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37.努々信じることがないように
しおりを挟む「待ってくれ」
立ち上がったマルクの声が響いたが
コンコン!
「静粛に」
裁判長のにらみを利かしたその一言に何も口にすることなく静かに腰を下ろした。
「最後になりますがマリアの殺害についてです。これに関してはナタリアが母の顔に白い斑点があったことを証言しております。5歳の娘ですらわかる白い斑点。それは疑いようもないアルジラの毒の症状です。
アルジラは平民街で自生している植物。貴族街ではそれらは駆除される植物のため、我々にはなじみがありませんが、平民として7年間暮らしていた彼女たちならきっと身近にあったのでしょう。
以上これらの件について裁判をお願いしたく思います。どうぞ公正なご判断をよろしくお願いいたします」
カル祖父様はそこまで話し終わり、一礼すると腰をおろした。
淡々と話された内容に会場はざわつきながら話を聞いていたが、今は静まり返ってしまっていた。
「原告の主張はあいわかった。
それでは今の件について反論はあるか?
先ほども言ったようにここで虚偽の発言が行われれば、それは罰せられることがある。そのことを考慮して発言を行うように」
こうして問われた内容にアルバとヨランダは黙って下を向いていた。そしてグレン様とその家族も同様。
最初に口を開いたのはあの男だった。
「裁判長、殺人未遂などとんでもありません。まして殺人などありえません。
私はマリアのことを愛しておりました。そのマリアが生んでくれたナタリアを殺そうと思うはずがありません。
しかしこちらとしては信じてもらうほかありません。このようなでっち上げの裁判など、努々信じることがなきようどうか公正な判断をお願いいたします」
その言葉にどこか希望を見いだせたのか、次に口を開いたのがグレン様の母だった。
「私からも失礼いたします。
私たちはこの件には一切関わり合いがございません。もしもこちらの方々が罪を犯していたとしても私たちには一切関わり合いがないのです。
交流はありましたがそれだけ。もし裁かれるような罪があるのならば、しっかりと償ってもらいたいと切に願っております」
冷めた目でパレドス家を見ながら冷静にそう言い切る態度は動揺しているようには見えない。
それにしても自分の息子の婚約者の家がこんなことになっているのに、即座に切って捨てるその態度は、貴族としては信用問題になるかもしれない。
ここでの態度は皆が見ている。それは今後なにかあったときに、ああして逃げると思われてしまうだろう。
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