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第1章
蜘蛛なんて野蛮という貴族令嬢
しおりを挟む中を覗いてみると、子ども達が参加するだろうと想定していたそこには子どもたちの親であろう人たちの姿もあり、子どもたちに負けじと糸玉取りに参加しています。
「母さん、そこじゃないよ。もっと上だよ!下手だなぁ、もっと登らなきゃ取れないよ!」
「もう、あんな高いところの玉なんか取れないわ。他にはないかしら」
聞こえてくるその声はとても楽しそう。
糸玉取り体験の受付をしている領民に話を聞くと、朝一は領民の子どもたちが集まってきて、やっていたのだそう。それを見た他領の子どもたちが参加を始め、親まで参加を始めると、それからはずっと順番待ちの行列が出来てしまっているという。
大人には敬遠されるかと思っていたのに、そんなこともなく、みんなで楽しめているという。
始めは子どもだけの企画と思っていたけれど、案外皆が楽しそうだからそのまま親にも参加してもらっているとのことで、参加者が後を絶たない程大人気だと嬉しそうに教えてくれた。
そして、殆どの人はここで少し遊んでから他のお店を回っていくんだそう。
子どもと競うように糸玉取りをすると、大人は疲れてしまって、そのまま甘いものを食べたり飲み物を飲んだりするために食べ物屋さんに行っている。
予想外の人気に驚いてしまうが、飲食物も置いておいてよかった…
『疲れたから』なんて事は想定していなかったけど、ちょっとしたお出かけを考えて、値段的にも手ごろな物を用意してくれている。
だってせっかくの祭りだもの。みんなが楽しめていることが嬉しい。
それに飲み物も食べ物もダニーさん達にも一緒に考えてもらったもの。
領民たちははじめ、ダニーさんたちが出す見た目も可愛い飲み物を見てびっくり。
できるかはわからないけどこんなのは?といろいろと案を出し合いながら、作ってみた。
そしてここでも子どもたちが大活躍。
だって、子どもたちのような素敵なアイデアは大人ではなかなか生み出せない。
だから飲み物も食べ物も子どもたちが食べたい、飲んでみたいというものを参考に作られた。
この町に来て「蜘蛛取りだなんて野蛮ね」と言っている貴族令嬢もいた。
やっぱり貴族なんてそんな感想かもしれない。虫も触らない令嬢なら当たり前だ。そう思って肩を落とした…
でもこの店には貴族の令嬢たちが多くいた。野蛮、そういいながらもやはり可愛い物には目がない。それが女の子の心理なのかもしれない。
だってこんな飲み物見たことない。
飲み物の一つがココア。ココアの上に雲のようなふわふわの泡のクリーム。そしてその上に蜘蛛の形をしたお菓子が乗せられている。
なにこれ!!可愛いし飲むのがもったいないけど、そうやって見つめていると、雲が溶けてしまって、ココアの中に蜘蛛がふわふわと浮いてる。
やだぁ、これはこれで蜘蛛が泳いでるみたいで可愛いじゃない!しかもココアも甘すぎず大人でも飲みやすい。少しずつ寒くなってきているこの季節には嬉しい飲み物だ。
これはきっと令嬢の中でも話しにのぼる。それならば先取りしておくべき。そんな考えもあったのかもしれない。
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