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本編
保健室と資料
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さて翌日。
少し触れたと思うが、学校長の処分で一週間程謹慎となった俺は、アーネを見送ってから時間を置いて、こっそりとある所へ向かっていた。
新一年生の担任の先生には既に昨晩のうちに無理を言って紅の森の件を既に通してある。当然かなり難色を示されたが、手足をなくした生徒の為だと言ったら承諾してくれた。いい先生だな。
一応、ティロには森にいるであろうヤツキに俺の代わりに行ったと分かるよう、俺の背中にも刻まれている勇者紋を写した紙を私渡した。もちろん、ティロには絶対に中を見るなと言ってある。
昨晩話した先生曰く、「多分、行って帰ってくるだけなら全力で飛ばせば四日で何とかなります。いえ、してみせます」との事なので、すぐに帰ってくるだろう。
その間、俺はまず最初にやらなくてはならないことは──
「………本当に来るとはね。君、謹慎の意味わかってる?」
「あぁもちろん。分かってるから居るってバレたら不味いんだ。早く入れてくんね?先生」
学校の中にある保健室。
その戸を叩くと、今日は男の先生が、あきれたと言わんばかりに笑って入るよう促す。
「セラ…だっけ?容態どうなんだ?」
「はいこれ。カルテと入学してからの彼女の戦闘データ他諸々。義肢を作るんなら要るでしょ?」
「流石先生。助かる」
そう言って渡された紙の束をざっと読んでいくと、とある一箇所が引っかかった。
「どういう事だ?これ」
「いいリアクションだねぇ。ボクも最初そう思ったよ」
まず最初に、セラのフルネームからざっと挙げていこう。
フルネームはセラ・フィクマ。十六歳。魔力系質は風系統。念力は極僅かに可能。主武器は身の丈を超える長槍で、場合によってはかなり小ぶりな手斧を使い分ける変わった戦闘スタイル。ここまでは問題ない。しかし、彼女の現在の容態となると少し話が変わってくる。
「なんだこの…治療放棄部位ってのは」
カルテに書いてあった一文と、隣にあったイラストを見る。そこには彼女の手足、欠けた部分の末端箇所が赤いペンでくるりと囲まれており、恐らくはそこが治療放棄部位なのだろうと推測が立った。
「どうもこうもそのままの意味さ。そこは治療出来ない。手足がないからとかそういう意味で書いたんじゃないよ?やろうと思えば義肢なんてものじゃなくて生身の手足を作ってくっつけてやっても構わなかったんだけど…」
その原料はなんなのだろうか。聞くべきではないか。
「でも先生なら治癒魔法だけじゃなくて手術とか出来んじゃん。そう言うのでなんとでもなりそうだけど」
「んー…そうだな、どう言ったらいいんだろう。身体が拒否してるとかそういうレベルじゃなくて、繋ごうとした時点で繋がらないって直感するし、実際繋がらないんだ。まるでそうあってはならないみたいに」
「なんだそりゃ。それなら義肢も着くかどうかわかんねぇな」
まぁいいか。
「とりあえずセラはもう結構元気なんだよな?」
「大丈夫だね。ベッドにいるのも単に生活出来ないからだし」
まぁ、両手足がなければどうしようもないしな。
さて、それじゃあ件のセラさんと直接会いますかね。
少し触れたと思うが、学校長の処分で一週間程謹慎となった俺は、アーネを見送ってから時間を置いて、こっそりとある所へ向かっていた。
新一年生の担任の先生には既に昨晩のうちに無理を言って紅の森の件を既に通してある。当然かなり難色を示されたが、手足をなくした生徒の為だと言ったら承諾してくれた。いい先生だな。
一応、ティロには森にいるであろうヤツキに俺の代わりに行ったと分かるよう、俺の背中にも刻まれている勇者紋を写した紙を私渡した。もちろん、ティロには絶対に中を見るなと言ってある。
昨晩話した先生曰く、「多分、行って帰ってくるだけなら全力で飛ばせば四日で何とかなります。いえ、してみせます」との事なので、すぐに帰ってくるだろう。
その間、俺はまず最初にやらなくてはならないことは──
「………本当に来るとはね。君、謹慎の意味わかってる?」
「あぁもちろん。分かってるから居るってバレたら不味いんだ。早く入れてくんね?先生」
学校の中にある保健室。
その戸を叩くと、今日は男の先生が、あきれたと言わんばかりに笑って入るよう促す。
「セラ…だっけ?容態どうなんだ?」
「はいこれ。カルテと入学してからの彼女の戦闘データ他諸々。義肢を作るんなら要るでしょ?」
「流石先生。助かる」
そう言って渡された紙の束をざっと読んでいくと、とある一箇所が引っかかった。
「どういう事だ?これ」
「いいリアクションだねぇ。ボクも最初そう思ったよ」
まず最初に、セラのフルネームからざっと挙げていこう。
フルネームはセラ・フィクマ。十六歳。魔力系質は風系統。念力は極僅かに可能。主武器は身の丈を超える長槍で、場合によってはかなり小ぶりな手斧を使い分ける変わった戦闘スタイル。ここまでは問題ない。しかし、彼女の現在の容態となると少し話が変わってくる。
「なんだこの…治療放棄部位ってのは」
カルテに書いてあった一文と、隣にあったイラストを見る。そこには彼女の手足、欠けた部分の末端箇所が赤いペンでくるりと囲まれており、恐らくはそこが治療放棄部位なのだろうと推測が立った。
「どうもこうもそのままの意味さ。そこは治療出来ない。手足がないからとかそういう意味で書いたんじゃないよ?やろうと思えば義肢なんてものじゃなくて生身の手足を作ってくっつけてやっても構わなかったんだけど…」
その原料はなんなのだろうか。聞くべきではないか。
「でも先生なら治癒魔法だけじゃなくて手術とか出来んじゃん。そう言うのでなんとでもなりそうだけど」
「んー…そうだな、どう言ったらいいんだろう。身体が拒否してるとかそういうレベルじゃなくて、繋ごうとした時点で繋がらないって直感するし、実際繋がらないんだ。まるでそうあってはならないみたいに」
「なんだそりゃ。それなら義肢も着くかどうかわかんねぇな」
まぁいいか。
「とりあえずセラはもう結構元気なんだよな?」
「大丈夫だね。ベッドにいるのも単に生活出来ないからだし」
まぁ、両手足がなければどうしようもないしな。
さて、それじゃあ件のセラさんと直接会いますかね。
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