僕の異世界攻略〜神の修行でブラッシュアップ〜

リョウ

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旅立つ者。

傘下商会が増えた。

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「まず第一に守秘義務をお願いいたします。これは当たり前の事でしょうが」

 ロイック兄さんが進めるの?お父さんは何も言わないつもりなのかな?

「ええ。当たり前の事です」
「殺されたって言わないのがこの業界の掟です。ご安心ください」
「第二に専属契約を結んでいただきたいです。当面当方の仕事のみをやっていただきたい」
「付き合いもあるのでそれは難しいかと」
「傘下に入れとおっしゃっていますか?」
「そう思っていただいて構いません。これから発注量も増える一方なのでこちらで手一杯になるかと思いますし」
「なるほど。商品には絶対の自信がおありのようで。見返りはありますか?」
「資金援助と商会員の増加にかかる費用を」
「資金援助はわかりますが、商会員の増加とは?」
「はい。ここには今何名ぐらいの生産商会員の方がいらっしゃいますか?」
「35名働いています」
「せめて50人は欲しいですね」
「そんなに仕事があるんですか?」
「あります。まだお貴族様の一部にしか商品を届けられてません。まだまだお貴族様がいます。お貴族様が終わっても、大体中流の上位がターゲットですから潜在的な客は非常に多いです」
「そんなにいるのか。だったら…」
「まぁ待て。実際の商品を見せてもらいたい。それから判断してもよろしいでしょうか?」
「ええ。よろしいですよ」

 ロイック兄さんはドライヤー、扇風機、掃除機を収納から出す。

「この小さいのが髪を乾かす道具でスサン・ドライブロー。こっちの羽がついてるのが風を起こす道具でスサン・ウインド。箱と筒がくっついてるのが掃除道具のスサン・バキュームです」
「なるほどなるほど。見た事の無い物ばかりだ」
「実際に試してみても?」
「構いません」
 
 ミスリさんと息子さんはスイッチを入れたり切ったりしながら動作を確認している。ミスリさんはドライヤー、息子さんは掃除機にものすごい食いついて中を覗いている。

「親父」
「まだだ。失礼ですが中を見させてもらって構いませんか?」
「いいですよ、とは言っても僕は戻せないのであとで直してくださいね」
「了解しました。それでは」
「どうぞ」

 二人でテキパキと解体していく。

「なるほど。これが魔法瘤のカートリッジか。無駄がないな」
「おい、見てみろこの式の配置。美しすぎないか?」
「ほんとだ。親父、この型を作った錬金術師、とんでもない腕をしてやがるぜ」
「なるほど。ロイックエンさん、この魔法道具のキーワードは回転ですな」
「その通りです」
「そうなったらこの軸がついている中を覗いてみたい気がするが…流石に厳しいな」
「親父、式の数が異様に少ないんだがわかるか?」
「多分この魔法道具に秘密が隠れているんだ。ああ。見れたらなあ……」

 僕は収納から王都で買ったモビーを一個取り出す。

「ミスリ、これ、バラしていい」
「本当ですか?ありがとうございます!」

 ミスリが開けようとしている。

「俺に貸してくれ。開けるよ」
「おう」

 息子さんが開ける。ガチャガチャと音を立ててモビーの蓋が外れた。

「おいおい」
「天才すぎるだろ…」
「式三つを連動してるのか。こんな小さいのに良く考えたな」
「親父、これはウチが手伝えることが多いな」
「ああ」
「なあ」
「ああ」
「これに賭けるぜ、俺は」
「先祖には悪いがミスリの名を捨てるか…」
「いいぜ。なあ、おふくろ」
「あんたたちの好きにしな」
「捨てる必要はないですよ」

 お、お父さん参戦。

「ですが…」
「10年の契約にしましょう。その間にノウハウを貯め、商会を大きくしてください。それから改めてパートナーとなりましょう。それまでスサン商会傘下のミスリ商会として頑張って下さい」
「ありがとうございます。すぐに他の商会と契約解除いたします。3日もあれば仕事に取り掛かれます」
「ありがとうございます。商会員にこの事を伝えます。本当にありがとうございます」
「礼を言うなら仕事で返して下さい。お互い、その方が気持ちいいでしょ?」
「そうですね。お言葉に甘えて当面の必要な資金と人材を育成する費用を算出させて頂きます」
「スサン商会さんの看板を取り付けていいですか?」
「いいですよ」
「周りに見せつけてやります。今や飛ぶ鳥を落とす勢いのスサン商会さんの仕事をやってるんだぞって」
「ふふふ。それはこちらとしてもありがたい」
「あ、あと、これでエールを、買って」
「名誉子爵様、この金貨は?」
「うん。周りに、僕の名前出して、僕の仕事を、やってる、って言って。多分地精ドワーフ集まる」
「事実です。何故か地精ドワーフ達はこの子の仕事をやりたがるんです」
「来たらまず、エールを」
「わかりました。やってみます」
「お話中すいません。概算でこれくらいになってしまうのですが、大丈夫ですかね?」
「ええ。結構ですよ。むしろこれにこれだけ足しましょう。資金があるに越した事はないですから」
「はい。ありがとうございます。この礼は仕事で返します」
「楽しみにしてますよ」

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