中身は80歳のおばあちゃんですが、異世界でイケオジ伯爵に溺愛されています

浅水シマ

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本編

百合子の回想_幼少期2(百合子視点)

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 <百合子視点>


 ある日の下校の途中でした。
 道の先に、うずくまっている清一さんの姿が見えたのです。
 具合でも悪いのかと、私は駆け寄り、声をかけました。

 すると彼はハッと怯えた様子でこちらを見たかと思うと、急に走り出して行ってしまいました。

 ああ、嫌がられているのにまた話しかけちゃった……。
 そう思うと同時に、嫌な予感がしたのです。

 彼が向かった方向には、流れの急な川があります。
 近隣の者は大人に言い含められて育つので誰も近寄らないけれど、清一さんは、知らないのでは……?

 私は彼を追いかけて走りました。

 そして、向かった先には、川沿いを行く清一さんの姿がありました。

「そっちへ行ってはいけないわ!」

 私が声をかけると、清一さんは驚いて振り返り、それと同時に足を滑らせ、彼の身体は瞬く間に川にのまれてゆきました。

 ーーーーーーー

 そうして、気付いたときには、私は自室の布団に寝転がり、天井を見上げておりました。

 あれ、私は、何を……?

「清一さんは、無事なの!?」

 私は思い出し、ばっと身体を起こそうとしました。
 が、思うように起き上がらず、へなへなと崩れ落ちてしまいました。

 目線を上げると、傍らで、清一さんが泣いていました。
 彼は消え入りそうな声で言いました。

「百合子さん、僕が、怖くありませんか……気持ち悪く思いませんか……」

 彼の透き通った瞳から大粒の涙がぽろぽろと零れる様は、なんとも美しく、宝石みたいで……。

「清一さん……、綺麗よ」

 ほとんど言葉にできていなかったけど、私は嬉しくて笑っていたと思います。

 清一さんはこの日から、私とお話をしてくれるようになったのでした。
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