【完結】前代未聞の婚約破棄~なぜあなたが言うの?~【長編】

暖夢 由

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第1章

いいことばかりの婚約破棄

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「エスコートも贈り物もしない婚約者なら婚約などしないほうがいいだろう。それにあちらから婚約破棄してくれるなんて慰謝料も取れていいことばかりじゃないか」


そう、その通り!
いいことばかりの婚約破棄なのだ。


その一言を聞いたキャロル様は目を大きく開いたままデイヴを見つめている。
きっと公爵家のデイヴがこんなことを言うなど想像もしていなかったのだろう。
だが、デイヴにこう言われてしまえば周りの生徒も今後表立って私のことを「婚約破棄された」だの「傷もの」だの悪く言うことはできなくなる。


きっとそれを見越しての行動。
婚約者には恵まれなかった私でも、友人には恵まれている。


「さぁ、お祝いもかねてお昼ご飯をごちそうさせてくれ。それではキャロル嬢失礼するよ」


そう言って、颯爽と私たちをキャロル様から引き離してくれた。未だ驚いた表情のままデイヴを見つめているキャロル様をその場に残したまま私たちは学食に向かう。
できる男はスマートですね…
それにしても学食の方から歩いてきたデイヴはどこに向かうのでしょう。そんな私の小さな疑問はそのままにキャロル様から少し離れるとアイシャがニヤニヤとデイヴに囁くような声で話しかける。


「おめでとうはよかったわね。あれでもう誰も表立ってサリーを貶めることはできないわ。」


「だろう?下手なことを言うより祝いにしてしまおうと思ったんだ」


ヒヒヒッ…と声が聞こえてきそうなほど悪そうな顔をした二人が話している。
なんというか、怒るところも、気にするところもよく似ているとても仲のいい2人なのよね。


「アイシャもデイヴも本当にありがとう。どうせこれからも陰ではいろいろ言われるんでしょうけど、あんなふうに言ってもらえて嬉しかった」


そう素直にお礼を口に出すとふたりともなんだか照れくさそうに頷いてくれる。
ほんとにこういうところも似ているのよね。


そのまま学食に行って3人で食事をした。
デイヴは私の話が聞きたかったようで、入口で待ってくれていたみたい。それなのになかなか来ないので探しに行ったらあの場面に遭遇。話に入ってきてくれたそう。ギャラリーが集まるから集まらないで欲しいなんて心の中で思ってしまったこと、しっかりと心の中で謝っておこう。
実際デイヴがきてくれなければあの場を上手く逃げ出せなかったかもしれないし。
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