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9.祖父の悲しい提案
しおりを挟むこの3日間、リッタさんが準備してくれていたスープを毎日飲んでいたからか、外に出たのが気持ちよかったのか、吐かずにいられた。家にいた時よりずいぶん体調はよくて3日もはかずにいられたのは何年ぶりだろう。しかも、町で休憩するときにリッタさんが買ってくれたフルーツも食べることができた。
だからフルーツはと思ったけれど、それでも吐かないと決まっているわけではない。それどころか3日も吐かなかったのだからそろそろ吐いてしまうかもしれない。
そう思うと手を伸ばすことができなかった。
そしてもう一つ動くことができない理由が、祖母の言葉。
母の月命日にはフルーツやケーキを送ってくれていた?
でもそんなのもらったことない。
私の手紙にすら返事をしてくれなかった祖母が贈り物をしてくれていた?
母が死んでしまって一度も会ってくれなかった祖父母が贈り物をくれていた?
そんなことあるのだろうか。
でも目の前の女性が嘘をついているようにはどうしても思えない。
「ティティ、ナタリーが困ってしまっているよ。興奮しているのはわかるけど少しゆっくり話してあげよう。
ナタリー、先に挨拶をしよう。私は君のお祖父さんだよ。カルラド・マクレドというんだ。覚えているかな」
私はその言葉に静かに首を横にふった。
ネックレスの中で優しく笑みを浮かべているこの男性のことは知っている。
それにこの家も、この人たちもなんだか懐かしいにおいがする。
でも覚えているかと言われたらよくわからないのだ。
「そうだよね。君は最後に会ったときまだ5歳だったんだ。覚えていなくても無理はない。
気にしなくていいんだよ。
君の隣にいるのは僕の妻で君のお祖母さんであるティーシャ・マクレドだよ。私たちはマリアをとても愛していたし、ナタリー、君のこともとても愛しているんだよ。
だから今日こうしてここで会うことができて本当にうれしい。
来てくれてありがとう」
そう言って私の右手をぎゅっと握ってくれた。
それと同時に左手を祖母がぎゅっと握ってくれた。
頭の中では今までのさみしさや辛さがよみがえり困惑するのに、鼻の奥がツンとして、こらえていないと涙が零れ落ちそうになり、必死で下を向く。
それを拒否ととらえたのか、祖父が言葉を紡ぐ。
「私たちに会うとマリアを思い出すから会いたくないのだと思っていることは聞いているよ。それでも今日こうしてここに会いに来てくれたことがうれしいんだ。
私たちはどうしてもマリアに似ているから思い出させてしまうだろう。でもどうか、マリアの分もナタリーを愛させてもらえないだろうか」
少し辛そうな声でそんな言葉を話す祖父。
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