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第十二章 自分のモノサシ
21話
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あ、そうだ――学校へ行くのが遅れることを連絡しておかなくちゃ……。でも、どのくらい遅れることになるんだろう……?
「リィ、着いたよ」
「あ、うん。ちょっと電話してもいい?」
「どうぞ」
携帯を取り出しツカサにかけると、コール音三回目でツカサの声が聞こえてきた。
『はい』
「ツカサ……?」
『そう、俺じゃなかったら誰にかけたつもり?』
「あ……そうだよね。うん、ツカサに電話したの」
どうしても電話というものが苦手なうえに、携帯が個人のものであることを忘れてしまう。
出る相手が決まっていても、その人であることを確認せずにはいられない。
みんなはそんなことないのかな……?
「はい」ではなく「翠?」と出てくれたら、一発でツカサだとわかるのに。
「今、少しだけ話せる?」
『……平気。前にも言わなかったか? 話せる状況になければ出ないって』
確かに言われたような記憶がなくもない……。それでも、やっぱり気になって訊かずにはいられないのだ。
「あのね、相馬先生に呼ばれていて、今病院にいるの」
『今日……?』
「うん……。病院自体はお休みなんだけどね。なんで呼ばれているのかはまだわからないのだけど、治療だったら午前中に行けるかわからないから……」
『……わかった』
「あのっ、起案書――どうだったかなっ?」
初めて作った起案書はまだ下書きの状態だ。
『あれで問題ない』
「良かった……」
『九時半からある合同ミーティングで使うから、内容は変えずにあのまま清書する』
「お願いします……」
本当はそこまで自分でやりたかっただけに、ちょっと悔しい……。
『翠、まだ起案書だ。ミーティングで可決されれば企画書に変える必要がある。翠はそれをやればいい。月曜には学校長に申請するつもりでいる』
「……ありがとう」
『何泣きそうな声してるんだか……。用件がそれだけなら切るけど?』
「うん、ありがとう……」
ツカサが切るのを待ってから通話を切った。
「そっか。学園祭の準備とは言えど、遅れるよ連絡は必須だよね」
シートベルトを外した唯兄は雪崩でも起こしたかのような格好で訊いてくる。
「でも、そういう連絡って女友達にしたりするんじゃないんだ?」
女友達……?
言われて気づく。連絡をするのなら、桃華さんや茜先輩でも良かったのだと。
でも、起案書のことも気になっていたし……。
「あー……ごめんごめん、あんま深く考えないで? ただ、ちょっとそう思っただけ」
「あのね、昨日、初めて起案書を作らせてもらったの。ツカサが持ち帰ってチェックしてくれることになっていたのだけど、午前中にそれを使うミーティングがあるから気になっていて……」
「なるほど。そっかそっか。そっちは大丈夫だったの?」
「うん……。でも、まだ下書きの状態だったから、ミーティングで使うものはツカサが用意してくれることになった」
車を降りて辺りを見回す。
日曜日の駐車場は平日とは少し違う。
平日の午前はほとんどが患者さん。午後になると患者さんとお見舞いの人たちが入り混じったような駐車場になる。
土日は午前十時からお見舞いが可能だから、今の時間は駐車場はガランとしている。それでも、何台かの車は停まっているし、お見舞いに来たであろう人がちらほらと見える。
日曜日や祝日は、病院の正面玄関が閉まっているため、救急搬入口から病院へ入る。
入ってすぐのところに警備員室があり、お見舞いに来た人は用意されている台帳に名前などを記入しなくてはいけない。しかし、人のお見舞いに来たわけではない私たちはいったいどうしたらいいものか……。
警備室の前まで来ると、「御園生さん」と警備室から出てきた人に声をかけられた。
見たところ責任者かな、と思うほどには風格のある人だった。
「いつもお世話になっています」
唯兄が頭を下げると、その人は「いえ」と控え目に笑みを浮かべる。
「相馬先生からうかがっておりますので、こちらは無記入で結構です。どうぞそのまま上がられてください」
「ありがとうございます」
私たちは軽く会釈をして警備室を通り過ぎた。
直進したところにある救急外来を横目に見つつ、エレベーターがある方へと足を向ける。
人のいない静かなロビーはなんとなく懐かしい。
去年入院していたときは、人の気配がない時間に中庭へ出るのが好きだった。
今年は九階に入院したこともあって、屋外というと屋上に行くことが多かった気がする。
一階の中庭に出たのは数回だけ。それに、ひとりで出歩けるほどの余裕もなかった。
そんなことを考えていると、エレベーターホールにたどり着く。
そこにはふたりの人がいて、エレベーターが来るのを待っていた。
手に持つ紙袋にタオルなどが入っているから、身内に入院している人がいるのだろう。
その人たちと一緒のエレベーターに乗るものだと思っていた。けれども、唯兄は私の袖を引っ張り留まるように促す。
すぐにもう一機のエレベーターがやってきてそれに乗ると、唯兄が「閉」ボタンを押すと同時、エレベーターホールにある安全ミラーに人が映った。
私が咄嗟に「開」ボタンを押すと、
「悪いね」
柔らかな笑みを浮かべて入ってきたのは年の男性と女の人。
ふたりは階数表示のボタンを見ると、ものすごく驚いた顔で私たちを振り返る。
「何か?」
答えたのは唯兄。
「あら、ごめんなさいね」
唯兄も女の人も、顔は笑っているのに目が笑っていない。
いったいどうしたのだろう、と思いながらやり取りを見ていると、
「九階にはご家族がいらっしゃるのかしら?」
「えぇ、そんなところです」
唯兄がどうしてそんな答え方をしたのかはわからないけれど、この場で私は口を開かないほうがいい気がした。
「あら、どなたが入院されているのかしら」
「見ず知らずの方にお教えすることでもないかと思います」
唯兄はかわいくにっこりと笑って返答する。
気づけば、男の人は私のことをじっと見ていた。その顔つきは、最初に見せた表情から程遠い。まるで検分しているような眼差しだ。
そうこうしているうちにエレベーターの扉が開き、ふたりは私たちを気にしながら八階で降りた。
扉が閉まってから唯兄がため息をつく。
「リィ、次からは人が来ても開けちゃだめ」
前からコツン、とおでこを合わせてじとー、と見られる。
「どうして……? 唯兄、さっきのは何?」
「んー? リィが気にすることでもないんだけどねぇ……。どこぞの強欲人間でしょ」
強欲人間……?
ポーン、と音がしてエレベーターの扉が開く。
その扉を先に出た唯兄が振り返り、
「八階より上は雲の上と覚えましょう」
なぜか小学校の先生みたいな口調だ。
「藤宮病院の新棟、九階十階はいわゆるVIP階。次に高い個室があるのがこの棟の八階。ほかの棟の九階十階はここの八階よりも安い差額ベッド代に設定されてんの。この上階にそんじょそこらの人が長期入院するのは難しい。金銭的なハードルが高いんだ。この棟の八階以上に入院するのはある種ステータスみたいに考える人間たちがいるわけで、さっきの人たちはきっとそういう人種。もしくはそこに誰がいるのかって情報を得たい人たち」
言われたことをひとつひとつ理解して、たどり着く問いはただひとつ。
高いとは思っていたけれど、そんなに高いの……?
「だから、リィもああいう場では気をつけようね。間違っても自分が入院してたなんて言っちゃだめだよ」
「はい」
「もしかしたら誘拐されちゃうかもしれないからね?」
それは飛躍しすぎだと思うけど……。
気になるのは、そこに一ヶ月以上も滞在してしまった私にいったいいくらかかったのか、ということ。
「因みにね、リィの差額ベッド代はオーナーが発行したフリーパスが適用されてるらしいよ?」
「え……でも、フリーパスってホテル施設のみ適用じゃないの?」
「その辺、俺は詳しく知らない。ただ、オーナーがそう言ってるんだから相場以上の金額は請求されてないはず。たぶん碧さんや零樹さんは金額なんて気にされたくないだろうし、教えてはくれないだろうね。でも、そんなに知りたいならクレジット会社にハッキングかけるけど?」
「……唯兄、犯罪はだめ……。それに、お父さんたちに訊いて教えてもらえないものをそうやって知るのはよくないと思う」
それは人の秘密を覗き見るのに少し似ている気がするから。
知られたくないと思っていることを別ルートで知ろうとするのはきっとそういうことと同じだと思う。
「……リィはイイコだね」
唯兄の口にした「いい子」という言葉は、少しコミカルな響きをしていた。
それにしても、静さん――
あれ以来会っていないし電話もしていない。
いただいた資料のスケジュールだと十月には打ち合わせというものがあるみたいだけれど、今のところそういった連絡はない。
「今度は何を考えてんの?」
「あ……静さんと連絡取ってないな、と思って」
「仕事のこと?」
「ん……」
「そうだなぁ……。九月の時点でパレス会員の顧客たちにはダイレクトメールが発送してある。十月には紙面広告が出て十一月にはCMが流れる予定だけど、少し予定繰り下げで十一月の下旬からCMと紙面広告が一斉に出る。その経路作ってたの俺だから間違いないよ。でも、表向きにはパレスガーデンの宣伝しかされない。リィのことはパレスを訪れた人間じゃないとわからないような工夫がされてる。紅葉祭が終わったらスタッフとの顔合わせがあるよ。俺が知ってるのはこのくらいかな?」
次々と教えてくれたことにびっくりしていた。
「……広報部の若槻唯さん」
「そう、似非広報部の若槻です」
唯兄はにこりと笑ってこう続けた。
「でも、俺の所属元は藤宮警備、と」
「あ――」
「すっかり忘れてた? 俺、秋斗さんの直下にいるからあまり表に顔は出さないんだけど、要所要所の統括責任者には顔を知られてるんだ」
「……だから警備室前を通ったとき、責任者みたいな人が出てきたの?」
「そういうこと! ま、ここの警備員さんとは夜間救急に来たときに何度も顔を合わせてるからだいたいの人が顔覚えてくれてるけどね」
その言葉にはなるほど、と思わず納得してしまった。
「リィ、着いたよ」
「あ、うん。ちょっと電話してもいい?」
「どうぞ」
携帯を取り出しツカサにかけると、コール音三回目でツカサの声が聞こえてきた。
『はい』
「ツカサ……?」
『そう、俺じゃなかったら誰にかけたつもり?』
「あ……そうだよね。うん、ツカサに電話したの」
どうしても電話というものが苦手なうえに、携帯が個人のものであることを忘れてしまう。
出る相手が決まっていても、その人であることを確認せずにはいられない。
みんなはそんなことないのかな……?
「はい」ではなく「翠?」と出てくれたら、一発でツカサだとわかるのに。
「今、少しだけ話せる?」
『……平気。前にも言わなかったか? 話せる状況になければ出ないって』
確かに言われたような記憶がなくもない……。それでも、やっぱり気になって訊かずにはいられないのだ。
「あのね、相馬先生に呼ばれていて、今病院にいるの」
『今日……?』
「うん……。病院自体はお休みなんだけどね。なんで呼ばれているのかはまだわからないのだけど、治療だったら午前中に行けるかわからないから……」
『……わかった』
「あのっ、起案書――どうだったかなっ?」
初めて作った起案書はまだ下書きの状態だ。
『あれで問題ない』
「良かった……」
『九時半からある合同ミーティングで使うから、内容は変えずにあのまま清書する』
「お願いします……」
本当はそこまで自分でやりたかっただけに、ちょっと悔しい……。
『翠、まだ起案書だ。ミーティングで可決されれば企画書に変える必要がある。翠はそれをやればいい。月曜には学校長に申請するつもりでいる』
「……ありがとう」
『何泣きそうな声してるんだか……。用件がそれだけなら切るけど?』
「うん、ありがとう……」
ツカサが切るのを待ってから通話を切った。
「そっか。学園祭の準備とは言えど、遅れるよ連絡は必須だよね」
シートベルトを外した唯兄は雪崩でも起こしたかのような格好で訊いてくる。
「でも、そういう連絡って女友達にしたりするんじゃないんだ?」
女友達……?
言われて気づく。連絡をするのなら、桃華さんや茜先輩でも良かったのだと。
でも、起案書のことも気になっていたし……。
「あー……ごめんごめん、あんま深く考えないで? ただ、ちょっとそう思っただけ」
「あのね、昨日、初めて起案書を作らせてもらったの。ツカサが持ち帰ってチェックしてくれることになっていたのだけど、午前中にそれを使うミーティングがあるから気になっていて……」
「なるほど。そっかそっか。そっちは大丈夫だったの?」
「うん……。でも、まだ下書きの状態だったから、ミーティングで使うものはツカサが用意してくれることになった」
車を降りて辺りを見回す。
日曜日の駐車場は平日とは少し違う。
平日の午前はほとんどが患者さん。午後になると患者さんとお見舞いの人たちが入り混じったような駐車場になる。
土日は午前十時からお見舞いが可能だから、今の時間は駐車場はガランとしている。それでも、何台かの車は停まっているし、お見舞いに来たであろう人がちらほらと見える。
日曜日や祝日は、病院の正面玄関が閉まっているため、救急搬入口から病院へ入る。
入ってすぐのところに警備員室があり、お見舞いに来た人は用意されている台帳に名前などを記入しなくてはいけない。しかし、人のお見舞いに来たわけではない私たちはいったいどうしたらいいものか……。
警備室の前まで来ると、「御園生さん」と警備室から出てきた人に声をかけられた。
見たところ責任者かな、と思うほどには風格のある人だった。
「いつもお世話になっています」
唯兄が頭を下げると、その人は「いえ」と控え目に笑みを浮かべる。
「相馬先生からうかがっておりますので、こちらは無記入で結構です。どうぞそのまま上がられてください」
「ありがとうございます」
私たちは軽く会釈をして警備室を通り過ぎた。
直進したところにある救急外来を横目に見つつ、エレベーターがある方へと足を向ける。
人のいない静かなロビーはなんとなく懐かしい。
去年入院していたときは、人の気配がない時間に中庭へ出るのが好きだった。
今年は九階に入院したこともあって、屋外というと屋上に行くことが多かった気がする。
一階の中庭に出たのは数回だけ。それに、ひとりで出歩けるほどの余裕もなかった。
そんなことを考えていると、エレベーターホールにたどり着く。
そこにはふたりの人がいて、エレベーターが来るのを待っていた。
手に持つ紙袋にタオルなどが入っているから、身内に入院している人がいるのだろう。
その人たちと一緒のエレベーターに乗るものだと思っていた。けれども、唯兄は私の袖を引っ張り留まるように促す。
すぐにもう一機のエレベーターがやってきてそれに乗ると、唯兄が「閉」ボタンを押すと同時、エレベーターホールにある安全ミラーに人が映った。
私が咄嗟に「開」ボタンを押すと、
「悪いね」
柔らかな笑みを浮かべて入ってきたのは年の男性と女の人。
ふたりは階数表示のボタンを見ると、ものすごく驚いた顔で私たちを振り返る。
「何か?」
答えたのは唯兄。
「あら、ごめんなさいね」
唯兄も女の人も、顔は笑っているのに目が笑っていない。
いったいどうしたのだろう、と思いながらやり取りを見ていると、
「九階にはご家族がいらっしゃるのかしら?」
「えぇ、そんなところです」
唯兄がどうしてそんな答え方をしたのかはわからないけれど、この場で私は口を開かないほうがいい気がした。
「あら、どなたが入院されているのかしら」
「見ず知らずの方にお教えすることでもないかと思います」
唯兄はかわいくにっこりと笑って返答する。
気づけば、男の人は私のことをじっと見ていた。その顔つきは、最初に見せた表情から程遠い。まるで検分しているような眼差しだ。
そうこうしているうちにエレベーターの扉が開き、ふたりは私たちを気にしながら八階で降りた。
扉が閉まってから唯兄がため息をつく。
「リィ、次からは人が来ても開けちゃだめ」
前からコツン、とおでこを合わせてじとー、と見られる。
「どうして……? 唯兄、さっきのは何?」
「んー? リィが気にすることでもないんだけどねぇ……。どこぞの強欲人間でしょ」
強欲人間……?
ポーン、と音がしてエレベーターの扉が開く。
その扉を先に出た唯兄が振り返り、
「八階より上は雲の上と覚えましょう」
なぜか小学校の先生みたいな口調だ。
「藤宮病院の新棟、九階十階はいわゆるVIP階。次に高い個室があるのがこの棟の八階。ほかの棟の九階十階はここの八階よりも安い差額ベッド代に設定されてんの。この上階にそんじょそこらの人が長期入院するのは難しい。金銭的なハードルが高いんだ。この棟の八階以上に入院するのはある種ステータスみたいに考える人間たちがいるわけで、さっきの人たちはきっとそういう人種。もしくはそこに誰がいるのかって情報を得たい人たち」
言われたことをひとつひとつ理解して、たどり着く問いはただひとつ。
高いとは思っていたけれど、そんなに高いの……?
「だから、リィもああいう場では気をつけようね。間違っても自分が入院してたなんて言っちゃだめだよ」
「はい」
「もしかしたら誘拐されちゃうかもしれないからね?」
それは飛躍しすぎだと思うけど……。
気になるのは、そこに一ヶ月以上も滞在してしまった私にいったいいくらかかったのか、ということ。
「因みにね、リィの差額ベッド代はオーナーが発行したフリーパスが適用されてるらしいよ?」
「え……でも、フリーパスってホテル施設のみ適用じゃないの?」
「その辺、俺は詳しく知らない。ただ、オーナーがそう言ってるんだから相場以上の金額は請求されてないはず。たぶん碧さんや零樹さんは金額なんて気にされたくないだろうし、教えてはくれないだろうね。でも、そんなに知りたいならクレジット会社にハッキングかけるけど?」
「……唯兄、犯罪はだめ……。それに、お父さんたちに訊いて教えてもらえないものをそうやって知るのはよくないと思う」
それは人の秘密を覗き見るのに少し似ている気がするから。
知られたくないと思っていることを別ルートで知ろうとするのはきっとそういうことと同じだと思う。
「……リィはイイコだね」
唯兄の口にした「いい子」という言葉は、少しコミカルな響きをしていた。
それにしても、静さん――
あれ以来会っていないし電話もしていない。
いただいた資料のスケジュールだと十月には打ち合わせというものがあるみたいだけれど、今のところそういった連絡はない。
「今度は何を考えてんの?」
「あ……静さんと連絡取ってないな、と思って」
「仕事のこと?」
「ん……」
「そうだなぁ……。九月の時点でパレス会員の顧客たちにはダイレクトメールが発送してある。十月には紙面広告が出て十一月にはCMが流れる予定だけど、少し予定繰り下げで十一月の下旬からCMと紙面広告が一斉に出る。その経路作ってたの俺だから間違いないよ。でも、表向きにはパレスガーデンの宣伝しかされない。リィのことはパレスを訪れた人間じゃないとわからないような工夫がされてる。紅葉祭が終わったらスタッフとの顔合わせがあるよ。俺が知ってるのはこのくらいかな?」
次々と教えてくれたことにびっくりしていた。
「……広報部の若槻唯さん」
「そう、似非広報部の若槻です」
唯兄はにこりと笑ってこう続けた。
「でも、俺の所属元は藤宮警備、と」
「あ――」
「すっかり忘れてた? 俺、秋斗さんの直下にいるからあまり表に顔は出さないんだけど、要所要所の統括責任者には顔を知られてるんだ」
「……だから警備室前を通ったとき、責任者みたいな人が出てきたの?」
「そういうこと! ま、ここの警備員さんとは夜間救急に来たときに何度も顔を合わせてるからだいたいの人が顔覚えてくれてるけどね」
その言葉にはなるほど、と思わず納得してしまった。
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