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第1章
この親にしてこの娘あり
しおりを挟む「な、娘が大変な無礼を申し訳ございません。
……ですが、娘はずっとフレッド様の事をお慕いしていました。きっとそのお姿を拝見して興奮のあまり口から出たものだと思っております。どうか、その女心汲み取ってやっては頂けませんか」
………素晴らしい家族愛!!!
まさにこの親にしてこの娘ありですね。
「はははっ、そうですか。この教育は公爵の教育の賜物でしたか。
公爵の教えはしっかりと子に伝わっているんですね!」
またフレッド様が声をあげて笑った。
さすがにわかる。
これは怒ってる………
だって空気がピリピリしてる……
「おおっ、さすが殿下!親心まで読み取って頂けるとは。
そうなのです。大切に大切に娘を育てて参りました。殿下をお慕いする娘をいつでも嫁に出せるようにと淑女教育を行ってきたのです」
先ほどまでとは打って変わって自信満々にそう言い切る公爵。
この公爵はどうやって今まで貴族社会を生き抜いてきたのだろう。貴族なんて言葉の裏に嫌味を混ぜて話すもの。それなのにこうも直接的な嫌味すらまったく気づきもしないだなんて。
いや、だからこそ図太くいられるのかもしれない。
周囲を見ると扇子で口元を隠し不快そうにしている方や唖然として公爵を見つめる方。
この視線にすら、いやこの空気すら気付かないなんてすごい。
「はははっ!!!それは大変光栄ですね。では、断言しておきましょう。
私は他人を貶めるような令嬢とは人としても女性としてもお付き合いはいたしませんので、早く他の方との縁談を進めてください。
そうでなければご令嬢は俗にいう行き遅れになってしまうでしょうからね。私自身は何歳の結婚でも問題ないと思いますが、世の反応などそういうものですから」
先ほどより幾分低い声のフレッド様の声が響く。
先ほどまでのにこやかな笑顔すら消えてしまっている。
そして先ほどのキャロル嬢の言葉をわざと使っているあたり、怒りは相当な物なのだろう。
でもこれ以上はと思った私と、同じように思ったのだろう。
「フレッド様、当家主催のパーティーでご不快な思いをさせてしまい、大変申し訳ございません。当家との付き合いもあるサリー嬢にも申し訳ない。
お詫びに当家からフレッド様とサリー嬢を後日演劇に招待させていただきたい。
だができれば今夜のパーティーでは、私の顔を立てると思って、お怒りを静めて頂けないだろうか。
そして、ジョルダン公爵とその令嬢にはこのままお帰り頂こう。当家の大事な招待客を不快な思いにさせたのだ。当面の間、我が家はそちらとの付き合いを控えさせてもらう。さぁ、出口はあちら。お連れして」
デイヴの父、ベルジャン公爵が少し大きめの声でそのように発言する。
さすが陛下の弟。ジョルダン公爵家に対しての発言の際には威圧感があり、場がびりびりとした空気に包まれる。
「なっ!待って下さい!!どうして私たちが!!」
公爵とキャロル様がそのように言っているのが聞こえるが、ベルジャン公爵の声で動き出した衛兵たちによって、すぐに公爵たちの姿は見えなくなってしまった。
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