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総帥死すⅢ
希望の星は落ちた
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リムジンの屋根がおおむね現われた。 「まわりの瓦礫をどけるぞ。」 「おう。」 もう、シャベルは使わない。 手で瓦礫を退ける。 ・・・・・だれも、なにも言わない。 言えない。 リムジンはペシャンコであったのだ。 そんな、日本軍から苦労して奪ったトヨス装甲を使った、無双のリムジンが。 そんな、ハズは無い。 シュミットはリムジンを再度確認する。 イヤ、総帥のいつものリムジンではない。 どうしてだ。 「オイ、独逸帝国本部に大型輸送車を手配しろ。」 部下がバイクで戻っていった。 それまで、リムジンの周りは近衛大隊で囲んだ。 そのころには、装甲指揮戦闘車が瓦礫の中から現れていた。 なんと蒸気機関車の衝突の衝撃か、半分に潰れていた。 鉄のカタマリである、蒸気機関車の80トンはマジであったのだ。 戦闘車の乗員は衝撃に耐えられずに、全員が・・・・であった。 そして、前後に総帥のリムジンを守っていた側車付きバイク隊はバラバラのバイクの散乱した形であった。 蒸気機関車の機関士から、独逸帝国の兵士にいたるまで、生きている者はいなかった。 原因はテロか事故か、シュミットは現場を広範囲に囲んだ。 よく、窃盗現場で見る、黄色いテープで囲んだ範囲のことである。 報道も入れないのだ。 とうぜん、報道も現場には立ち入れさせなかった。 だが、遠巻きに見ても大惨事はあきらかである。 英国情報部からシナの工作員まで、動きは早かった。 独逸帝国政府は、なんと戒厳令を発令した。 戒厳令である。 それは、軍部に行政権などを一時的に渡すことである。 日本なら5、15事件など国家転覆に危機に発令される。 独逸帝国最高権力者(ゲッペルン総帥)の生死が確認されない以上、いたしかたないことであった。 ・・・・・英国の情報部である。 ユダヤと裏で組んでおり、現在は日本の衛星通信を使い、スクランブル通信で、盗聴は不可能であった。 そこに、フランス軍に紛れ込ませたエージェントから、・総帥死す・ と速報である。 シナはソ連から得た。 英国はそれを、同盟国にまわした。 追って確認情報を送るとの追伸であった。 世界を2分する権力者の片方が落ちた。 これは、その日のうちに世界の情報網を駆け巡った。 まだ、独逸帝国からは、なんの公式発表もない。 ソ連クレムリンは思惑が、これほど巧く行くとは思ってもいなかった。 画策した、共産党ステルヒン書記長も、まさかと困惑したほどの結果であった。 シナは毛 西行総書記を始め、軍閥連中は静観するかまえであった。 ソ連もシナも独逸帝国の結論待ちであった。 わが国のアベ、いや山田総理は米英と衛星回線で、対処の統一を計った。 ヘタを打つと開戦になりかねないからだ。 世界は静観にほぼ固まったようであった。 山田総理は、せっかくのドーバー越えを諦めさせた作戦に推移を見守る構えだ。 新総帥がだれであるかで、独逸帝国のドーバー越えが決まる。 もう、英国は米国や日本に、軍隊派遣を要望することを匂わせていたくらいである。 巨星が落ちたことで、世界の趨勢が、世界大戦の危機が早まったのは確かであった。 どうなるのか、山田総理は思う、そろそろ、総理を辞して・・・・・ともかんがえるのである。 開戦は近い、世界大戦の危機は目前である、山田総理は確信していた。
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