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進んでいく関係
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ジーク様と向き合わなければいけない私ですが、どうしていいのかわからない…というのが今の私の正直な気持ちでした。だから、ずっと一緒に居てくれて私を一番に理解してくれているラウラに、ラウラだったらどうするかと聞いてみたのですが…
「…確かに国の事とか立場とかもありますし、これまでの事も入れると…簡単にこう、って私も決められそうにないかな、とは思います。レイフ様だったら…って考えたけど…レイフ様と陛下じゃ、性格が違い過ぎて参考になりませんからねぇ…」
「…そうね」
「レイフ様みたいにはっきり好きだ!って押してきたらわかりやすいんですけどね」
「それは、確かに…」
確かに、レイフ様みたいな方だったらわかりやすくて…迷いは少なかったような気もします。
「エリサ様の気持ち最優先ってのはわかるんですけど、でも陛下も、最近までは本当に好きなの?って言いたくなるレベルでしたからねぇ…」
ほんっと、ハッキリしないのが一番問題なんですよね…とラウラがブツブツ言っていますが…でも、そこはジーク様なりの気遣いでしょうから、否定するわけにもいきませんよね。
「でもまぁ、王女や王妃の立場もあるし、番だって言われたら逃げるのも難しそうですから、私なら好きになれるかどうかで決めますね。生理的に無理って人もいますし…例えばエリサ様、陛下とキス出来そうですか?」
「へ…?キ、キス…?!」
ラウラの言葉に、私はジーク様とキスする自分を想像しましたが…
「そ、そんな恥ずかしい事…む、無理よ…」
そうです、キ、キスだなんて…その情景を想像するだけで、恥ずかしくて顔から火が出そうです。
「恥ずかしいですか?」
「あ、当たり前じゃない…!」
「気持ち悪くは?」
「それはないけど…」
ラウラにそう言われて、私は今の自分の感情を振り返ってみました。恥ずかしい…とは思いましたが…気持ち悪い、という感覚はなかったように思います。
「だったら大丈夫ですよ」
「え…?」
「キスすると想像して、最初に気持ち悪い!生理的に無理!って感じたら、無理だと思って間違いないそうですよ。逆にそれがないなら大丈夫だそうです」
「大丈夫って…」
そんな理由で決めてしまっていいのでしょうか…いえ、確かに気持ち悪いと思ったら番になんてなれませんが…
「キス出来るなら、いっそエリサ様から好きだって言っちゃうのもありですよ?」
「ええ、は、恥ずかしい事…」
「でも、陛下を他の人に渡す気はないんですよね?」
「他の人?」
「そうですよ、陛下はまぁ、ヘタレですがイケメンで強くて国王ですからね。狙っている女性なんていくらでもいますよ。今だって側妃にって言ってくる国も女性もいるそうですし」
「うそ…」
「嘘じゃありませんよ。レイフ様情報ですから間違いないです。早く番だってはっきりしなきゃ、また国政に絡んで側妃にとねじ込んでくる国、出てきちゃいますよ」
「ま、まさか…」
「そのまさかをやってしまったのがマルダーンですからねぇ…」
「う…」
た、確かに、獣人相手に政略結婚をごり押ししたのはマルダーンです。そして、それを受けたのはジーク様でしたわね…
「側妃の話がまとまっちゃったら、解消は難しいですよ。でも、エリサ様が番だってはっきりさせないと、いずれそうなっちゃうかもしれませんね」
「そうって…」
「陛下がエリサ様以外の女性にも笑いかけて、贈り物なんかもしちゃうかも。相手国との関係によっては、エリサ様よりも尊重しなきゃいけなくなる可能性もありますし。それに、相手が積極的だったら先に子供が出来ちゃうかもしれませんよ」
「こ、子どもって…ジーク様が…」
「側妃でも愛妾でもいいって女性は多いそうですよ。アンジェリカ王女やロヴィーサを忘れたんですか?あんなイケイケの女性が側妃になったら、直ぐ子供も出来ちゃいそうですよねぇ…」
ラウラの言葉に、私は暫く言葉を発する事も出来ませんでした。ジーク様に側妃が…しかも子供までって…番は私なのに、そのような事、あるのでしょうか…
でも、政略結婚はないと言っていた獣人相手にそれを押し通したのは母国でした。そうなってしまえば、他国も同じ事を考える可能性も…ないとは言えないのでしょうか…
私は暫く、その場を動く事も出来ませんでした。
「ラウラ、お願いがあるのだけど…これを付けて欲しいの」
翌朝。いつも通り起こしに来てくれたラウラに出したのは…以前ジーク様に頂いた番が付けるピアスでした。ジーク様は無理をしないで欲しい、付けるのはその気になってからでいいから、と仰っていましたが…
「エリサ様、これって…」
「ええ、ジーク様に頂いた番のピアスよ」
「…いいんですか?」
これまで、いえ、昨日まで迷っていた私の急な変化に、ラウラも驚きを隠せないようでした。そうですよね、昨日はどうしたらいいか、なんてラウラに聞いていたくらいですから。
でも、ラウラからジーク様に未だに側妃の話があると聞いた私は…昨夜は心配になって全く眠れませんでした。こうしている間にも側妃にとの話が持ち上がっているのではないかと思ったら、直ぐにでもジーク様に直談判しに行きたくなったくらいです。
「もう、決めたの。だって…側妃なんて…どう考えても受け入れられないもの…」
側妃なんて絶対に嫌です。ジーク様が他の女性に笑みを向けて…なんて、想像しただけでも泣きたくなりそうです。
でも、番になるなんて恥ずかしくて言えそうにもなかったので、その代わりにこのピアスを付ける事にしました。これをつければ…ジーク様はその意味を分かって下さると思ったからです。
「エリサ様、ほんっとうにいいんですね?!」
「え?ええ…」
「後でやっぱり無理!は通りませんよ?」
「も、もちろんよ…あの、どうかしたの?」
何と言うか…ラウラの念押しが想像以上なのですが…どうしたのでしょうか…
「どうもこうも、エリサ様がもう迷わないかどうかの確認です。だって、エリサ様がこれをつけたら、陛下はもう遠慮しませんよ?それでいいんですね?」
えっと…そこまで言われると、考え直した方がいいのでしょうか…でも…
「でも、こうしている間にも、側妃の話が上がっているかもしれないのでしょ?ジーク様が他の女性に優しくするなんて…絶対に嫌だし…」
「…そうですか。じゃ、陛下とキスどころかその先も大丈夫なんですね?」
「は?その先って…」
「その先はその先ですよ。まさかそんな事わからない、なんて仰いませんよね?」
「…わ、わからない訳じゃないけど…今直ぐってわけじゃ…」
「陛下はどうお考えかわかりませんよ?大体お二人は会話が圧倒的に足りていないんですから、エリサ様は陛下がどう思っているかなんてわからないでしょう?エリサ様がピアスをしているのを見たら、直ぐに押し倒されるかもしれませんよ」
「ま、まさか…」
いくらなんでも、それは急性すぎやしないでしょうか…いえ、番になるとはそう言う事なのでしょうけど…
「まぁ、陛下の性格ではそれはないでしょうけど。でも、後戻りできませんよ?いいんですね?」
改めてそう聞かれると、まだ迷いと言いますか、どうなのかと思ってしまいます。でも、他の女性が入り込んでくるのは…もっと嫌です。
「…いいわ」
やっぱりもう一度考えても…答えは変わりませんでした。まだ少し不安だけど…いつかはこうなるのでしょうし、だとしたら少しだけ早くなるだけ、の筈です…
初めてのピアスはちょっと怖かったし、痛みもありましたが…付けてしまえば酷く呆気なく、それでいて安心感が胸にじわっと広がるのを感じました。正直、まだ不安に感じる自分がいましたが、今はそれよりも、ピアスを付けた私を見たジーク様がどんな反応をするか、そちらが気になって不安は霧散しまいました。
いえ、ジーク様だけではありません。きっとベルタさん達も、侍女の皆さんもですよね…そこまで思い至った私は、とんでもなく早まったような気がして、ラウラが言うのとは別の意味で居た堪れない思いに襲われる事になりました。
「…確かに国の事とか立場とかもありますし、これまでの事も入れると…簡単にこう、って私も決められそうにないかな、とは思います。レイフ様だったら…って考えたけど…レイフ様と陛下じゃ、性格が違い過ぎて参考になりませんからねぇ…」
「…そうね」
「レイフ様みたいにはっきり好きだ!って押してきたらわかりやすいんですけどね」
「それは、確かに…」
確かに、レイフ様みたいな方だったらわかりやすくて…迷いは少なかったような気もします。
「エリサ様の気持ち最優先ってのはわかるんですけど、でも陛下も、最近までは本当に好きなの?って言いたくなるレベルでしたからねぇ…」
ほんっと、ハッキリしないのが一番問題なんですよね…とラウラがブツブツ言っていますが…でも、そこはジーク様なりの気遣いでしょうから、否定するわけにもいきませんよね。
「でもまぁ、王女や王妃の立場もあるし、番だって言われたら逃げるのも難しそうですから、私なら好きになれるかどうかで決めますね。生理的に無理って人もいますし…例えばエリサ様、陛下とキス出来そうですか?」
「へ…?キ、キス…?!」
ラウラの言葉に、私はジーク様とキスする自分を想像しましたが…
「そ、そんな恥ずかしい事…む、無理よ…」
そうです、キ、キスだなんて…その情景を想像するだけで、恥ずかしくて顔から火が出そうです。
「恥ずかしいですか?」
「あ、当たり前じゃない…!」
「気持ち悪くは?」
「それはないけど…」
ラウラにそう言われて、私は今の自分の感情を振り返ってみました。恥ずかしい…とは思いましたが…気持ち悪い、という感覚はなかったように思います。
「だったら大丈夫ですよ」
「え…?」
「キスすると想像して、最初に気持ち悪い!生理的に無理!って感じたら、無理だと思って間違いないそうですよ。逆にそれがないなら大丈夫だそうです」
「大丈夫って…」
そんな理由で決めてしまっていいのでしょうか…いえ、確かに気持ち悪いと思ったら番になんてなれませんが…
「キス出来るなら、いっそエリサ様から好きだって言っちゃうのもありですよ?」
「ええ、は、恥ずかしい事…」
「でも、陛下を他の人に渡す気はないんですよね?」
「他の人?」
「そうですよ、陛下はまぁ、ヘタレですがイケメンで強くて国王ですからね。狙っている女性なんていくらでもいますよ。今だって側妃にって言ってくる国も女性もいるそうですし」
「うそ…」
「嘘じゃありませんよ。レイフ様情報ですから間違いないです。早く番だってはっきりしなきゃ、また国政に絡んで側妃にとねじ込んでくる国、出てきちゃいますよ」
「ま、まさか…」
「そのまさかをやってしまったのがマルダーンですからねぇ…」
「う…」
た、確かに、獣人相手に政略結婚をごり押ししたのはマルダーンです。そして、それを受けたのはジーク様でしたわね…
「側妃の話がまとまっちゃったら、解消は難しいですよ。でも、エリサ様が番だってはっきりさせないと、いずれそうなっちゃうかもしれませんね」
「そうって…」
「陛下がエリサ様以外の女性にも笑いかけて、贈り物なんかもしちゃうかも。相手国との関係によっては、エリサ様よりも尊重しなきゃいけなくなる可能性もありますし。それに、相手が積極的だったら先に子供が出来ちゃうかもしれませんよ」
「こ、子どもって…ジーク様が…」
「側妃でも愛妾でもいいって女性は多いそうですよ。アンジェリカ王女やロヴィーサを忘れたんですか?あんなイケイケの女性が側妃になったら、直ぐ子供も出来ちゃいそうですよねぇ…」
ラウラの言葉に、私は暫く言葉を発する事も出来ませんでした。ジーク様に側妃が…しかも子供までって…番は私なのに、そのような事、あるのでしょうか…
でも、政略結婚はないと言っていた獣人相手にそれを押し通したのは母国でした。そうなってしまえば、他国も同じ事を考える可能性も…ないとは言えないのでしょうか…
私は暫く、その場を動く事も出来ませんでした。
「ラウラ、お願いがあるのだけど…これを付けて欲しいの」
翌朝。いつも通り起こしに来てくれたラウラに出したのは…以前ジーク様に頂いた番が付けるピアスでした。ジーク様は無理をしないで欲しい、付けるのはその気になってからでいいから、と仰っていましたが…
「エリサ様、これって…」
「ええ、ジーク様に頂いた番のピアスよ」
「…いいんですか?」
これまで、いえ、昨日まで迷っていた私の急な変化に、ラウラも驚きを隠せないようでした。そうですよね、昨日はどうしたらいいか、なんてラウラに聞いていたくらいですから。
でも、ラウラからジーク様に未だに側妃の話があると聞いた私は…昨夜は心配になって全く眠れませんでした。こうしている間にも側妃にとの話が持ち上がっているのではないかと思ったら、直ぐにでもジーク様に直談判しに行きたくなったくらいです。
「もう、決めたの。だって…側妃なんて…どう考えても受け入れられないもの…」
側妃なんて絶対に嫌です。ジーク様が他の女性に笑みを向けて…なんて、想像しただけでも泣きたくなりそうです。
でも、番になるなんて恥ずかしくて言えそうにもなかったので、その代わりにこのピアスを付ける事にしました。これをつければ…ジーク様はその意味を分かって下さると思ったからです。
「エリサ様、ほんっとうにいいんですね?!」
「え?ええ…」
「後でやっぱり無理!は通りませんよ?」
「も、もちろんよ…あの、どうかしたの?」
何と言うか…ラウラの念押しが想像以上なのですが…どうしたのでしょうか…
「どうもこうも、エリサ様がもう迷わないかどうかの確認です。だって、エリサ様がこれをつけたら、陛下はもう遠慮しませんよ?それでいいんですね?」
えっと…そこまで言われると、考え直した方がいいのでしょうか…でも…
「でも、こうしている間にも、側妃の話が上がっているかもしれないのでしょ?ジーク様が他の女性に優しくするなんて…絶対に嫌だし…」
「…そうですか。じゃ、陛下とキスどころかその先も大丈夫なんですね?」
「は?その先って…」
「その先はその先ですよ。まさかそんな事わからない、なんて仰いませんよね?」
「…わ、わからない訳じゃないけど…今直ぐってわけじゃ…」
「陛下はどうお考えかわかりませんよ?大体お二人は会話が圧倒的に足りていないんですから、エリサ様は陛下がどう思っているかなんてわからないでしょう?エリサ様がピアスをしているのを見たら、直ぐに押し倒されるかもしれませんよ」
「ま、まさか…」
いくらなんでも、それは急性すぎやしないでしょうか…いえ、番になるとはそう言う事なのでしょうけど…
「まぁ、陛下の性格ではそれはないでしょうけど。でも、後戻りできませんよ?いいんですね?」
改めてそう聞かれると、まだ迷いと言いますか、どうなのかと思ってしまいます。でも、他の女性が入り込んでくるのは…もっと嫌です。
「…いいわ」
やっぱりもう一度考えても…答えは変わりませんでした。まだ少し不安だけど…いつかはこうなるのでしょうし、だとしたら少しだけ早くなるだけ、の筈です…
初めてのピアスはちょっと怖かったし、痛みもありましたが…付けてしまえば酷く呆気なく、それでいて安心感が胸にじわっと広がるのを感じました。正直、まだ不安に感じる自分がいましたが、今はそれよりも、ピアスを付けた私を見たジーク様がどんな反応をするか、そちらが気になって不安は霧散しまいました。
いえ、ジーク様だけではありません。きっとベルタさん達も、侍女の皆さんもですよね…そこまで思い至った私は、とんでもなく早まったような気がして、ラウラが言うのとは別の意味で居た堪れない思いに襲われる事になりました。
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