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第二部 旅のはじまり~水魔の村編~
水魔の村編 第三話
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振り下ろされた刃の先から、闘気の刃がほとばしる。
それは結界をすり抜け、なり損ない達を切り裂いた。そのままの勢いで、奴らの中に切り込んでいく。
元々頭が悪いせいか、それとも混乱のせいなのか、なり損ない達の動きに連携は見られない。
それぞれが自分勝手に襲いかかってくれるので、雷砂としては楽に戦えた。
襲いかかってくる牙をさけ、剣を凪ぎ払い、また牙をさける。
そんな単調な動きを繰り返しながらなり損ない達の数を減らし、後少しで終わるかと思ったとき、いきなり生き残りが一気に反転した。
誘い込みの罠かとも思ったが、どうも様子がおかしい。
耳をすませてみると、こことは違う場所で何かが争う、争いの響きがかすかに聞こえてきた。
どうやら反転した生き残り達は、生存本能に任せて別の場所にいるもっと弱い者を襲いに行くつもりのようだ。
舌打ちをし、雷砂は駆け出す。
後ろから、セイラ達の声が聞こえたが、今は答えている暇がない。
後で謝ろうと思いながら、出来るだけ早く、雷砂は駆けた。
途中で同じ目的地に向かう生き残り達に追いついたので、とりあえず追い抜きながら数を減らしておく。
そんな事をしながらたどり着いた先では、若い男が数人で固まり、なり損ない達と戦っていた。
彼らは怪我は負っている様だが、まだみんな自分の足で立っていた。どうにか間に合ったなーと雷砂は小さく息をつく。
突然の闖入者を見た彼らは、最初絶望的な顔をした。
それなりに返り血を受けた雷砂の姿は、新手の敵に見えたようだ。
だが、その認識もすぐに塗り替えられる。
「助けに来た。とりあえず、終わるまで死なないように頑張って」
「た、助けに!?」
「す、すまない。恩にきる」
彼らもだいぶ粘っていたのだろう。
それなりの数のなり損ないが屍をさらしている。
新たな敵の出現に反転して襲いかかってきた奴らを、立て続けに切り捨て、男達と奴らの間に割って入る。
そこから更に数頭を切った。
なり損ない達も新たな敵に警戒心を抱きはしたようだが、生存本能より食欲が勝ったのだろう。
雷砂がその場に到着して数分後、最後の一頭に至るまで全てのなり損ないが彼女の剣によって地に伏せた。
だが、すぐに油断することなく雷砂は辺りの気配を探る。
どうやら、もう大丈夫そうだと確認し、雷砂は小さく息をついた。それからくるりと振り返り、背にかばっていた男達の顔を見上げる。
「もう大丈夫そうだ。大変だったね」
「あ、ああ。助かったよ。君は?」
「旅の者で、すぐ近くで野営してたんだ。とりあえず、一緒においでよ。野営地は結界を張っているから、そこなら安全だ。詳しい話はそこで聞こう」
雷砂はそれだけ言うと、男達の返事も聞かずにすたすた歩き出した。
背後で男達が小声で相談する気配。
少しもめたようだが、結局は付いてくることにしたようだ。少し離れて、男達3人の気配が付いてくる。
彼らに何か事情があることはあえて言われずとも察せられた。
何となくやっかい事の気配を感じて、
(うーん、どうしたものかな)
と考える。
彼らは相談を持ちかけてくるだろうか?
相談してこないならそれはそれでいい。傷の手当てだけして、朝になったら普通に別れればいいのだ。
だが、相談されたらどうするか?
そこが悩みどころだ。
こうして関わってしまった以上、助けてやりたい気もするが、今の雷砂は一人ではない。
(オレだけだったら、少しくらい危険でも手伝ってやるんだけどな)
そんな事を思いつつ、男達がちゃんと付いてくることを確認しながら、いつもより少しゆっくり歩く。
彼らを必要以上に引き離してしまわないように。
「・・・・・・やっぱり、イルサーダに相談、かなぁ」
結局は困ったときのイルサーダ頼みになってしまいそうだと思いつつ、心配しているであろう彼らの事を思って、雷砂は少しだけ足を早めるのだった。
それは結界をすり抜け、なり損ない達を切り裂いた。そのままの勢いで、奴らの中に切り込んでいく。
元々頭が悪いせいか、それとも混乱のせいなのか、なり損ない達の動きに連携は見られない。
それぞれが自分勝手に襲いかかってくれるので、雷砂としては楽に戦えた。
襲いかかってくる牙をさけ、剣を凪ぎ払い、また牙をさける。
そんな単調な動きを繰り返しながらなり損ない達の数を減らし、後少しで終わるかと思ったとき、いきなり生き残りが一気に反転した。
誘い込みの罠かとも思ったが、どうも様子がおかしい。
耳をすませてみると、こことは違う場所で何かが争う、争いの響きがかすかに聞こえてきた。
どうやら反転した生き残り達は、生存本能に任せて別の場所にいるもっと弱い者を襲いに行くつもりのようだ。
舌打ちをし、雷砂は駆け出す。
後ろから、セイラ達の声が聞こえたが、今は答えている暇がない。
後で謝ろうと思いながら、出来るだけ早く、雷砂は駆けた。
途中で同じ目的地に向かう生き残り達に追いついたので、とりあえず追い抜きながら数を減らしておく。
そんな事をしながらたどり着いた先では、若い男が数人で固まり、なり損ない達と戦っていた。
彼らは怪我は負っている様だが、まだみんな自分の足で立っていた。どうにか間に合ったなーと雷砂は小さく息をつく。
突然の闖入者を見た彼らは、最初絶望的な顔をした。
それなりに返り血を受けた雷砂の姿は、新手の敵に見えたようだ。
だが、その認識もすぐに塗り替えられる。
「助けに来た。とりあえず、終わるまで死なないように頑張って」
「た、助けに!?」
「す、すまない。恩にきる」
彼らもだいぶ粘っていたのだろう。
それなりの数のなり損ないが屍をさらしている。
新たな敵の出現に反転して襲いかかってきた奴らを、立て続けに切り捨て、男達と奴らの間に割って入る。
そこから更に数頭を切った。
なり損ない達も新たな敵に警戒心を抱きはしたようだが、生存本能より食欲が勝ったのだろう。
雷砂がその場に到着して数分後、最後の一頭に至るまで全てのなり損ないが彼女の剣によって地に伏せた。
だが、すぐに油断することなく雷砂は辺りの気配を探る。
どうやら、もう大丈夫そうだと確認し、雷砂は小さく息をついた。それからくるりと振り返り、背にかばっていた男達の顔を見上げる。
「もう大丈夫そうだ。大変だったね」
「あ、ああ。助かったよ。君は?」
「旅の者で、すぐ近くで野営してたんだ。とりあえず、一緒においでよ。野営地は結界を張っているから、そこなら安全だ。詳しい話はそこで聞こう」
雷砂はそれだけ言うと、男達の返事も聞かずにすたすた歩き出した。
背後で男達が小声で相談する気配。
少しもめたようだが、結局は付いてくることにしたようだ。少し離れて、男達3人の気配が付いてくる。
彼らに何か事情があることはあえて言われずとも察せられた。
何となくやっかい事の気配を感じて、
(うーん、どうしたものかな)
と考える。
彼らは相談を持ちかけてくるだろうか?
相談してこないならそれはそれでいい。傷の手当てだけして、朝になったら普通に別れればいいのだ。
だが、相談されたらどうするか?
そこが悩みどころだ。
こうして関わってしまった以上、助けてやりたい気もするが、今の雷砂は一人ではない。
(オレだけだったら、少しくらい危険でも手伝ってやるんだけどな)
そんな事を思いつつ、男達がちゃんと付いてくることを確認しながら、いつもより少しゆっくり歩く。
彼らを必要以上に引き離してしまわないように。
「・・・・・・やっぱり、イルサーダに相談、かなぁ」
結局は困ったときのイルサーダ頼みになってしまいそうだと思いつつ、心配しているであろう彼らの事を思って、雷砂は少しだけ足を早めるのだった。
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