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第二部 旅のはじまり~水魔の村編~
水魔の村編 第四話
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結界に包まれた野営地に戻ると、セイラとリインが心配そうな顔で待っていた。
「ただいま、セイラ、リイン」
結界の内側に入り、二人を見上げると、まずはセイラに抱きしめられた。次いでリインに。
こういう風に過保護なのは、以前はセイラだけだったけど、最近はリインも負けずに過保護だ。
今もぎゅうぎゅう抱きしめられて、ちょっぴり苦しい。
でも我慢できないほどでは無かったので、黙ってされるままにさせておいた。それだけ心配させたって事なのだから仕方ない。
「怪我は?」
涙目で問われて、今の自分の姿を思い返す。
今の雷砂はなり損ない達の返り血で血塗れだ。怪我を心配されても無理はない。
「大丈夫。みんな奴らの返り血だから。どこも、怪我はしてないよ」
彼女達を安心させるように微笑む。
「本当に?お湯を用意しておいたから、後で血を落として確認しないとね」
「本当に怪我はないんだ。でも、お湯はありがたいな」
まだ不安そうなセイラにもう一度微笑みかけて、
「そうだ。イルサーダは?お客さんがいるんだ」
後ろを付いてきていた男達が、結界の中へひとかたまりに入ってきた。
雷砂は彼らの方へ振り向き手招きをしながら、セイラに尋ねた。
「ああ、座長ならー」
「私ならここですよ、雷砂」
セイラの声にかぶるように、イルサーダの声が届く。
声のした方を見れば、ゆっくりと彼がこちらに向かってくるところだった。
「ご苦労様でした、雷砂。彼らは?」
「少し先でなり損ないに襲われていた所を保護したんだ。詳しいことはまだ聞いてないが、何か事情がありそうだ」
「それはそれは。みなさん、大変でしたね。私はこの一座の座長を務めている者です。天幕を用意させますので、今日はひとまずお休み下さい。なんといってもこの霧です。今晩は動かない方がいいでしょうから」
「ありがとうございます」
「あ、あの、実はおりいってお願いが・・・・・・」
「おい、それはまだ・・・・・・」
3人がそれぞれそんな言葉を発する。
まだ、彼らの中でも今後どうするか、まとまりきっていないようだ。
イルサーダは笑顔で、そんな彼らを制した。
「何か事情がおありのようですが、話は明日の朝にしましょう。今日は色々あって、我々もそしてあなた方も疲れていることですしね。明日、朝食の後に、私がきちんとお話をお伺いします」
その言葉に男達も頷き、イルサーダの指示を受けた座員が男達をどこかへ案内していった。
そんな彼らを見送って、イルサーダは改めて雷砂に向き直り微笑んだ。
「そう言うわけで、今後の事は明日、改めて決めましょう。この霧も、もしかしたら朝には晴れるかもしれませんし」
その言い方が少し気になって、雷砂はイルサーダの顔を見上げた。
「霧が晴れないと何かまずいのか?」
「まあ、まずいといえばまずいですねぇ」
いいながら、おいでおいでと雷砂をセイラとリインから少し離れた場所へ招き寄せる。
「みんなにはまだ内緒ですけど、この霧、変な力場を作り出してるんですよ」
「変な力場?」
「まあ、簡単に言うと、この霧の中から出ようとしても霧の中に戻ってしまうような、そんな嫌な効能があるようです」
雷砂は軽く目を見開き、さっき助けた男達が去った方を何気なく見た。
そしてイルサーダに問いかける。
「さっきのあの人達の事情にも、何か関わりがあるのかな?」
「タイミング的に見て、恐らく関わりはあるでしょうね」
「首を、つっこむ事になりそうだね」
「まあ、朝になって霧が晴れなければそうせざるを得ないでしょうね。他にとっかかりも無いわけですから」
面倒くさいですけど仕方がないですね~、とため息を漏らす青年を面白そうに見上げ、
「イルサーダなら、すぐに解決出来るんじゃないか?」
試しに問いかけてみると、
「いえいえ、そんなに買いかぶられても。私に出来る事なんて少ないんですよ。無駄に力が強いから応用ききませんし、この体のままだと力を操るにも無理がありますし。じゃあ、大きくなればって思うでしょうけど、下手にフルパワーだと周りにけが人も出るでしょうし、後でごまかすのも大変ですし」
そんな答えを返しながら、再びはぁとため息を漏らした。
ちなみにサライの村で龍身に戻った際は、見ていた一座のメンバーに集団催眠の様なものをかけてごまかしたらしい。
みんな、イルサーダが龍になったシーンはぼんやり覚えているが、全て夢だと思っているような感じなのだそうだ。
龍神族であることをばらしてしまったらどうかと一度聞いてみたが、速攻で却下された。
イルサーダ曰く、人間とは差別する生き物だから、なるべく彼らの常識から逸脱しない方がいいんです、との事だった。
じゃあ、オレも色々隠した方がいいかな?ーそう尋ねたら、雷砂は可愛いから別にそのままでーと真顔で返された。
なんだかよく分からない理屈である。
「なので、実際問題何かの異変があるようでしたら、雷砂に動いて貰うことになると思います」
「ああ。それはかまわない。守りは任せてもいいんだよな?」
「それはもちろん。結界程度なら、今の状態でも何とかなりますし」
「そうしてくれれば、オレも安心して動ける」
「まあ、明日になって、彼らの話を聞いてみないと何とも言えませんけどね。霧が晴れて、無事に旅立てるかもしれませんし」
「そうだな」
「とにかく、今日はもう休みましょう。雷砂も、思いがけない戦闘で疲れたでしょう?ゆっくり休んで下さいね」
「ああ。イルサーダもゆっくり休めよ?じゃあ、また明日」
そう言って二人は左右に分かれる。
イルサーダは自分の天幕へ。雷砂はセイラとリインの元へ。
「雷砂」
「座長の話は何だったの?」
「ん?大した事じゃないよ。今日はもうゆっくり休めってさ」
「そう・・・・・・」
セイラは何となく、雷砂とイルサーダの内緒話に不穏なものを感じているようだった。
だが、無理に聞き出すつもりはなさそうなので、雷砂も自分から話すのはやめておいた。
明日になれば解決しているかもしれないし、必要以上に不安な思いをさせることはないと思ったからだ。
微笑み、セイラの手をとり歩き出す。
すぐに反対側の手にリインの手が伸びてきて、3人仲良く自分達の天幕へ向かうのだった。
「ただいま、セイラ、リイン」
結界の内側に入り、二人を見上げると、まずはセイラに抱きしめられた。次いでリインに。
こういう風に過保護なのは、以前はセイラだけだったけど、最近はリインも負けずに過保護だ。
今もぎゅうぎゅう抱きしめられて、ちょっぴり苦しい。
でも我慢できないほどでは無かったので、黙ってされるままにさせておいた。それだけ心配させたって事なのだから仕方ない。
「怪我は?」
涙目で問われて、今の自分の姿を思い返す。
今の雷砂はなり損ない達の返り血で血塗れだ。怪我を心配されても無理はない。
「大丈夫。みんな奴らの返り血だから。どこも、怪我はしてないよ」
彼女達を安心させるように微笑む。
「本当に?お湯を用意しておいたから、後で血を落として確認しないとね」
「本当に怪我はないんだ。でも、お湯はありがたいな」
まだ不安そうなセイラにもう一度微笑みかけて、
「そうだ。イルサーダは?お客さんがいるんだ」
後ろを付いてきていた男達が、結界の中へひとかたまりに入ってきた。
雷砂は彼らの方へ振り向き手招きをしながら、セイラに尋ねた。
「ああ、座長ならー」
「私ならここですよ、雷砂」
セイラの声にかぶるように、イルサーダの声が届く。
声のした方を見れば、ゆっくりと彼がこちらに向かってくるところだった。
「ご苦労様でした、雷砂。彼らは?」
「少し先でなり損ないに襲われていた所を保護したんだ。詳しいことはまだ聞いてないが、何か事情がありそうだ」
「それはそれは。みなさん、大変でしたね。私はこの一座の座長を務めている者です。天幕を用意させますので、今日はひとまずお休み下さい。なんといってもこの霧です。今晩は動かない方がいいでしょうから」
「ありがとうございます」
「あ、あの、実はおりいってお願いが・・・・・・」
「おい、それはまだ・・・・・・」
3人がそれぞれそんな言葉を発する。
まだ、彼らの中でも今後どうするか、まとまりきっていないようだ。
イルサーダは笑顔で、そんな彼らを制した。
「何か事情がおありのようですが、話は明日の朝にしましょう。今日は色々あって、我々もそしてあなた方も疲れていることですしね。明日、朝食の後に、私がきちんとお話をお伺いします」
その言葉に男達も頷き、イルサーダの指示を受けた座員が男達をどこかへ案内していった。
そんな彼らを見送って、イルサーダは改めて雷砂に向き直り微笑んだ。
「そう言うわけで、今後の事は明日、改めて決めましょう。この霧も、もしかしたら朝には晴れるかもしれませんし」
その言い方が少し気になって、雷砂はイルサーダの顔を見上げた。
「霧が晴れないと何かまずいのか?」
「まあ、まずいといえばまずいですねぇ」
いいながら、おいでおいでと雷砂をセイラとリインから少し離れた場所へ招き寄せる。
「みんなにはまだ内緒ですけど、この霧、変な力場を作り出してるんですよ」
「変な力場?」
「まあ、簡単に言うと、この霧の中から出ようとしても霧の中に戻ってしまうような、そんな嫌な効能があるようです」
雷砂は軽く目を見開き、さっき助けた男達が去った方を何気なく見た。
そしてイルサーダに問いかける。
「さっきのあの人達の事情にも、何か関わりがあるのかな?」
「タイミング的に見て、恐らく関わりはあるでしょうね」
「首を、つっこむ事になりそうだね」
「まあ、朝になって霧が晴れなければそうせざるを得ないでしょうね。他にとっかかりも無いわけですから」
面倒くさいですけど仕方がないですね~、とため息を漏らす青年を面白そうに見上げ、
「イルサーダなら、すぐに解決出来るんじゃないか?」
試しに問いかけてみると、
「いえいえ、そんなに買いかぶられても。私に出来る事なんて少ないんですよ。無駄に力が強いから応用ききませんし、この体のままだと力を操るにも無理がありますし。じゃあ、大きくなればって思うでしょうけど、下手にフルパワーだと周りにけが人も出るでしょうし、後でごまかすのも大変ですし」
そんな答えを返しながら、再びはぁとため息を漏らした。
ちなみにサライの村で龍身に戻った際は、見ていた一座のメンバーに集団催眠の様なものをかけてごまかしたらしい。
みんな、イルサーダが龍になったシーンはぼんやり覚えているが、全て夢だと思っているような感じなのだそうだ。
龍神族であることをばらしてしまったらどうかと一度聞いてみたが、速攻で却下された。
イルサーダ曰く、人間とは差別する生き物だから、なるべく彼らの常識から逸脱しない方がいいんです、との事だった。
じゃあ、オレも色々隠した方がいいかな?ーそう尋ねたら、雷砂は可愛いから別にそのままでーと真顔で返された。
なんだかよく分からない理屈である。
「なので、実際問題何かの異変があるようでしたら、雷砂に動いて貰うことになると思います」
「ああ。それはかまわない。守りは任せてもいいんだよな?」
「それはもちろん。結界程度なら、今の状態でも何とかなりますし」
「そうしてくれれば、オレも安心して動ける」
「まあ、明日になって、彼らの話を聞いてみないと何とも言えませんけどね。霧が晴れて、無事に旅立てるかもしれませんし」
「そうだな」
「とにかく、今日はもう休みましょう。雷砂も、思いがけない戦闘で疲れたでしょう?ゆっくり休んで下さいね」
「ああ。イルサーダもゆっくり休めよ?じゃあ、また明日」
そう言って二人は左右に分かれる。
イルサーダは自分の天幕へ。雷砂はセイラとリインの元へ。
「雷砂」
「座長の話は何だったの?」
「ん?大した事じゃないよ。今日はもうゆっくり休めってさ」
「そう・・・・・・」
セイラは何となく、雷砂とイルサーダの内緒話に不穏なものを感じているようだった。
だが、無理に聞き出すつもりはなさそうなので、雷砂も自分から話すのはやめておいた。
明日になれば解決しているかもしれないし、必要以上に不安な思いをさせることはないと思ったからだ。
微笑み、セイラの手をとり歩き出す。
すぐに反対側の手にリインの手が伸びてきて、3人仲良く自分達の天幕へ向かうのだった。
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