【R18】妖魔都市トウキョウ第二十四区・グリモワールの災厄

ヒルナギ

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第十三話

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 eVTOLが舞台に着地し、ヒースが降りる。それと同時に、イシガミの配下らしいPSSの現地対応部隊が姿をあらわす。

 黒天狐は、PSSの隊員が差し出す対呪の封印が付与されたケースにグリモワールを放り込む。ヒースは斬り落とされた黒天狐の腕を拾い上げ、黒天狐のもとへむかう。

 黒天狐は糸で止血したらしく、血の流れはわずかになっている。


「さすが魔神だな、きれいに斬ってるよ。これなら、うまく繋がるだろうさ」


 ヒースの軽口に、黒天狐は苦笑する。ヒースはいくつかの器具を使って切断された骨を接続し、切断面に液状化したギミックスライムを振りかけた。

 さらに腕をテープで固定すると、スプレーで固定用の樹脂を吹きかける。空気に触れた樹脂はすぐに固まり、切断された腕を固定した。

 ヒースは、PSSの指揮官に声をかけeVTOLに乗り込む。黒天狐もあとに続いた。

 eVTOLは再び夜空へと舞い上がる。
 

「とりあえず、治癒術師のところへゆくぜ。あと、こいつを打っとけよ」


 黒天狐は、ヒースの差し出す更生物質の注射を腕に刺した。


「しかし、魔神を素手で殺すとは相変わらず出鱈目だよな」


 ヒースがeVTOLを操りながら、嘆息まじりに呟く。


「ああ、あれは運がよかっただけだ」


 黒天狐が、昏い声でこたえる。


「魔神というのは、大地の龍脈から魔力を引き出すことができる。ただ召喚された直後はまだ、龍脈へのパスがはられていない。到着があと五分遅れていたら、死んでいたのはおれだな」


 ヒースは薄く笑うと、タバコを取り出し火をつけた。


「まあ、そういうもんだろ、おれたちは。命を掛け金にしたイカれたゲームに、興じてる馬鹿だろ」
 

 黒天狐はヒースの吐き出した紫煙をどこか虚ろな瞳でみつめながら、うなずく。


「負ければ、死ぬ。馬鹿にもわかりやすいご機嫌なゲームだ」


 ヒースは、楽しげに笑った。


「で、そろそろ話してもいいんじゃないのか?」


 ヒースの言葉に、黒天狐は怪訝な顔をする。ヒースは思わず苦笑した。


「おいおい、今更惚けられると思っちゃいまい。イシガミの言ってた、例の話ってなんだよ。おれも巻き込むつもりなんだろ」


「ああ」


 黒天狐は、昏く笑う。その瞳は遠くを見つめているようで、奥底に熾火のような輝きを秘めている。


「見つかったんだ。少し前の、数カ月はたつかな。ダンジョンの奥底でのなんだが。国家プロジェクトが始動しつつある」


「なんだって?」


 ヒースは、驚きの声をあげる。


「いったい何が、見つかったっていうんだ」


 黒天狐は、少し首をふる。


「伝説の存在だと、思っていた。本当にあるものだとは、思わなかったんだが。ダンジョンの奥底で、目撃情報があげられた」


 黒天狐は、躊躇うように沈黙する。ヒースは黙って、黒天狐が口を開くのを待つ。


「始原の巨人。その死体が、あったそうだ」


 ヒースは、思わず声をあげる。


「なんだって? そいつはベリアル王が管理してるんじゃあ、なかったのか?」


「いや、それとは別の、もっと完全な形のものらしい。おれは、そいつを拝みに行くつもりだ。ヒース、どうだい、ひとつガイドに復帰する気にならないか?」


 ヒースは、ふっと笑う。


「まずは、低階層で勘をとりもどさないといけないな。つきあってもらうぜ」


 黒天狐は、薄く笑う。


「いいだろう。時間があまりない。フル・スロットルでいくからな」


 ヒースは肩を竦めた。


「お手柔らかに頼む」

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