大東亜戦争を有利に

ゆみすけ

文字の大きさ
332 / 380
ハインリッヒの活躍だ。

保線区員に切り込む。

しおりを挟む
 フランス国鉄で、ハインリッヒ監察官を知らないヤツはいない。 あだ名がアイゼンバーンなので、フランス人は彼をアイゼンと呼んだ。 まさに鉄の監察官であるからだ。 線路の保線にうるさく、線路の継ぎ目の間隔にうるさく、車輪の片磨耗にうるさい、まるで日本人のオタクそのものであった。 そのアイゼン(ハインリッヒ)が陸橋保線区に点検を兼ねて監察に及んだ。 保線区の役員が応対する。 アイゼン(ハインリッヒ)が、「保線作業員の教育具合は?」 「計画は、これです。」 「ふむ、まあまあか。」 「ハイ、それなりに時間をさいています。」 「保線作業の代休は消化しているだろうな。」 「人員が不足していますので、それなりです。」 記録用紙をチェツクして、「人員不足は、君の保線区だけではないので、増員を政府に要望する予定だ。」 「それは、ありがたいです。」 アイゼン(ハインリッヒ)は、あの日の保線記録を控えて、「この機関車が脱線した日の保線区の割り振りは?」 「ここに、記入してあります。」 「ふむ、あれ、この空欄は?」 「それは、保線区員の中に、外部の者とイサカイがありまして。」 「イサカイとは。」 「はっきり言いますと、酔っ払ってケンカで、誰かに殺害されたのです。」 「して、犯人は?」 「いえ、捕まっていません。」 「警察は、フランス警察は?」 「捜査してるらしいですが。」 「迷宮入りか?」 「みたいですね。」 「まあ、事件となると、我らのはんちゅうではないな。」 「保線区では、なんとも。」 「その時の、保線区の班長は?」 「え、え、と、これです。」 「ほう、このガストンは?」 「今は、こちらの班にいますんで。」 「それなら、監察官として、事件は把握してなければならない。」 「わかった、ありがとう。」 「不足員は、早急に補充しよう。」 「ありがとうございます。」 保線区の班の区割りの点検は終了した。 役員は、もうフラフラで、ほっとして、内容など覚えていなかった。 ハインリッヒは保線区の、ある班を訪ねた。 「ここは、ガストンが居る班か?」 「そうでげす。」 とヒゲ面の男がいう。 「オレは監察官の・・・」 「アイゼン監察官でしょ。」 「うむ、知ってるなら早い、ガストンを呼んでくれ。」 ハインリッヒは監察官らしくない様子で答えた。 「上ばかり、みていてもわからないからな。」 「現場が知りたいと。」 「そうだ。」 「わいが、ガストンでげす。」 ハインリッヒの前に、50前後の男が・・・・ 「ほう、君か、いつも保線ごくろうだ。」 ハインリッヒは保線区では手間賃を上げたので評判は、いいのである。 「保線は大事だ、鉄道のカナメだと考えている。」ハインリッヒは答えた。 「それで、私としても保線区員の揉め事は聞いておきたいのだ。」 「わかりやした。」 「わいの、相棒はアランといいました。」 「ケンカで・・・」 「そうでげす、殺されやした、だれかわからんですが。」 ガストンは鼻水をハンケチで拭いた。 「アランはいいやつでげした、息子が病気で、大枚の金がいると。」 「そして、あの日は上機嫌で、いい医者に看せらると・・・」 「ふむ。」 「それで、お祝いがてら、町へくりだしたんでさあ。」 よくあるパターンだ。 場末の居酒屋で、気勢をあげたらしい。 「そこで、まあ夜も遅いんで、宿舎へ帰ろうと。」 「すると、アランが酔っ払って、誰かとドンとぶつかり・・・」 「それで、いつの間にか大勢で、ケンカでさあ。」 よくあるパターンだ。 「そこで、誰かがオマワリだ、と叫んで散りじりに逃げ出したんでさあ。」 「そして、オレはアランと別れちまって。」 「まさか、ドブ川に・・・」 翌日、ドブ川に浮かんでいたらしい。 「そのことは、警察には」 「え、え、いいやした。」 「それで。」 「酔っ払いのケンカでドブ川へ落ちたとの話でやした。」 「ふむ、ところで、アランの宿舎は?」 「案内しゃす。」 「助かる。」 二人は保線区員の宿舎へ足を運んだ。 長屋が数棟建っている。 そこの、ひとつをガストンは案内した。 もう、引き払って無人だ。 しかし、ハインリッヒは室内に入り観察した。 現場100回という言葉が、わが国の警察にある。 100回、足を運ばないと事件は解決しないとの意味だ。 まあ、ここは事件現場ではないが、ハインリッヒは手間隙を惜しまず足を運ぶことが、よい結果を出すことを知っていたのだ。 室内は紙くず、壊れた家具などが・・・ハインリッヒは足元のクズ入れをのぞいた。 紙質が違う紙が一枚くしゃくしゃで、それが気になったのだ。 紙が他の紙ゴミと違うからだ。 あとは、詳細に観察したが、空家の捜査は終了した。 ガストンと別れて、街灯の下で、気になった紙くずを開く。 そこには・・・イヌ釘を3本・・・と書いてあった。 え、これは、ひょっとして、ハインリッヒは辺りを見回した。 誰もいない、安心した。 間違いない、線路のイヌ釘を抜けのことに違いない。 線路の鉄製のレールは枕木にイヌ釘で止められているのだ。 それを、3本も抜けば、そこがレールの継ぎ目なら・・・・脱線だ。 ハインリッヒは、ロンメロにとり、まさに使える人材であったのだ。 
しおりを挟む
感想 9

あなたにおすすめの小説

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?

【架空戦記】狂気の空母「浅間丸」逆境戦記

糸冬
歴史・時代
開戦劈頭の真珠湾攻撃にて、日本海軍は第三次攻撃によって港湾施設と燃料タンクを破壊し、さらには米空母「エンタープライズ」を撃沈する上々の滑り出しを見せた。 それから半年が経った昭和十七年(一九四二年)六月。三菱長崎造船所第三ドックに、一隻のフネが傷ついた船体を横たえていた。 かつて、「太平洋の女王」と称された、海軍輸送船「浅間丸」である。 ドーリットル空襲によってディーゼル機関を損傷した「浅間丸」は、史実においては船体が旧式化したため凍結された計画を復活させ、特設航空母艦として蘇ろうとしていたのだった。 ※過去作「炎立つ真珠湾」と世界観を共有した内容となります。

もし石田三成が島津義弘の意見に耳を傾けていたら

俣彦
歴史・時代
慶長5年9月14日。 赤坂に到着した徳川家康を狙うべく夜襲を提案する宇喜多秀家と島津義弘。 史実では、これを退けた石田三成でありましたが……。 もしここで彼らの意見に耳を傾けていたら……。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

対ソ戦、準備せよ!

湖灯
歴史・時代
1940年、遂に欧州で第二次世界大戦がはじまります。 前作『対米戦、準備せよ!』で、中国での戦いを避けることができ、米国とも良好な経済関係を築くことに成功した日本にもやがて暗い影が押し寄せてきます。 未来の日本から来たという柳生、結城の2人によって1944年のサイパン戦後から1934年の日本に戻った大本営の特例を受けた柏原少佐は再びこの日本の危機を回避させることができるのでしょうか!? 小説家になろうでは、前作『対米戦、準備せよ!』のタイトルのまま先行配信中です!

ビキニに恋した男

廣瀬純七
SF
ビキニを着たい男がビキニが似合う女性の体になる話

四代目 豊臣秀勝

克全
歴史・時代
アルファポリス第5回歴史時代小説大賞参加作です。 読者賞を狙っていますので、アルファポリスで投票とお気に入り登録してくださると助かります。 史実で三木城合戦前後で夭折した木下与一郎が生き延びた。 秀吉の最年長の甥であり、秀長の嫡男・与一郎が生き延びた豊臣家が辿る歴史はどう言うモノになるのか。 小牧長久手で秀吉は勝てるのか? 朝日姫は徳川家康の嫁ぐのか? 朝鮮征伐は行われるのか? 秀頼は生まれるのか。 秀次が後継者に指名され切腹させられるのか?

対米戦、準備せよ!

湖灯
歴史・時代
大本営から特命を受けてサイパン島に視察に訪れた柏原総一郎大尉は、絶体絶命の危機に過去に移動する。 そして21世紀からタイムリーㇷ゚して過去の世界にやって来た、柳生義正と結城薫出会う。 3人は協力して悲惨な負け方をした太平洋戦争に勝つために様々な施策を試みる。 小説家になろうで、先行配信中!

処理中です...