2人のあなたに愛されて ~歪んだ溺愛と密かな溺愛~

けいこ

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クリスマス・イブの夜に

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「ごめん。今日は1人でいたいんだ。みんな、クリスマス・イブを楽しんでね」


そう言って、柊君は女子社員達を振り切り、笑顔でフロアを出た。
その後ろ姿が、なぜか少し寂しく見えた。


柊君は、1人で過ごすって言ってたけど、たくさんいるガールフレンド達とは会わないの?
知りたくないのに、つい考えてしまう自分がいる。


もし本当に1人で過ごすなら、私だけ楽しむのは何だか気が引けるけど……
ううん、柊君が悪いんだから、別に私が気にしなくてもいいんだ。
柊君だって、ああ言いながらも、やっぱり誰かと一緒にクリスマス・イブを過ごすのかも知れないし。
さっきは私がいたから気まずかっただけかも。


柊君が帰ってしまって、女子社員達はみんな、一斉に帰っていった。
静まり返ったフロアには、私以外誰もいなくなり、複雑な気持ちが心の中を駆け巡った。


樹さん、どこに行ったの?
もし樹さんがいたら、女子達に声をかけられてるはずだけど、さっきからずっと姿が見えない。


私は、帰り支度をしながら、時計の音が聞こえる程静寂に包まれたフロアで樹さんを待った。


樹さん……
もしかして、約束忘れて帰っちゃったのかな。
不安がよぎる。


「柚葉」


私の名前を呼ぶ声が聞こえて振り返ると、そこには息を切らした樹さんがいた。


「樹さん!」


「悪い、待たせたな」


「あっ、いいえ。樹さん、息切れてます?」


「い、いや、別に。下に車止めてるから行こう」


樹さんは、手馴れた感じでフロアの戸締りをした。


駐車場まで降り、樹さんの車の助手席に乗せてもらった。
瞬間に香るとってもいい匂い。


「素敵ないい香りですね」


「ただの芳香剤」


それだけ言って、樹さんは車を出した。


今日、私と樹さんが2人でいることは、柊君は知らない。
柊君と私がクリスマス・イブを一緒に過ごすことは、この先二度とないんだ……
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