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第1章
新たな婚約について
しおりを挟むしかし、そんなことフレッド様が知るはずがない。それなのにどうしてこのようにおっしゃるのか。
私が不思議そうな顔をしていたのか、私の疑問にフレッド様が答える。
「染め作業も自分でできる人なんて、普通のご令嬢ではいないと思います。それに織物やドレスのことをきいても領地の特産品ってことだけでは説明がつかないほどに詳しい。これは製作に加わってなければなかなか知りえない知識だと思ったんです。」
そう言われてしまえば納得するほかない。
確かに私の知識はただ調べたにしては詳しいのかもしれない。それでも昨日知り合ったばかりのフレッド様がそのように思うのはやはりこの方ができる方だからなのだろう。
「それともう一つ、伯爵に話しをする前にサリー嬢に話したい内容があります。
サリー嬢、僕と婚約してくれませんか?」
……はぁ??
昨日であったばかりの人に向かってなにをおっしゃっているのだろう。
「……どういうことでしょうか。」
他の言葉なんて出てこない。昨日であった人に今日は婚約を申し出る。まず王家の婚約はそんなに軽いものではない。陛下の許可も必要になる。それになにより伯爵の娘に第2王子殿下を嫁がせるわけがない。
「まず、断っておきますがこの申し出には政略的な意図が往々にして絡んでいます。ナシェルカ伯爵家は伯爵にしておくには問題があるほどの財力がある。その財力は公爵の中でも抜きんでている3大公爵に匹敵するとも言われています。それに関しては反発する者がいることも事実だし、議会で何度となく議題にも上がっています。しかし名案が浮かばないのが現状でした。そして、今回のこの交易の目玉に据える件も加えるとさらなる反発は必至。そこで私とサリー嬢の婚約を結びたい。そうすることで議会での文句も押さえることができます」
こういわれてしまえば確かにと納得は出来ても反論の出来る余地はない。確かに我が家は栄えている。侯爵家の財源を賄って余りあるほどの財力がある。それをよしとしない人がいるのも事実で、もしフレッド様と婚約を結べばその妬みも少しは解消されるかもしれない。
「そしてもう一つ、私個人としてあなたに興味があります。領地経営は男性がするもの。この考え方が当たり前の世の中で自分で作業も行い、売り込み活動までしている。香水の匂いをまき散らして、高位貴族に縋りつこうとする私の周りに群がっていた女性とはなにもかもが違う。私はそんなあなたと婚約したいと思いました。だから私と婚約してくれませんか?」
そっか…きっと結婚すればどんな人であれ、領地のことにあまり口出しできなくなるのではないかと思っていたけれど、フレッド様なら私が染め作業や実験的活動をやってても許してくれそう。そう考えると政略的結婚万々歳かもしれない。
「わかりました。そういうことであれば、私個人としてはお受けしたいと思っております。ただ、当主である父の意見が最優先です。先に父に話を通してもいいですか」
「もちろんです。実はこの後伯爵に時間を取ってもらっています。サリー嬢も同席頂けますか」
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