165 / 166
第2章
話題の演劇
しおりを挟む
こうして約束の1年ののち私たちはようやくナシェルカ領に帰ってきた。
キュミーたちは話していた通り一緒に帰ってきてくれたけれど、全員が来たわけではなかった。話をしてイヴァンカ国の土地を守ると言ってくれた蜘蛛たちもいた。だから何かが変わったわけではない。
それでもイヴァンカ国との交流は今までよりもかなり多くなり、1年たった今でも補佐員たちの派遣は続いており、きっとこれからも続いていく。それから逆にイヴァンカ国からの補佐員もカリシャール国を訪れていた。
イヴァンカ国から潤沢に入ってくるようになった魔法石の使い方をイヴァンカ国の民から教えて貰うのだ。こうして交流を重ね、2国共に成長を続けていった。
カリシャール国でも変化があった。
私たちがイヴァンカ国から戻り、1年後、ジョージ様が即位された。
そして約束通り10年後、イヴァンカ国は属国を脱却し、正式な国として国際会議への出席も認められた。
私がいわゆる聖女としての力を発揮したのはあの1年間だけだった。
魔物が作物を食べ、浄化した土地は精霊たちが目を見張らせ、対処してくれていたので私が何かすることはなかった。
でもこれはこうした方がいいとみんなで話した結果だった。
聖女に頼り切ってしまうと、これからもし聖女が現われたらまた国が囲うべきだなんて考えの者が現われてしまう。そうならない為にも、自分たちで出来る事はしっかりと行うべきだと。そうしなければ自分の生活を守ることができないんだと理解することが大事なんだと。
こうして私たちは今のかけがえのない幸せを手にすることができているの。
「って、こんなことでいいの?」
「ええ!素晴らしいわ。
知っていることも多かったけど、やっぱり本人目線だと色々知らないこともあるのね」
「そう?
でもこんなことどうするの?」
「あのね、聖女伝説の話の本を出して欲しいって色々な所からお願いされているの。本だけでなくって、演劇の演目としてもやりたいからってお願いされててね。
サリーの話ができるなんて凄いと思わない?その話を書くのが私なんて夢みたいよ!!
絶対に素晴らしい物にするわ!誰もが魅了されるような話にしたいの」
そう興奮しながら私の目の前で話をするのはアイシャ・ベルジャン公爵夫人だった。
私が聖女という話はカリシャール国でも話題になっていた。聖女の話というのはカリシャール国でも元々色々な話で広まってはいたがそれは伝記的なものではなく、神話的な話のものだった。それが事実だったと、しかも自国の女性が聖女だったという事が聖女熱に火をつけたのだ。
「そうなの?
アイシャが本を出すのは嬉しいわ。楽しみだし絶対に読むわ。でも……それが私の話なのは……どうかしら」
「いいのよ。私がサリーの話がかけるなんて嬉しいことなんだし、楽しみな事なんだし、何より私の誇りなんだから。
ほんとうにサリーと仲良くなれてよかったって日々実感しているのよ。そんなサリーの素晴らしさを私はみんなに知ってもらいたいだけ。だからサリーは何も構えずにドンとしていたらいいのよ」
ほんとうに嬉しそうにアイシャはそう言ってくれる。
だから私は素直にその言葉に頷くことにした。
「アイシャがそう言ってくれるなら……
アイシャに任せるわ。だって私の大好きなアイシャの話だもの。どんな話だろうときっと大好きだわ。それに私こそアイシャと仲良くなれてよかったと心から思ってる。
学生時代アイシャが声をかけてくれなかったらきっとこんな関係でいれなかった。それどころかあの婚約破棄の時に私は学校も辞めていたかもしれない。そしてきっとフレッドに会う事もなかったと思う。そのすべてがアイシャが繋いでくれたものだと思っているの。
アイシャ、ほんとうにありがとう。そしてこれからもよろしくね」
アイシャは微笑みながら頷き、私の身体を力強く抱きしめてくれる。
私が今幸せを感じていれるのはこうして私を思ってくれる人が周りにいてくれるから。
聖女だからと態度を変えた人は誰一人としていなかった。
そのことがこんなにも安心できるだなんて。
それから1年後、話題の演劇を見るために、劇場前には多くの人が列をなした。
その演劇の名は
『前代未聞の婚約破棄~彼女は聖女だった~』
fin
キュミーたちは話していた通り一緒に帰ってきてくれたけれど、全員が来たわけではなかった。話をしてイヴァンカ国の土地を守ると言ってくれた蜘蛛たちもいた。だから何かが変わったわけではない。
それでもイヴァンカ国との交流は今までよりもかなり多くなり、1年たった今でも補佐員たちの派遣は続いており、きっとこれからも続いていく。それから逆にイヴァンカ国からの補佐員もカリシャール国を訪れていた。
イヴァンカ国から潤沢に入ってくるようになった魔法石の使い方をイヴァンカ国の民から教えて貰うのだ。こうして交流を重ね、2国共に成長を続けていった。
カリシャール国でも変化があった。
私たちがイヴァンカ国から戻り、1年後、ジョージ様が即位された。
そして約束通り10年後、イヴァンカ国は属国を脱却し、正式な国として国際会議への出席も認められた。
私がいわゆる聖女としての力を発揮したのはあの1年間だけだった。
魔物が作物を食べ、浄化した土地は精霊たちが目を見張らせ、対処してくれていたので私が何かすることはなかった。
でもこれはこうした方がいいとみんなで話した結果だった。
聖女に頼り切ってしまうと、これからもし聖女が現われたらまた国が囲うべきだなんて考えの者が現われてしまう。そうならない為にも、自分たちで出来る事はしっかりと行うべきだと。そうしなければ自分の生活を守ることができないんだと理解することが大事なんだと。
こうして私たちは今のかけがえのない幸せを手にすることができているの。
「って、こんなことでいいの?」
「ええ!素晴らしいわ。
知っていることも多かったけど、やっぱり本人目線だと色々知らないこともあるのね」
「そう?
でもこんなことどうするの?」
「あのね、聖女伝説の話の本を出して欲しいって色々な所からお願いされているの。本だけでなくって、演劇の演目としてもやりたいからってお願いされててね。
サリーの話ができるなんて凄いと思わない?その話を書くのが私なんて夢みたいよ!!
絶対に素晴らしい物にするわ!誰もが魅了されるような話にしたいの」
そう興奮しながら私の目の前で話をするのはアイシャ・ベルジャン公爵夫人だった。
私が聖女という話はカリシャール国でも話題になっていた。聖女の話というのはカリシャール国でも元々色々な話で広まってはいたがそれは伝記的なものではなく、神話的な話のものだった。それが事実だったと、しかも自国の女性が聖女だったという事が聖女熱に火をつけたのだ。
「そうなの?
アイシャが本を出すのは嬉しいわ。楽しみだし絶対に読むわ。でも……それが私の話なのは……どうかしら」
「いいのよ。私がサリーの話がかけるなんて嬉しいことなんだし、楽しみな事なんだし、何より私の誇りなんだから。
ほんとうにサリーと仲良くなれてよかったって日々実感しているのよ。そんなサリーの素晴らしさを私はみんなに知ってもらいたいだけ。だからサリーは何も構えずにドンとしていたらいいのよ」
ほんとうに嬉しそうにアイシャはそう言ってくれる。
だから私は素直にその言葉に頷くことにした。
「アイシャがそう言ってくれるなら……
アイシャに任せるわ。だって私の大好きなアイシャの話だもの。どんな話だろうときっと大好きだわ。それに私こそアイシャと仲良くなれてよかったと心から思ってる。
学生時代アイシャが声をかけてくれなかったらきっとこんな関係でいれなかった。それどころかあの婚約破棄の時に私は学校も辞めていたかもしれない。そしてきっとフレッドに会う事もなかったと思う。そのすべてがアイシャが繋いでくれたものだと思っているの。
アイシャ、ほんとうにありがとう。そしてこれからもよろしくね」
アイシャは微笑みながら頷き、私の身体を力強く抱きしめてくれる。
私が今幸せを感じていれるのはこうして私を思ってくれる人が周りにいてくれるから。
聖女だからと態度を変えた人は誰一人としていなかった。
そのことがこんなにも安心できるだなんて。
それから1年後、話題の演劇を見るために、劇場前には多くの人が列をなした。
その演劇の名は
『前代未聞の婚約破棄~彼女は聖女だった~』
fin
34
あなたにおすすめの小説
婚約破棄された翌日、兄が王太子を廃嫡させました
由香
ファンタジー
婚約破棄の場で「悪役令嬢」と断罪された伯爵令嬢エミリア。
彼女は何も言わずにその場を去った。
――それが、王太子の終わりだった。
翌日、王国を揺るがす不正が次々と暴かれる。
裏で糸を引いていたのは、エミリアの兄。
王国最強の権力者であり、妹至上主義の男だった。
「妹を泣かせた代償は、すべて払ってもらう」
ざまぁは、静かに、そして確実に進んでいく。
【完結】転生したので悪役令嬢かと思ったらヒロインの妹でした
果実果音
恋愛
まあ、ラノベとかでよくある話、転生ですね。
そういう類のものは結構読んでたから嬉しいなーと思ったけど、
あれあれ??私ってもしかしても物語にあまり関係の無いというか、全くないモブでは??だって、一度もこんな子出てこなかったもの。
じゃあ、気楽にいきますか。
*『小説家になろう』様でも公開を始めましたが、修正してから公開しているため、こちらよりも遅いです。また、こちらでも、『小説家になろう』様の方で完結しましたら修正していこうと考えています。
悪役だから仕方がないなんて言わせない!
音無砂月
恋愛
マリア・フォン・オレスト
オレスト国の第一王女として生まれた。
王女として政略結婚の為嫁いだのは隣国、シスタミナ帝国
政略結婚でも多少の期待をして嫁いだが夫には既に思い合う人が居た。
見下され、邪険にされ続けるマリアの運命は・・・・・。
良いものは全部ヒトのもの
猫枕
恋愛
会うたびにミリアム容姿のことを貶しまくる婚約者のクロード。
ある日我慢の限界に達したミリアムはクロードを顔面グーパンして婚約破棄となる。
翌日からは学園でブスゴリラと渾名されるようになる。
一人っ子のミリアムは婿養子を探さなければならない。
『またすぐ別の婚約者候補が現れて、私の顔を見た瞬間にがっかりされるんだろうな』
憂鬱な気分のミリアムに両親は無理に結婚しなくても好きに生きていい、と言う。
自分の望む人生のあり方を模索しはじめるミリアムであったが。
謹んで、婚約破棄をお受けいたします。
パリパリかぷちーの
恋愛
きつい目つきと素直でない性格から『悪役令嬢』と噂される公爵令嬢マーブル。彼女は、王太子ジュリアンの婚約者であったが、王子の新たな恋人である男爵令嬢クララの策略により、夜会の場で大勢の貴族たちの前で婚約を破棄されてしまう。
【完結】女王と婚約破棄して義妹を選んだ公爵には、痛い目を見てもらいます。女王の私は田舎でのんびりするので、よろしくお願いしますね。
五月ふう
恋愛
「シアラ。お前とは婚約破棄させてもらう。」
オークリィ公爵がシアラ女王に婚約破棄を要求したのは、結婚式の一週間前のことだった。
シアラからオークリィを奪ったのは、妹のボニー。彼女はシアラが苦しんでいる姿を見て、楽しそうに笑う。
ここは南の小国ルカドル国。シアラは御年25歳。
彼女には前世の記憶があった。
(どうなってるのよ?!)
ルカドル国は現在、崩壊の危機にある。女王にも関わらず、彼女に使える使用人は二人だけ。賃金が払えないからと、他のものは皆解雇されていた。
(貧乏女王に転生するなんて、、、。)
婚約破棄された女王シアラは、頭を抱えた。前世で散々な目にあった彼女は、今回こそは幸せになりたいと強く望んでいる。
(ひどすぎるよ、、、神様。金髪碧眼の、誰からも愛されるお姫様に転生させてって言ったじゃないですか、、、。)
幸せになれなかった前世の分を取り返すため、女王シアラは全力でのんびりしようと心に決めた。
最低な元婚約者も、継妹も知ったこっちゃない。
(もう婚約破棄なんてされずに、幸せに過ごすんだーー。)
【完結】優雅に踊ってくださいまし
きつね
恋愛
とある国のとある夜会で起きた事件。
この国の王子ジルベルトは、大切な夜会で長年の婚約者クリスティーナに婚約の破棄を叫んだ。傍らに愛らしい少女シエナを置いて…。
完璧令嬢として多くの子息と令嬢に慕われてきたクリスティーナ。周囲はクリスティーナが泣き崩れるのでは無いかと心配した。
が、そんな心配はどこ吹く風。クリスティーナは淑女の仮面を脱ぎ捨て、全力の反撃をする事にした。
-ーさぁ、わたくしを楽しませて下さいな。
#よくある婚約破棄のよくある話。ただし御令嬢はめっちゃ喋ります。言いたい放題です。1話目はほぼ説明回。
#鬱展開が無いため、過激さはありません。
#ひたすら主人公(と周囲)が楽しみながら仕返しするお話です。きっつーいのをお求めの方には合わないかも知れません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる