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36.土地の所有について
しおりを挟む「次にナタリア・パレドスと称した身分詐称についてです。
こちらについては皆さん目の前で行われていたことなのでご存じでしょうが、この女アルバは貴族であるナタリアの名を語り、貴族であるわれわれを謀ろうとした。それだけでなくナタリアと婚約関係にあるはずのグレン・スタンヒルの婚約者だと偽り、その立場になり変わることですべての遺産を手に入れようとしたのです」
カル祖父様の言葉に会場内はよりざわつき始めた。
貴族の身分を詐称するだけでも重罪。その上、相続権を得ようとしたというのだ。悪質極まりない行為に衝撃がはしっているのだ。
裁判長の「静粛に」という言葉の後にカル祖父様の言葉は続いていく。
「ここにパレドス家の土地所有の権利書があります。現在パレドス家の1/3の所有者は亡くなったマリアとなっており、同じく1/3をフランク殿が所有していることになっています。
そして残り1/3がマルク・パレドスの所有となっていました」
なっていた?その言葉に多くの人が疑問を覚える。なぜその男の時だけ所有権が過去形になっているのか。
「実はこの男の所有だった3分の1は既に担保として差し押さえられており所有権は他人に渡されているのです」
「何なんだと!!????」
これにはフランク祖父様が大きな声を上げた。まさか自分の預かり知らぬところでそんなことになっているなど夢にも思わなかったのだろう。
「そのため少しでも早くナタリアを亡き者にし、マリア所有の土地をナタリアとして相続し、それを担保にさらに金を借り、元の土地を取り戻そうとしていたのです。元当主である父にばれる前に土地を取り戻そうとしていたのでしょう」
なんて卑劣な……
ほんと人間のすることではないわ……
そんな声がいたるところから聞こえてくる。
1/3のマリア所有の土地は元々マルクの母であるイサベル所有の土地だった。しかしマリアが紹介した薬士に病を治してもらったこともあり、イサベルはマリアをとても可愛がっていた。そのため、自分所有の土地をマリア名義に変え、その相続人をナタリアにしていたのだ。嫁として来てくれたマリアが肩身の狭い思いをしなくていいように、マルクと同じだけの土地を持たせた。ゆくゆくはナタリアのものになるようにと。
所有者死亡で相続人を変更する際は元の所有者の承諾が必要になる。それは犯罪が行われないための要望措置だ。
マルクは一度イサベルに言ったことがある。
「マリアが死んでしまって、ナタリアもまだ小さい。だから権利はとりあえず自分にしたらどうか」と。しかしその必要性が見いだせなかったイサベルはその提案を拒否した。
ナタリアが成人したときに、ナタリアが考えればそれでいいのだと。
だからマルクはマリア所有の土地でも勝手に手を出すことができなかった。
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