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無慈悲な展開
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広間に漂うのは荘厳な静けさと緊張感。石造りの高い天井と、床の冷たい大理石が、宮殿内に漂う厳粛さを一層際立たせていた。俺、リュシアン・ルルワは深く息をつき、視線を正面に据えた。玉座の上に座る国王の姿が、まっすぐ映り込む。
俺の斜め前に跪く男に、国王は厳粛に告げた。
「アーベルよそなたに命を与えよう。」
国王が彼の息子に与えた言葉は威厳に満ち、まるで国全体の重みがその一言に込められているかのようだった。金髪碧眼の美しい青年——アーベルの肩が少し震えたような気がした。冷静を装いながらも、その内側では激しい葛藤が渦巻いているのだろう。
「全てを統べるものの迷宮、その最深部まで足を踏み入れ、その封印を確認するのだ。そなたがこの任務に挑むほかない。」
国王の声は冷たく鋭く、迷いの余地を与えない。アーベルは瞬間、拳を固く握りしめたが静かに頭を深く垂れた。彼に代わるように周りの重臣たちが次々に口を挟む。
「なんと言うこと……あのような得体の知れない迷宮に一人で?」
「死ににいけと言うようなものです」
「まあ、王子とはいえ今や厄介者…身から出たサビと言いますか……」
「こうなった以上、誰かがやらねばならぬことですからねえ」
周囲の言葉に王は怯むどころか蔑むように笑った
「お前は王からの命令を断り、帝国との関係を不安定にした。本来はマリーテレーズとの婚約によって彼の地にわが国が手を伸ばす算段であった。その責任は取ってもらうぞ」
「……」
彼にとってこの命令は、単なる命令以上の意味を持っていた。
彼に与えられた最後のチャンス。
王家からの信頼を取り戻すための、そして自分自身を証明するための試練だった。
「は……仰せの通りに、陛下。」アーベルは静かに頭を垂れる。
婚約破棄をして以降、アーベルは表立って断罪されることはなかったが、王宮で割り当てられる部屋も謁見の間からは遠くなり、
仕事も減らされ、次第に遠ざけられつつあった。ある日突然与えられた命令は、彼にとってまたとないチャンスであると同時に、最後の希望でもあったのだ。
「リュシアン・ルルワ。宮廷内の若き有能な魔術師と聞いておる。どうか、この若い王子を助けてやってほしい。」
(まあ、そうくるだろうな)
国王に名を呼ばれ、リュシアンは深く頭を下げる。黒い短い髪が顔の横に垂れる。
「承知いたしました。陛下のお心に沿うよう尽力いたします。」
俺の落ち着いた対応に王は目を細めた。
「随分と迷いのない判断だな。命を落とす危険もあると言うのに」
「ここに呼ばれた時から、覚悟はできておりましたので」
「……ふん。まあいいだろう。二人の帰還を待っているぞ。大して期待はできないだろうがな」
俺が落ち着き払っていたのには、理由がある。
俺の斜め前に跪く男に、国王は厳粛に告げた。
「アーベルよそなたに命を与えよう。」
国王が彼の息子に与えた言葉は威厳に満ち、まるで国全体の重みがその一言に込められているかのようだった。金髪碧眼の美しい青年——アーベルの肩が少し震えたような気がした。冷静を装いながらも、その内側では激しい葛藤が渦巻いているのだろう。
「全てを統べるものの迷宮、その最深部まで足を踏み入れ、その封印を確認するのだ。そなたがこの任務に挑むほかない。」
国王の声は冷たく鋭く、迷いの余地を与えない。アーベルは瞬間、拳を固く握りしめたが静かに頭を深く垂れた。彼に代わるように周りの重臣たちが次々に口を挟む。
「なんと言うこと……あのような得体の知れない迷宮に一人で?」
「死ににいけと言うようなものです」
「まあ、王子とはいえ今や厄介者…身から出たサビと言いますか……」
「こうなった以上、誰かがやらねばならぬことですからねえ」
周囲の言葉に王は怯むどころか蔑むように笑った
「お前は王からの命令を断り、帝国との関係を不安定にした。本来はマリーテレーズとの婚約によって彼の地にわが国が手を伸ばす算段であった。その責任は取ってもらうぞ」
「……」
彼にとってこの命令は、単なる命令以上の意味を持っていた。
彼に与えられた最後のチャンス。
王家からの信頼を取り戻すための、そして自分自身を証明するための試練だった。
「は……仰せの通りに、陛下。」アーベルは静かに頭を垂れる。
婚約破棄をして以降、アーベルは表立って断罪されることはなかったが、王宮で割り当てられる部屋も謁見の間からは遠くなり、
仕事も減らされ、次第に遠ざけられつつあった。ある日突然与えられた命令は、彼にとってまたとないチャンスであると同時に、最後の希望でもあったのだ。
「リュシアン・ルルワ。宮廷内の若き有能な魔術師と聞いておる。どうか、この若い王子を助けてやってほしい。」
(まあ、そうくるだろうな)
国王に名を呼ばれ、リュシアンは深く頭を下げる。黒い短い髪が顔の横に垂れる。
「承知いたしました。陛下のお心に沿うよう尽力いたします。」
俺の落ち着いた対応に王は目を細めた。
「随分と迷いのない判断だな。命を落とす危険もあると言うのに」
「ここに呼ばれた時から、覚悟はできておりましたので」
「……ふん。まあいいだろう。二人の帰還を待っているぞ。大して期待はできないだろうがな」
俺が落ち着き払っていたのには、理由がある。
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