【完結】前代未聞の婚約破棄~なぜあなたが言うの?~【長編】

暖夢 由

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第2章

確かにこれはまずい

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引き継ぐように話を始めたキュミーの顔はとても苦しそうで、辛そうで。その身体は小刻みに震えてしまっている。愛し子をそんな形で死なせてしまった事が精霊の心にも大きな傷を残したのだろう。そしてそれはきっと今でも大きな傷として残ったままなのだろう。
あまりの内容に私たちは誰も口を開けないでいる。
この国で生まれ育ったショーン様ですら内容に驚き、目を見開いている。

でもどう話を聞いても精霊に落ち度はない。それなのに精霊が傷ついているなんて。

私は席を立ち、キュミーの前で腰を落としてキュミーの身体を覆うように抱きしめた。

「キュミー、私は前の愛し子という方を知らない。だから本当の事なんてわからない。
それでも精霊がそばにいてくれて幸せだったんじゃないかなと思う。無責任な発言だけど、それでも私はキュミーたちがそばにいてくれて、一緒に手伝ってくれて、今まで本当に幸せだったから。だから自分を責めないで。過去を取り戻すことはできないし、その人がよみがえることもないけれど、きっと精霊たちが笑ってくれることを望んでくれていると思うの」


私の言葉にキュミーは摺り寄せるように身体を預け「キュミーは私たちがいて幸せだった?」と小さく聞いた。
私は大きく頷き「もちろんよ!あなたたちがいてくれたからとっても幸せだったわ。あなたたちがいてくれたから領民たちとももっと仲良くなれたし、協力することもできたわ。特に今回の収穫祭ではみんなが大活躍してくれたおかげでとても盛り上がったのよ」と伝えた。するとキュミーが私にぎゅっと抱きつき、「ありがとミュ」と言った。

少しだけそうしていると落ち着いたのか、キュミーの身体の震えが治まってきた。それを確認して、抱きしめている腕を緩めると微笑みを浮かべたキュミーの顔を見ることができた。

こんな言葉では心の傷を癒せることなどできないことは分かっている。
それでも私の気持ちを知っていて欲しいと思った。
私が今までどれだけ蜘蛛たちに救われていたか。精霊と分かり、それが意志を持った行動だったと知り、それをどれだけ実感したか。
だからそれを伝えた。こんなことでも、もしもキュミーの心が晴れてくれるならと願って。

私はキュミーの顔を見て、「席に戻るね」と伝えると、サリーといるとキュミーもついてきて、私の膝の上に座った。
それを確認してフレッドが口を開いた。


「ショーンとキュミーの話を聞いて、分かったよ。
確かにこれはまずいな。

サリーは間違いなくこの国でいうところの”聖女”なんだろう。もしそれが分かれば王家は間違いなくサリーを手に入れようとする。すでに僕と結婚している、という事実はあるけれど、この国の王家はそれだけでは引き下がらないだろうな。
そして一番問題なのが今の王家の状況だ。この国は現在王位継承権争いの真っただ中だ。
第1王妃の息子である第1王子と第3王子。第2王妃の息子だが優秀だとされている第2王子。そして魔力量が多く、魔力騎士団長を担っている第3王妃の子、第4王子。この4人での争い。
血筋を重んじる貴族、優秀さを求める貴族、魔力量・武力を求める貴族がそれぞれを推しており、その熱は激化していると聞く。
そんな時に聖女の存在など分かれば間違いなく第3王子、第4王子は動くだろうな」

フレッドの言葉にショーン様とチャールズが頷き、私も同じように心の中で頷いた。
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