156 / 595
旅立つ者。
役人さん達を接待する。
しおりを挟む
「続きまして、工事業者の選定についての話をしていきたいと思います。我々としては王都の優秀な工事業者に任せたいと思いますがいかがでしょうか?」
「僕、ルステインが、良い」
「子爵様が仰っておられる意味について説明いたします。ルステインにある建物ですからルステインがその享受を受ける事がまずは一番だと考えております。ですから設計は王都、施工はルステインでいかがでしょうか?」
「キース、ありがと。ヴェリーのところに頼もう」
「なるほど。私共スサン商会の商会員の縁者に優秀な工事業者がおります。そちらに頼みたい、と仰っておられます」
「ギピア、ありがと」
「わかりました。当方でその工事業者と打ち合わせさせてもらいます。よろしいでしょうか?」
「値切るの、なしで」
「もちろんでございます」
「よろしく」
これで建物の件は終わったね。
「最後になりますが、これは第一王子様からではなく、王室からのご依頼です。この度王室の皆様のご要望により子爵様の紋章が作られました。まずはこちらをご覧ください」
紋章は天使とフォークとナイフがモチーフになったものだった。誰が考えたのかは知らないけどこれは嬉しいね。
「とても、良い」
「はい。原案はウルリッヒ殿下とルマーニ殿下の合作です。こちらを子爵様の紋章としてお受け取り下さいませ」
「ありがと」
「はい。それで王家の依頼はこちらをモチーフとした子爵専用の馬車一台と子爵のマント、並びに『王国の料理番の工房』の看板をスサン商会に発注したいとの事です」
「かしこまりました。予算はいかほどで?」
「予算の上限はありません。ただし、デザインは一流と呼ばれる方に頼んでくれとの注文が王室からございました。陛下曰く、リョウエスト様らしい発想に富んだデザインにしてくれとの事です」
「かしこまりました。任せてください」
キースのやる気がすごい。
「以上になりますが、何かご質問はありますでしょうか?」
「馬車はどこに、停めるの?」
「ご安心ください。設計段階で馬車置き場を設置しておきます」
「ありがと。あと、来てもらう、料理人は、どこの人?」
「はい。王宮料理人の一人だとお聞きしております」
「わかった」
「以上を持ちまして打ち合わせを終わります」
「お疲れさま」
「「「ありがとうございます」」」
「このあと、お暇?」
「いえ、色々とやる事があります」
「夕方、宿で待っててよ。ギピア」
「はい。こちらの宿をとっております。上流階級の方も利用される宿ですので安心してご逗留下さい」
「「「ありがとうございます」」」
「部下の方は6名でよろしかったですよね?」
「はい」
「申し訳ありませんが部下の方は二人部屋になります」
「いえ、泊まれるだけで十分です」
「出張の、間の、宿泊費は、こっちで持つから」
「本当にありがとうございます」
「本日はルステイン名物のレストラン『スサンの天使』のメニューを皆さんにご提供いたします。それと子爵様がお作りになられました極上のワインを楽しんでいただきたいと思います」
「何から何までありがとうございます」
「うん。僕のため、働く人、僕の味、知らないとダメ。美味しいから、大丈夫」
「子爵様はきちんと働く文官はとても大事にしてくださる方だ。喜んで受けてもらうと嬉しいとおっしゃってる」
「はい。ありがたく」
「本当にありがとうございます」
「嬉しいです」
「あとね、夜の観光、一人案内を、つけるから。今日は、予算は、青天井で」
「そこまでして頂けるとは。今回の件、精一杯頑張ります」
「身を粉にして働かせてもらいます」
「頑張ります」
同日、国王の執務室。
「ほお。リョウエストから緊急の手紙か…ほう。これは助かるな。そしてこっちの書類は……宰相を呼べ!」
「はい。かしこまりました」
国王はその手紙を見てわなわなしている。
「お呼びでございますかな?」
「これを読んでくれ」
「はっ。リョウエスト君からの手紙ですな。なんと…これは我が国にとってとても良き事ですな」
「もう一つの書類をみよ」
「はい……キトレ伯爵の周囲を探らせます」
「うむ。これに関わっているとしたら大きな問題だ。すぐに対処してくれ」
「かしこまりました」
侍従がノックして入ってきた。
「失礼致します。エフェルト公爵様が火急の用だといって参られております」
「通せ」
「はい」
「兄上、今朝リョウエスト君からこのような手紙が来ておりました。当方としてはキトレ伯爵を派閥から離したいと思っております」
「同じ手紙が来た。キトレ伯爵の件、少し待て。こちらで調べさせる」
「かしこまりました」
「それで…お前は何を貰ったんだ?」
「はい。牛肉の赤ワイン茹でという新料理の未登録レシピをもらいました。私はそれが楽しみで仕方ありません。彼は私の領地の特産牛のことを知っていたんですね」
「私の所には船の原因不明の病気の予防と回復させる食べ物のレシピだ。お酢を使った野菜料理だが、保存が効くそうだ。あやつめ。我が海軍で使えるか実験をしろと言う。そして成功したら先王様の名前を使って下さいと書いてあった。五歳にして誇りある貴族のような対応ではないか」
「ますます応援したくなりますね」
「そうだな…それより弟よ、その料理を食べさせてくれ」
「わかりました。我が家で試してみて美味しければ料理人を連れてきます。もっとも、リョウエスト君の料理ですからハズレはなさそうですがね」
「ふっふっふ。実に楽しみだ。料理も、あやつのこれからも」
「僕、ルステインが、良い」
「子爵様が仰っておられる意味について説明いたします。ルステインにある建物ですからルステインがその享受を受ける事がまずは一番だと考えております。ですから設計は王都、施工はルステインでいかがでしょうか?」
「キース、ありがと。ヴェリーのところに頼もう」
「なるほど。私共スサン商会の商会員の縁者に優秀な工事業者がおります。そちらに頼みたい、と仰っておられます」
「ギピア、ありがと」
「わかりました。当方でその工事業者と打ち合わせさせてもらいます。よろしいでしょうか?」
「値切るの、なしで」
「もちろんでございます」
「よろしく」
これで建物の件は終わったね。
「最後になりますが、これは第一王子様からではなく、王室からのご依頼です。この度王室の皆様のご要望により子爵様の紋章が作られました。まずはこちらをご覧ください」
紋章は天使とフォークとナイフがモチーフになったものだった。誰が考えたのかは知らないけどこれは嬉しいね。
「とても、良い」
「はい。原案はウルリッヒ殿下とルマーニ殿下の合作です。こちらを子爵様の紋章としてお受け取り下さいませ」
「ありがと」
「はい。それで王家の依頼はこちらをモチーフとした子爵専用の馬車一台と子爵のマント、並びに『王国の料理番の工房』の看板をスサン商会に発注したいとの事です」
「かしこまりました。予算はいかほどで?」
「予算の上限はありません。ただし、デザインは一流と呼ばれる方に頼んでくれとの注文が王室からございました。陛下曰く、リョウエスト様らしい発想に富んだデザインにしてくれとの事です」
「かしこまりました。任せてください」
キースのやる気がすごい。
「以上になりますが、何かご質問はありますでしょうか?」
「馬車はどこに、停めるの?」
「ご安心ください。設計段階で馬車置き場を設置しておきます」
「ありがと。あと、来てもらう、料理人は、どこの人?」
「はい。王宮料理人の一人だとお聞きしております」
「わかった」
「以上を持ちまして打ち合わせを終わります」
「お疲れさま」
「「「ありがとうございます」」」
「このあと、お暇?」
「いえ、色々とやる事があります」
「夕方、宿で待っててよ。ギピア」
「はい。こちらの宿をとっております。上流階級の方も利用される宿ですので安心してご逗留下さい」
「「「ありがとうございます」」」
「部下の方は6名でよろしかったですよね?」
「はい」
「申し訳ありませんが部下の方は二人部屋になります」
「いえ、泊まれるだけで十分です」
「出張の、間の、宿泊費は、こっちで持つから」
「本当にありがとうございます」
「本日はルステイン名物のレストラン『スサンの天使』のメニューを皆さんにご提供いたします。それと子爵様がお作りになられました極上のワインを楽しんでいただきたいと思います」
「何から何までありがとうございます」
「うん。僕のため、働く人、僕の味、知らないとダメ。美味しいから、大丈夫」
「子爵様はきちんと働く文官はとても大事にしてくださる方だ。喜んで受けてもらうと嬉しいとおっしゃってる」
「はい。ありがたく」
「本当にありがとうございます」
「嬉しいです」
「あとね、夜の観光、一人案内を、つけるから。今日は、予算は、青天井で」
「そこまでして頂けるとは。今回の件、精一杯頑張ります」
「身を粉にして働かせてもらいます」
「頑張ります」
同日、国王の執務室。
「ほお。リョウエストから緊急の手紙か…ほう。これは助かるな。そしてこっちの書類は……宰相を呼べ!」
「はい。かしこまりました」
国王はその手紙を見てわなわなしている。
「お呼びでございますかな?」
「これを読んでくれ」
「はっ。リョウエスト君からの手紙ですな。なんと…これは我が国にとってとても良き事ですな」
「もう一つの書類をみよ」
「はい……キトレ伯爵の周囲を探らせます」
「うむ。これに関わっているとしたら大きな問題だ。すぐに対処してくれ」
「かしこまりました」
侍従がノックして入ってきた。
「失礼致します。エフェルト公爵様が火急の用だといって参られております」
「通せ」
「はい」
「兄上、今朝リョウエスト君からこのような手紙が来ておりました。当方としてはキトレ伯爵を派閥から離したいと思っております」
「同じ手紙が来た。キトレ伯爵の件、少し待て。こちらで調べさせる」
「かしこまりました」
「それで…お前は何を貰ったんだ?」
「はい。牛肉の赤ワイン茹でという新料理の未登録レシピをもらいました。私はそれが楽しみで仕方ありません。彼は私の領地の特産牛のことを知っていたんですね」
「私の所には船の原因不明の病気の予防と回復させる食べ物のレシピだ。お酢を使った野菜料理だが、保存が効くそうだ。あやつめ。我が海軍で使えるか実験をしろと言う。そして成功したら先王様の名前を使って下さいと書いてあった。五歳にして誇りある貴族のような対応ではないか」
「ますます応援したくなりますね」
「そうだな…それより弟よ、その料理を食べさせてくれ」
「わかりました。我が家で試してみて美味しければ料理人を連れてきます。もっとも、リョウエスト君の料理ですからハズレはなさそうですがね」
「ふっふっふ。実に楽しみだ。料理も、あやつのこれからも」
218
あなたにおすすめの小説
【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜
一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m
✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。
【あらすじ】
神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!
そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!
事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます!
カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。
Gランク冒険者のレベル無双〜好き勝手に生きていたら各方面から敵認定されました〜
2nd kanta
ファンタジー
愛する可愛い奥様達の為、俺は理不尽と戦います。
人違いで刺された俺は死ぬ間際に、得体の知れない何者かに異世界に飛ばされた。
そこは、テンプレの勇者召喚の場だった。
しかし召喚された俺の腹にはドスが刺さったままだった。
異世界でゆるゆるスローライフ!~小さな波乱とチートを添えて~
イノナかノかワズ
ファンタジー
助けて、刺されて、死亡した主人公。神様に会ったりなんやかんやあったけど、社畜だった前世から一転、ゆるいスローライフを送る……筈であるが、そこは知識チートと能力チートを持った主人公。波乱に巻き込まれたりしそうになるが、そこはのんびり暮らしたいと持っている主人公。波乱に逆らい、世界に名が知れ渡ることはなくなり、知る人ぞ知る感じに収まる。まぁ、それは置いといて、主人公の新たな人生は、温かな家族とのんびりした自然、そしてちょっとした研究生活が彩りを与え、幸せに溢れています。
*話はとてもゆっくりに進みます。また、序盤はややこしい設定が多々あるので、流しても構いません。
*他の小説や漫画、ゲームの影響が見え隠れします。作者の願望も見え隠れします。ご了承下さい。
*頑張って週一で投稿しますが、基本不定期です。
*本作の無断転載、無断翻訳、無断利用を禁止します。
小説家になろうにて先行公開中です。主にそっちを優先して投稿します。
カクヨムにても公開しています。
更新は不定期です。
転生したら名家の次男になりましたが、俺は汚点らしいです
NEXTブレイブ
ファンタジー
ただの人間、野上良は名家であるグリモワール家の次男に転生したが、その次男には名家の人間でありながら、汚点であるが、兄、姉、母からは愛されていたが、父親からは嫌われていた
異世界転移からふざけた事情により転生へ。日本の常識は意外と非常識。
久遠 れんり
ファンタジー
普段の、何気ない日常。
事故は、予想外に起こる。
そして、異世界転移? 転生も。
気がつけば、見たことのない森。
「おーい」
と呼べば、「グギャ」とゴブリンが答える。
その時どう行動するのか。
また、その先は……。
初期は、サバイバル。
その後人里発見と、自身の立ち位置。生活基盤を確保。
有名になって、王都へ。
日本人の常識で突き進む。
そんな感じで、進みます。
ただ主人公は、ちょっと凝り性で、行きすぎる感じの日本人。そんな傾向が少しある。
異世界側では、少し非常識かもしれない。
面白がってつけた能力、超振動が意外と無敵だったりする。
ブラック企業で心身ボロボロの社畜だった俺が少年の姿で異世界に転生!? ~鑑定スキルと無限収納を駆使して錬金術師として第二の人生を謳歌します~
楠富 つかさ
ファンタジー
ブラック企業で働いていた小坂直人は、ある日、仕事中の過労で意識を失い、気がつくと異世界の森の中で少年の姿になっていた。しかも、【錬金術】という強力なスキルを持っており、物質を分解・合成・強化できる能力を手にしていた。
そんなナオが出会ったのは、森で冒険者として活動する巨乳の美少女・エルフィーナ(エル)。彼女は魔物討伐の依頼をこなしていたが、強敵との戦闘で深手を負ってしまう。
「やばい……これ、動けない……」
怪我人のエルを目の当たりにしたナオは、錬金術で作成していたポーションを与え彼女を助ける。
「す、すごい……ナオのおかげで助かった……!」
異世界で自由気ままに錬金術を駆使するナオと、彼に惚れた美少女冒険者エルとのスローライフ&冒険ファンタジーが今、始まる!
テンプレな異世界を楽しんでね♪~元おっさんの異世界生活~【加筆修正版】
永倉伊織
ファンタジー
神の力によって異世界に転生した長倉真八(39歳)、転生した世界は彼のよく知る「異世界小説」のような世界だった。
転生した彼の身体は20歳の若者になったが、精神は何故か39歳のおっさんのままだった。
こうして元おっさんとして第2の人生を歩む事になった彼は異世界小説でよくある展開、いわゆるテンプレな出来事に巻き込まれながらも、出逢いや別れ、時には仲間とゆる~い冒険の旅に出たり
授かった能力を使いつつも普通に生きていこうとする、おっさんの物語である。
◇ ◇ ◇
本作は主人公が異世界で「生活」していく事がメインのお話しなので、派手な出来事は起こりません。
序盤は1話あたりの文字数が少なめですが
全体的には1話2000文字前後でサクッと読める内容を目指してます。
友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。
だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった
何故なら、彼は『転生者』だから…
今度は違う切り口からのアプローチ。
追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。
こうご期待。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる