【完結保証】僕の異世界攻略〜神の修行でブラッシュアップ〜

リョウ

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14歳の助走。

あと三か月。

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 王都に戻ってタウンハウスの門をくぐると、応接に大ぶりの木箱と錦包みがずらりと並んでいた。王様からと六伯からの正式な贈り物だという。僕は思わずローランを振り向く。

「親書、先に送っちゃったよ。どうしよう」

「今回は受け取りのご挨拶だけ先に。正式の礼は親書にと言って追って改めましょう。手紙を整えて、すぐにストークから届けます」

 そう決めると、ストークは軽やかに段取りを組み、封蝋と控えの束を抱えて出ていった。王城分は明日、僕自身で持参することにして、礼文を一枚書き直す。

 翌日、王城で侍従に文を託すと「お呼びです」と告げられ、そのまま奥へ通された。待っていてくださったのは王妃様と先王妃様。立ち上がって「おめでとう」と言ってくださり、席へ招かれる。

「せっかくですから、お茶をご一緒に。相手の方々は、どんな方なの?」

「エメイラヒルデは……僕の師で、魔術に通じた方です。言葉は厳しくても、芯はとても温かい。僕が無茶をすると、一番に叱ってくれる人です」
「ナミリアはルステイン伯の長女で、働く人の気持ちを一番に考えます。難しい話を、誰にでも分かる言葉に換えるのがとても上手い」
「ミザーリは火の民。烈火槍ミリカ殿の娘で、真っ直ぐで頼もしい。僕の身の守りにも、暮らしの整えにも気がつく人です」

 王妃様は穏やかに微笑み、先王妃様は楽しげに頷かれた。

「いいわねえ。性根の違う三人が、同じ方角を見ているのが伝わるわ。あなたが踏み外しそうになったら、きっと三人とも止めてくれる」

「その通りです」と僕は頭を下げた。短いお茶の時間だったが、胸の置き所がすっと決まる。

 帰るとすぐ、次の用件、エフェルト公爵領の見学について打ち合わせ。道すがら見るべき工房や港の候補を洗い出していると、レラサンスが外務部からの封を持って入ってきた。開くと、サテラージャ行きの船の便が社交シーズン終了後の一か月後に決まったとある。社交シーズンの一日前が僕の誕生日で、そこで陞爵と領地発表の拝謁がある。文字を追いながら、僕は苦笑した。

「今年は、ほとんど出ずっぱりだな。終わったらその足で領に戻って、できる限り組み上げていくしかない」

 とはいえ、社交シーズンまで三か月ある。この三か月で進められることは多い。机の上に紙を広げ、順に手を付けていく。

 まず、人を増やす。王都側の事務はもう回り始めているが、領の立ち上げには手が足りない。小人領からは書記頭と書記数人を先行で招聘する。親方制度での往還は守りつつ、王都での住まいと机、用紙と書式、連絡の線を整える。書くことが得意な人も苦手な人も、同じように用件を伝えられるように、言い回しの短い標準文も用意する。届けばすぐ動ける。

 ドワーフ伯へは、派遣される職人五十人の仕事割りを添えて返書を出す。鍛冶、木工、精密、治具、型板、仕上げの検見。それぞれの比率と受け入れ側の持ち場を明記する。分工房とルステインの本工房で作るものを食い合いにしないこと、仕上がりは必ず僕の側で確かめることもはっきりさせる。これは譲らない。作り出したものの面目は、最後まで自分で責任を持つ。

 水竜人伯と水竜人の皆さんが送ってくれる「港の核」についても、先に詰める。基本設計と設備、浅喫水船と遠洋仕様の中型船、乗り手、陸の水番……先に地の条件に合わせて配置を決める。水路の測りは六種族標準と王都標準の二通りで必ず記す。

 騎士団の人数は、領の守りと工事の護衛の両方を見て決める。厩舎の配置と飼い葉の流れ、鍛治場と馬具の手入れの場、獣医の席も先に用意する。名馬と調教師は獣人伯へ発注する。調教の考え方は、道具に頼りすぎず人の気配で通すものを選ぶ。道が荒いうちは、人と馬の信頼が何より効く。

 エルフとの技術交換は早めに。化粧品と石鹸を中心に、製法と原料の選び方、香の重ね方を互いに見せ合う約束を取り付ける。暮らしの品は、領に入って最初に喜ばれる。港の売り場でも扱えるよう、印と札も整える。

 火の民の傭兵団は四つ。拠点の地割は、公の施設とぶつからない場所にまとめ、訓練の場所と休む場所をはっきり離す。住まいの並びと水の取り回し、商人街との出入りも読み替える。彼らが来てすぐ動けるように、書類は先に済ませておく。防具の修繕、矢の補充、行軍食の受け渡し、細かい段も漏らさない。

 官吏の受け入れも進める。エルフと獣人から、それぞれ役所仕事の分かる人を一定数預かる。王都の書式に慣れてもらいつつ、領での言い回しに換える役もお願いする。窓口は一つに見えて、裏では種族ごとに相談できる人がいる……そんな座を作っておくと、行き違いが減る。

 六伯への礼は、もう動き出している親書と贈り物で一次対応が済んだ。受け取りの返電が届き始めれば、礼の文言を重ねて段階的に厚みを足す。
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