18 / 85
連載
結婚式の準備
しおりを挟む
陛下との交流が再開して数日後、私は久しぶりに王宮を訪れました。呼ばれたのは陛下の執務室で、今日は宰相様やエリック様などの側近の皆さんもお集まりです。そこで私は宰相様から、結婚式の準備を進めると言われました。
そう言えばすっかり失念していましたが、結婚式は確かに一月ほど先に行う予定でした。これはマルダーンとの同盟の証なので、国事として予定されていたものです。
そうは言っても実のところは仮の結婚だったので、あんまり準備に力が入っていなかったんですよね。陛下の番が見つかったら中止になるものでしたし、国として形が整えばそれで十分だったので、私も自分の事なのに他人事のような感覚でした。
「だから、この式はエリサ様のお好みは殆ど反映されていないんだ」
「そうですわね…私もどうでもよかったですし…」
これは本心です。あ、陛下の表情が少し曇った気がしましたが…それは仕方ありませんわ、陛下。だってお飾りのつもりだったから本当にどうでもよくて、無駄なお金はかけずに済むように…くらいしか思っていませんでしたもの。
「でも、番となられた以上、後で式のやり直しはききませんからな。やるならエリサ様のご希望を最大限に…と言う事ですな」
「そういう事」
なるほど、陛下の本当の意味での番になるのはまだ無理ですが、結婚式だけはちゃんとしようという事ですわね。それは仕方ありませんわね、あんなにお金がかかる事を後でもう一度なんて、無駄でしかありませんもの。
「エリサ殿は…どうしたい?何か希望があるなら遠慮なく言って欲しい」
「…実は私、結婚式を見た事も出た事もなくて……」
そうなのです。だからどうしたいかと聞かれても、答える術を持ちませんでした。結局、そういう事なら…と、ラルセンで代々受け継がれてきた形式に則った式で進める事になりました。この国の王妃になったのですから、それでいいと思いますわ。
ラルセンの国の王妃は番なので、あまり人前に出る事はないそうです。一番は王が番を人前に出すのを嫌がるからです。王の番は最大の弱点でもあるので、パーティーなんてとんでもない!と言うのが一般的なのだとか。その為、結婚式とそれに続く披露パーティーの最初の部分だけは出ますが、後は王のみの出席になるそうです。
「あとジーク、エリサ様の事、マルダーンにどう伝える?」
「番の事か…」
「ああ」
「…出来れば、今回は伏せておきたい。番と知れたら…危険な気がする」
「同感ですな」
やっぱり、皆さんもそうお考えなのですね。恥ずかしい限りですが…でも、皆さんと認識が同じでちょっと安心しました。私も…あの人達には番だとは言いたくありません。そんな事をしたら、陛下や皆さんに絶対にご迷惑をかけてしまう気がします。
「それで…マルダーンから出席する方は…」
「ああ、今回は王太子殿下とカミラ王女と連絡が来ていますよ」
「え…?カミラ王女?王太子妃ではなく?」
「王太子妃殿下は妊娠が判明したため急遽欠席となりました。その代わりにカミラ王女をお連れすると連絡がありましたよ」
「…そう、ですか…」
よりにもよってカミラが…正直言って彼女が来るなんてもう不安しかありません。私を馬鹿にするのが生きがいのような人なので、絶対に何かやらかしそうな気がします…そう断言出来てしまうなんて…全く恥かしいですわ。これならまだ、聡明だと評判が高かった兄の妃が来てくださった方がずっとよかったです。せっかくの結婚式ですが…何となく暗雲が垂れ込めてくるような気がして、私は気が重くなるのを感じました。
「心配ない、エリサ殿。必ず私が守ろう」
「陛下…ありがとうございます」
思いがけず陛下からそう仰って頂いて、私は少し心が軽くなるのを感じました。そうですわね、いくらカミラが非常識で我儘でも、他国の王宮でトラブルを起こす事はないでしょう、多分…
そうこうしている間に、今度は結婚式の衣装合わせになりました。一応式をする予定だったので、ドレスは既に仮縫いも終わり、最終段階に入っていました。
「エリサ様、お綺麗ですわ!」
「ほんと、妖精みたい」
「ベールで隠してしまうのがもったいないわね」
殆ど出来上がったドレスを身に着けて最終確認をされている私を、女子会メンバーの皆さんが褒めて下さいました。ドレスは陛下の髪色と同じ、淡い青みがかった銀色の生地に、所々に金と青の指し色が入っています。肌は露出を極力避けてハイネックに長袖で、スカートはふんわりしていて後ろが長くなっていています。
そして最大の特徴は、同じ仕様のベールです。このベールは色も青銀色で所々に金と青の刺繍や飾りが入っています。前はお腹の下まであり、後ろはドレスの裾と同じくらいに長いのです。番を見せたがらない王のためにと、そりゃあもうこれでもかと言うくらいにベールで隠されているので、ベールが下りている状態では一人でなんて歩けません。陛下かお付きの人に手を引いて貰わないと…本当に足元くらいしか見えないのです。
このドレス、実は大分前―確か最初の夜会の時―に希望を聞かれて、それに合わせて制作されていました。仮だと思っていたので興味がなかったのですが、今になって本番となってしまったので、デザイナーもお針子さんも大慌てです。それもあってか、一生に一度の事ですのよ!と他に何か希望はないかとこれでもかと言うくらいに聞かれました。
でも…殆ど出来上がったドレスは私の好みが反映されていますし、これ以上華美になるとドレスに負けてしまいそうです。結局、ラウラやベルタさん、ユリア先生とも相談して、少しだけ装飾を増やして貰う事にしました。
結婚式の衣装の件はこれで終わったかと思ったのですが…翌日陛下は人を連れてやってきました。お客様とは珍しい…と思っていると、何とその方は宝石商でした。も、もしかして…何だか背中が薄ら寒くなりました。
「結婚式で使う宝飾品も揃えないといけないだろう。気に入ったものがあったら言ってくれ」
やっぱり―!と私が心の中で叫んだのは言うまでもありません。そりゃあ、ドレスに宝石はセットではありますが…でも、どうせベールに隠れて見えませんよ?だったら必要ないのでは…
「最近はベールを飾るアクセサリーが流行っております。特に人気なのは…」
そう言って商人さんが出してきたのは、ベールに付けるタイプのアクセサリーでした。細い鎖が何連も重なり、所々に宝石が付いています。これをベールの上からたらすのだそうですが、ベールにも既に刺繍が組み込まれています。いえ、確かにキラキラして綺麗だろうな…とは思いますが…
「ああ、これ、流行っているよね~私の友達も使っていたよ」
「ええ?ベルタさんのお友達が?」
「うん、彼女は虎人の番だったんだけど、虎人も嫉妬深いからね、ベール必須だったんだ。だから髪飾りの替わりにこれにしたんだよ」
なるほど、ベールの上に付けるのは今の流行りなのですね。で、でも…
「エリサ殿、これくらいは一般的だから問題ない。それでなくてもドレスは華美ではないんだ。金額など気にせず気に入ったものを選んでくれ」
「そうそう、王妃が地味だと侮られる事にもなるからね」
「そうね、国事なのだから、それなりの見栄えも大事だわ」
陛下だけでなくベルタさんやユリア先生にまでにそう言われると、断れないじゃないですか…うう、確かに綺麗で心は惹かれますが…
結局、私は商人さんが示した三つのうち、二つ目のベール飾りにしました。色がドレスの色に合うのと、銀の細いチェーンが綺麗に反射してベールによく映えそうだったからです。
「陛下もちゃっかりしてるよね。国事だって言えばエリサ様も断れないもんね」
「そうね、でも、男性にとっては頑張り時ですもの。張り切るのは仕方ないわ」
「…そう言うものなんでしょうか…」
あまりにも散財が過ぎる気がして、私の精神が削られている気がします。いくら何でも贅沢過ぎないでしょうか…
「甘いわ、エリサ様。あれくらいなら全く贅沢が過ぎるって事はないよ」
「そうね。それに、番をどれだけ着飾らせるかは、男性のステータスでもあり楽しみなのよ。そのために人族でも男性は、働き始めると番のために貯蓄に励むんだから」
「だからって…」
「番にお金をかけないと、価値がないと周りから見られちゃうの。即物的だけど、番への愛情を目に見える形で表すためのものなのよ」
「そういう事。この国は力がある者が王になるけど、そこら辺も影響しているんだよ。だから、陛下の力を示すためにもそれなりの格好は必要なんだ」
なるほど…と納得しちゃっていいのでしょうか…いえ、嬉しいか嬉しくないかと聞かれれば、嬉しいのですが…ただ、あまりにも額が大きくて気が遠くなりそうです…どうも母国で染みついた金銭感覚は、そう簡単には変われそうもないのだと強く感じました。
そう言えばすっかり失念していましたが、結婚式は確かに一月ほど先に行う予定でした。これはマルダーンとの同盟の証なので、国事として予定されていたものです。
そうは言っても実のところは仮の結婚だったので、あんまり準備に力が入っていなかったんですよね。陛下の番が見つかったら中止になるものでしたし、国として形が整えばそれで十分だったので、私も自分の事なのに他人事のような感覚でした。
「だから、この式はエリサ様のお好みは殆ど反映されていないんだ」
「そうですわね…私もどうでもよかったですし…」
これは本心です。あ、陛下の表情が少し曇った気がしましたが…それは仕方ありませんわ、陛下。だってお飾りのつもりだったから本当にどうでもよくて、無駄なお金はかけずに済むように…くらいしか思っていませんでしたもの。
「でも、番となられた以上、後で式のやり直しはききませんからな。やるならエリサ様のご希望を最大限に…と言う事ですな」
「そういう事」
なるほど、陛下の本当の意味での番になるのはまだ無理ですが、結婚式だけはちゃんとしようという事ですわね。それは仕方ありませんわね、あんなにお金がかかる事を後でもう一度なんて、無駄でしかありませんもの。
「エリサ殿は…どうしたい?何か希望があるなら遠慮なく言って欲しい」
「…実は私、結婚式を見た事も出た事もなくて……」
そうなのです。だからどうしたいかと聞かれても、答える術を持ちませんでした。結局、そういう事なら…と、ラルセンで代々受け継がれてきた形式に則った式で進める事になりました。この国の王妃になったのですから、それでいいと思いますわ。
ラルセンの国の王妃は番なので、あまり人前に出る事はないそうです。一番は王が番を人前に出すのを嫌がるからです。王の番は最大の弱点でもあるので、パーティーなんてとんでもない!と言うのが一般的なのだとか。その為、結婚式とそれに続く披露パーティーの最初の部分だけは出ますが、後は王のみの出席になるそうです。
「あとジーク、エリサ様の事、マルダーンにどう伝える?」
「番の事か…」
「ああ」
「…出来れば、今回は伏せておきたい。番と知れたら…危険な気がする」
「同感ですな」
やっぱり、皆さんもそうお考えなのですね。恥ずかしい限りですが…でも、皆さんと認識が同じでちょっと安心しました。私も…あの人達には番だとは言いたくありません。そんな事をしたら、陛下や皆さんに絶対にご迷惑をかけてしまう気がします。
「それで…マルダーンから出席する方は…」
「ああ、今回は王太子殿下とカミラ王女と連絡が来ていますよ」
「え…?カミラ王女?王太子妃ではなく?」
「王太子妃殿下は妊娠が判明したため急遽欠席となりました。その代わりにカミラ王女をお連れすると連絡がありましたよ」
「…そう、ですか…」
よりにもよってカミラが…正直言って彼女が来るなんてもう不安しかありません。私を馬鹿にするのが生きがいのような人なので、絶対に何かやらかしそうな気がします…そう断言出来てしまうなんて…全く恥かしいですわ。これならまだ、聡明だと評判が高かった兄の妃が来てくださった方がずっとよかったです。せっかくの結婚式ですが…何となく暗雲が垂れ込めてくるような気がして、私は気が重くなるのを感じました。
「心配ない、エリサ殿。必ず私が守ろう」
「陛下…ありがとうございます」
思いがけず陛下からそう仰って頂いて、私は少し心が軽くなるのを感じました。そうですわね、いくらカミラが非常識で我儘でも、他国の王宮でトラブルを起こす事はないでしょう、多分…
そうこうしている間に、今度は結婚式の衣装合わせになりました。一応式をする予定だったので、ドレスは既に仮縫いも終わり、最終段階に入っていました。
「エリサ様、お綺麗ですわ!」
「ほんと、妖精みたい」
「ベールで隠してしまうのがもったいないわね」
殆ど出来上がったドレスを身に着けて最終確認をされている私を、女子会メンバーの皆さんが褒めて下さいました。ドレスは陛下の髪色と同じ、淡い青みがかった銀色の生地に、所々に金と青の指し色が入っています。肌は露出を極力避けてハイネックに長袖で、スカートはふんわりしていて後ろが長くなっていています。
そして最大の特徴は、同じ仕様のベールです。このベールは色も青銀色で所々に金と青の刺繍や飾りが入っています。前はお腹の下まであり、後ろはドレスの裾と同じくらいに長いのです。番を見せたがらない王のためにと、そりゃあもうこれでもかと言うくらいにベールで隠されているので、ベールが下りている状態では一人でなんて歩けません。陛下かお付きの人に手を引いて貰わないと…本当に足元くらいしか見えないのです。
このドレス、実は大分前―確か最初の夜会の時―に希望を聞かれて、それに合わせて制作されていました。仮だと思っていたので興味がなかったのですが、今になって本番となってしまったので、デザイナーもお針子さんも大慌てです。それもあってか、一生に一度の事ですのよ!と他に何か希望はないかとこれでもかと言うくらいに聞かれました。
でも…殆ど出来上がったドレスは私の好みが反映されていますし、これ以上華美になるとドレスに負けてしまいそうです。結局、ラウラやベルタさん、ユリア先生とも相談して、少しだけ装飾を増やして貰う事にしました。
結婚式の衣装の件はこれで終わったかと思ったのですが…翌日陛下は人を連れてやってきました。お客様とは珍しい…と思っていると、何とその方は宝石商でした。も、もしかして…何だか背中が薄ら寒くなりました。
「結婚式で使う宝飾品も揃えないといけないだろう。気に入ったものがあったら言ってくれ」
やっぱり―!と私が心の中で叫んだのは言うまでもありません。そりゃあ、ドレスに宝石はセットではありますが…でも、どうせベールに隠れて見えませんよ?だったら必要ないのでは…
「最近はベールを飾るアクセサリーが流行っております。特に人気なのは…」
そう言って商人さんが出してきたのは、ベールに付けるタイプのアクセサリーでした。細い鎖が何連も重なり、所々に宝石が付いています。これをベールの上からたらすのだそうですが、ベールにも既に刺繍が組み込まれています。いえ、確かにキラキラして綺麗だろうな…とは思いますが…
「ああ、これ、流行っているよね~私の友達も使っていたよ」
「ええ?ベルタさんのお友達が?」
「うん、彼女は虎人の番だったんだけど、虎人も嫉妬深いからね、ベール必須だったんだ。だから髪飾りの替わりにこれにしたんだよ」
なるほど、ベールの上に付けるのは今の流行りなのですね。で、でも…
「エリサ殿、これくらいは一般的だから問題ない。それでなくてもドレスは華美ではないんだ。金額など気にせず気に入ったものを選んでくれ」
「そうそう、王妃が地味だと侮られる事にもなるからね」
「そうね、国事なのだから、それなりの見栄えも大事だわ」
陛下だけでなくベルタさんやユリア先生にまでにそう言われると、断れないじゃないですか…うう、確かに綺麗で心は惹かれますが…
結局、私は商人さんが示した三つのうち、二つ目のベール飾りにしました。色がドレスの色に合うのと、銀の細いチェーンが綺麗に反射してベールによく映えそうだったからです。
「陛下もちゃっかりしてるよね。国事だって言えばエリサ様も断れないもんね」
「そうね、でも、男性にとっては頑張り時ですもの。張り切るのは仕方ないわ」
「…そう言うものなんでしょうか…」
あまりにも散財が過ぎる気がして、私の精神が削られている気がします。いくら何でも贅沢過ぎないでしょうか…
「甘いわ、エリサ様。あれくらいなら全く贅沢が過ぎるって事はないよ」
「そうね。それに、番をどれだけ着飾らせるかは、男性のステータスでもあり楽しみなのよ。そのために人族でも男性は、働き始めると番のために貯蓄に励むんだから」
「だからって…」
「番にお金をかけないと、価値がないと周りから見られちゃうの。即物的だけど、番への愛情を目に見える形で表すためのものなのよ」
「そういう事。この国は力がある者が王になるけど、そこら辺も影響しているんだよ。だから、陛下の力を示すためにもそれなりの格好は必要なんだ」
なるほど…と納得しちゃっていいのでしょうか…いえ、嬉しいか嬉しくないかと聞かれれば、嬉しいのですが…ただ、あまりにも額が大きくて気が遠くなりそうです…どうも母国で染みついた金銭感覚は、そう簡単には変われそうもないのだと強く感じました。
145
あなたにおすすめの小説
【完結】2番目の番とどうぞお幸せに〜聖女は竜人に溺愛される〜
雨香
恋愛
美しく優しい狼獣人の彼に自分とは違うもう一人の番が現れる。
彼と同じ獣人である彼女は、自ら身を引くと言う。
自ら身を引くと言ってくれた2番目の番に心を砕く狼の彼。
「辛い選択をさせてしまった彼女の最後の願いを叶えてやりたい。彼女は、私との思い出が欲しいそうだ」
異世界に召喚されて狼獣人の番になった主人公の溺愛逆ハーレム風話です。
異世界激甘溺愛ばなしをお楽しみいただければ。
逃した番は他国に嫁ぐ
基本二度寝
恋愛
「番が現れたら、婚約を解消してほしい」
婚約者との茶会。
和やかな会話が落ち着いた所で、改まって座を正した王太子ヴェロージオは婚約者の公爵令嬢グリシアにそう願った。
獣人の血が交じるこの国で、番というものの存在の大きさは誰しも理解している。
だから、グリシアも頷いた。
「はい。わかりました。お互いどちらかが番と出会えたら円満に婚約解消をしましょう!」
グリシアに答えに満足したはずなのだが、ヴェロージオの心に沸き上がる感情。
こちらの希望を受け入れられたはずのに…、何故か、もやっとした気持ちになった。
最愛の番に殺された獣王妃
望月 或
恋愛
目の前には、最愛の人の憎しみと怒りに満ちた黄金色の瞳。
彼のすぐ後ろには、私の姿をした聖女が怯えた表情で口元に両手を当てこちらを見ている。
手で隠しているけれど、その唇が堪え切れず嘲笑っている事を私は知っている。
聖女の姿となった私の左胸を貫いた彼の愛剣が、ゆっくりと引き抜かれる。
哀しみと失意と諦めの中、私の身体は床に崩れ落ちて――
突然彼から放たれた、狂気と絶望が入り混じった慟哭を聞きながら、私の思考は止まり、意識は閉ざされ永遠の眠りについた――はずだったのだけれど……?
「憐れなアンタに“選択”を与える。このままあの世に逝くか、別の“誰か”になって新たな人生を歩むか」
謎の人物の言葉に、私が選択したのは――
そんなに義妹が大事なら、番は解消してあげます。さようなら。
雪葉
恋愛
貧しい子爵家の娘であるセルマは、ある日突然王国の使者から「あなたは我が国の竜人の番だ」と宣言され、竜人族の住まう国、ズーグへと連れて行かれることになる。しかし、連れて行かれた先でのセルマの扱いは散々なものだった。番であるはずのウィルフレッドには既に好きな相手がおり、終始冷たい態度を取られるのだ。セルマはそれでも頑張って彼と仲良くなろうとしたが、何もかもを否定されて終わってしまった。
その内、セルマはウィルフレッドとの番解消を考えるようになる。しかし、「竜人族からしか番関係は解消できない」と言われ、また絶望の中に叩き落とされそうになったその時──、セルマの前に、一人の手が差し伸べられるのであった。
*相手を大事にしなければ、そりゃあ見捨てられてもしょうがないよね。っていう当然の話。
番から逃げる事にしました
みん
恋愛
リュシエンヌには前世の記憶がある。
前世で人間だった彼女は、結婚を目前に控えたある日、熊族の獣人の番だと判明し、そのまま熊族の領地へ連れ去られてしまった。それからの彼女の人生は大変なもので、最期は番だった自分を恨むように生涯を閉じた。
彼女は200年後、今度は自分が豹の獣人として生まれ変わっていた。そして、そんな記憶を持ったリュシエンヌが番と出会ってしまい、そこから、色んな事に巻き込まれる事になる─と、言うお話です。
❋相変わらずのゆるふわ設定で、メンタルも豆腐並なので、軽い気持ちで読んで下さい。
❋独自設定有りです。
❋他視点の話もあります。
❋誤字脱字は気を付けていますが、あると思います。すみません。
【完結】番(つがい)でした ~美しき竜人の王様の元を去った番の私が、再び彼に囚われるまでのお話~
tea
恋愛
かつて私を妻として番として乞い願ってくれたのは、宝石の様に美しい青い目をし冒険者に扮した、美しき竜人の王様でした。
番に選ばれたものの、一度は辛くて彼の元を去ったレーアが、番であるエーヴェルトラーシュと再び結ばれるまでのお話です。
ヒーローは普段穏やかですが、スイッチ入るとややドS。
そして安定のヤンデレさん☆
ちょっぴり切ない、でもちょっとした剣と魔法の冒険ありの(私とヒロイン的には)ハッピーエンド(執着心むき出しのヒーローに囚われてしまったので、見ようによってはメリバ?)のお話です。
別サイトに公開済の小説を編集し直して掲載しています。
妻を蔑ろにしていた結果。
下菊みこと
恋愛
愚かな夫が自業自得で後悔するだけ。妻は結果に満足しています。
主人公は愛人を囲っていた。愛人曰く妻は彼女に嫌がらせをしているらしい。そんな性悪な妻が、屋敷の最上階から身投げしようとしていると報告されて急いで妻のもとへ行く。
小説家になろう様でも投稿しています。
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている
と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
番外編を閲覧することが出来ません。
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている
と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。