺も文系ではお世話になってた」
蒼樹の説明にとりあえず納得したようだ。
少し前までなら司が持っていたはずだけど、今は海斗の手に渡っているかもしれない。海斗は文系には強いからなくても大丈夫だろう。
「海斗に聞いておく」
「……ありがとうございます」
少し照れたように口にする表情もまたかわいかった。
あんな悲しそうな笑顔じゃなくて、今みたいな笑顔を見せてほしい……。
家に着き、「着いたよ」と声をかけるとすでに待っていた蒼樹がドアを開けた。
「おかえり」と、彼女を見やる表情はとても穏やかだ。
自分の目が届く場所、手の届く場所に妹が帰ってきて落ち着いた、そんなところかな。
「ただいま」と答える彼女も、身体の緊張を解くのが見て取れた。
「かなりつらそうだな」
「……うん」
蒼樹が手を貸すと彼女はゆっくりと起きあがり、表に出れば横抱きにされて玄関へ入っていった。
俺も車のエンジンを切り、そのあとに続く。リビングに入ると、
「秋斗先輩、今日はありがとうございました」
蒼樹が頭を下げる。翠葉ちゃんは部屋で制服を着替えているらしく、彼女の部屋のドアは閉められていた。
「蒼樹から連絡入るかと思ってたけど、かけてこなかったな」
蒼樹にしては珍しいと思う。すっ飛んできてもおかしくはない状態だったのに……。
「いえ……実は俺から電話をする前に湊さんから連絡が来たんです。点滴を打ちに行く前と行ったあと。だからかける必要がなかったというか……」
蒼樹は決まり悪そうに笑う。
「なるほどね。湊ちゃんも意外と気が回る人だったか」
そんな俺たちの後ろで栞ちゃんが夕飯の準備をしていた。その様子を見て、
「ね、栞ちゃん。そっちだと翠葉ちゃん座れないよね」
ダイニングに並ぶお皿を見て口にすると、
「あ……そうね。秋斗くん、悪いんだけどリビングテーブルにお皿を移してもらっていいかしら?」
「了解」
蒼樹が彼女の部屋をノックし声をかけると、ドアの向こうから「うん、今行くよ」と返事があった。
蒼樹は躊躇なくドアを開け彼女のもとへ行く。そうして、実の兄に差し出された手を彼女は迷いなく取り、ふたり一緒に出てくる。
その動作があまりにも自然すぎて王子様とお姫様のようだ。
……これは妬けるな。
彼女はリビングに用意された食卓を見て、「え?」と声をあげた。
「翠葉ちゃん、椅子はきついでしょう? だから、みんなでこっちで食べようって話になったの」
栞ちゃんがにこりと笑って言えば――あれ? 彼女の表情は見事に固まっていた。
嬉しく、ない……?
何やら動揺しているのが見て取れるわけだけど、理由がわからない。
蒼樹に付き添われて俺の対面に座った彼女はちっとも顔を上げてくれなかった。視線は蒼樹か床だ。
「ソファに寄りかかってもいいし、俺の方にもたれてもいいから」
蒼樹の言葉にコクリと頷く。
「スープだけ飲む?」
栞ちゃんが訊くと、先ほどと同じようにコクリと頷いた。
まるで首振り人形のようだ。
栞ちゃんが持ってきた小さなカップを受け取っては、そのカップをじーっと見て湯気に手をかざす。
「あたたかい?」
俺が訊くと、
「……はい。……あの、ケーキ……ありがとうございます」
やっとこっちを見てくれた。
「食べられるだけでいいから、食べて」
またコクリと頷いてフォークを手にする。しかし、ケーキには手を付けず、隣の蒼樹の顔を見た。
どこからどう見ても挙動不審そのもの……。
「……どうした?」
蒼樹もそんな彼女に気づいているのか不思議そうな顔をしている。
「……精神安定剤?」
それは彼女が首を傾げながら口にした言葉。
クエスチョンマークに頭が占拠されたのは俺だけじゃなかったらしい。蒼樹もたいそう間抜けな顔で、「は?」と訊き返す。
「あ……えと、違う。あのね、薬を増やすの来週からにしてもらったの」
何かをごまかしたのは明白。しかし、それが何か見えないうちに話題をすり替えられた。
「それで大丈夫なのか?」
蒼樹の顔が不安に歪む。
「大丈夫かはあまり自信ない。でも、今から飲んだら一、二週間は今日みたいな日が続いちゃう。そしたら全国模試は切り抜けられないから」
「……テストよりも自分の身体じゃ――」
俺もそう思ったよ……。
「それじゃだめなの。今身体を優先させると歯車がどんどん狂っちゃう。全国模試さえクリアできればそのあと一、二週間休んでもかまわない。その間に体調を立て直せれば、七月の期末考査もなんとかできる気がするの」
俺の隣に座る栞ちゃんは、
「……そういうこと。湊はOK出したのね?」
冷静に尋ねる。
「栞ちゃん、これ、湊ちゃんから預かってきた薬」
預かってきた薬を渡すとメモを見て、
「痛み止め、一段階で飲む薬を二種類に増やしたのね」
小さく呟いた直後、
「がんばって模試、切り抜けようね!」
栞ちゃんが満面の笑みを彼女に向けると、彼女も笑顔で応えた。
難しそうな顔をしているかと思えばどこか宙を見ていたり――君はその頭で何を考えているのかな。
食事中、彼女は蒼樹の携帯をえらく気にしていた。携帯を見ては蒼樹の顔を見る始末。
何があるのか、と携帯をテーブル下で操作し、脈拍が振動でわかるように設定する。それをジャケットの内ポケットへ入れて知らん顔。
彼女はずっと蒼樹を気にしているため俺の動作には気づいていない。
苺タルトを食べているというのに頬が緩むことはなく、気もそぞろ。こんなことは初めてだ。
いったい何を気にしている?
「珍しいね? 苺タルト食べてるのに頬が緩まないなんて」
俺が声をかけるとびっくりしたのか、鼓動が若干速くなる。
「そんなことないです……」
彼女は言いながら頬をつねるという奇行に走った。
フォークを置いてカップを持つと、少しずつそれを飲む。すると、少し落ち着いたのか脈拍を伝える振動に変化があった。
必死に自分を落ち着けようとしているのが丸見え……。
「ごめんなさい。ケーキ、またあとで食べます」
彼女はゆっくりと席を立った。
「ケーキなら私が冷蔵庫に入れてくるわ」
すぐさま栞ちゃんがケーキプレートを引き受ける。
「部屋で横になるか?」
蒼樹に訊かれて、彼女は「うん」と頷いた。
「じゃ、僕が連れていくよ」
だって、蒼樹ばかりが彼女をエスコートするのはずるいから。
有無を言わさず横から腕を支えると、脈拍を知らせる振動が途端に速くなる。
あまりにも改良を重ねて壊れたか……?
そう思ったのは一瞬のこと。すぐにそうではないことに気づく。
彼女のきれいな髪の合間から見えた首筋が真っ赤だった。
――これは俺、喜んでもいいのかな……?
さっきから蒼樹の携帯を気にしていたのは頻脈が気になるからで、さらにはそれを蒼樹に悟られるのが嫌だったとしたら……? しかも、その頻脈の原因が俺だったら……?
部屋の突きあたりまで来ると、彼女はベッドに腰をかけそのままコロンと横になった。
横になってもなお髪で顔を隠そうとする。首筋があれじゃ、顔はさらに赤いのだろう。
そんな彼女と目線を合わせるようにベッドサイドにしゃがみこむ。
「そんなに意識されると嬉しい反面、こっちにもドキドキが伝染する」
「……なんのことでしょう?」
真っ赤な顔して否定ときましたか……。
思わずクスリと笑みが漏れる。
本当にかわいいな……。
「じゃ、そういうことにしておいてあげる」
彼女の頭をふわりと撫で部屋から出た。
リビングに戻っても俺の笑いはおさまらない。
「先輩、超絶笑顔ですが……」
怪訝な顔をした蒼樹から突っ込まれる。
「いや、なんでもないよ」
とは返すものの、なんでもないわけがない。
これはさ、俺、ちょっと彼女の心に入り込めたんじゃないか?
そんなことが嬉しくて仕方がない。
今までだって赤面されたことなら何度もある。が、それはからかうつもりでやった行動がゆえの結果で、こんなにも自分が何もせずに赤面してくれることなど一度もなかった。
それはつまり、俺を意識し始めてくれたと取ってもいいんじゃないだろうか。
彼女の鼓動は依然早足のまま。それを蒼樹も気にして見ているようで、ご飯を食べ終えると「はぁ」と深いため息をついて彼女のもとへ向かった。
あの兄妹が今どんな会話をしているのかが気になる。
俺もご飯を食べ終えたら行ってみよう。
「秋斗くん、なんだかご機嫌ねぇ?」
隣の栞ちゃんから指摘される。
「それはもう」
「ご機嫌のもとは何かしら?」
訊かれたけれど、とくに答えは必要なかったらしい。
食事を終え彼女の部屋に入ると、
「ま、とりあえずはおめでとう、かな?」
「なんの話?」と会話に加わると、
「……なんでもないです。ね? 蒼兄?」
彼女は引きつり笑いで蒼樹に同意を求める。が、蒼樹は「くっ」と腹を抱えて突っ伏した。
「ま、いいや」
今はかなりご機嫌なので、秘密のひとつやふたつは目を瞑る。
「で、翠葉ちゃんが危険な科目ってなんなの?」
「え……?」
「模試」
「あ……英語と古典です」
丸っきり蒼樹と同じじゃないか……。
「見事に文系か。英語と古典……今は海斗が持ってるのかな?」
「あぁ、先輩のマウンテンノートですか?」
「そうそう」
彼女の「何それ?」って顔がかわいい。
「先輩の試験の山は当たるんだよ。そのノートに救われた人間は数知れず。俺も文系ではお世話になってた」
蒼樹の説明にとりあえず納得したようだ。
少し前までなら司が持っていたはずだけど、今は海斗の手に渡っているかもしれない。海斗は文系には強いからなくても大丈夫だろう。
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