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第1章
なんで僕は、こんなところで働いているんだ(ロディ視点)
しおりを挟む「ロディちゃん、洗い物は終わったかしら。
あら、ダメよ。こんな洗い方じゃ手の痕も口紅も残ってるじゃない。ちゃんと出来たらご褒美をと思っていたけど、これじゃあ全然だめね。私がもっと上手にできるように応援してあげるわ」
なんで、なんで僕は、こんなところで働いているんだ…
侯爵家当主になるはずだったんだぞ…そ、それなのに…
女のように着飾り、化粧をしたダニーとかいう男が俺の頬にキスをしてくる。
「や、やめてくれ…つ、次はちゃんとやる。ちゃんとやるから」
「あら、そう?じゃあ出来ていなかったらまた応援しに来てあげるわね。さぁしっかりと洗って頂戴。そろそろ開店の準備をする時間なんだからね」
な、なんで僕はこんなことになってるんだ……
侯爵家に生まれて自分一人で着替えすらしたことはなかった。それなのに洗い物なんて、貴族が調理場に入るなんてありえないのに…
あの忌々しい伯爵家との縁を切ってやっただけなのに…
僕の価値がわかるピーチルと婚約しようと思っただけなのに…
それが父上に殴られて、伯爵家からの援助が止まったら侯爵家は立ち行かなくなると聞かされ、仕方なく謝ってやろうとしたのに伯爵家にすら入れず追い返される。
次の日からはサリーの学校が始まる前に会いに行ってやったのに自分の家の財政状況すらしらないと馬鹿にされ、他の奴らにも笑われてしまうといたたまれなくて……立っていられなくなる。侯爵家との婚約なら破棄したくないだろうから婚約破棄は無しにしようと思っても証人が多く、撤回などできない。
そして翌日からは早く書類にサインをしろと役人が迫ってきた。
何日も粘り、必死にサインを拒否していたけど避けられないと悟った。
だからサインをし、役人に書類を渡すと、父上に廃嫡だと言われた。
そんなことになれば僕はどうすればいいんだ!?
どうすればいいかわからず、自室に籠っていたのに、婚約破棄を宣言した日から1か月たった日。
ルドルフが我が家にやってきた。ルドルフは遠縁の3男で当主にもなれないから財務官として働いていると言ってた。それなのになんでこんなところにいるんだ?
そう思っていたらルドルフが今日からドルマン侯爵家の当主になると言うんだ。
なんだそれは!そんなの認められない!
それなのに、これは議会で承認されたことで決定事項だという。こんなの乗っ取りじゃないか!
そう言うと、そんなことは借金を返済期限である今日中に返済してから言えと言われた。そんなの、そんなの無理だ……
愕然としていると男二人に抱えられ、知らない店に連れてこられた。
店につくと連れてきた男に
「今日からここで働け。働いた金の8割は慰謝料の支払いに当てる。もし逃げ出そうとしたらそのたびに慰謝料が加算される。返済が終わったらそこからは好きに生きればいい」
そう言われた。慰謝料はドルマン侯爵家の金では返済できず、ナシェルカ伯爵への借金となっているらしい。
いや、ドルマン侯爵家は伯爵になり、ナシェルカ伯爵家は公爵になったそうだ。
なんだよ。なんでうちが伯爵家でサリーの家は公爵なんだ?
せめて侯爵だろう!!
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