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第1章
あなたの婚約は破棄いたします
しおりを挟むお母様ってこんなに強かったのね……
身長も小さく、細身の身体にピンク色の髪の毛、ぱっちりおめめの見た目から社交界では「永遠の20代」など呼ばれている母。こんなに怒ってらっしゃるのに、ずっと笑顔なのが一番怖い……母は怒らせてはいけない。これからのサリーの教訓になる出来事だった。
こんなやりとりをしても入り口に留まり続けるわけにもいかず、立場上帰るわけにも行かない。そう思って中に歩き出すとロディ様の腕にしっかりとくっついている女性と目が合う。私より少し年上に見える女性はニヤリと口角を上げるとロディ様の耳元で何かを囁き、こちらに向かって二人で歩き始める。
何か嫌な予感がするも主催者の息子、まして婚約者に挨拶しないわけにもいかない。ロディ様と目が合い、スカートの裾をもちあげ挨拶をしようとする…
「ロディ様、本日は
「サリー・ナシェルカ伯爵令嬢、あなたの婚約は破棄いたします!」
……………え?
高らかに宣言された婚約破棄の声はドルマン侯爵邸の庭に響き渡った。
その甲高い声が……
え?まずあなたはだれ??
そう。婚約破棄の宣言はロディ様の腕にくっついていた平均より背が高く、赤色の髪の毛に赤色のドレスを身にまとった女性よりもたらされた。
これはどうしたものかと思い、ふと横の母に目をやると、額に1本の血管が浮き出てヒクヒクとしていた。
その隣の父は半分ほどだらしなく口を開いたまま、その女性を見つめていた。
「ちょっと!私が話してんのよ!!黙ってないでなんとか言いなさいよ!?」
私が女性ではなく隣の両親を見ていたのが気に障ったのか、再度甲高い声が響く。
その声に私はどうにか平常心を保ち、できるだけ落ち着いた声を出そうとする。
「えと……まずあなたのお名前を伺っても宜しいですか?」
そう。婚約破棄の前にそんな素朴な疑問が口をつく。
だって正直こんな女性今までお目にかかったことがない。
初めましての方に婚約破棄すると言われて「はい」と答えられるほど頭にお花は咲いていないのだ。
「あっ、失礼しました。私ピーチル・ロシェンカと申します」
と、スカートの裾を摘んで挨拶をされる。
一応挨拶をするだけの常識はあるのね。と、驚いてしまう。そんなことより、ロシェンカと言えばロシェンカ男爵ね。
「ロシェンカ男爵令嬢、ごきげんよう。私サリー・ナシェルカと申します。」
私も淑女として名前を名乗るだけの簡単な挨拶を行う。
今後とも……だなんて口が裂けても言いたくはないわ…
「て、違うわ!あなたの婚約は破棄すると言ったのよ。承諾して破棄なさい」
「………承諾するのも破棄するのも構わないわ。ただひとつだけ聞かせて。
なぜあなたが言うの? 」
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