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第二部 旅のはじまり~水魔の村編~
水魔の村編 第十一話
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翌日、少女は元気良く自分の家へと帰っていった。
朝食の席では女性陣はつやつやの顔で元気良く、男性陣はなぜか疲れた顔をしている。
雷砂は、そんな男連中の顔を不思議そうに見回しながら、
「昨日は帰り、そんなに遅かったの?」
「えーっと、そう言うわけでもないんですが。あの、自覚はないんですか?雷砂」
「ん?自覚って」
雷砂は素直に首を傾げ、イルサーダはため息。
ジェドは赤い顔をしてちょっと挙動不審だ。アジェスは比較的通常通りの様子だが。
「夜中にあんな悩ましい声を聞かせておいて、まるで自覚無しとは。強者ですね・・・・・・」
「まじかよ。末恐ろしいヤツだぜ」
イルサーダとジェドが口々になんとなく人聞きの悪いことを言う。
アジェスは我関せずとばかりに無言で食後のお茶をすすっていた。
雷砂はもう一度首を傾げて、気を取り直したように、
「それより、イルサーダ。昨日はあの後具体的な依頼内容は聞けたの?」
「ああ。まあ、ざっくりとですけど」
「聞かせてくれる?」
「ええ。まあ、簡単に言ってしまえば、村に隣接する森の奥の泉に住み着いた化け物・・・・・・ええと、水魔、でしたか?それを退治して欲しいと。そうすれば、霧は晴れるはずだから、と」
「水魔?魔鬼か何かなのか?」
「さあ。村長や村人達もよく分からないと言ってましたよ。ただ、人外の力を持つ者だと」
「ふうん。村長の言葉をそのまま鵜呑みにする訳にはいかないけど、一応後で偵察しとくか」
「疑いますねぇ?そんなに胡散臭いですか?」
「胡散臭いと言うか、なんだか嫌な感じがあるんだ。勘みたいなものだよ」
「勘、ですか。他の誰かの勘なら笑い飛ばしますけど、雷砂の勘なら信じる価値はありそうですね。私も、村長には気をつけておきます」
雷砂は頷き、最後の一口を口に放り込んだ。しっかり咀嚼し、ごくりと飲み込む。
それから再び、イルサーダの顔を見上げる。
「そう言えば、結界の件は?」
「ああ。一応村長の許可は得ましたよ。好きにしていいと」
「傲慢な反応だな。普通ならお願いしますと頭を下げる所だと思うけど」
雷砂は少し、顔をしかめる。
そんな雷砂を見て、イルサーダは苦笑混じりに、
「まあ、効果があるかないか分からない結界への反応なんてそんなものでしょう」
そう返した。雷砂もそれ以上反論することなく頷いた。
「そう言われてみれば、そうかもな。早速はるか?」
「そうですね。早い方が良いでしょう。この村の人達は大分長くこの魔素の霧の中に居ますから、精神や身体への影響が心配です」
「昨日の感じだと、それ程危険な兆候は見えなかったけど」
雷砂は昨日集まっていた村人達の様子を思い出しながら、自分の見解を述べた。
昨日見た人達の目に、狂気は無かった。
閉じこめられたままの焦燥や憔悴した感じは多く見受けられたが。
「まあ、確かに。ですが、昨日集まった人以外にも、村人は居るでしょうし、都合が悪いことは敢えて隠している可能性もありますし。少し休憩したら始めましょう」
イルサーダの言葉に雷砂は頷いた。
魔素に関しての弊害以外にも、なり損ない達の襲撃やら、問題はそれなりに多いようだ。
出来るだけ早く結界を張り、村人達を安心させてあげたかった。
「分かった。結界を張り終わるまでは、オレもここに居るつもりだから、何でも言いつけて欲しい」
「ええ。雷砂にはお願いしたいことがありますので助かりますよ」
そう言ってイルサーダはにっこりと微笑んだ。
朝食の席では女性陣はつやつやの顔で元気良く、男性陣はなぜか疲れた顔をしている。
雷砂は、そんな男連中の顔を不思議そうに見回しながら、
「昨日は帰り、そんなに遅かったの?」
「えーっと、そう言うわけでもないんですが。あの、自覚はないんですか?雷砂」
「ん?自覚って」
雷砂は素直に首を傾げ、イルサーダはため息。
ジェドは赤い顔をしてちょっと挙動不審だ。アジェスは比較的通常通りの様子だが。
「夜中にあんな悩ましい声を聞かせておいて、まるで自覚無しとは。強者ですね・・・・・・」
「まじかよ。末恐ろしいヤツだぜ」
イルサーダとジェドが口々になんとなく人聞きの悪いことを言う。
アジェスは我関せずとばかりに無言で食後のお茶をすすっていた。
雷砂はもう一度首を傾げて、気を取り直したように、
「それより、イルサーダ。昨日はあの後具体的な依頼内容は聞けたの?」
「ああ。まあ、ざっくりとですけど」
「聞かせてくれる?」
「ええ。まあ、簡単に言ってしまえば、村に隣接する森の奥の泉に住み着いた化け物・・・・・・ええと、水魔、でしたか?それを退治して欲しいと。そうすれば、霧は晴れるはずだから、と」
「水魔?魔鬼か何かなのか?」
「さあ。村長や村人達もよく分からないと言ってましたよ。ただ、人外の力を持つ者だと」
「ふうん。村長の言葉をそのまま鵜呑みにする訳にはいかないけど、一応後で偵察しとくか」
「疑いますねぇ?そんなに胡散臭いですか?」
「胡散臭いと言うか、なんだか嫌な感じがあるんだ。勘みたいなものだよ」
「勘、ですか。他の誰かの勘なら笑い飛ばしますけど、雷砂の勘なら信じる価値はありそうですね。私も、村長には気をつけておきます」
雷砂は頷き、最後の一口を口に放り込んだ。しっかり咀嚼し、ごくりと飲み込む。
それから再び、イルサーダの顔を見上げる。
「そう言えば、結界の件は?」
「ああ。一応村長の許可は得ましたよ。好きにしていいと」
「傲慢な反応だな。普通ならお願いしますと頭を下げる所だと思うけど」
雷砂は少し、顔をしかめる。
そんな雷砂を見て、イルサーダは苦笑混じりに、
「まあ、効果があるかないか分からない結界への反応なんてそんなものでしょう」
そう返した。雷砂もそれ以上反論することなく頷いた。
「そう言われてみれば、そうかもな。早速はるか?」
「そうですね。早い方が良いでしょう。この村の人達は大分長くこの魔素の霧の中に居ますから、精神や身体への影響が心配です」
「昨日の感じだと、それ程危険な兆候は見えなかったけど」
雷砂は昨日集まっていた村人達の様子を思い出しながら、自分の見解を述べた。
昨日見た人達の目に、狂気は無かった。
閉じこめられたままの焦燥や憔悴した感じは多く見受けられたが。
「まあ、確かに。ですが、昨日集まった人以外にも、村人は居るでしょうし、都合が悪いことは敢えて隠している可能性もありますし。少し休憩したら始めましょう」
イルサーダの言葉に雷砂は頷いた。
魔素に関しての弊害以外にも、なり損ない達の襲撃やら、問題はそれなりに多いようだ。
出来るだけ早く結界を張り、村人達を安心させてあげたかった。
「分かった。結界を張り終わるまでは、オレもここに居るつもりだから、何でも言いつけて欲しい」
「ええ。雷砂にはお願いしたいことがありますので助かりますよ」
そう言ってイルサーダはにっこりと微笑んだ。
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そして、この物語を見つけ出し、最高の形で世に送り出してくださる、担当編集者様、イラストレーターの市丸きすけ先生、全ての関係者の皆様に、心からの感謝を。
本当に、ありがとうございます。
【これまでの主な実績】
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