【完結】前代未聞の婚約破棄~なぜあなたが言うの?~【長編】

暖夢 由

文字の大きさ
106 / 166
第2章

声の主は

しおりを挟む
「サリーどうしたの?」

私の動きを不審に思ったのか、フレッドが顔を見つめて、聞いてくる。
私たちの他に、この場所には誰もいない。けど今誰かに呼ばれた気がした……

「サリー、聞こえる?」

やっぱり聞こえる。
女の人のような可愛らしい声でサリーって。でもここには女性は私以外にいない。
きょろきょろと辺りを見渡してみてもその姿を見つけることができない。

「誰かが私を呼んでるの聞こえる?」
フレッドに聞いてみても「誰かが呼んでるの?いや、聞こえないけど」と返されてしまう。

やはり空耳?

「サリー、ここ、ここ」

声につられて視線を下に移すと蜘蛛たちがぴょんぴょんと飛び跳ねている。

…………まさか蜘蛛?ってまさか~。

そんな自分の妄想のような言葉を打ち消しながら見つめていると、飛んでいるのを確認したと思ったのか、蜘蛛たちが飛ぶのをやめた。

その中の先頭の蜘蛛が私たちの方に進んでくる。
え?……蜘蛛じゃないよね……話してないよね……
いやよ。蜘蛛と話せる女だなんて……

「サリー、手を伸ばしてくれる?」

その言葉になぜか私は腰を下ろし、蜘蛛の前に手を伸ばしてしまう。

いくらナシェルカ蜘蛛に慣れているからと言って、蜘蛛に触り慣れているわけではない。それなのにこんな事をしてしまうなんて……
でも私が手を伸ばすと待っていたと言わんばかりに蜘蛛は私の手の上に登ってきた。

それを黙ってみているとフレッドも黙って隣で腰を屈めて見てくれている。

「サリー、やっとあなたと話せる!あなたと話せるのをずっと待ってたミュ
私はキュミー。よろしくミュ」

私は思わずフレッドを見つめてしまう。
フレッドは私を見つめ「どうした?」と聞いてくれるが、もしかして聞こえてない?

「この蜘蛛キュミーって言うらしいです……」

「え?サリー蜘蛛の声が聞こえるの?」

わからない。。。私は蜘蛛の声を聞いてるのかしら……
私の困惑をよそに可愛らしい声の言葉はさらに続く。

「サリー、いつも私たちを大事にしてくれてありがとう。
あなたが生まれたのを感じて私たちの一部は国をでて、あなたの近くに行ったミュー。
そしたら天候のせいで異常に繁殖してしまった。私たちは人間に見つかると悪いことなどしていなくても殺されてしまう。それが大量に繁殖なんてしまったらまとめて殺されてしまうのなど目に見えてたミュ。

だから皆おびえてたミュよ。

でもそれを見たあなたが救ってくれた!
救ってくれただけではなく、人間と共に暮らせる方法を作ってくれた!

私たちはいつも人間から隠れるように生活してたミュ。
悪いこともしていないのに私たちの姿を見るだけで人間は悲鳴を上げ、殺そうとする。
だから隠れてたのに、初めて一緒にいていいのだと言われた気がしたんだミュ。
だからずっと御礼が言いたかった!サリー、私たちを救ってくれて本当にありがとミュ。大好きミュ!!」

そう聞こえてきた。
しおりを挟む
感想 63

あなたにおすすめの小説

婚約破棄された翌日、兄が王太子を廃嫡させました

由香
ファンタジー
婚約破棄の場で「悪役令嬢」と断罪された伯爵令嬢エミリア。 彼女は何も言わずにその場を去った。 ――それが、王太子の終わりだった。 翌日、王国を揺るがす不正が次々と暴かれる。 裏で糸を引いていたのは、エミリアの兄。 王国最強の権力者であり、妹至上主義の男だった。 「妹を泣かせた代償は、すべて払ってもらう」 ざまぁは、静かに、そして確実に進んでいく。

【完結】転生したので悪役令嬢かと思ったらヒロインの妹でした

果実果音
恋愛
まあ、ラノベとかでよくある話、転生ですね。 そういう類のものは結構読んでたから嬉しいなーと思ったけど、 あれあれ??私ってもしかしても物語にあまり関係の無いというか、全くないモブでは??だって、一度もこんな子出てこなかったもの。 じゃあ、気楽にいきますか。 *『小説家になろう』様でも公開を始めましたが、修正してから公開しているため、こちらよりも遅いです。また、こちらでも、『小説家になろう』様の方で完結しましたら修正していこうと考えています。

悪役だから仕方がないなんて言わせない!

音無砂月
恋愛
マリア・フォン・オレスト オレスト国の第一王女として生まれた。 王女として政略結婚の為嫁いだのは隣国、シスタミナ帝国 政略結婚でも多少の期待をして嫁いだが夫には既に思い合う人が居た。 見下され、邪険にされ続けるマリアの運命は・・・・・。

良いものは全部ヒトのもの

猫枕
恋愛
会うたびにミリアム容姿のことを貶しまくる婚約者のクロード。 ある日我慢の限界に達したミリアムはクロードを顔面グーパンして婚約破棄となる。 翌日からは学園でブスゴリラと渾名されるようになる。 一人っ子のミリアムは婿養子を探さなければならない。 『またすぐ別の婚約者候補が現れて、私の顔を見た瞬間にがっかりされるんだろうな』 憂鬱な気分のミリアムに両親は無理に結婚しなくても好きに生きていい、と言う。 自分の望む人生のあり方を模索しはじめるミリアムであったが。

<完結> 知らないことはお伝え出来ません

五十嵐
恋愛
主人公エミーリアの婚約破棄にまつわるあれこれ。

謹んで、婚約破棄をお受けいたします。

パリパリかぷちーの
恋愛
きつい目つきと素直でない性格から『悪役令嬢』と噂される公爵令嬢マーブル。彼女は、王太子ジュリアンの婚約者であったが、王子の新たな恋人である男爵令嬢クララの策略により、夜会の場で大勢の貴族たちの前で婚約を破棄されてしまう。

【完結】女王と婚約破棄して義妹を選んだ公爵には、痛い目を見てもらいます。女王の私は田舎でのんびりするので、よろしくお願いしますね。

五月ふう
恋愛
「シアラ。お前とは婚約破棄させてもらう。」 オークリィ公爵がシアラ女王に婚約破棄を要求したのは、結婚式の一週間前のことだった。 シアラからオークリィを奪ったのは、妹のボニー。彼女はシアラが苦しんでいる姿を見て、楽しそうに笑う。 ここは南の小国ルカドル国。シアラは御年25歳。 彼女には前世の記憶があった。 (どうなってるのよ?!)   ルカドル国は現在、崩壊の危機にある。女王にも関わらず、彼女に使える使用人は二人だけ。賃金が払えないからと、他のものは皆解雇されていた。 (貧乏女王に転生するなんて、、、。) 婚約破棄された女王シアラは、頭を抱えた。前世で散々な目にあった彼女は、今回こそは幸せになりたいと強く望んでいる。 (ひどすぎるよ、、、神様。金髪碧眼の、誰からも愛されるお姫様に転生させてって言ったじゃないですか、、、。) 幸せになれなかった前世の分を取り返すため、女王シアラは全力でのんびりしようと心に決めた。 最低な元婚約者も、継妹も知ったこっちゃない。 (もう婚約破棄なんてされずに、幸せに過ごすんだーー。)

【完結】優雅に踊ってくださいまし

きつね
恋愛
とある国のとある夜会で起きた事件。 この国の王子ジルベルトは、大切な夜会で長年の婚約者クリスティーナに婚約の破棄を叫んだ。傍らに愛らしい少女シエナを置いて…。 完璧令嬢として多くの子息と令嬢に慕われてきたクリスティーナ。周囲はクリスティーナが泣き崩れるのでは無いかと心配した。 が、そんな心配はどこ吹く風。クリスティーナは淑女の仮面を脱ぎ捨て、全力の反撃をする事にした。 -ーさぁ、わたくしを楽しませて下さいな。 #よくある婚約破棄のよくある話。ただし御令嬢はめっちゃ喋ります。言いたい放題です。1話目はほぼ説明回。 #鬱展開が無いため、過激さはありません。 #ひたすら主人公(と周囲)が楽しみながら仕返しするお話です。きっつーいのをお求めの方には合わないかも知れません。

処理中です...