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連載
番になる不安
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ユリウス王子以外の王族が帰国した王宮内は、ようやくいつもの静けさを取り戻しました。私の日常も、ようやく平常運転です。そして今日からはジーク様と朝食を一緒に頂く習慣も戻ってきました。
「エリサ、貴女にこれを…」
朝食の後、今日も日課となった贈り物をジーク様が私の手に乗せました。可愛らしくラッピングされたその中には、金翠玉のあしらわれた指輪が入っていました。繊細な細工が施された指輪の上には、小さな金翠玉が乗っていますが…あまりにも細かい細工に、触るのが怖いくらいです。
「凄く、きれい…」
それはこれまでに見たどの指輪よりも細やかな細工がされていました。銀の台も角度によってキラキラと光り、それだけでも十分すぎる程の素晴らしさなのに、その上に金翠玉が乗っているのです。どれだけ高価なものか…考えただけで気が遠くなりそうです。
「これはアルマの今一番人気の品らしい。互いの色の指輪を付け合うのが流行っているそうだ」
「そうなのですね。素敵だと思いますわ」
そう言うジーク様の指には、頂いた品とは色違いの指輪がはめられていました。こちらは金の土台の上に、私の瞳と同じ新緑色の碧晶石が乗っていました。これは…デザインを見ると完全にペアですわね。お揃いで嬉しいような恥ずかしいような気持ちですが…こんな素敵な品を頂いてしまってもいいのでしょうか…
「ありがとうございます。凄く嬉しいです」
「いや、気に入ってくれたならよかった」
私のお礼の言葉に、ジーク様が目を細めてそう返されました。その優しい表情に、ジーク様の秀麗なお顔に慣れてきた私も、思わずドキッとしてしまいます。いつも表情を変える事がない方なだけに、その笑顔は反則だと思います…
「その…付けて貰ってもいいだろうか?」
「へ?あ、ひゃぃ」
遠慮がちにそうジーク様に言われた私ですが、ジーク様が私をじっと見つめていたので、思わず声が裏返ってしまいました。ジーク様、その視線は反則です…
ドキドキと脈打つ心臓の音が聞こえないかと気になった私は、指輪をはめて貰う間も気が気ではありませんでしたが…指輪は私の指にぴったりのサイズで、益々鼓動が早くなったのは言うまでもありません。お揃いの品を身に着けるなんて恋人同士の様で、私は恥ずかしさに頬が熱を持つのを意識せざるを得ませんでした。
ジーク様が執務に向かった後、私はラウラと久しぶりに二人の時間を楽しんでいました。ここのところ警備も厳しく、ベルタさんやユリア先生も側に付いて下さっていたため、二人になる時間が殆どなかったのです。でも式も終わり、他国の王族も帰国したのもあり、今日はユリア先生もベルタさんも用事を片付けてから来るそうです。
「ラウラも指輪しているのね」
「え?ええ、レイフ様から頂いたんです。最近流行っているそうですね」
ラウラの指輪は、銀の地に深紫色の紫輝珠という宝石で、まんまレイフ様の色です。ちなみにレイフ様の指輪は金の地に水色の透青玉という宝石の組み合わせで、ラウラの色そのままだそうです。デザインは全く同じで、色は違ってもパッと見ればお揃いだと分かってしまうのだと、ラウラは恥ずかしそうに嬉しそうに教えてくれました。
指輪は二人で一緒にお店に行って、相談して決めたのだとか。いつの間にかすっかり仲良くなって、最近では短時間ですが二人で出かける事も増えていますわね。ラウラは番になる事を受け入れて、プロポーズもほんの数日前に了承したばかりです。
「ラウラは…不安とかはないの?その、レイフ様との事…」
幸せそうなラウラにこんな事を聞くべきではないのかとも思っていましたが、二人になると昔からの気安さが先に出てしまい、前々からの疑問はポロっと出てしまいました。言ってからしまったと思いましたが、一方でやっと聞けたという安堵がじんわりと広がりました。
「不安、ですか?そりゃあもちろん、不安はありますよ」
「そうなのね…」
「でも、このまま一人でいる方がずっと不安でしたから」
「え?」
それは思いもしない事でした。ラルセンに来てからはベルタさんやユリア先生という親友も出来たし、私がジーク様の番だとわかった事でこの国で路頭に迷う事もなくなって、ラウラも安泰だと思っていたからです。
「だって、私はただの侍女でしかないですから。そりゃあ、エリサ様と一緒ならどうなってもどこに行っても頑張れると思っていましたけど…やっぱり後ろ盾がないって不安定ですから」
「そう、よね…」
「ああ、でも、こっちでは母の二の舞になるんじゃないかって危険は殆どなくなって気分的にはずっと楽でした。でも、竜人は嫉妬深いから、その内陛下に追い出されるんじゃ…って思ったりもしたんですよ」
「ジーク様が?」
それは…全く想定外の事で、私は驚かずにはいられませんでした。だってラウラは幼馴染で家族も同然なのです。いくら番でも家族に嫉妬するなんて…あり得ないでしょうに。
「エリサ様、竜人をわかっていませんね。竜人は家族とか関係ないんだそうですよ。とにかく番にとって自分が一番でなきゃ気が済まないらしいですから。そういう意味では、一番近くにいる私が一番目障りじゃないですか。しかも相手は国王ですよ。この国の最高権力者なんですから、陛下の気持ち一つでどうなるかわかったもんじゃないなぁって」
「まさか…目障りだなんて…」
あのジーク様がラウラをそのように風に思うなんて…ラウラがそれを心配していたのは驚きでした。不安な思いをさせていた事も、です。私にとってラウラは家族であり一番の理解者で、ラルセンでやってこられたのもラウラがいてくれたからです。ラウラにジーク様が嫉妬だなんて…意外過ぎて直ぐには理解出来そうもありません。
「そういうのもあって、レイフ様の番だったのはラッキーかな、って。レイフ様は陛下の側近だからこれからも堂々とエリサ様の側に居られますし、レイフ様の番なら陛下も手を出しにくいでしょう?」
「それはそうだけど…」
「それ以外でも不安はありますけど…でも、レイフ様やベルタさんを見ていると大丈夫かな、って思うんですよね」
「…そうね」
私からだと、レイフ様よりもベルタさんの存在の方が大きく感じられました。いえ、レイフ様やルーベルト様もお優しくて気持ちのいい方なので、きっとご両親たちもそうなのでしょうね。そういう意味では、ラウラのお相手がレイフ様でよかったと思います。狼人は竜人に次ぐ上位種なので、その番のラウラに手を出す人も少ないでしょう。
「それよりもエリサ様ですよ。陛下との事、どうなさるんですか?」
「ど、どうって…」
「式も終わったし、そろそろ向き合う要があるんじゃないですか?」
全くラウラの言う通りで、私は何ともいい難い気持ちになりました。私が式の前日にマイナスの気持ちをジーク様に聞かれてしまったせいで、私達の間にはまた微妙な距離と言いますか、遠慮がちな空気が流れたままなのです。
ジーク様は私のマイナスの気持ちの原因となった最初の頃の事を謝って下さいましたし、私もその事はもう十分謝って頂いたと思っていますが…何とも表現のしづらい気まずさはまだ残っていて、今は暗黙の了解と言いますか、そこには触れずに今日まで過ごしてきたのです。
でも、式も終わった今、そろそろその事にも向き合う必要があるのですよね…
「ねぇ、ラウラ…」
「どうされました?」
「もしラウラだったら…どうする?」
私は自分が色々と足りていない部分がある事は、一応わかっているつもりです。王女教育を受けていないというだけでなく、人と接する事が極端に少なかったために、相手の気持ちを察する事が苦手で、恋愛経験もなく、こういう時どうすべきなのかがわからないのです。それは私の欠点なのだと思うのですが、どこがどうずれているかもわからない…という情けない状態なのです。
「…う~ん、そうですねぇ…」
そう言うとラウラは考え込んでしまいました。こんな風に真面目に考えてくれるラウラに、何だか強く込み上げてくるものを感じました。こんな風に本気で私に寄り添ってくれるのはラウラだけですが…そのラウラも近いうちにレイフ様に…と思ってしまったのですよね。二人の事はお祝いすべき事なのですが、一方で今まで感じた事のない喪失感も付いてきました。ラウラがいなくなったら私はどうしたらいいのかと、今更不安になったのです。
そうしている間も、ラウラは腕を組んで唸りながら考えてくれています。ここまで私の事を考えてくれるのは、やっぱりラウラだけ…なのですよね。
「エリサ、貴女にこれを…」
朝食の後、今日も日課となった贈り物をジーク様が私の手に乗せました。可愛らしくラッピングされたその中には、金翠玉のあしらわれた指輪が入っていました。繊細な細工が施された指輪の上には、小さな金翠玉が乗っていますが…あまりにも細かい細工に、触るのが怖いくらいです。
「凄く、きれい…」
それはこれまでに見たどの指輪よりも細やかな細工がされていました。銀の台も角度によってキラキラと光り、それだけでも十分すぎる程の素晴らしさなのに、その上に金翠玉が乗っているのです。どれだけ高価なものか…考えただけで気が遠くなりそうです。
「これはアルマの今一番人気の品らしい。互いの色の指輪を付け合うのが流行っているそうだ」
「そうなのですね。素敵だと思いますわ」
そう言うジーク様の指には、頂いた品とは色違いの指輪がはめられていました。こちらは金の土台の上に、私の瞳と同じ新緑色の碧晶石が乗っていました。これは…デザインを見ると完全にペアですわね。お揃いで嬉しいような恥ずかしいような気持ちですが…こんな素敵な品を頂いてしまってもいいのでしょうか…
「ありがとうございます。凄く嬉しいです」
「いや、気に入ってくれたならよかった」
私のお礼の言葉に、ジーク様が目を細めてそう返されました。その優しい表情に、ジーク様の秀麗なお顔に慣れてきた私も、思わずドキッとしてしまいます。いつも表情を変える事がない方なだけに、その笑顔は反則だと思います…
「その…付けて貰ってもいいだろうか?」
「へ?あ、ひゃぃ」
遠慮がちにそうジーク様に言われた私ですが、ジーク様が私をじっと見つめていたので、思わず声が裏返ってしまいました。ジーク様、その視線は反則です…
ドキドキと脈打つ心臓の音が聞こえないかと気になった私は、指輪をはめて貰う間も気が気ではありませんでしたが…指輪は私の指にぴったりのサイズで、益々鼓動が早くなったのは言うまでもありません。お揃いの品を身に着けるなんて恋人同士の様で、私は恥ずかしさに頬が熱を持つのを意識せざるを得ませんでした。
ジーク様が執務に向かった後、私はラウラと久しぶりに二人の時間を楽しんでいました。ここのところ警備も厳しく、ベルタさんやユリア先生も側に付いて下さっていたため、二人になる時間が殆どなかったのです。でも式も終わり、他国の王族も帰国したのもあり、今日はユリア先生もベルタさんも用事を片付けてから来るそうです。
「ラウラも指輪しているのね」
「え?ええ、レイフ様から頂いたんです。最近流行っているそうですね」
ラウラの指輪は、銀の地に深紫色の紫輝珠という宝石で、まんまレイフ様の色です。ちなみにレイフ様の指輪は金の地に水色の透青玉という宝石の組み合わせで、ラウラの色そのままだそうです。デザインは全く同じで、色は違ってもパッと見ればお揃いだと分かってしまうのだと、ラウラは恥ずかしそうに嬉しそうに教えてくれました。
指輪は二人で一緒にお店に行って、相談して決めたのだとか。いつの間にかすっかり仲良くなって、最近では短時間ですが二人で出かける事も増えていますわね。ラウラは番になる事を受け入れて、プロポーズもほんの数日前に了承したばかりです。
「ラウラは…不安とかはないの?その、レイフ様との事…」
幸せそうなラウラにこんな事を聞くべきではないのかとも思っていましたが、二人になると昔からの気安さが先に出てしまい、前々からの疑問はポロっと出てしまいました。言ってからしまったと思いましたが、一方でやっと聞けたという安堵がじんわりと広がりました。
「不安、ですか?そりゃあもちろん、不安はありますよ」
「そうなのね…」
「でも、このまま一人でいる方がずっと不安でしたから」
「え?」
それは思いもしない事でした。ラルセンに来てからはベルタさんやユリア先生という親友も出来たし、私がジーク様の番だとわかった事でこの国で路頭に迷う事もなくなって、ラウラも安泰だと思っていたからです。
「だって、私はただの侍女でしかないですから。そりゃあ、エリサ様と一緒ならどうなってもどこに行っても頑張れると思っていましたけど…やっぱり後ろ盾がないって不安定ですから」
「そう、よね…」
「ああ、でも、こっちでは母の二の舞になるんじゃないかって危険は殆どなくなって気分的にはずっと楽でした。でも、竜人は嫉妬深いから、その内陛下に追い出されるんじゃ…って思ったりもしたんですよ」
「ジーク様が?」
それは…全く想定外の事で、私は驚かずにはいられませんでした。だってラウラは幼馴染で家族も同然なのです。いくら番でも家族に嫉妬するなんて…あり得ないでしょうに。
「エリサ様、竜人をわかっていませんね。竜人は家族とか関係ないんだそうですよ。とにかく番にとって自分が一番でなきゃ気が済まないらしいですから。そういう意味では、一番近くにいる私が一番目障りじゃないですか。しかも相手は国王ですよ。この国の最高権力者なんですから、陛下の気持ち一つでどうなるかわかったもんじゃないなぁって」
「まさか…目障りだなんて…」
あのジーク様がラウラをそのように風に思うなんて…ラウラがそれを心配していたのは驚きでした。不安な思いをさせていた事も、です。私にとってラウラは家族であり一番の理解者で、ラルセンでやってこられたのもラウラがいてくれたからです。ラウラにジーク様が嫉妬だなんて…意外過ぎて直ぐには理解出来そうもありません。
「そういうのもあって、レイフ様の番だったのはラッキーかな、って。レイフ様は陛下の側近だからこれからも堂々とエリサ様の側に居られますし、レイフ様の番なら陛下も手を出しにくいでしょう?」
「それはそうだけど…」
「それ以外でも不安はありますけど…でも、レイフ様やベルタさんを見ていると大丈夫かな、って思うんですよね」
「…そうね」
私からだと、レイフ様よりもベルタさんの存在の方が大きく感じられました。いえ、レイフ様やルーベルト様もお優しくて気持ちのいい方なので、きっとご両親たちもそうなのでしょうね。そういう意味では、ラウラのお相手がレイフ様でよかったと思います。狼人は竜人に次ぐ上位種なので、その番のラウラに手を出す人も少ないでしょう。
「それよりもエリサ様ですよ。陛下との事、どうなさるんですか?」
「ど、どうって…」
「式も終わったし、そろそろ向き合う要があるんじゃないですか?」
全くラウラの言う通りで、私は何ともいい難い気持ちになりました。私が式の前日にマイナスの気持ちをジーク様に聞かれてしまったせいで、私達の間にはまた微妙な距離と言いますか、遠慮がちな空気が流れたままなのです。
ジーク様は私のマイナスの気持ちの原因となった最初の頃の事を謝って下さいましたし、私もその事はもう十分謝って頂いたと思っていますが…何とも表現のしづらい気まずさはまだ残っていて、今は暗黙の了解と言いますか、そこには触れずに今日まで過ごしてきたのです。
でも、式も終わった今、そろそろその事にも向き合う必要があるのですよね…
「ねぇ、ラウラ…」
「どうされました?」
「もしラウラだったら…どうする?」
私は自分が色々と足りていない部分がある事は、一応わかっているつもりです。王女教育を受けていないというだけでなく、人と接する事が極端に少なかったために、相手の気持ちを察する事が苦手で、恋愛経験もなく、こういう時どうすべきなのかがわからないのです。それは私の欠点なのだと思うのですが、どこがどうずれているかもわからない…という情けない状態なのです。
「…う~ん、そうですねぇ…」
そう言うとラウラは考え込んでしまいました。こんな風に真面目に考えてくれるラウラに、何だか強く込み上げてくるものを感じました。こんな風に本気で私に寄り添ってくれるのはラウラだけですが…そのラウラも近いうちにレイフ様に…と思ってしまったのですよね。二人の事はお祝いすべき事なのですが、一方で今まで感じた事のない喪失感も付いてきました。ラウラがいなくなったら私はどうしたらいいのかと、今更不安になったのです。
そうしている間も、ラウラは腕を組んで唸りながら考えてくれています。ここまで私の事を考えてくれるのは、やっぱりラウラだけ…なのですよね。
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