選ばれたのは私ではなかった。ただそれだけ

暖夢 由

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35.原告の主張

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そう言われ伯爵家族と、あの男とヨランダ、アルバは先ほどよりも顔を青くしその場に腰を下ろした。そして小さくつぶやく声が聞こえる。

臨時裁判所………
これから裁判が行われると言うことか…!?
裁判が行われると言う事、それは証拠集めが終わっていると言う事………
ここで裁く用意があると言う事か………


そんな事実がわかったんだろう。

その中で平然としているのはアルバのみ。さすがというかなんというか。

その母ヨランダでさえ、血の気が引いてきたというのに。


コンコン

「静粛に!

これより先ほど伝えた通り臨時裁判を行う。だがその前に全員宣誓書に名前を。

全員の提出が終わり次第、原告のカルロスは証言を行うように」

言葉と共に関係者として連れてこられた人物には全員宣誓書が渡された。

宣誓書の内容は、
・虚偽の発言をおこなった場合、虚偽罪が適用される。
・他人を意図的に貶める行為は侮辱罪が適用される。
・確かな証拠がある場合の黙秘は、事実と見做されることもある。

そんなことが書かれた宣誓書に全員がサインし、全員分回収されたのを確認したカル祖父様は立ちあがった。


「まずは、このように臨時で裁判を開いて頂いたことに深く感謝申し上げます。

私からナタリア・パレドスへの身分詐称、ナタリア・パレドス殺人未遂及びマリア・パレドス殺人についての審議をお願いします。

先ほど話にあった通り私たちは12年もの間ナタリアと会う機会を得られませんでした。それは父親であるマルク・パレドスとその後妻ヨランダ、そしてその娘アルバによって妨害されていたからです。
しかし先月命からがらナタリアがあの家から逃げ出してきたのです。

しかしその様子はひどいものでした。

食事もまともに取ることができず、体は痩せ細り激しいめまいと頭痛に悩まされていました。そこでこちらの薬士でもあるジャリッタ殿に診断をお願いしたところ、アルジラの毒が使われていると言うことがわかりました。

アルジラという植物の毒の症状は主に頭痛・吐き気や食欲不振、そして末期に至ると白い斑点が体に現れ食事をとることもできなくなり、死に至るのです。かわいそうにナタリアは薄い斑点が出ておりました。ジャリッタ殿が言うには、もう少し発見が遅ければ死んでいた可能性は十分にあると言うことでした。


以上がナタリアパレス殺人未遂事件についてです」

カル祖父様が話す内容に会場はざわざわとしたり、驚きの言葉が漏れ聞こえてきた。

堂々と貴族の娘を殺害しようとした事実に加え、それをしようとしたのが、後妻だけでなく実の父親がそれに加担しようとしていたことが大きな衝撃を与えているのだ。

守り慈しむ存在である妻の忘れ形見を殺害しようとする。

そんなことをしようとするのなら、妻の生家にでも娘を送ればいいだけの話。後妻との関係性の悪化によりそうする貴族だっているのだ。

しかしそうはせず殺害しようとしたということなら悪質だとしか言えない。
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