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10.夢が終わる
しおりを挟む私は思わず祖父を見つめ、首を横にふる。
「ちが、私そんなこと思ってない。
おじいさまとおばあさまは忙しいから会えないって。
それに病気をうつしちゃうかもしれないから会っちゃいけないって。
それにお手紙も返してくれなくって。
だから私と会いたくないんだって……」
私は言葉を吐き出しながら視界がぼやけていることに気づく。
目の前にいるおじいさまがまるで水の中にいるようで見づらい。
ようやく会えたのに。やっと顔が見られたのに。
ちゃんと顔が見られない。
ちゃんと話したいのに、うまく言葉が出てこない。
こんなの見せたらまた会いたくないって思われてしまうかもしれないのに。
やだ……やだ……ようやく愛してると言ってくれる人がいたのに、またいなくなっちゃわないで。
「ふっ、ごめんなさっ……ちゃんとするから……吐かないようにするから………
ひとりはもうやだ…………」
私は暖かいものに包まれていた。まるで守るように優しく、でもちゃんと実感できるようにきつく包まれていた。
それが祖父の身体だと実感できるまで時間はかからなかった。
そして後ろからも包まれた。後ろの暖かさは暖かいけれど冷たいものがぽたぽたと背中に落ちてくるのがわかった。
「ナタリー、一人になんてしないよ。これからは私たちが一緒にいるよ。
ナタリーのことをずっと愛してたし、これからだってずっとずっと愛してる。
これからのことはまた後で話そう。でも一度おやすみ。
起きたらまたナタリーの話を聞かせておくれ。でもその前にゆっくりとゆっくりとおやすみ」
人の暖かさに包まれ、背中をさすられ、暖かい声を聞きながら私はゆっくりと意識を手放していた。
やだ………今目を閉じたら夢から醒めてしまう……目を閉じてはいけない。目を開けていなきゃ。
またあのベッドで目が醒めるのはいや……もう嫌なの……おねがい………
そう思うのに、どうしても抗えなくて、目を閉じてしまった。
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