【完結】前代未聞の婚約破棄~なぜあなたが言うの?~【長編】

暖夢 由

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第1章

私は牛やヤギ以下!?(元ドルマン侯爵視点)

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「熊が出るのか?じゃあなんで私はここで暮らしているんだ?」


「は?家がないからだろう。最初の日にも言っただろう?小屋で暮らさなくたっていいんだぞ。心置きなく外でのびのびと寝てくれてもこちらとしてはかまわない。
ただし、ヤギや牛は必ず小屋に入れろ!」


ノエルが嫌そうに顔を歪めながらそんな事を言い放つ。


なんだ?私は牛やヤギ以下だというのか?


「牛やヤギは私よりも価値があるというのか!!私は元侯爵だぞ!!」


「そうだな。お偉い元侯爵様だもんな。


だがその元侯爵っていう大層な肩書でなにができるって言うんだ?えばり散らすことだけか?
その肩書で何か出来るんならやってみろよ。まぁなにかできてるんならここにはいないだろうな。
そんなくそみたいな肩書よりも牛やヤギの方がよっぽど価値があるね。
乳を出してくれ、それはミルクとして売れ、チーズとしても売れる。さらに肉にもなる。
大切に育てれば、それだけ高額で取引される。


あんたみたいな何もできないのに口先だけの奴がいるより牛やヤギが10頭でも、いや、1頭でもいたらどれほど助かるか。


それにな!あんたは侯爵だと威張っているが、それ言わない方がいいぜ。


本人たちは知らないんだろうが、この領地は元領主をよく思っていない奴ばかりだ。


領主の癖に一度だって領民たちに顔を合わせに来たことだってない。それだけなら別にいい。一番くそだと思うのが道路の整備だってろくにしないことだ。だから注文が入りかけたって、運送の問題で何度取引がなくなったことか。そのくせいつも偉そうにしやがって。新しい領主はどうだかまだわからんが、ナシェルカ領になった領地の奴らは大喜びしてたよ。新しい領主家族は新しく領地になったらすぐに領地の様子を見に来て、すぐに中央道を整備してくれて、チーズや肉を褒めてくれたんだと。更には王家にも持って行ってくれて気に入ってもらえたんだとよ。


残された俺たちは貧乏くじなのかとびくびくしてるよ。
もし、こちら側の新しい領主が道路の整備すらしないようだったら俺たちは隣の領地へ引っ越すつもりだ。


まあ、こんな鬱憤がたまりにたまってるから前領主なんて石でも投げつけてやりたいほど嫌いなんだ。


だから怪我でもしたくなけりゃ外では言わないこったな。
俺たちもいつまであんたのその態度に我慢できるかなんてわからんからな」


そういって、今までとはまったく違う冷たい、いや、憎しみさえ籠っていそうな視線を私に向けた。
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