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本編
石と魔力
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俺は絶対に素手で触らないようにと言ってから、懐からそれを取り出した。
夜闇色にしっとりと光るそれは、見るだけで吸い込まれそうになる、少し不思議な石。
「ほぉ?なんやこれ」
「素手で触んなっつってんだろ。手袋かなんかしてこい」
「うわホンマや。なんやこのバカみたいな魔力量。怖っ。ちょい待ってて」
と言って厚い皮の手袋を持ってくるベル。
「これやったら魔力遮断するし大丈夫やわ。アンタは大丈夫なん?」
「大丈夫だ。少しぴりぴりする程度だな」
「はー。大丈夫なんならええんやけどな」
と言いつつ俺の手から石を取り、検分を始める。
「うん?」
手に取ってすぐ、ベルが不思議そうな声を上げた。
「どうした、なんか分かったのか?」
「これ、石じゃないわ」
速攻でベルがそう言いきった。
「なんやこれ?………はーん?魔力が超高純度で集まってんのか。そりゃ魔力も漏れるわ」
「つまり?」
「これ、宝石や魔石やない。ただのアホみたいな魔力の塊や」
明らかに興味が失せたベルが、ぺいっ、とそれを投げて返してくる。
「魔石と何が違うんだ?」
「魔石は言ってしまえばただの石ころや。そこになんかよォわからん力だのなんだのがかかって、魔力を馴染まされた結果、魔力を持つことになった石や。つまり根っこは石やな」
なんか説明雑だな。もう少し詳しく説明をして欲しいので、軽く突っ込んで聞いてみる。
「よく分からん力ってのは?」
「これも説の一個やしな。完全には解明されてないんや。やしまぁ、ただの石が魔力を蓄えたものが魔石やと思ってくれればええ。ちなみに宝石はそうならんかったモンや。なんでそうなったかはわからん。どっちも同じとこから出るし」
一方で──とベルは続ける。
「その黒いのはただの魔力の塊や。気体でも液体でも、ましてや固体でもない魔力をどんだけかき集めたかは知らんし、固体になった魔力なんてウチは見たことも無い。けど、それは純度百パーセントの単なる魔力や。面白味もクソもないなぁ」
「気体でも液体でもないって…じゃあ魔力ってなんなんだよ」
「単なるエネルギーの一種や。雑に言うと腕力とかの『力』と同じようなもんや」
「ンなモンを固めて石に出来んのか?」
と言ってから「あぁ…」と気づく。
「出来てるんやし仕方ないし、そもそも魔石がそれに近いんやな。あっちは魔力を溜め込んだ固体で、こっちは魔力を固体にして保存したモンや。一体どんだけ長いこと魔力集めたんやろなぁ…」
あと聞いとくべきこと…そうだな。
「これ、どうやって処理すりゃいいと思う?」
「あん?そうやなぁ…ウチ、魔法はほとんど専門外やから詳しい人に聞くべきやけど、パッと想像つく方法はどれも危険やし、やめとくべきやと思うわ」
「例えば?」
「叩き割ると魔力が溢れて周りに被害が出るやろし、そんだけの魔力を使い切るのは術者の負担が大きすぎる。ウチにはいい案は思いつかんわ」
「そうか…わかった、礼を言う」
「じゃ、ウチは少し用事あるから、悪いけど出ててってくれる?この家留守にするし」
しっしっ、と追い払うような動きで出て行けと言う。
「へぇ、どこへ行くんだ?」
何の気なしに聞いてみるとベルはこう答えた。
「デートや」
夜闇色にしっとりと光るそれは、見るだけで吸い込まれそうになる、少し不思議な石。
「ほぉ?なんやこれ」
「素手で触んなっつってんだろ。手袋かなんかしてこい」
「うわホンマや。なんやこのバカみたいな魔力量。怖っ。ちょい待ってて」
と言って厚い皮の手袋を持ってくるベル。
「これやったら魔力遮断するし大丈夫やわ。アンタは大丈夫なん?」
「大丈夫だ。少しぴりぴりする程度だな」
「はー。大丈夫なんならええんやけどな」
と言いつつ俺の手から石を取り、検分を始める。
「うん?」
手に取ってすぐ、ベルが不思議そうな声を上げた。
「どうした、なんか分かったのか?」
「これ、石じゃないわ」
速攻でベルがそう言いきった。
「なんやこれ?………はーん?魔力が超高純度で集まってんのか。そりゃ魔力も漏れるわ」
「つまり?」
「これ、宝石や魔石やない。ただのアホみたいな魔力の塊や」
明らかに興味が失せたベルが、ぺいっ、とそれを投げて返してくる。
「魔石と何が違うんだ?」
「魔石は言ってしまえばただの石ころや。そこになんかよォわからん力だのなんだのがかかって、魔力を馴染まされた結果、魔力を持つことになった石や。つまり根っこは石やな」
なんか説明雑だな。もう少し詳しく説明をして欲しいので、軽く突っ込んで聞いてみる。
「よく分からん力ってのは?」
「これも説の一個やしな。完全には解明されてないんや。やしまぁ、ただの石が魔力を蓄えたものが魔石やと思ってくれればええ。ちなみに宝石はそうならんかったモンや。なんでそうなったかはわからん。どっちも同じとこから出るし」
一方で──とベルは続ける。
「その黒いのはただの魔力の塊や。気体でも液体でも、ましてや固体でもない魔力をどんだけかき集めたかは知らんし、固体になった魔力なんてウチは見たことも無い。けど、それは純度百パーセントの単なる魔力や。面白味もクソもないなぁ」
「気体でも液体でもないって…じゃあ魔力ってなんなんだよ」
「単なるエネルギーの一種や。雑に言うと腕力とかの『力』と同じようなもんや」
「ンなモンを固めて石に出来んのか?」
と言ってから「あぁ…」と気づく。
「出来てるんやし仕方ないし、そもそも魔石がそれに近いんやな。あっちは魔力を溜め込んだ固体で、こっちは魔力を固体にして保存したモンや。一体どんだけ長いこと魔力集めたんやろなぁ…」
あと聞いとくべきこと…そうだな。
「これ、どうやって処理すりゃいいと思う?」
「あん?そうやなぁ…ウチ、魔法はほとんど専門外やから詳しい人に聞くべきやけど、パッと想像つく方法はどれも危険やし、やめとくべきやと思うわ」
「例えば?」
「叩き割ると魔力が溢れて周りに被害が出るやろし、そんだけの魔力を使い切るのは術者の負担が大きすぎる。ウチにはいい案は思いつかんわ」
「そうか…わかった、礼を言う」
「じゃ、ウチは少し用事あるから、悪いけど出ててってくれる?この家留守にするし」
しっしっ、と追い払うような動きで出て行けと言う。
「へぇ、どこへ行くんだ?」
何の気なしに聞いてみるとベルはこう答えた。
「デートや」
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