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第1章
ロディの主張
しおりを挟む「間違い!?いやいや、希望したのはあなたの御子息。それなのにどうして御子息には話も聞かず間違いだと断言できるのか。そしてそんな状況の中、どうして私たちがあなた達の話を聞かなければならないのか理解できませんね。それにたとえ聞いたとしても、こちらとしては既に了承致したこと。撤回するつもりはございませんよ」
普段は誰に対しても温厚でとても優しそうと言われる父が、人に対してここまで怒りの感情をぶつけるところは初めて見る。
母より頭2つ分ほど大きい身長に、茶色の髪の毛で垂れ目気味の目の容姿は、まるで優しい大型犬みたいと言われているのに、今は敵に噛みつきそうな大型犬になってしまっている。
「そんな…
ロディ、どうなっているんだ。今すぐ誠心誠意謝罪し、婚約破棄の撤回をお願いしろ!」
でっぷりとしたお腹が重たいのか、一歩あるくごとにどかどかと音を立てて侯爵がロディ様に詰め寄っている。
普段から強面の顔は怒るとより迫力を増す。
しかし内容が間違っている。
婚約破棄の撤回などあり得ないと言っているのに侯爵もなにを言っているのだろう。みっともない…
「ち、父上、そろそろはっきりすべきなんです。伯爵家が侯爵家に縁を求めたというのに、それに相応しくない態度……
父上も、いつも言ってらっしゃるではありませんか。侯爵家である由緒正しき我が家がなぜ新興貴族である伯爵家などに遜らなければならないのかと。伯爵家ならば、、、伯爵家ならば本来我が家に頭を下げねばならぬ相手なのにと。」
ロディ様は詰め寄ってくる侯爵に対し、びくっと身体を委縮させたと思ったら、一歩下がり距離を空けて侯爵に言い返した。
ほうほう……なるほど、なるほど、そんなことを。
確かに侯爵家は由緒正しき家柄。150年続いているということは代々の当主の努力あってこそ。それ自体は素晴らしい功績であることに違いない。ただ!!その家が傾いていることは問題視しないのだろうか。それならば婚約など願い出て来なければよかったのに。
「ばっ、何を言う!そ、そんなこと思ってなど
「ち、父上は、いつも伯爵家の女など適当にあしらっても侯爵家には逆らうことさえできないとおっしゃっていました。なので、なので、立場をわからせたのです!それを撤回など、、、、いたしません!」
この時ばかりは父であるサムエル様をまっすぐに見つめ、胸を張り、撤回などしないとロディ様が宣言する。その様子はまるで僕よくできたでしょと言わんばかりの子どものよう。
だが、今だけは心の底から褒めたい………
よくやった!!!
「そうですわ、ロディ様。さすがは侯爵家の次期当主様。素晴らしいですわ。」
そう!!本当に!よくやった!!
そう心の中では思っていても、この人が褒めているのを聞くと、ちょっとお腹の中がふつふつと熱くなってくる気がする。
褒めてほしい子どもを、ロシェンカ嬢が、身体をすり寄せて褒め称える。
その様子を見ているだけでも気分が悪い!!
まぁでもこうして見るととてもお似合いのお二人ですね。
「そうですか。御自宅ではそのような教育方針であったわけだ。こちらとしては同級生のよしみでかなりの額を無利子で融通したと思っていたがなんとまぁ。
それでは本日は失礼して、婚約破棄の申立書を作成させて頂きますよ。併せて浮気に対しての慰謝料の請求、公の場での精神的苦痛を与えられたことに対する慰謝料の請求、並びに今までの支援金全ての返済も請求させて頂く。同時に我が領地と提携していた店舗全てからの撤退、人員の引き揚げを行う。また、今後一切我が領地との取引を停止することをここに宣言する!!
それからそこの娼婦のような男爵家の娘!貴様の家にも慰謝料を請求するからよく覚えておけ!ナシェルカ家を侮辱したことを後悔させてやる!」
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