【完結】ポーションが不味すぎるので、美味しいポーションを作ったら

七鳳

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10話

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また新しい朝がやってきた。
最近は、目覚めるたびに「今日はどんな発見があるだろう」とわくわくしてしまう。氷魔石ポーションがそれなりに認知されはじめ、店の評判が徐々に高まっているからかもしれない。もちろん、依然として回復効果の絶対値が低かったり、コスト面や複製スキルの問題も山積みだ。だけど、それでも「美味しくて飲みやすいポーションがあるらしい」という噂が近隣の街へも広がり始めているらしく、うちの道具屋・アイザワ商店への来客が増えてきているのだ。

「さて、と。今日もボチボチ頑張るか」

まだ寝ぼけ眼のままベッドから抜け出し、簡単に着替えて廊下へと出る。鼻先に朝食のいい匂いが漂ってきて、思わず小走りになる。キッチンを覗くと、母さんがさっそく何かを炒めているようだ。

「おはよう、リオ。ご飯できるからテーブルに座ってて」
「はーい、ありがとー」

ダイニングに行くと、父さんも椅子に腰かけて新聞らしきものを眺めている。昨夜は少し夜更かしして「魔石の複製」を再挑戦したため、俺は眠気と体のだるさを感じているが、父さんはけろっとしている。

「リオ、おまえ最近ほんと忙しそうだな。夜遅くまで倉庫にこもってんだろ? ほどほどにしとかないとそのうち倒れるぞ」
「大丈夫、大丈夫。ノエルさんも一緒にやってくれてるし、そこまで無茶はしてないよ」
「でも昨日、結構クタクタだったじゃない。眠そうだったわよ?」

母さんが心配そうな目を向ける。確かに昨夜はMP枯渇寸前でふらふらだったけど、何とか床に入ってぐっすり眠れたから回復した。まだ本格的に「量産できる」段階にはほど遠いが、複製成功率は少しずつ上がっている。

「ま、もうちょっとしたらペースを落とすから。いまは色々試したいんだ」
「ふふ、わかったわ。でも倒れないようにね。はい、朝ご飯召し上がれ」

母さんが出してくれたのは卵と野菜のスープ。パンが添えてあり、さっぱりした味付けで朝にはぴったり。いつものように俺は「いただきまーす」と一気に食べ始める。隣で父さんが新聞を置き、「おまえ、そういえば最近ポーションが評判いいって聞くぞ」と嬉しそうに語りかけてくる。

「街の人が『アイザワ商店のポーションは飲める』って言い始めたんだ。まぁまだごく一部だが、冒険者仲間とかにもじわじわ広がってるみたいでな」
「あ、やっぱり? そんな感じはしてた。遠くの街からもお客さん来るし。まだ商品として完成してないんだけどね……」
「そこだよなぁ。いつ本格的に売り出すのか、タイミングも大事だぞ? あまりに試作品ばかりだと、お客さんが『いつまで経っても売ってくれない』って離れる可能性もあるし」

父さんにしては珍しくまともな意見だ。確かに、いまは試飲レベルで出しているだけだから、リピートしたくてもできないお客さんも多いのだ。苦口、甘口、氷魔石入りなどバリエーションこそ増えてきたが、いずれにせよ安定供給できるだけの量産体制が整わないと「商品」とは呼びづらい。コスト設定だって決まっていない状態だし。

「うーん、やっぱり氷魔石や他のレア素材をもっとコピーしやすくしないと話にならないかな……。回復力も強化したいし、もうちょっとだけ時間が欲しいんだよね」
「時間をかけてでも“本当の完成品”に近づけたいのはわかるけど、タイミングを逃すなよ。おまえが少しでも楽に稼げたほうが、店としてはありがたいからな」

父さんがニヤリと笑いながらパンをちぎって食べる。まあ、たしかに完成度が中途半端で売り始めてしまい、評判が悪くなるほうがダメージは大きい。もう少し磨き込んでから堂々と売りたいところだ。俺は「わかってるって」と返事して、朝食を平らげる。



朝食後、いつも通り店の準備をして木戸を開ける。母さんはしばらく帳簿の整理をするつもりらしい。父さんは「町の巡回がてら様子を見てくる」と言って外へ出て行った。何の様子を見てくるのかは謎だが、多分散歩ついでに近所の事情を探りに行くのだろう。

店のカウンターで待っていると、今日はやけに落ち着いた空気だ。朝のうちに買い物に来る近所のお年寄りや主婦らしき人がポツポツ入ってくるものの、ポーションを目当てにする人はいない。……まあ、毎日毎日、冒険者が来るとは限らないし、こういう日もあるか。

「暇だな……ノエルさんは昼頃に来るって言ってたし、ちょっと複製の練習するか?」

いつものように、安いハーブをコピーしてMPを鍛える。レア素材のコピーは店先では危ないのでやめておく。昨日だって魔石の複製でだいぶ力を使ったから、少しでもコツを掴んでおきたい。指先からフワッと光を流し込み、同じハーブをもう一本生成すること自体はすでに慣れたものだ。スムーズに成功する。

「うん、複製自体はやっぱり安定してるな……」

そんな独り言をつぶやいていると、扉がカランと開く音がした。反射的に「いらっしゃいませ」と顔を上げると、見慣れない客が二人連れで入ってきていた。二人ともどこか“貴族っぽい”雰囲気がある。男性と女性、それぞれ薄い色の衣服を纏い、腰には飾りのついた短剣らしきものを佩いている。年齢は……20代半ばくらいだろうか。

(あれ、冒険者って感じでもないな……どっちかっていうと、上流階級の出身ぽい)

俺は内心で身構える。何かしら大きな依頼か、あるいは視察で来たのかもしれない。こんなローカルな道具屋に貴族っぽい人が来るのは珍しいから、手が少し汗ばんでくる。

「ごきげんよう。あなたが、ここの店員さん? もしかして“美味しいポーション”を開発した方ですか?」
落ち着いた雰囲気の男性が、柔らかい口調でこちらに話しかける。
「ええと、はい、まあ……店員っていうか、ここの息子でリオといいます。開発したというか、いま色々試作中なんですよ……」
「なるほど。私たちは王都から参りました。少し街を回っていたら、噂が耳に入りましてね。美味しくて飲みやすいポーションなどというものが本当に存在するのか、とても気になってしまいまして」

王都……! マジか。いよいよ遠いところまで噂が届いているのか。一気に緊張が増してくる。女性のほうもにこやかに微笑んでいて、こちらの様子をうかがっている。

「そ、そうなんですか。王都の方が、こんな辺境まで……わざわざありがとうございます」
「いえいえ、私たちも少し調査を兼ねておりますので。この町は冒険者が多く出入りしているそうで、回復アイテムの需要が高まっていると聞いています。もしよろしければ、その“美味しいポーション”なるものを試飲させてもらえませんか?」

彼らは貴族か、あるいは王城関係の役人かもしれない。どちらにしても、迂闊に雑な応対はできない。俺は背筋を伸ばし、「もちろんです!」と答える。母さんがレジカウンターの奥から顔を出して「あら、お客様?」と尋ねてくるが、俺は「王都からいらしたらしいよ」と小声で伝える。母さんも一瞬で表情を引き締め、「お、お待たせしました。すぐご案内しますね」と落ち着いた対応に切り替えた。

カウンターの上に、甘口と苦口、それと氷魔石入りの中から在庫のあるやつを数本並べる。さすがに全部は作れないので、いま店頭に出している“甘口”“苦口”、そして“氷魔石の中でもちょい苦め”の3パターンを試飲可能だ。

「こちらが当店の試作品です。お口に合わないかもしれませんが……よろしければ」
「いや、楽しみですよ。もともとポーションは不味いものだという先入観がありましたからね。どこまで美味しくできるのか興味津々です」

男性がまず甘口を少し飲んで、「これは……なるほど。本当に苦味が少ない。薬臭さもないし、飲みやすいですね」と感心したようにつぶやく。一方、女性のほうは苦口を試してから「でもちょっと甘みが邪魔に感じますかね」と率直に言葉を漏らす。まあ、そこはやはり好みが分かれるところだ。

そして、最後に氷魔石ポーション。男性が口に含むと、ふわりと目を見開いた。

「おお……! こっちは温度が低く感じる。ポーションなのに、まるで冷たいお茶のようだ。しかも薬臭さがかなり抑えられている。これは面白い!」
女性もこくこくと頷き、どこか興奮した様子で言葉を続けた。

「なるほど……噂は本当でしたね。これなら私でも抵抗なく飲めそう。まだ“回復力”がどの程度かはわかりませんが……味に関しては十分評価できます」

そう言われると少しホッとする。やはり王都の人には味へのこだわりが強い人も多いのだろうか。男性は続けざまに「ところで、回復効果はどの程度?」と聞いてくる。やはりそこだよな。俺は正直に答える。

「従来の強力なポーションほどの回復力はないです。味を重視した分、素材コストや調合のバランスが難しくて……いまはまだ試作段階なんですよ」
「ふむ、なるほど。“試作”にしては完成度が高い印象ですけどね。これは今後の伸びしろに期待が持てます」

男性の眼差しが妙にキラリと光る。後ろで母さんが少し警戒の色を浮かべているのがわかる。王都の人がこのポーションに興味を持ちすぎると、何か大きなオファーや契約を迫られる可能性もあるからだ。

「実は、私は王都の調達部門を手伝っている者で、彼女はその副官のような立場です。まだ確定ではありませんが、もし王都の衛兵や一部の騎士団にとって“飲みやすいポーション”が役立つとなれば、正式に交渉したいと思っていました」
「交渉、ですか……」

正直、想像以上の話にビビる。まだ“商品”として確立できていないのに、王都の衛兵や騎士団なんて大規模な需要先を相手にするなんて、夢のまた夢だろう。けれど、こうして「興味を持たれた」という事実は大きい。

母さんが柔らかな笑みを浮かべながら、控えめに割り込む。「ありがとうございます。ただ、うちはまだ小さい道具屋でして、息子が一人で開発している段階です。量産や価格設定など、何も決まっていないのが現状なので……。もし今後、正式に商品として出せるレベルになりましたら、改めてこちらからお声がけさせてくださいね」

うちの母さんは商売上手だ。相手の話を否定せず、前向きな約束にとどめる。このあたり、さすが道具屋を長年営んでいるだけある。男性は「もちろん、急な話だと困惑させてしまいますよね」と笑い、やんわり引き下がった。

「では、お時間をいただきましょう。このポーション、何かあればまた話を伺いに来ます。それまでに量産や効果アップについては検討してみてください。私たちも王都へ戻るまでしばらくこの辺を視察しますのでね」

そんなふうに言い残し、二人はお辞儀をして店を出ていった。俺と母さんはほっとしたように顔を見合わせる。驚きの客だったが、失礼な感じはまったくなく、むしろ紳士的な態度だった。ただ、あまりにも大規模な話になりそうで、少し尻込みしてしまう。

「まさか王都の騎士団や衛兵にまで話が行くなんて……。そりゃ美味しいポーションはみんな喜ぶだろうけど、そんな大量生産できる余裕なんて今のところないしな」
「でも、いい傾向じゃない? いつか本当にできるようになったら、大口の取引先になるかもしれないわね。あなた、最近頑張ってるし、現実味がある話だと思うわよ」

母さんがニコッと笑う。そっか、もしかしたらこれが大きなチャンスになり得るかもしれない。もちろん道のりはまだまだ長いけど、王都レベルの需要があるなら、一気にうちの店が大繁盛する未来だってあり得る。

「うん……そうだね、頑張らなきゃだ。よーし、そろそろノエルさんも来るはずだし、午後はもっと実験を進めてみよう」

気合いが入り直し、俺は一度倉庫へ行って必要なハーブや魔石の在庫をチェックしておくことにした。



昼過ぎにノエルさんが到着し、昨日と同じように倉庫で研究を始める。氷魔石の複製、回復力をわずかにアップさせるハーブ配合、甘さと苦さのバランス――もうやることが多すぎて飽きることがない。新しいレア素材があればさらに広がりそうだけど、今ある材料でもまだまだ試行錯誤が尽きないのだ。

「リオさん、今日のテーマはどうします? 回復力を上げる調合が最優先ですか?」
「そうですね。王都から来たお客さんが“衛兵や騎士団に役立つかも”と言ってたんだけど、やっぱり効き目が微妙だったら意味がないし。もうちょっと素材の配合を見直そうと思ってます」
「じゃあ、苦味ハーブをベースにもう少し強化できる別の素材があれば……。あ、実はここに“シモラ草”が少量だけあって。これは軽い鎮痛効果もあるから回復力との相乗効果が期待できるかもしれませんよ」

ノエルさんがそんな提案をしてくれるので、さっそく試してみることにした。“シモラ草”というのは、従来のポーションに少しだけ混ぜると痛み止めのような働きをするが、味はさらに独特の苦さと酸味を伴うため、めったに使われないらしい。この世界の人はそもそも味を気にしないため、“別に不味くてもいい”という状況がほとんどだったのだろう。

「それをうまくごまかせれば、回復と鎮痛を両立した新バージョンになるかも……! じゃあ、ちょっとだけ入れてみましょう」
「はい。でも量を間違えるとむちゃくちゃ苦くなるかもなので注意してくださいね」

いつものように火加減を管理しながら、アイザワ流の“煮出し&アク取り”を行い、ノエルさんの魔力サポートで氷魔石をほんの少量だけ溶かす。すでに安定した手順だが、新しいハーブを使うせいか匂いがきつい。アクが何度も出てきて、すくい取るのが大変だ。

「うわ……この匂いすごいな。鼻が曲がる……」
「そうですね。大丈夫でしょうか。いままでの苦味よりもさらにエグみが強そう」

心配しながらも、慎重に煮込みを続ける。甘味成分も多少加え、なんとか飲めるレベルに持っていきたいところだが、味がどう転がるかは未知数だ。最後に火を止めて少し蒸らし、小瓶へ移す。
早速、ノエルさんと少量ずつ試飲。……案の定、強い苦味が舌にビリビリと残る。だが、絶対に飲めないほどではない。

「う……きつい。でも、いままで飲んだポーションほどじゃないな……」
「そうですね。苦いけど、不快ではないかも。むしろ冷たさがあるから後味がスッと引いていく感じ。ただ、これを“美味しい”と言うのかは微妙なところですね」

確かに「美味しい」とは言いがたい仕上がりだが、“一般的なポーションよりはマシ”だろう。体の内側がじんわりあったかくなる気もするし、鎮痛効果がちゃんと働くなら冒険者や兵士にはウケるかもしれない。

「こうやって少しずつ味や効果を増やしていくしかないかな……。でもコレ、下手に甘くするともっと気持ち悪い味になりそうだし、難しいな」
「ですね。でも、先ほどのふたり連れのお客さん(王都の人たち)のように、飲みやすさを重視する人と、効き目を重視する人の両方がいるわけですから、バリエーションを増やすのも悪くないですよね?」

ノエルさんはポジティブにまとめる。たしかに、俺の目指す“美味しいポーション”とはいっても、全員に同じ味で満足してもらうのは至難の業だ。多少のニーズ分化は必要だし、そのために氷魔石や複製スキルでコストダウンを狙い、色んなレシピを並行して研究するのがベストかもしれない。



実験を終えて店に戻ると、今日はなんだか客足が少ないらしく、母さんが「退屈だわね」と言いながら帳簿をつけている。父さんは不在のままだ。そういえば昼に出かけていってから帰ってきてないが、どこで何をしているのだろう。

結局、夕方近くになってようやく父さんが戻ってきた。なんだかニヤニヤしていて、妙に上機嫌だ。母さんが「どこ行ってたの?」と眉をひそめると、父さんは「散歩がてら、ちょっといい話を聞きつけてきたんだよ」と胸を張る。

「いい話って?」
「噂の“美味しいポーション”が王都の方々の耳に入ってるらしいぞ。なんでも、さっき町外れの宿屋で見かけた貴族っぽい人が『アイザワ商店のポーションは飲みやすかった』って話してたんだ」
「おお、それってさっき来店した人だ。マジで王都の関係者だったんだな……」
「へえ、もう会ったのか。でもリオ、おまえにしては大きなチャンスじゃねえか? 衛兵とか騎士団とかに採用されたら、めちゃくちゃ儲かるんじゃないの?」

父さんが大げさに手を振ってアピールする。母さんは苦笑しながら「まぁ、まだ先の話でしょう」とクールに返しているが、俺の胸も正直、期待でドキドキしている。もし本当に大口の取引になったら……その時はノエルさんや父さん、母さんを巻き込んで本格的な生産体制を整える必要がある。

「とにかく、焦らず研究を続けるしかないよ。いまはまだ、回復効果も味も不十分だし……」
「そうだな。だが、チャンスを逃さないようにな」

父さんが肩を叩いてきて、俺は「わかってるって」と返す。こうして賑やかに会話しているうちに、日が沈んでいく。今日も店じまいの時間がやってきた。最後の片づけをして木戸を閉め、家に戻る準備をする。ノエルさんは先に宿へ帰ったようだ。



夜になって家族で夕食を取ったあと、部屋に戻って今日の成果をノートにまとめる。味がイマイチでも効果の底上げができるなら、需要はあるかもしれない。もちろん、“おいしく回復力が高い”のがベストだが、それはまだ先の理想形だ。

「そろそろ線引きが必要かもな。完全に美味しいやつ、効果重視でそこそこ美味しいやつ、みたいに分けるか……」

一人ごとをつぶやきながらペンを走らせる。すると隣の部屋から母さんの声が聞こえてきた。

「リオ、まだ起きてるの? 明日も早いんだからほどほどにしなさい」
「うん、もう少ししたら寝るからー」

いつもの優しい叱咤に苦笑しつつ、ノートを閉じる。だいぶ研究データも溜まってきたが、そろそろどのバージョンを“商品候補”にするか絞り込みたい気もする。一方で、複製スキルがもう少し安定したら取り入れたいレシピもあるし……悩みは尽きない。

ベッドにもぐり込み、暗い天井を眺めながら王都の人たちのことを思い出す。もし本当に騎士団や衛兵向けに大量の注文が入るなら、氷魔石ポーションのコストを大幅に下げる方法を編み出さなければならない。ノエルさんがサポートしてくれているとはいえ、何度も魔石をコピーするのは大変だ。味の改良と効果アップを同時に進めるなんて、正直オーバーワークかもしれないが――

「でもやるしかないよな……。うちの店がこれで盛り上がるなら、父さんや母さんにも恩返しできるし」

そう呟くと、体の疲れがずしっとのしかかってくる。寝不足はやっぱり良くない。母さんの言うとおり、今日は早めに休もう。明日もきっと面白い一日になる。あの王都の人たちがどんな動きを見せるのか、ノエルさんがどんな新しい案を提案してくれるのか、何もかもがわくわくだ。

(よし……寝よう。)

スッと目を閉じると、浮かんでくるのはポーションの鮮やかな液体の色と、みんなの驚く顔。「こんなに美味しいなんて!」と喜んでくれる冒険者たちの姿……。いつかそれが当たり前になるような世界がきたら最高だな。そんな幻想を抱えながら、ゆっくりと意識が遠のいていく。

“アイザワ商店の美味しいポーション”、その噂は確実に広がりつつある。
王都の使者が現れたことで、いよいよ大きな舞台へ踏み出す予感が高まってきた。
さぁ、次はどんな試練と発見が待ち受けているのだろう──。
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